介護士はどういった仕事なのか、理解を深めていきたいという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、介護士の仕事内容や求められるスキル、介護士の種類などを分かりやすく解説します。
合わせて、介護士に向いてる人の特徴や、就職するメリット・デメリットについても網羅的に解説していきますので、介護士の仕事に興味がある人は記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
介護士とは?
介護士について詳しく解説していく前に、まずそもそも介護士とはどういう役割を持った仕事なのか概要を理解しておきましょう。
合わせて、よく混同されやすい介護士と介護福祉士の違いについても解説していきます。
介護士とは?
介護士とは、介護が必要になった高齢者や患者に対して生活介助を行い、利用者が生きていく上でのあらゆるサポートを行う仕事です。
一般的に介護士という言葉は、介護に関連した仕事を指す総称として使われています。「弁護士」などと同じ「士」という単語が使われていますが、介護士という資格は存在しない事は認識しておきましょう。
介護士に該当する仕事は特に定義がなく、介護施設で介護業務を行っている人はもちろん、ホームヘルパーや訪問介護員、介護助手も含めて介護士という呼ばれ方をしています。
ただ、介護事務や介護ドライバーなど介護がメインになってこない仕事については介護士と言われないこともあります。
また、介護士と介護職については明確な違いはありませんが、介護に従事している人を表す表現としては介護職の方が適切だとされています。
介護福祉士との違い
介護士と混同しやすい言葉に、介護福祉士というものがあります。
介護福祉士とは、介護分野における唯一の国家資格の名称のことを言います。また、資格名称だけでなく、介護福祉士の資格を持っている人のことも介護福祉士と呼ぶこともあります。
そのため、介護士として働く人であっても、介護福祉士の資格を持っていなければ、介護福祉士とはならないということになります。
分かりやすく言い換えるのであれば、介護士という大きな括りの中に、介護福祉士が存在するといったイメージを持っておくと良いでしょう。
なお、介護士に未経験で就職した場合は、キャリアアップの最初の目標として介護福祉士を目指すケースも見られます。
会社によっては介護福祉士の資格を取得できると収入が上がることもありますし、介護福祉士の資格を取り、ケアマネジャーなどの別の職種にキャリアチェンジするような介護士も見られます。
介護士の仕事内容
介護士は介護が必要になった人に対する生活サポートの全般を行います。
具体的な仕事内容としては以下のようなものが挙げられます。
- 食事介助
- 入浴介助
- 排泄介助
- 着替えの介助
- 生活全般のサポート
- メンタルケア
- レクリエーションの実施
それぞれの仕事内容について詳しく解説しますので、介護士を目指している人は働くイメージを持てるようにしておきましょう。
1. 食事介助
介護が必要な人によっては、自分で食事をうまく取れないといったケースがあります。そうした利用者に対して、介護士はスプーンやフォークなどを使って食事ができるように介助を行います。
介護士が実施する食事介助は、ただ食事を口に運ぶというシンプルなものではありません。
利用者が食事を楽しみながら終えられるように、食べるスピードに合わせてコミュニケーションを取りながら食事をあげることはもちろん、利用者の状態に合わせて食事を刻んだり、ミキサーにかけて安全に食事ができるように心がけます。
食事の準備については調理師が行うこともありますが、介護士は食事の提供から後片付けまで幅広くサポートをしていきます。
2. 入浴介助
身体がうまく動かないような利用者に対して入浴の介助を行うこともあります。
入浴については、立っている状態から浴槽に浸かるように座るような動きが必要になってきますので、身体の状態によっては機械やリフト、ストレッチャーなどの専用の機器を使って入浴介助をすることもあります。
利用者によっては、体調不良や入浴を拒否するようなケースも見られますので、入浴ではなくシャワーや部分浴といった対応をすることもあります。
入浴介助をするために利用者を抱えたり持ち上げたりすることもあります。一般的に入浴介助は2人以上の介護士で対応すると言われていますが、力仕事になることは認識しておく必要があるでしょう。
入浴は自由の少ない介護利用者にとって娯楽や楽しみに代わるものとも言えます。入浴の時間を楽しんでもらえるよう安全に配慮する事はもちろん、適切にコミュニケーションを行うことも重要です。
3. 排泄介助
排泄介助とは、排尿や排便における介助のことを言います。
自立歩行できるような利用者であれば、トイレに行きたい旨を伝えてもらった後にトイレまでの誘導を行います。歩けはするものの、手足が十分に動かないような利用者の場合は、トイレでズボンの上げ下ろしを行ったり、おむつの交換を行うこともあります。
また、身体が全く動かないような利用者に対しては、介護ベッドの上でおむつ交換を行います。
いずれにしても、利用者にとって繊細な部分を取り扱うことになりますので、相手の感情の変化や周囲の環境の変化に敏感に察知することが大切な業務です。
4. 着替えの介助
服を着替えることが自分でできないような利用者に対しては、着替えの介助をすることもあります。
介護利用者にとって、着替えは自分の身体を清潔に保つための重要な要素と言えますので、利用者ごとにタイミングを決めてルーティーンのように介助を行っていきます。
着替えの介助と聞くと簡単な作業と感じるかもしれませんが、利用者によっては身体に麻痺があったり、半身だけ動かないと様々な状況が考えられます。
もし、利用者の身体状況を認識できていないまま着替えの介助を行おうとすると、身体に大きな負担をかけてしまい、怪我に繋がることも考えられます。
そのため、着替えの介助を行う際は利用者の身体状況や特徴、性格などを総合的に鑑みた上で進めていく必要があります。
5. 生活全般のサポート
生きていくために必要な介助だけでなく、利用者が生活していく上で求められるサポートも介護士が担います。具体的には掃除や洗濯、買い物の代行などが挙げられます。
宿泊機能がある介護施設で介護士として働いている場合は、院内を車椅子で一緒に散歩をするといったこともあります。一緒に住んでいる家族のようにコミュニケーションを取りながら、介護利用者のことをサポートすることが求められます。
介護利用者が自分らしく働けるようにサポートすることも、介護士に求められる役割と言えるでしょう。
6. メンタルケア
介護が必要になっている状態というのは、肉体に何らかの原因がある状態だと考えるかもしれませんが、利用者によっては精神的な問題から介護が必要になっているケースもあります。
例えば、認知症の人も介護を利用することがあります。
認知症の人は身体が元気にもかかわらず、自分がどんどんできないことが増えていくことに強い喪失感を感じていることがありますので、介護士が適切にコミニケーションをとってメンタルケアを行うことも重要になってきます。
介護利用者の中には、自分が考えていることをうまく伝えることができないようなこともあります。介護士は介護利用者の思いを汲み取って、適切な対話をすることが求められます。
7. レクリエーションの実施
グループホームのような介護施設の場合は、介護利用者が一同に集まってエククリエーションを実施することもあります。
介護士はレクリエーションの準備や実施、後片付けといった仕事を行います。
レクリエーションの種類は様々ですが、芸術に触れるようなレクリエーションであったり、カラオケやゲームといった他の利用者とのコミュニケーションを促すものもあります。
また、誕生日会といったイベントを企画することもあります。
利用者が楽しいと感じられるようなレクリエーションを実施できると、利用者の笑顔を見ることもできますので、やりがいを感じられることでしょう。
介護士に必要なスキル
介護士に必要なスキルとしては以下の4点が挙げられます。
- 解除に関する専門知識
- コミュニケーションスキル
- 観察力
- 判断力
それぞれ詳しく解説します。
1. 介助に関する専門知識
介護士として働くには、当然ながら介護に関する専門的な知識が求められます。
会社によっては介護関連の資格を取得することで手当が発生することもありますので、就職後には自ら積極的に知識をインプットしていくような姿勢も重要です。
介護士として求められる専門知識は、仕事内容の部分で解説したような各種介助やメンタルケアなどを効果的に行う方法が主となってきます。
また、介護全般の知識だけでなく、自身が介護を行う利用者の性格や身体・精神状態を1人ずつ理解して適切な介助を行うような考え方も求められます。
2. コミュニケーションスキル
介護士は常に介護利用者とコミュニケーションを行う仕事となりますので、コミュニケーションスキルがあることは必須と言えます。
介助を行っている際も、利用者を不安にさせないように対話を行うこともありますし、介護士同士で助け合うためにコミュニケーションを行うこともあります。
時には、介護利用者の家族ともコミュニケーションを取ることもありますので、介護士として働いている時間は常に誰かとコミュニケーションを取っていることになります。
介護士の就職面接においても、コミュニケーションのスキルについては特に見極められるポイントですので認識しておきましょう。
3. 観察力
介護の仕事は、イレギュラーな事態をいち早く発見する観察力が必要になります。
例えば、入浴介助が介助内容に組み込まれていたとしても、利用者の体調や性格によっては入浴ではなくタオルなどで体を拭くといった介助に切り替えることもあります。
このように、介護士の仕事は利用者の状況やその日の体調を注意深く観察して、仕事に落とし込んでいくといった観察力が強く求められます。
合わせて、利用者の安全を守るためにも周囲を注意深く観察することも大切です。観察力がないと、重大な事故に繋がってしまうこともあります。
4. 判断力
介護士の仕事は、判断を間違えてしまうと命の危機につながってしまいます。
そのため、判断力は必要なスキルになります。
場合によっては介護士の判断が遅れたことが原因で、利用者が食べ物を喉に詰まらせてしまったり、横転してしまうこともあるでしょう。
判断力を発揮するためには、介護士としてある程度の知識や経験も求められますので、日常的に仕事のインプットを行い、とっさの事態に適切な判断ができるようにしておく必要があります。
介護士の種類
介護士は介護に従事する仕事の総称であることを解説しましたが、具体的には以下のような種類の仕事が介護士として認識されている傾向にあります。
- 介護職員
- 介護補助・介護助手
- ケアマネジャー
- 介護施設管理者
- 生活相談員
- 介護ドライバー
これらは主要な介護士の仕事になりますので、もし介護業界を目指したいのであれば、それぞれの仕事の違いについてしっかりと認識しておいてください。
種類1. 施設介護員
主に老人ホームなどの施設型の介護施設に勤め、自立して日常生活を行うことができない高齢者や障害のある方に対して介助を行う仕事です。
宿泊機能のある施設であれば、同じ利用者を長期間介助することもありますので、特に関係性構築が重要になってきます。
介助の内容としても、食事介助から入浴介助、着替えの介助など生活をする全般をサポートします。
日勤だけでなく、夜勤のシフトが組まれることもありますので、肉体的な負担はやや大きめです。その分、介護利用者と身近な距離で接することができるため、介護士のやりがいを存分に感じられるでしょう。
平均年収 | 371万円 |
仕事に就くためには | ・介護施設の求人に応募する ・ハローワークや専門学校で就職先を紹介してもらう |
平均年収出典:厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「訪問介護員」
種類2. ホームヘルパー
要介護認定を受けている高齢者などの自宅に訪問し、生活のサポートや身体介助を行う仕事です。
介護サービスと家事支援サービスを分割している企業もあり、働き方によっては食事や着替え、入浴などの介助を行わないような働き方も可能です。
業務は基本的に1人で行うことになるため、介護未経験者だとハードルの高さを感じるかもしれません。また、ホームヘルパーになるには介護職員初任者研修過程を修了する必要があるため、施設介護員よりは就職の難易度は高いと考えられます。
ホームヘルパーは時間単位で介護を請け負うため、残業が発生しにくいといった特徴があります。
平均年収 | 390万円 |
仕事に就くためには | ・介護福祉士の資格を取得し、社会福祉施設に就職する ・介護職員初任者研修などを受講し、ホームヘルパー求人に応募する |
平均年収出典:厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「介護支援専門員/ホームヘルパー」
種類3. ケアマネジャー
介護を必要とする人に対してヒアリングを行い、適切な介護サービスが何かを判断した上で、介護サービス計画書(ケアプラン)を作成する仕事です。
介護に関する幅広い知識が求められる関係で、ケアマネジャー資格を持っていることが就職の条件になるケースも多いです。
ケアマネジャーは直接介助の業務は行いません。
あくまでも適切な介護プランを考えるという仕事のため、考えたプランを介護施設やデイサービスなどの事業者に提示することがミッションとなります。
平均年収 | 421万円 |
仕事に就くためには | ・介護支援専門員実務研修受講試験に合格する ・介護支援実務研修を受け、都道府県の介護支援専門員名簿に登録する |
平均年収出典:厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「介護支援専門員/ケアマネージャー」
種類4. 介護施設管理者
介護施設の管理や運営を行うマネジメントとしての役割を担う仕事です。
基本的に介護施設管理者は1人1施設を担当し、施設で働く介護職員の人材マネジメントや、経営目標の達成をミッションとして仕事を進めていきます。
介護現場に関する知識は当然ながら、計数能力やマネジメントスキル、ロジカルシンキングなどビジネス的な幅広い知識も求められる点が特徴です。
介護職員からキャリアアップをするといった就職方法が考えられますが、民間企業でマネジメントを経験した人がそのまま介護施設管理者に転職するケースも見られます。
平均年収 | 425万円 |
仕事に就くためには | ・介護職員として実績を積んだ後に昇格する ・民間企業でマネジメントの経験を積んだ後に転職する |
平均年収出典:厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「施設管理者(介護施設)」
種類5. 生活相談員
介護施設を利用している利用者が快適に日常生活を送ることができるように、適切な相談や介護施設に対する報告を担う仕事です。
具体的な業務としては、介護施設入所希望者に対して施設や介護サービスの説明をしたり、入所手続きなどが挙げられます。
また、利用者が入所した後は、利用者や利用者の家族と面談を行い、日々の生活に不満がないかを見つけていきます。
介護に関連する資格を取得することが応募条件になっていることが多いため、就職を希望する場合は社会福祉士や精神保健福祉士などの資格取得も検討してください。
平均年収 | 425万円 |
仕事に就くためには | ・社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を取得し、福祉施設に就職する ・社会福祉主事任用資格を取得する |
平均年収出典:厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「老人福祉施設生活相談員」
種類6. 介護ドライバー
要介護となっている高齢者や障害のある方で、家族の支援がなかなか受けられないような場合、介護ドライバーが介護施設まで搬送する必要があります。介護ドライバーはそういった利用者を安全に車で送り届ける仕事です。
介護ドライバーは普通車とは異なり、介護専門の車を運転します。
車椅子やストレッチャーでそのまま乗車できるような車体となってきますので、高いドライビングテクニックが求められるでしょう。
また、車の乗り降りをサポートするために利用者に触れることもありますので、介護に関する基本的な知識を持っておくことも重要です。
介護ドライバーは介護施設に直接雇用をされるケースもありますが、一般的には介護タクシー会社に就職する必要があります。業務時間が固定されているため、残業が発生しにくいという特徴も見られます。
平均年収 | 419万円 |
仕事に就くためには | ・普通自動車二種免許を取得した上で介護関連の資格を取得する ・介護タクシー会社に就職する |
平均年収出典:厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「介護タクシー運転手」
介護士向けの資格
介護士に就職するために資格取得を検討しているのであれば、以下のような資格がおすすめです。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
- 介護支援専門員
介護士への就職時点では資格がなくても応募ができる求人も多くなっていますが、上記のような資格を取得しておけると、選考を有利に進められるでしょう。
1. 介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護に関する基本的な知識を身に付けられる入門的な資格です。
食事や着替え、入浴の介助など、高齢者や障害のある方に介護サービスを提供するために求められる知識は幅広いですが、介護職員初任者研修を取得することで、網羅的に知識を身に付けられます。
具体的には、養成校や専門学校などで研修を受講し、修了試験に合格すると資格取得ができます。これから介護の仕事に挑戦する人が受験する資格のため、難易度が低いという点も特徴です。
2. 介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修よりもさらに専門的で実践的な知識とスキルを身に付けられる資格です。
資格取得方法としては介護職員初任者研修と似ていて、養成校や専門学校で指定の講座を修了してから試験に合格すると資格取得ができます。
介護福祉士の国家資格を取得するためには、介護福祉士実務者研修の資格取得と介護業界で一定以上の実務経験が求められます。したがって、介護福祉士としてキャリアアップを考えている場合は取得が必須となる資格と言えます。
3. 介護福祉士
介護福祉士は、介護関連の資格の中で唯一の国家資格です。
介護福祉士国家試験の合格率は約70%と比較的高い水準のため、実務経験がある人であればそこまで難しいと感じないかもしれません。
介護福祉士には、以下のように受験資格がいくつか用意されています。
- 養成施設ルート:指定された介護福祉士養成施設を卒業する
- 実務経験ルート:介護福祉士実務者研修を修了し、かつ介護士として3年以上働く
- 福祉系高校ルート:福祉系の高校を卒業する
- EPAルート:インドネシア人やフィリピン人、ベトナム人を対象としたEPA介護福祉士候補者のための受験ルート。日本人は対象外
これから介護福祉士を目指すのであれば、実務経験ルートが最も現実的と考えられます。未経験からでは、介護福祉士の受験資格すらないことを認識しておいてください。
3. 介護支援専門員
介護支援専門員とはケアマネジャー資格のことを指します。
試験に合格した後、実務研修を終えて各都道府県に登録することで介護支援専門員になることが可能です。
受験資格としては、社会福祉士や介護福祉士などの資格を持っていることに加えて、それぞれの資格に関する業務経験が5年以上あることが求められます。そのため、未経験からいきなり介護支援専門員の受験をすることはできません。
合格率は20%前後と低い水準であるといった点も特徴です。
回答方式は選択式であるものの、5択の中から回答を見つけなければならないため、しっかりと知識をインプットしておかないと合格は難しいでしょう。
介護士になる方法
介護士になる方法としては以下のようなものが挙げられます。
- 福祉系の学校を卒業する
- 介護職の専門学校に通う
- 実務経験を3年以上積んで介護福祉士を目指す
それぞれ詳しく解説します。
1. 福祉系の学校を卒業する
福祉系の大学や短大などを卒業することで、介護士として働く就職先を紹介してもらうことができるため、効率良く介護士になることが可能です。
学校でも介護に関する専門的な知識を身に付けることができ、就職後すぐに即戦力として知識を発揮できるといったメリットがあります。
ただ、学校への入学や通学のための費用、数年の期間がかかるといった注意点も存在します。
2. 介護職の専門学校に通う
既卒の人やフリーターとして働いている人は、介護職の専門学校に通うことも選択肢になります。
専門学校に通うことで福祉系の学校と同じような知識をインプットできるだけでなく、卒業時に介護士としての就職先を紹介してもらうことも可能です。
コストと時間のかかる方法ではありますが、今後の介護士としてのキャリアパスを考える際には有効な方法と言えるでしょう。
3. 実務経験を3年以上積んで介護福祉士を目指す
介護士は専門的な知識や経験がなくても未経験から就職できる仕事です。
そのため、いきなり介護士として就職をして実務経験を3年以上積んだ後、介護福祉士を目指すというのもおすすめの方法といえます。
未経験から介護士を目指す際の方法については後ほど詳しく解説しますが、求人選びやキャリアパスの検討などが重要になってくる点はあらかじめ認識しておいてください。
介護士に向いてる人の性格
介護士に向いている人の性格としては、以下のようなものが挙げられます。
- 思いやりのある人
- 楽しんでコミュニケーションを取れる人
- おおらかな人
- うまく気持ちを切り替えられる人
- 謙虚すぎない人
それぞれ詳しく解説します。
1. 思いやりのある人
介護士は常に介護利用者に対して思いやりを持って接する必要があります。
入浴や食事、着替えから排泄の介助に至るまで決められたことだけをやるのではなく、相手に思いやりを持って接することを意識する必要があります。
どれだけ介護の知識を持っていたり、介護の実務経験が長かったとしても、思いやりがなければ利用者のためにならないだけでなく、勤務先で評価を得ることはできません。
2. 楽しんでコミュニケーションを取れる人
介護士は当然ながらコミュニケーション能力が求められますが、ただコミュニケーションをするのではなく、自らが楽しんでコミュニケーションを取れる人にこそ向いている仕事と言えるでしょう。
介護利用者は基本的に介護士とのコミュニケーションが1日の大半を占めることになります。
淡々と仕事を行う介護士よりも、楽しんでコミュニケーションを取ってくれる介護士の方が、利用者としても精神的な安心を感じられます。
他人に興味を持ち、自ら積極的に会話ができるような人だと、介護士の仕事を楽しんで取り組めるはずです。
3. おおらかな人
介護利用者によっても性格は様々変わってきます。
中には、介護士の指導を無視して自分がやりたいように生活をしてしまう人も珍しくありません。
介護士は自分の思うように仕事が進められないことも少なくない仕事のため、おおらかな人に向いてる仕事と言えるでしょう。
反対に、自分が決めたことに対して物事が思い通りに進まないと苛立ちを覚えてしまうような人が介護士として働くと、常にストレスを感じることも考えられます。
4. 上手く気持ちを切り替えられる人
介護士はプライベートや仕事でストレスが溜まっていたとしても、利用者の前では明るく接する必要がある仕事です。そのため、上手く自分の気持ちをコントロールできる人に向いてる仕事と言えるでしょう。
仕事を進めていく中では、一部の利用者から心の無い言葉を言われるかもしれません。
そんな時でも明るく受け流せるかどうかは、介護士として求められるスキルの1つとも言えます。気持ちを切り替えられないまま仕事を進めていると、自分がストレスで押しつぶされてしまうこともありますので、あらかじめ認識しておいてください。
5. 謙虚すぎない人
介護士は時に利用者に対して正しく叱ることが求められる場面もあります。このことから、謙虚すぎないような性格の人に向いている仕事と言えるでしょう。
どんな状況でも謙虚に対応してしまう人の場合、利用者が明らかに間違っていることをしていても注意ができず、結果的に他の利用者に迷惑をかけることも考えられます。
相手の主張を受け入れるのか注意するのかの線引きについては、一定の実務経験がないと判断が難しいところではありますが、そもそもの性格として謙虚な人には介護士の仕事が向かないと言えることは認識しておいてください。
未経験から介護士を目指すには
介護士は未経験からでも就職することが可能です。
もし未経験から介護士を目指したいのであれば、以下のような方法で就職活動を進めると良いでしょう。
- ハローワークの職業訓練に通う
- 未経験者を募集している求人に応募する
- 介護系の資格を取得してから就職する
それぞれ詳しく解説します。
1. ハローワークの職業訓練に通う
介護士はハローワークの職業訓練でも就職することが可能です。職業訓練には様々なコースが設けられていますが、介護士を目指すコースは比較的多く用意されておりますので、希望のコースにつける可能性も高くなっています。
ハローワークの職業訓練に通うためには、最寄りのハローワークに行き求職申し込みをする必要があります。求職申し込み時の面談で介護士に興味があることを伝えれば、職業訓練の紹介をしてもらえます。
職業訓練では、介護士として働くのに求められる基本的な知識や実務を習得することが可能です。コースによっては介護職員初任者研修の合格を目指すこともありますので、資格取得した状態で介護士になることもできるでしょう。
また、職業訓練では条件を満たすことで、毎月お金をもらいながら勉強をすることもできます。失業してお金がないという人でも、生活をしながら介護士を目指す勉強ができるのは嬉しいポイントと言えます。
2. 未経験者を募集している求人に応募する
介護士は人手不足の仕事ということもあり、未経験者を積極的に募集している求人も多く見られます。未経験者でも就職ができる求人には「未経験者歓迎」と明記されていますので、求人サイトなどを使って就職する際は、未経験者歓迎の求人を中心に検索していきましょう。
未経験者として就職活動を進める場合は、特に熱意やポテンシャルを面接でアピールすることが重要になってきます。合わせて、介護士として求められるような体力やコミュニケーション能力があることも積極的に自己PRしていきましょう。
実務経験がない中で介護士を目指す際は、面接対策が大切になってきます。
自分の魅力を最大限にアピールするためにも、自己分析や企業研究を行った上で求人に応募することをおすすめします。
もし自己分析や企業研究のやり方が分からない場合は、就職エージェントのサポートを利用してみるのも良いでしょう。
3. 介護系の資格を取得してから就職する
介護士は無資格未経験でも就職ができる仕事ですが、少しでも就職できる可能性を高めたかったり、就職後にすぐに活躍していきたいと考える場合は、介護系の資格を取得してから就職するのもおすすめです。
ただし、介護系の資格については先ほど解説した通り、実務経験がないとそもそも受験資格がないといった場合もあります。そのため、興味のある資格を見つけられたら、まずは受験資格を最初に確認することを意識してみてください。
介護に今まで携わってこなかった未経験の人に最初に取得がおすすめできる資格としては、介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修が挙げられます。
特に介護福祉士実務者研修については、就職後に目指すことになる介護福祉士の受験資格にもなっていますので、2つとも取得できておくと安心です。
介護士のキャリアパス
介護士という働き方を選択するのであれば、あらかじめ歩めるキャリアパスについても認識しておくことが大切です。
介護士として働くことで、以下のようなキャリアパスを歩むことが可能です。
- 資格を取得して介護福祉士になる
- 介護施設長を目指す
- 生活相談員やケアマネジャーを目指す
- 独立開業する
それぞれ詳しく解説します。
1. 資格を取得して介護福祉士になる
介護士が介護福祉士を目指すのは代表的なキャリアパスの1つです。
キャリアパスのイメージとしては、まず就職直後に介護職員初任者研修を修了し、資格取得を目指します。
続いて、介護の仕事に慣れてきた2年目ごろに介護福祉士実務者研修を取得した後、介護福祉士の受験資格でもある実務経験3年を超えた段階で、介護福祉士の資格を取得するというのが王道の流れと言われています。
介護福祉士の資格が取得できると、介護の現場でも任せられる業務が増えるだけでなく、給料のベースが上がることも考えられます。
また、介護福祉士になることは、介護に関連する他の仕事に転職する際や、昇格を目指す上でも必須要件となることがありますので、まずは介護福祉士になるキャリアパスを目指すと良いでしょう。
2. 介護施設長を目指す
介護福祉士となり、様々な介護の実務経験を積んでいくことで次第に介護士をマネジメントする役割を担うこともあります。マネジメントとして一定の成果を挙げられると、介護施設全体の責任者である介護施設長になることも可能です。
介護施設長になると、介護の業務割合が減る分、施設の経営や介護士として働く人材のマネジメント、採用活動など施設全体の経営を考えるような業務が増えてきます。
今までとは違ったスキルを求められるものの、大規模なマネジメント経験を積めるというのは魅力的なキャリアパスと言えます。
介護施設長の経験ができると、マネジメント能力があると評価されるため、営業職や事務職など別の民間会社の仕事に転職しやすくなるといったメリットもあります。
3. 生活相談員やケアマネジャーを目指す
介護福祉士の資格を取得した後、他の介護の現場を経験してみたいと考える場合、生活相談員やケアマネジャーなどの別の職種に転職して介護の現場を支えるといったキャリアパスを歩むことも可能です。
これらのキャリアを考える時には、介護士として5年以上は働いている状態になるため、自分なりにどういったスキルを身につけたいかであったり、どういった形で介護が必要な人をサポートしていきたいのかという思いが固まっているはずです。
働き方や仕事の内容が大きく変わりますが、介護の現場で働いてきた実務経験を活かすことができます。このように、介護士として働くと自分の希望に合わせてキャリアパスを選択できる点が特徴です。
4. 独立開業する
介護士の経験を積むと、いつまでも会社に雇用されるだけでなく、自分で独立して開業を目指すことも可能です。介護事業所の開業には様々な認可が必要となってきますが、自分でビジネスを考えて実行できるようになるため、自由な働き方が叶えられます。
また、上手く介護サービスの利用者を増やすことができると、会社員として働いていた時よりも収入を増やすこともできるかもしれません。
介護士は基本的に施設を借りる必要がありますので、初期投資が一定必要になってくるものの、きちんと経営計画を立てて開業することができれば、今まで以上にやりがいを持って働けることもあります。
介護士の一日のスケジュール
介護士を目指すのであれば、どういった流れで1日を過ごすのか知っておくことも大切です。
例として、介護施設で働く介護士の1日のスケジュールは以下のようになります。
- 8:30出勤
- 9:30入浴や排泄の介助
- 11:30昼食準備・食事介助
- 14:00休憩
- 15:00レクリエーションの実施
- 17:00介護記録の作成
- 18:00夜間スタッフに引き継ぎ
- 18:30退勤
それぞれどのような業務をするのか簡単に解説します。
8:30出勤
日勤シフトの場合、民間企業の定時よりも若干早く出勤します。
出勤後は仕事着に着替え、夜勤シフトに入っていた介護士からの業務の引き継ぎや伝言を受け、1日の業務をスタートさせていきます。
9:30入浴や排泄の介助
介護利用者が朝食を終えたら、朝食の片付けを行い入浴や排泄の介助を進めていきます。
特に排泄の介助においては、いつ利用者がもよおすか分からないため、介護士も自ら積極的に声をかけて介助する必要がないか気を配っていきます。
11:30昼食準備・食事介助
お昼前になったら昼食の準備を行います。
調理自体は調理師が担うこともありますが、施設によっては自らが食事の準備をすることもあるので注意してください。
食事の用意ができたら食事介助を行います。
食事介助の方法は利用者の容態によって様々となりますので、どの利用者はどういった形で食事を提供するのか、しっかりと覚えておくことが大切になります。
14:00休憩
お昼が終わり業務が一段落したら休憩に入ります。
休憩は1時間累計で取ることになっていますが、休憩中でも利用者から介助の依頼を受けることもありますので、連続して1時間休憩が取れないといったケースもあります。
ある程度人数がいる介護施設であればローテーションのように休憩を取ることができるため、1時間連続して休憩を取ることも可能です。
15:00レクリエーションの実施
午後にはおやつやレクリエーションの実施を行います。
レクリエーションの種類は様々ありますが、利用者を飽きさせないためにも日々バリエーションを持って企画することが求められます。
利用者はレクリエーションを楽しみに毎日過ごしているようなケースもありますので、流れ作業として考えるのではなく、真剣に利用者と向き合うように意識します。
17:00介護記録の作成
17時になると日勤業務の終わりの時間が近づいてきますので、その日1日の介護記録を作成します。
介護記録は介護士間での情報共有やケアプランに反映されるもののため、非常に重要なものとなっています。
介護記録はその日に介助を行った利用者の様子を誰が見てもわかるように記載する必要があります。記載のポイントについてはいくつもありますので、慣れないうちは先輩に聞きながら業務を進めていきます。
18:00夜間スタッフに引き継ぎ
宿泊機能のある介護施設の場合は、夜間のスタッフ業務の引き継ぎを行います。
引き継ぎの際は介護記録をもとにしつつ、特に引き継がなければならない情報を取捨選択して分かりやすく伝えていきます。
18:30退勤
引き継ぎを無事完了し、事務作業をこなすことができたら退勤となります。
1日の業務量は多くなりやすいですが、シフト制が組まれている場合は残業が発生しにくい傾向にあります。
介護士の仕事のやりがい
介護士の仕事は大変と言われる一方、介護士として働くことで感じられるやりがいというものも存在します。
具体的には、介護士として働くことで以下のようなやりがいを感じられるでしょう。
- 利用者から直接感謝してもらえる
- 社会的意義の高さを実感できる
- 人生の糧となる話を聞ける
- 利用者が元気になっていく姿を見れる
- 今までの学歴や職歴に関係なく働ける
それぞれ詳しく解説します。
1. 利用者から直接感謝してもらえる
介護士の1番のやりがいとしては、介護をした利用者から直接感謝の言葉をもらえることです。
些細なサポートでも利用者は真剣に感謝の言葉を伝えてくれることもありますので、仕事をしていて誰かのためになっていることを肌身で感じられるはずです。
世の中には多くの仕事がありますが、自分が携わった業務で目の前の人から直接感謝の言葉を言われるような仕事はあまりありません。
介護士は利用者との距離が近いからこそ得られるやりがいというものが存在します。
2. 社会的意義の高さを実感できる
日本は高齢化社会となっていますので、介護を必要としてくる人もどんどん増えてくると言われています。その一方で、介護士が不足しているといった社会課題も見られます。
このように、現在厳しい業界である介護士として働くことは、それだけでも社会的意義の高さを実感できることでしょう。
自分のことを知らない人に「介護士として働いている」と話せば、誠実な人といったイメージを与えることができるはずです。
社会的意義の高さを実感できるため、働いていて「自分は何のために働いているのか」と疑問やモヤモヤとした気持ちになりにくくなることも期待できます。
3. 人生の糧となる話を聞ける
介護士は高齢者を相手にコミュニケーションを取ることになりますが、自分よりもはるかに人生の先輩である高齢者から人生の糧となる話を聞けるのは、介護士ならではのやりがいと言えます。
例えば、年齢を重ねるとやりたくてもやれないことが増えてくるので、若いうちからもっとチャレンジしておけばよかったという話を聞き、新しい趣味に取り組むようなこともあるでしょう。
日頃高齢者と対等な立場で会話をする機会はほとんどありませんので、介護士だけが感じられる特権とも言えるかもしれません。
4. 利用者が元気になっていく姿を見れる
長期的に同じ利用者を介護するような施設で働いている場合、最初は元気がなかったり、身体が不自由であっても、介護をしていくことで徐々に元気になっていくような姿を見れることもやりがいの1つといえます。
それだけでなく、関係性が構築されていき、最初はそっけなかった利用者も次第に心を開いてくれるような実感が持てれば、介護士として働いて良かったと感じることもあるはずです。
5. 今までの学歴や職歴に関係なく働ける
介護士はこれまでの学歴や職歴に関係なく正社員として働ける仕事です。
今まで受験や就職活動に真剣になることができなかったような人でも、介護士として実直に働いていけば、様々な幅広いキャリアパスを選択できるようになります。
これから気持ちを入れ替えて仕事に真剣に向き合っていきたいという人には就職がしやすい仕事と言えますので、働くことそのものにやりがいを持って生きていけるでしょう。
介護士に就いて良かった人の声
介護士の仕事に就職して良かったと考えている人の声を2つご紹介します。
1. 常に人との関わりを感じられる
介護士は1人で完結する仕事というものがありません。
日常的な介助であれば利用者が関係してきますし、多くの利用者を介護するためには介護士間での助け合いが不可欠です。
このことから、常に誰かしらの人と関わりを感じられるという点で就職して良かったと答える介護士は少なくありません。民間企業によっては、人間関係が淡白で1日中誰とも話さずに業務が終わってしまうという職場も見られます。
人が好きという人や、誰かと会話をして時間を過ごすことに心地よさを感じるような人は、介護士の仕事に楽しんで向き合えているという声が多く見られます。
2. 自分の介護にも役立った
介護は何も特別なことではありません。
自分の両親もいつかは介護が必要になる場面が出てくるかもしれません。介護の知識がないまま突然自分の両親の介護をしなければならないとなれば、何から手を付ければいいのか分からずに戸惑ってしまうことが考えられます。
介護士として働いた経験があると、自分がプライベートで介護が必要になった時にこれまでの業務経験をフルに活かすことが可能です。
慌てずに自分の手で両親を介護できたということに、親孝行できたという思いを感じたという声も見られます。
介護士になるメリット
介護士になるメリットとしては以下の4点が挙げられます。
- 未経験でも就職しやすい
- 柔軟な働き方を選択できる
- 将来的にも需要が高い仕事
- キャリアパスが明確で迷いにくい
それぞれ詳しく解説します。
1. 未経験でも就職しやすい
介護士は未経験でも就職しやすいといったメリットがあります。
これまで介護の業務に触れたことがない人はもちろん、正社員として働いたことがない人でも正社員デビューできる点が魅力と言えます。
社会人経験がない人が正社員を目指すのは基本的には難しいと言われています。
ただ、介護士については増え続けるニーズに対応するため、求人が多く掲載されているにもかかわらず、介護士を積極的に志望する求職者が少ないという状況にあります。
こうした背景もあって介護士は未経験からでも就職しやすく、正社員デビューにおすすめできる仕事と言えます。
2. 柔軟な働き方を選択できる
介護士は様々な働き方ができる点も特徴です。
正社員でフルタイムで働く事はもちろん、時短勤務やパートといった非正規の働き方も可能です。
また、デイサービスや通所型の介護施設に就職すれば、夜勤という働き方を避けて働けるようにもなります。自分のライフイベントに合わせて働き方を柔軟に変えられることは、仕事を長続きさせられるといったメリットにも繋がるでしょう。
3. 将来的にも需要が高い仕事
介護士は既にニーズの高い仕事となっていますが、今後も少子高齢化が進んで介護が必要な人が増えてくることを考えると、将来的にも需要が高い仕事ということが言えます。
基本的に仕事の報酬や働きやすさは、その仕事の需要の高さによって変わってきます。
現在は平均年収に課題のある介護士という仕事ですが、今後政府の介入などによって待遇が改善されることも考えられます。
介護士は腰を据えて働きたい人に特におすすめできる仕事と言えるでしょう。
4. キャリアパスが明確で迷いにくい
介護士のキャリアパスについて解説しましたが、一般的に就職後は介護福祉士を目指し、その後ケアマネジャーや相談員といった専門的な仕事に転職していくのが一般的なキャリアパスと言われています。
このように、キャリアパスが明確で何を目標に働いたらいいかがはっきりとしているのは、介護士ならではのメリットと言えるでしょう。
仕事は数十年向き合うものですので、目標がないとモチベーションを保ちづらい傾向にあります。
将来のキャリアビジョンが明確にないという人ほど、介護士のキャリアパスがフィットするかもしれません。
介護士になるデメリット
介護士になることには以下のようなデメリットも考えられます。
- ハードな肉体労働になりやすい
- 常に人間関係に悩まされる
- 夜勤などで生活リズムが乱れやすい
- 給料は高くない
介護士を目指す際は、メリットややりがいだけでなく、デメリットも認識した上で就職をするのか検討しましょう。
1. ハードな肉体労働になりやすい
介護士の業務では、50キロを超えるような成人を相手に生活介助を行うこともあります。
入浴介助や着替えの介助をする時は、利用者を持ち上げるようなこともありますので、ハードな肉体労働になるといったデメリットが考えられます。
最近では、介護士の肉体的な負担を減らすためにマッスルスーツやIT技術を導入している会社もありますが、それでも業務の多くは自分の身体を酷使するものが主となっています。
2. 常に人間関係に悩まされる
介護士の勤務時間中は、常に誰かしらの人とコミュニケーションを取ることになります。
介護利用者はもちろん、介護士同士のコミュニケーションも頻繁に取ることになりますので、人間関係に悩まされやすいといったデメリットも考えられます。
上手く人間関係を構築できるような人であればデメリットに感じないかもしれませんが、人間関係に自信がないような人が介護士になると、精神的なストレスを強く感じながら働かなければならないこともあります。
3. 夜勤などで生活リズムが乱れやすい
宿泊機能を持った介護施設で働く場合、夜勤のシフトが発生してくることもあります。
基本的にシフト制で日勤と夜勤を交互に繰り返していくといった働き方になりますが、生活リズムが乱れやすくなるといった点がデメリットになるでしょう。
夜勤と日勤を繰り返すような働き方になることで、プライベートの予定を組みにくくなるだけでなく、自律神経が乱れて体調が回復しにくくなることも考えられます。
夜勤という働き方を避けたいのであれば、求人票の勤務時間欄を確認し、夜勤がないかどうかをチェックするようにしてください。
4. 給料は高くない
介護士は給料が高いとは言えない仕事ということも、デメリットの一つとして挙げることができます。
国税庁の令和4年分民間給与実態統計調査によると、令和4年時点での日本の平均年収は458万円であることが分かります。
一方、厚生労働省の令和4年度介護従事者処遇状況など調査結果によれば、介護士の平均月収は約32万円であり、単純計算で平均年収は384万円となります。
会社によっては資格手当や各種手当によって平均年収以上の収入が稼げることもありますが、全体で見てみると介護士の年収は全体平均よりも低いという点も、介護士の仕事のデメリットと言えます。
介護士の求人選び
介護士の求人は数多く募集されています。
数ある介護士の求人の中でも応募先を判断するポイントとしては、以下が挙げられます。
- 就きたい介護施設の種類を決める
- 希望の働き方が叶えられるかチェック
- キャリアアップが見込めるか口コミも確認
それぞれ詳しく解説しますので、介護士の求人を比較検討しようとしている人は参考にしてみてください。
1. 就きたい介護施設の種類を決める
介護士は様々な施設で働くことができます。
施設によって働き方や収入が大きく変わってくることから、求人を選ぶ際はどんな介護施設に就職したいか決めるところから始めましょう。
例えば、介護利用者と綿密な関係性を構築していくような介護士を目指したいのであれば、宿泊機能のある介護施設を選ぶのが良いでしょう。
また、できるだけ忙しい働き方をしたくないと考えるのであれば、将来的にホームヘルパーへのキャリアアップも目指せる介護施設を選ぶことがポイントとなってきます。
就職した介護施設が決まると求人を効率的に比較検討できるため、できるだけ早い段階から手をつけるようにしましょう。
2. 希望の働き方が叶えられるかチェック
介護士を目指そうとする人の中には、将来的に時短やパートといった働き方に切り替えたいと考えている人もいるかもしれません。
そういった場合は、希望する働き方を叶えられる就職先かをチェックするようにしましょう。
柔軟な働き方を認めている会社であれば、求人票でのアピールポイントとして記載されているはずです。
もし気になる求人に働き方の記載がない場合は、面接で聞いてみるか、就職エージェントに相談してみるのも良いでしょう。
3. キャリアアップが見込めるか口コミも確認
介護士はキャリアアップをしていかないと給料を上げていくことが難しい仕事です。
スキルを身に付けて収入を増やしていきたいと考える人は、キャリアアップが見込める企業か就職口コミサイトを確認してみましょう。
なお、就職口コミサイトはネガティブな口コミが集まりやすいという特徴がありますので、その点を認識した上で確認するようにしてみてください。
介護士志望のひとから「よくある質問」
最後に、介護士を志望している人によく見られる質問について3つ取り上げて解説していきます。
1. 介護士を辞めたくなる理由は何ですか?
介護士を辞めたくなる理由としては、主に「仕事がハード」や「給料が低い」、「人間関係に悩んでしまう」といった3点が考えられます。
仕事のハードさについては、肉体労働のルーティーンに慣れることができればある程度緩和されるかもしれませんが、人間関係については就職した施設で働く同僚の介護士や、担当する利用者によって大きく左右される要素です。
また、給料についても介護士は国の補助によって施設が運営されているという一面もあるので、会社によって大きく収入が変わるといったことはありません。
資格を取得して別の介護系の仕事に転職したとしても、大きく収入を上げることは難しいと考えられます。
2. 介護士はなぜ人気がないのでしょうか?
介護士は業務のハードさに加えて、「生活介助が汚い」というイメージが強いことで人気がないと考えられます。
排泄や食事の介助については、慣れないうちは目を背けたくなることもあるでしょう。その上、給料が全体よりも低いということで、応募が集まりにくい仕事になっていると言えます。
ただ、介護士には介護士でしか味わうことのできないやりがいもたくさん存在しますので、この記事で紹介したようなやりがいやメリットに少しでも興味がある人は、応募してみるのがおすすめです。
求人倍率が比較的低いことに加えて、面接回数が少ない会社も多く、ポテンシャルをアピールできればすぐにでも正社員になれるかもしれません。
3. 介護士は何がしんどいですか?
介護士がしんどいと感じるポイントは人によって様々ですが、主に以下のような要素が考えられます。
- 利用者から心ない言葉を言われる
- 業務量が多い
- 残業をしたくてもできない
- キャリアアップをするために数年間働かなければならない
- 他の仕事に活かせるスキルが身に付きづらい
上記のようなしんどさが考えられる一方で、人によってどんな点をしんどいと感じるかは変わってきます。
自分にとって介護士の仕事が向いているかどうか分からないような人は、就職エージェントのキャリアカウンセリングを受けてみることもおすすめです。
まとめ
介護士の仕事について詳しく解説しました。
介護士は介護が必要な人にとって不可欠と言える存在であり、社会的にも大変意義のある仕事であることは間違いありません。
一方、働く上では肉体的にも精神的にもハードな一面を感じたり、給料が低い水準であるということは応募前に認識しておく必要があります。
介護士の求人は求人サイトや就職エージェントでも多く見つけることができますので、就職活動を始めたい人はできるだけ多くの就職サービスに登録してみることから始めてみてください。
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