なぜ介護士になるのはやめとけと言われるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、介護士に就職するのはやめとけと言われる主な理由を7つ解説します。
また、やめとけと言われる介護士として働く魅力や、介護士の仕事の向き不向きについても解説します。
これから正社員就職をしようとしている人で、介護士に興味がある人は記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
介護士をやめとけと言われる理由7選
介護をやめとけと言われる理由としては、主に以下の7つの観点が挙げられます。
- 労働環境があまりよくない
- 精神的にストレスが溜まりやすい
- 介護職の給料が低い
- 会社によっては離職率が高い
- 人間関係に悩みやすい
- ハラスメントが起きる可能性がある
- 人材不足から業務が多くなりやすい
これらの声があることを認識した上で、介護士を目指すのか検討するようにしてみてください。それぞれ詳しく解説します。
1. 労働環境があまりよくない
介護士は労働環境があまり良くないといった声がしばしば見られます。
業務としては、介護が必要な人に対して生活介助を行うのが主となってきますが、業務の大半が肉体労働であることから、身体への負担がどうしても大きくなります。
また、介護士が働く介護施設によっては長年営業していることもあり、様々な設備が古いといったことも考えられます。実際に仕事を行う部屋はもちろん、介護士が休憩する休憩スペースに不満を感じているような介護士も少なくありません。
後で解説する給料の低さや人間関係に悩みやすいという点も合わさって、労働環境があまり良くないことから介護士はやめとけと言われていると考えられます。
2. 精神的にストレスが溜まりやすい
介護士は肉体的な負担だけでなく、精神的にストレスが溜まりやすい仕事でもあります。
介護利用者は介護士にとってお客様となるため、仮に介護利用者から強い口調で介護の指示をされても、謝りつつ業務を進めなければなりません。
また、介護施設そのものが1つの家になっていることから、閉鎖的な印象を受けることもあるでしょう。ストレスを感じても職場でストレス発散をすることはできないため、ストレスを抱え込まなければなりません。
結果的に精神的な病気を患ってしまい、ストレスによる退職を選択する介護士も見られます。
3. 介護職の給料が低い
介護士の給料が全体の平均給料よりも低いという点も、看護師はやめとけと言われる理由の1つです。
国税庁の調査結果によれば、給与所得者の平均給料は461万円となっています。
一方、厚生労働省が発表している介護士の平均給料は正社員で月収31万円です。12ヶ月分で計算をするとおよそ380万円となりますので、全体の平均給料よりも介護士の給料の方が低いということが分かります。
ここまで解説した通り、介護士は肉体的にも精神的にもハードな仕事であるにもかかわらず、給料が低いことに不満を感じて別の職種に転職する介護者も少なくありません。
給料が低いとプライベートでも精神的な余裕がなくなりますので、介護士はやめとけと言われていると考えられます。
4. 会社によっては離職率が高い
介護士は、離職率が高い会社があることもやめとけと言われる理由の1つです。
公益財団法人介護労働安定センターが発表した令和4年度介護労働実態調査結果によれば、東京23区や政令指定都市における介護士の離職率は15.1%となっています。
同調査にて同じエリアの介護士の採用率は17.6%であることを考えると、介護士は採用した分、ほとんど丸々離職しているとも言えるでしょう。
また、厚生労働省が発表している令和4年の雇用動向調査結果によれば、全産業の平均離職率は15.0%となっています。
介護士の離職率は改善してきているものの、全産業の離職率よりも高いという点は介護士を目指す上で知っておく必要があります。
5. 人間関係に悩みやすい
介護士が働くことになる介護施設は、安全上の問題から閉鎖的な空間になっていることが大半です。
その中で同じ介護利用者や同僚の職員と仕事を進めていかなければならないため、一度コミュニケーションで失敗をしてしまうと、働きづらい人間関係の中で業務と向き合わなければならなくなります。
利用者だけでなく、介護士として働く同僚とうまく人間関係を築けないという介護士の声も少なくありません。
また、介護士として働く同僚も自分と同じくストレスを抱えながら働いていることも考えられるため、施設によってはギスギスとした雰囲気で働いているという口コミも見られます。
6. ハラスメントが起きる可能性がある
介護利用者から介護者に対するハラスメントも近年問題になってきています。
介護利用者が介護士に対してセクハラやパワハラを行ってきても、施設側は無用なトラブルを防ぐため、軽い注意で済ませることもあります。
また、介護利用者だけでなく同僚や上司から何らかのハラスメントを受ける可能性も考えられます。
介護施設は1つ1つが独立しているため、ハラスメントを受けた際の相談窓口が離れているということもあり、結果的に強いストレスを感じながら働かなければならないこともあるでしょう。
7. 人材不足から業務が多くなりやすい
介護士は全体的に人手不足の傾向にありますが、介護を必要とする利用者はどんどん増えていっていますので、結果的に一人当たりの介護士が抱える業務量が増えると言ったこともあります。
業務が多くなるとその分事務作業も増えてしまうため、残業が発生することも多くなるでしょう。それだけでなく、多い業務量に振り回されてしまい、介護がおろそかになって大きな事故に発展することも考えられます。
このような理由もあり、介護士として働くのはやめとけと言われていると考えられます。
やめとけと言われる介護士として働くメリット
やめとけと言われている介護士ですが、就職してスキルを身に付けるメリットはいくつか考えられます。
- スキル次第で全国どこででも働ける
- 未経験や学歴不問から正社員になれる
- 資格取得できれば収入を上げられる
- ニーズが高く職に困りにくい
介護士になるのはやめておこうと考えている人は、これらのメリットを理解した上で判断するようにしてみてください。
1. スキル次第で全国どこででも働ける
介護士のスキルはどの介護施設でも活かすことができるものとなっています。
そのため、一度スキルを身に付けることができれば、全国各地の介護施設で介護士として働けるといったメリットがあります。
将来的に引っ越しをする際、他の仕事の場合は引っ越し先で新たに就職先を見つけるのに苦戦してしまうことが考えられますが、介護士の場合はスキルを活かして即戦力として再就職することが可能です。
まさに手に職をつけられる仕事になりますので、今後腰を据えて長く働ける仕事に就きたいと考えている人には、介護士の仕事がおすすめできます。
2. 未経験や学歴不問から正社員になれる
介護士として活躍するためには、体力とコミュニケーション能力が特に求められます。
もちろん介護の専門的な知識もゆくゆくは必要になってきますが、就職をすることだけを考えれば、この2点のスキルがあれば問題ありません。
そういった仕事のため、介護士の求人の大半は職種未経験者を学歴不問で募集している傾向にあります。今までフリーターとして生活してきた人や、高卒で学歴に自信がない人でも正社員になれるというのは大きなメリットだと言えるでしょう。
なお、求人によっては学歴や職歴に一定の水準を求めているケースもあります。
未経験者歓迎であったり、学歴不問といった条件は求人票に必ず書かれていますので、応募する際は求人票を細かくチェックしておくようにしてください。
3. 資格取得できれば収入を上げられる
介護士は全体の平均年収よりも低めの年収といったデータをご紹介しましたが、会社によっては資格を取得できれば月々の収入のベースを上げられることもあります。
どの資格でどれくらい収入が上がるかは会社の人事制度によりますので、面接の際に面接官に聞いてみるのも良いでしょう。
資格を取得して給料を上げるだけでなく、実務経験にもそのまま活かすことができるため、スキルを身に付けつつ着々と収入を増やしていきたいような人にも介護職はおすすめできます。
4. ニーズが高く職に困りにくい
日本は少子高齢化が進んでおり、これからも高齢者の数が増えていくと言われています。
介護サービスを受ける人の大半は高齢者であることを考えると、今後も介護士のニーズは高まっていくと考えられます。
ニーズが高まっていく仕事については、就職がしやすいだけでなく、待遇が改善されていく期待が持てるなど様々なメリットが考えられます。
また、介護士としてのスキルを身に付けることで、仮に何らかの理由で介護士を辞めなければならなくなったとしても、復職することが比較的容易にできるでしょう。
介護士の経験を活かして将来的にも職に困りにくくなるというのは、介護士として働くメリットと言えます。
介護士に向いてる人
介護士に向いてる人の特徴としては、以下の3点が挙げられます。
- 人をサポートする仕事をしたい人
- コミュニケーション能力が高い人
- 気配りを自然とできる人
これらのポイントに当てはまる人であれば、介護士になりやすいだけでなく、就職後に活躍していけると考えられます。
それぞれの要素について詳しく解説します。
1. 人をサポートする仕事をしたい人
介護士は、困っている人をサポートするような仕事をしたい人に向いている仕事です。
介護士の主な業務は、自力で生活をするのが難しい人に対しての生活介助となっていますので、介護士の仕事はそのまま介護利用者の生活の一部となることができます。
利用者によっては、入浴や排泄といった生きていく上で不可欠な動作のサポートをすることもあります。中には、介護士がいないと生活が成り立たないような人も少なくありませんので、業務をしていて誰かを助けている実感をたくさん感じられるはずです。
2. コミュニケーション能力が高い人
介護士が生活介助を行う際は、利用者と適切にコミュニケーションを取ることになります。
利用者も自分が生活介助を受けることに不安を感じているケースもありますので、対話を通じて相手を安心させるといった行為も介護士として非常に大切です。
そのため、介護ができる体力だけでなく、コミュニケーション能力の高さも介護士の仕事で役立てることができます。誰かと話すことが好きな人や、高齢者と円滑に会話ができるような人だと介護士として活躍していけるでしょう。
3. 気配りを自然とできる人
介護士は定期的なサポートを行うだけでなく、介護利用者の顔や挙動を観察して適切に気配りを行うことも大切になってきます。例えば、介護利用者向けに行うレクリエーションにおいては、楽しめていない利用者に対して積極的に声掛けを行うことが大事です。
気配りを自然とできる人であれば、介護士として信頼されるだけでなく、同僚や上司からも高い評価を受けられるでしょう。
気配りに加え、観察力や行動力のある人だと更に介護士として活躍できます。
介護士に向いてない人
先程とは反対に、介護士に向いてない人の特徴としては以下の3点が挙げられます。
- 潔癖症な人
- 融通が効かず自我が強い人
- 体力に自信がない人
これらの要素の1つにでも当てはまる場合は、介護士以外の仕事を目指したほうがいいかもしれません。それぞれ詳しく解説します。
1. 潔癖症な人
介護士は潔癖症な人に向かない仕事です。
生活介助の中で入浴や排泄を手伝うこともありますので、潔癖症な人にとっては精神的なつらさを感じることもあります。
また、介護利用者によっては、食べ物がうまく飲み込めずに吐き出してしまった食事を清掃するといったことも珍しくありません。人間一人の生活全てを介助する仕事ですので、きれい好きな人は介護士以外の仕事を目指すのが良いでしょう。
2. 融通が効かず自我が強い人
介護士は基本的にやるべき業務がルーティンワークのように定まっていますが、利用者の性格や思考性に応じて柔軟に介護業務を調整していく必要があります。
そのため、融通が効かなかったり、自我が強かったりする人は介護士に向かないと言えるでしょう。
柔軟性の低い人が介護士になると、仕事をしていてストレスを感じやすくなるだけでなく、介護利用者とトラブルを引き起こして賠償問題に発展することも考えられます。
3. 体力に自信がない人
介護士は肉体労働の一面が強い仕事のため、体力に自信がない人には向かない仕事です。
重いものを持ち上げたり、一日中歩きまわったりすることに自信がないような人が介護士になると、入社して1ヵ月でつらさを身に染みて感じることになるかもしれません。
ただ、最近では介護施設側も介護士の肉体負担を減らすためにマッスルスーツと呼ばれるサポート器具を導入していたり、身体の負担が最小限になるようITシステムを導入しているケースも見られます。
体力を始め、介護士として働くことに自信がないような人は、介護士向けのサポートが充実しているような会社を探してみるのも良いでしょう。
こんな求人の介護士は応募をやめとけ
介護士の求人は検索するとたくさん見つけることができますが、中でも以下のような特徴が見られる求人に応募するのは避けておいた方が良いかもしれません。
- 求人内容と労働条件通知書の内容が違う
- 人員配置基準を無視している
- 残業代を全額支払う旨の記載がない
- 年間休日日数の記載がない
- 有給取得率の記載がない
- シフトの調整に融通が効くといった記載がない
- 就職口コミサイトなどで人間関係の悪さが記載されている
- 常に求人サイトで求人募集がされている
- 入社祝い金が設定されている
- やりがいだけを全面的にアピールしている
これらの特徴を持つ介護士の求人だと、就職後に後悔をしてしまう可能性があります。
気になる求人を見つけても、その求人の働く実態を調査するために、企業ホームページや就職口コミサイトを確認することに加え、就職エージェントなどの第三者の視点からアドバイスをもらうのも良いでしょう。
よくある質問
最後に、介護士を目指す人によくある質問を3つ取り上げて解説します。
介護士を辞める人の特徴は?
介護者を辞める人の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 力仕事ができない
- コミュニケーションが苦手
- 物覚えが悪い
- 将来的なキャリアビジョンがない
- 柔軟性が不足している
- 責任感がない
- 求人条件をよく確認していなかった
これらの特徴に当てはまる人は、介護士をすぐにやめてしまう傾向にあります。
もし自分がいずれかの特徴に当てはまる場合は、介護士としての仕事が向かないとも考えられます。
介護士を辞めて良かったことは?
介護士を辞めて良かったこととしては、以下のような項目が挙げられます。
- シフト制の不規則な生活から解放された
- 身体的にも精神的にも楽な仕事につけた
- 人間関係に悩むことが少なくなった
- 給料が増えた
- 身に付けられるスキルが増えた
将来的なキャリアビジョンをしっかりと考えて介護士から転職した人は、介護士を辞めて良かったと感じやすいと言われています。
介護士は何がしんどいですか?
介護士は肉体的なストレスと精神的なストレスが溜まりやすいというのが、一番しんどいポイントと考えられます。加えて、給料が全体平均より低いこともしんどいポイントと言えるでしょう。
実際に介護士に向いているかどうか判断が付かない人は、就職エージェントのキャリアカウンセリングなども活用してみるのがおすすめです。
まとめ
介護士はやめとけと言われる理由を詳しく解説しました。
確かに介護士は肉体的にも精神的にも負担が大きく、日々の業務に憂鬱となりやすい様子が見られる仕事です。しかし、介護士として働くことで手に職をつけられるだけでなく、誰かから直接感謝の言葉を投げかけてもらえるようなやりがいも見られます。
介護士のデメリットだけでなく、メリットもしっかりと合わせて理解した上で就職先を検討するようにしてみてください。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい