介護士の仕事がきついと言われる理由は、身体的・精神的に負荷のかかる仕事給与が上がりにくいことがあげられます。
この記事では、介護士がきついと言われる理由を6つ解説します。
合わせて、介護士になるメリットや働く上でのやりがいについても解説しますので、介護士に興味を持っている人は、記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
介護士がきついと言われる理由6選
介護士がきついと言われる理由は、以下の6つが挙げられます。
- 身体的な負担がきつい
- 精神的にストレスを感じやすい
- 肉体労働の割に給料が低い
- 夜勤があると生活リズムが乱れる
- 責任が重くプレッシャーを感じやすい
- 同僚との人間関係に悩みやすい
これらの項目できついと感じない人には、介護士が向いていると考えられます。
それぞれ詳しく解説しますので、介護士への就職を考えている人は参考にしてみてください。
1. 身体的な負担がきつい
介護士がきついと言われる大きな理由は、身体的な負担がきついからというものが挙げられます。介護士の仕事の大半は高齢者や病人の生活介助になりますが、業務の大半は介護利用者を持ち上げたり支えたりするなど、自身の身体を酷使するような業務になっています。
重いものを持って移動したり、上げ下げをするような屈伸運動も少なくないため、肩や腰などを痛めてしまうような介護士も少なくありません。
若いうちであれば身体が元気なので耐えられると思いますが、一定の年齢を超えてくると介護士としての仕事が肉体的にきついと感じることもあるでしょう。
2. 精神的にストレスを感じやすい
介護士の仕事は、身体的な負担だけでなく精神的な負担によるストレスも少なくありません。
業務のほとんど全てが介護利用者の生活に関わってくるため、1度業務でミスをすれば介護利用者の命に関わることもあるでしょう。
また、介護利用者からのハラスメントが近年問題になっているという話もあります。介護士に対してセクハラやパワハラのような言動をする介護利用者も見られ、精神的に嫌な思いをしている介護士の声が出てきています。
介護士は業務中、常に介護利用者の目の届く範囲で働くような働き方であることから、ストレスを発散しにくいというのも特徴です。
このように、あらゆる面でストレスが溜まりやすい仕事ということもあり、介護士はきついと言われています。
3. 肉体労働の割に給料が低い
介護士はハードな肉体労働ですが、その割に給料が低いといった特徴も見られます。
国税庁の発表している日本人の平均給料は461万円であり、男女別に見ると男性が567万円、女性が280万円となっています。
一方、厚生労働省が発表している介護士の平均給料は月収で約32万円であり、年収換算すると、384万円であることが分かります。
このように、介護士は日本人の平均給料よりも低く、家計的にもきつい仕事となっています。
もちろん仕事はお金だけではなく、やりがいや身に付くスキルといった点も重視すべきですが、労働のハードさに対して給料が全体に対して低いという事実は認識しておく必要があるでしょう。
4. 夜勤があると生活リズムが乱れる
介護士が働く施設によっては、夜勤がある場合もあります。
宿泊機能のある老人ホームだと、夜勤対応として見回りや介護利用者の突発的なトラブルに対応するといった業務が必要になりますが、夜勤があるとどうしても生活リズムが乱れてしまいます。
夜勤のある場合、基本的にシフトが組まれて日勤と夜勤を繰り返す形での働き方になります。頻繁に生活リズムが乱れることで自律神経が乱れてしまい、ストレスを感じやすくなったり、うまく睡眠が取れずに身体を休められないと言ったこともあるでしょう。
夜勤をしたくない場合は、デイサービスや訪問介護といった働き方も可能ですが、介護士には夜勤という働き方があることも知っておく必要があります。
5. 責任が重くプレッシャーを感じやすい
介護士の業務はルーティンワークが中心となるため、業務を覚えることそのものが非常に難しいというわけではありません。しかし、介護士が行う生活介助は時に命に関わるような事故につながることもあります。
例えば、介護の一環として介護利用者をベッドから立ち上がらせて車椅子に乗せるといった業務がありますが、ベッドから車椅子に移動するまでにうまく介助ができないと、床に倒れさせてしまうリスクが考えられます。
頭の打ち所が悪ければ、それだけでも大事故に繋がりかねませんので、介護士は非常に責任が重い仕事と言えるでしょう。業務でもプレッシャーを受けやすく、きついと感じる介護者も少なくありません。
6. 同僚との人間関係に悩みやすい
介護士は介護施設で働くことになりますが、基本的に介護施設は閉鎖的な空間になっています。もし介護指導士の人間関係がうまくいかないと、自分にとってストレスのかかる環境で働き続けなければならないといったきつさも考えられます。
すべての職場というわけではありませんが、介護士によっては同僚との人間関係に悩んでしまい、他の仕事に転職したという声も見られます。
きつい中でも介護士として働くメリット
きついと言われる介護士ですが、その中でも介護士として働くメリットには以下のようなものが挙げられます。
- 需要が高く安定して働ける
- 給料の見直しが入る可能性が高い
- 学歴や職歴に関係なく正社員になれる
これらのメリットに魅力を感じるような人であれば、介護士として就職してもきついと感じずに働けるかもしれません。それぞれ詳しく解説します。
1. 需要が高く安定して働ける
介護士の仕事はこれからも需要が高まると言われており、経験を積むことで将来的にも安定的に働けるといったメリットがあります。
日本は少子高齢化といった社会的課題があるため、介護が必要になる高齢者の数は年々増えていくことが予想されています。今の時点においても介護士不足が多くの会社で叫ばれているといった事実がありますので、介護士として働くことで需要の高い人材になることが可能です。
また、介護士が働くことになる介護施設は全国各地に点在しています。
将来的に引っ越しをする場合であっても、引っ越し先で就職先を見つけやすいというメリットも考えられます。
手に職をつけたいという人には、介護士が向いていると言えるでしょう。
2. 給料の見直しが入る可能性が高い
現時点において介護士は、日本の平均給与よりも低いといった事実がありますが、今後介護士の年収が見直される可能性が高いというニュースもあります。
日本政府は2024年2月に介護士の待遇改善に向けた支援を行うために、一人当たりの賃上げを行うのに必要な支援を実施することを発表しました。
日本における介護士の人手不足や待遇の問題点については政府も認識しているため、今後も断続的に待遇が改善されていく期待も持てると考えられます。
特に介護士は国の政策によって給料が変動する傾向にある仕事です。介護士をこれから目指していこうとするのであれば、政府の発表についても注目しておくと良いでしょう。
3. 学歴や職歴に関係なく正社員になれる
介護士は学歴や職歴に関係なく働けるような、未経験関係の求人が多く募集されています。
業務としてもコミュニケーション能力と体力さえあれば活躍できる仕事のため、これまでの過去に関係なく正社員になれるというのは大きなメリットです。
合わせて、先ほども解説した通り介護士としての実務経験を積めると、手に職をつけてあらゆる介護施設で働けるようになります。
今までフリーターとしてしか働いてなかった人であっても、正社員になれるチャンスと言えますので、できるだけ早く正社員として働きたいと考えている人は前向きに介護士を検討してみるのも良いかもしれません。
介護士について以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
きついと言われる介護士として働くやりがい
きついと言われる介護士ですが、働くことで以下のようなやりがいを感じられます。
- 利用者から感謝の言葉をもらえる
- コミュニケーション能力を高められる
- 利用者の生活を支えることができる
それぞれ詳しく解説します。
1. 利用者から感謝の言葉をもらえる
介護士として働いていると、介護利用者から直接感謝の言葉をもらえるといったやりがいがあります。仕事によっては、働いていても自分の業務に対して感謝の言葉を投げかけてもらえるようなことがないケースも存在します。
介護士は利用者との距離が近いため、些細な事でも嬉しい言葉を投げかけてもらいやすく、仕事を頑張るモチベーションにも繋がるでしょう。
また、最初はそっけなかった介護利用者も、丁寧に介護サービスを続けて関係性を深めていくことで、次第にありがとうという言葉をもらうこともでき、関係性構築ができるといったやりがいもあります。
2. コミュニケーション能力を高められる
介護士の仕事をしていると、コミュニケーション能力を高められます。
介護士が介護サービスを行う際は、日常的な会話をすることも珍しくありません。人間関係が苦手であった人でも、介護士の仕事を通じて他人と話すのが得意になったという人もいます。
コミュニケーション能力は介護士だけでなく、あらゆる仕事で求められるスキルです。
まずは、介護士としてキャリアをスタートさせ、コミュニケーション能力を身に付けた上で、営業職やサービス職などの仕事に転職するといったキャリアパスも歩める点は魅力といえます。
3. 利用者の生活を支えることができる
介護士は直接介護利用者の生活を支えられるといったやりがいもあります。
介護士がいないと、介護が必要な人は通常の生活すら難しいのが実態です。困っている人に直接手を差し伸べられるというだけでも、介護士として働くやりがいがあると言えるでしょう。
介護が必要になってくる年齢は人によって様々ですが、早い人で60代から介護サービスを利用しているケースもあります。日本の平均寿命は80歳を超えてきていますので、長い期間同じ利用者と介護を通じて生活のサポートをできるのは、介護士ならではのやりがいです。
介護士がきついときの対処法
介護士をこれから目指すのであれば、就職後にどうしてもきついと感じたときの対処法をあらかじめ認識しておくことが大切です。
介護士がきついときには、以下のような対処方法が考えられます。
- 上司に相談して配属を変えてもらう
- 資格取得をする
- 別の介護施設に転職する
それぞれ詳しく解説します。
1. 上司に相談して配属を変えてもらう
介護士の仕事がきついと感じた時は、まず初めに上司に相談をしてみるのがおすすめです。
上司に相談をすることで、自身の業務量を調整してもらえたり、配属を変えてもらえたりすることが可能です。
例えば、夜勤によって生活リズムが乱れることにきついと感じている場合、優先的に夜勤のシフトを減らしてもらうことができるでしょう。また、利用者との関係性がうまく構築できない場合は、別の利用者の介護担当になることも期待できます。
介護者の世界は人手不足となっていますので、出来る限り長く働き続けてもらえるように上司も色々と取り図ろうとしてくれる傾向にあります。
自分で悩みを抱えるのではなく、上司に相談をするというのは有効な対処方法と言えます。
2. 資格取得をする
介護士の給料が低くてきついと感じているような場合は、資格取得も対処法になってきます。
会社にもよりますが、指定された資格を取得すると毎月の給料が増えるといったこともありますので、介護士が資格取得をすると知識のインプットだけでなく、経済的な面でも恩恵が受けられます。
また、ケアマネジャーなどの資格を取得することができれば、介護士からケアマネジャーなどの仕事に転職することも可能です。自身のキャリアパスや年収アップにも繋げることができるため、介護士がきついと感じたら資格の勉強をすることも良いでしょう。
3. 別の介護施設に転職する
介護施設によって介護士の働き方は大きく変わってきます。
介護の仕事が好きでも、今働いている働き方が自分にマッチしていないと感じるのであれば、別の介護施設に転職するのも有効な対処法です。
別の介護施設に転職する際は、働き方がどのように変わるのか事前にインプットしておきましょう。求人票を見て働き方をイメージしたり、就職口コミサイトなどを確認するのがおすすめです。
どうしても1人で情報収集ができない場合は、就職エージェントなどの第三者に相談してみるのも良いでしょう。
介護士がきつい人におすすめの職種
ここまで読み進めて、自分にとって介護士がきつい仕事だと感じた場合は、以下のような職種もおすすめできます。
- 販売職
- 営業職
- 事務職
それぞれ仕事内容について解説しますので、介護士以外に自分に向いてそうな仕事を見つけたい人は参考にしてみてください。
1. 販売職
販売職は、アパレルショップや家電量販店などの店舗に勤め、来店客に対して接客をしたり、レジ打ちなどをする仕事です。
肉体労働という点では介護士と同じ系統の仕事になりますが、夜勤のシフトがなかったり、キャリアパスが幅広かったりすると言った特徴が見られます。
販売職として働くことで、店長を目指したりエリア全体の店舗を統括するようなスーパーバイザーにキャリアアップすることが可能です。
コミュニケーション能力も身に付けられるため、販売職以外の仕事にも転職しやすいといったメリットもあります。
ただし、年収の水準としては介護士と大きく変わらない点は認識しておきましょう。
2. 営業職
営業職は、法人や個人に対して商品を提案して契約を取ってくる仕事です。
コミュニケーション能力だけでなく、行動力や精神力、論理的思考力など、幅広いスキルが求められますが、未経験からでも就職ができる点が特徴です。
営業職は様々な会社で募集されているため、スキルを身に付けてキャリアアップをしていくということが介護士よりもやりやすくなっています。
また、仕事で活躍することができれば年齢にかかわらず昇格できたり、多額のインセンティブをもらうことも期待できるでしょう。
将来を見据えた就職や、できるだけお金を稼げるような仕事を探したいという人には営業職がおすすめできます。
3. 事務職
事務職は会社の事務作業を担う仕事です。役割に応じて経理や総務、労務などの職種名に分かれて募集されているケースもあります。
基本的にデスクワークになるため、肉体労働を避けたいと考えている人に特におすすめできます。
特に一般事務職であれば、今まで社会人経験がない人でも問題なく業務を遂行していけると考えられます。ただ、事務職は人気の仕事のため、応募書類や面接対策など事前の準備が非常に重要になってくる点は認識しておいてください。
よくある質問
最後に、介護士に関するよくある質問を3つ取り上げて解説します。
1. 介護士は何がきついですか?
介護士がきついと言われるポイントとして、肉体的にも精神的にもハードであることや、平均給料が全体よりも低いといった点が挙げられます。
ただ、勤める介護施設をしっかりと見極めたり、就職後に資格取得ができればこれらのきついポイントをある程度解消できると考えられます。
介護士を目指す際は、実際の業務がどういったものなのかを理解することに加えて、中長期的にどういったキャリアを歩んでいけるのかを理解しておくことが大切です。
2. 介護士はなぜ人気がないのでしょうか?
介護士は肉体的にも精神的にもハードであるにもかかわらず、給料が低めであるという点で人気がないと考えられます。
実際に、介護士は常に人手不足となっている状況があり、求人数に対して介護士を目指す人が少ない状況が続いています。
人気がない傾向にある介護士という仕事ですが、社会貢献性が極めて高いという点は魅力です。
また、利用者から直接感謝の言葉をもらえたり、自分の成長が実感しやすいといったやりがいも見られますので、介護士の仕事がマッチしているかどうか、改めて自己分析などで確認してみてください。
3. 介護士の年収はどれくらいですか?
厚生労働省の発表データから計算すると、介護士の年収は384万円となっています。
国税庁の発表している日本の平均給料は461万円ですので、全体平均に比べて80万円程度低いという事実があります。
ただ、介護施設によっては資格取得をすることで給料をあげられるような制度が整っていることもあります。加えて、働くエリアや勤める介護施設の規模によって給料は増減しますので、求人票を必ずチェックしておくようにしましょう。
まとめ
介護士がきついと言われる理由について詳しく解説しました。
介護士は肉体的にも精神的にもストレスが溜まりやすい仕事である一方で、介護士でしか味わうことができないやりがいがある仕事でもあります。
改めて自己分析を行い、自分に介護士の仕事が向いているのかどうか確認するようにしてみてください。
自分で自己分析ができないという人は、就職エージェントにサポートをしてもらうのも良いでしょう。
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