自己分析には本の活用、つまり市販の「就活対策本」を使う方法がおすすめです。この記事では、本ならではのメリットや、自己分析に役立つ書籍をいくつか紹介していくとともに、自己分析に本を使う際の注意点と、その結果を就職活動にどう役立てるかのポイントも挙げていきます。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
自己分析に本は有効なの?
自己分析をするにしても具体的にどうすればいいかわからず、悩んでいるうちに時間が経ってしまうことも多いでしょう。そんなときにおすすめなのは、市販の「就活対策本」を活用した自己分析です。ただ、わざわざ本まで買う必要があるのか、インターネット上の情報で十分だと思う人も多いと思います。
しかし、インターネット上では確かに無料で様々な情報が見られますが、そこには信用性の低い情報が多いことも事実で、真偽の判断は難しくなります。それに比べ書籍はコストはかかりますが、情報も多く、同じ筆者が一貫して著述しているので説明が省略されることもなく、意見には一貫性があります。
また、自己分析のノウハウが体系的に記されていている本などを使えば、効率的に無理なく自己分析に取り組むことができます。コストはかかっても自分への投資と考え、なるべく信頼性の高い情報源を選ぶようにしましょう。
自己分析におすすめの本
おすすめの本その1:『さあ、才能に目覚めよう』
自己分析におすすめの本、1冊目は、トム・ラス著『さあ、才能に目覚めよう:新版ストレングス・ファインダー2.0』です。「ストレングス・ファインダー」とは、自分の強みを知るための才能診断ツールです。Webサイト上でアクセスコードを入力し177個の質問に答えることで、34に分類される資質から受験者が持つ上位5つが示されます。具体的にその資質は、人間関係構築力、影響力、実行力、戦略的思考力の4グループに分けられていて、5つの組み合わせによってその人が何を優先的に大切にするかがつかめます。マイナスな面ではなく、自分の才能(強み)を導き出し、自分の思考や行動の反応パターンをつかむことに特化しています。
書籍のこの新版では、資質ごとの強みの活かし方にフォーカスしてあり、34の資質ごとにそれぞれ10項目の行動アイディア、3項目の人の活かし方が詳細に書いてあり、Webテストのみよりもさらに実践的に自分の武器にしやすくなっています。診断結果だけを見て満足してしまうことを避けるという意味でも書籍はおすすめです。診断に使うアクセスコードは1冊の本に1個ついています。アクセスコードは使いまわしができず、1回の診断に1個のアクセスコードが必要なので、中古ではなく必ず新品の本を購入しましょう。
この本の特徴をまとめると、以下の通りです。
- 自分の才能のみに目を向けてその強みを伸ばす
- テスト時間は約40分(1問20秒×177)
- やり直しができないので直感的かつ慎重に(やり直しにはもう一つアクセスコードが必要)
『さあ、才能に目覚めよう:新版ストレングス・ファインダー2.0』トム・ラス(著)・古屋博子(翻訳)/日本経済新聞出版社/2017年
おすすめの本その2:『9つの性格』
自己分析におすすめの本、2冊目は、鈴木秀子著『9つの性格:エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』です。「エニアグラム」とは、個人の特性を表す分類のことでです。20の質問に答えることで、9のタイプに分類されます。
①完全でありたい人、②人の助けになりたい人、③成功を追い求める人、④特別な存在であろうとする人、⑤知識を得て観察する人、⑥安全を求め慎重に行動する人、⑦楽しさを求め行動する人、⑧強さを求め自己主張する人、⑨調和と平和を願う人、この9つの分類それぞれに長所と短所が示されています。ストレングス・ファインダーは才能(強み)のみを見るのに対し、エニアグラムは自分の欠点(弱み)にもしっかり目を向けるのが特徴です。
エニアグラムについての本は数多くありますが、この本は統合に向けての行動説明やタイプごとの対応方法が具体的であったり、話がまわりくどくなく簡潔であるなど、より実践的な一冊になっています。そもそもエニアグラムは日米の一流企業で人事研修にも採用されているなど、実践のための考え方です。きちんと科学的に検証された人間学の理論であり、自分を客観的に見つめ直すことができるので、自身のキャリアデザインにもしっかり活用できるのが特徴です。
この本の特徴をまとめると、以下の通りです。
- 自分の欠点や失敗パターンなども受け入れる
- 特別なサイトなどでテストを受ける必要がない
- 科学的に検証されている理論
『9つの性格:エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』鈴木秀子(著)/PHP文庫/2004年
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
おすすめの本3:『あなたが「一番輝く」仕事を見つける』
自己分析におすすめの本、3冊目は、梅田幸子著『あなたが「一番輝く」仕事を見つける:最強の自己分析』です。この著者は就職活動のサポートを通しこれまでに4000人以上の就職面接に立ち会い内定に導いたとともに、企業の人事コンサルタントとして採用側の研修も行ってきました。つまり、応募する側、採用する企業側どちらの本音もわかる立場からの「個性と能力を活かす就職活動」を提案しています。
この本でキーワードとなるのは「心が喜ぶ」ということです。少し前までは、企業はスキル・能力・経験を重視した人材を選んでいましたが、今は会社との相性やこれからの可能性を重視した採用にシフトしています。前作の『あなたの天職がわかる最強の自己分析』から、売り手市場や内定獲得数の二極化といった時代の流れをきちんとくみ取った今回の改定であり、そこにこの本への信頼性も感じられます。質問形式で書き込んでいくスタイルで、豊富なワークシートと図解でわかりやすく、それでいてロジカルに体系化され天職が見つかりやすくなっています。
「心が喜ぶこと(好きなこと)」と「得意なこと」がかけ合わさったものが天職という考え方なので、前向きにワークに取り組めるのも特徴です。自分の強みがどう仕事に結びつくか、どのような活躍ができるかが明確になり、自己PRに非常に活かしやすくなっています。
この本の特徴をまとめると、以下の通りです。
- 就職活動のサポート、企業側の人事コンサルタントどちらも携わってきた著者だから本音がわかる
- 時代の流れをきちんとくんだ改定をしている
- 「心が喜ぶこと(好きなこと)」「得意なこと」という前向きな指標
『あなたが「一番輝く」仕事を見つける:最強の自己分析』梅田幸子(著)/KADOKAWA/2017年
おすすめの本4:『受かる!自己分析シート』
自己分析におすすめの本、4冊目は、田口久人著『受かる!自己分析シート』です。この本は、就職活動においてあらゆる業界からの内定を獲得し、その後ヤングキャリアコンサルタントとして独立、自己分析について研究を続けている著者の経験に基づいています。就活ブロガーとしても活動し詩集を発表するなど、アプローチの方法が他とは一線を画します。
この本は「自分の強み」の見つけ方の指南書で、独自の41のワークシートに沿って分析を進めます。本は「自己分析」→「他己分析」→「企業研究」と3段階構成になっていて、左ページには回答例とポイント、右ページが書き込みワークシートという作りで徹底的に自分の強みやエピソードを洗い出せるように組み立てられています。時間はかかりますが、分析の精度はそれだけ高く出るのが特徴です。また、企業研究の方法や履歴書やエントリーシートの書き方も詳細に説明があり、付録に自己PR事例集がついているなど就職活動において活かせるものがきっちりと入っているかなり実践的な一冊になります。
この本の特徴をまとめると、以下の通りです。
- あらゆる業界から内定をもらった著者の経験に基づく指南書
- 時間はかかるが妥協のない分析ができる
- 就職活動に活かせるデータが多く入っている
『受かる!自己分析シート』田口久人(著)/日本実業出版社/2008年
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自己分析に本を使う際の注意点
注意点その1:内容を鵜呑みにしない
就活対策本も、使い方によってはあまり自己分析に効果を発揮しないことがあります。自己分析に本を使う際に注意すべきことのひとつは、内容を鵜呑みにしないようにするということです。特に、診断のできる自己分析本を読みこむと、性格や適職など何らかの分析結果が出てきますが、それをそのまま用いるのはNGです。例えば結果をそのまま志望動機や自己PRなどにすると、どうしても希薄で真実味のない内容になります。複数の本を読んだり、いくつか自己分析を行うなどした上で、その診断結果を参考に自分の頭で一度深く考えるという過程が必要です。一冊の内容に振り回されたり、一面的にならないようにしましょう。
注意点その2:読み終えただけで満足しない
自己分析に本を使う際のもうひとつの注意点は、ただ本を読破したことに満足してそこで終わらないように気をつけるということです。自己分析のやり方がわかっても、そこから何もしなければ自分のことが理解できるはずはありません。読んだ後は先延ばしにせず、なるべくすぐに書かれている方法で分析を行いましょう。精度を上げるためにも、設問に適当に答えたり、直前に焦って取り掛かることも避け、時間に余裕をもって取り込むことも大切です。
自己分析を就活に役立てるポイント
ポイントその1:就活にどう役立つか考える
自己分析によって自分の性格や考え方を整理し、そこから志望する業界や企業を絞っていくいう手順は多くの就活生がとっています。その上で、その自己分析の結果をどのように自分の就職活動に使えるか、さらに何が必要かを考えるということがポイントになります。そこで大事になるのが、自己分析の結果をどのようにエントリーシートや面接での受け答えに落とし込んでいくかということです。例えば、長所と短所をエントリーシートに書く場合、自分の長所と企業側の求める人材の特徴が合致するように書かなければ、せっかくの自己分析でも就職活動に役立てているとは言えません。自己分析によって見えた自分の特性や価値観、能力や経験などを、企業が求めている人物像に当てはまるようにまとめていきましょう。
ポイントその2:業界・企業研究につなげる
自己分析を就職活動に役立てるもうひとつのポイントは、自己分析で見えてきた自分の特性や価値観を業界研究や企業研究に用いるということです。自己分析の結果を参考にしながら、興味があったり自分に向いていそうな仕事や業界を調べていきましょう。このとき、絶対入りたいと思う業界だけを見るのではなく、いくつもの業界を広く浅く調べて、そこから徐々にしぼり、狭く深く見ていくという方法がおすすめです。企業を細かく見ていくときも、自分の適性とマッチするかを必ずチェックしてください。本での診断で「あなたに合う業種は〇〇です」などと出ても、そのまま信じるのではなくヒント程度に捉え、幅広い視野で業界研究をするようにしましょう。
本を使って自己分析に取り組んでみよう!
このように、本を使って自己分析するには注意点や考えるべきポイントがいくつもありますが、それに気をつけることができれば、本による自己分析は就職活動にとても有効です。本を読むことで自分の特性や適性に気付くことができれば、そこからの企業選びに必ずつながっていきます。自己分析といっても多種多様な方法があります。
まずは自分で気になる本を手にとって、分析を始めてみましょう。
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