葬儀屋という職業があることは知っていると思いますが、具体的に葬儀屋がどういった仕事を行っているのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、葬儀屋の仕事内容や求められるスキル、就職するメリットなどを網羅的に解説します。
葬儀屋の仕事に興味がある人や就職を考えているという人は、記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
葬儀屋とは?
葬儀屋とは、亡くなった後のご遺体を管理・搬送を行ったり、葬儀の計画や段取り当日の運営などを行う仕事です。人の死に直接関わるような仕事のため、他の仕事よりも業務内容や求められるコミュニケーション能力が大きく異なってくる点が特徴です。
特に葬儀を行う際は、遺族と直接やりとりをしていくことになります。
親族が亡くなった悲しみの最中で葬儀に関わる取り決めを進めていきますので、迅速にやるべきことをこなすことはもちろん、相手の感情に配慮した対話を行っていきます。
一言で葬儀屋といっても、会社によって規模が大きく異なってきます。
また、提供できるサービスも様々なため、基本的な仕事内容を知るのはもちろん、就職しようとしている先の提供サービスをしっかりと認識しておくことが就活では大切になってきます。
加えて、葬儀においては、宗派や地域など注意深く配慮しなければならないポイントが多く存在します。宗派ごとに実施する葬儀の形式や内容が大きく変わりますので、宗教における理解や日常的な勉強も必要になってくるでしょう。
葬儀屋に共通する仕事内容
葬儀屋に共通する仕事内容としては以下の5点が挙げられます。
- ご遺体の搬送・安置
- 葬式・通夜の打ち合わせ
- 葬儀・通夜の手配
- 葬儀・告別式終了後のサポート
- 葬儀に関係する事務作業
これらの仕事内容は、どのような規模の葬儀屋であっても共通していますので、葬儀屋への就職を考えている方はしっかりと抑えておいてください。
1. ご遺体の搬送・安置
葬儀屋は、不幸があると勤め先の葬儀屋と提携している各種施設から連絡が来ます。警察や病院、介護施設等が主な提携先となり、連絡を受けてから仕事が始まります。
まずはじめの仕事として、連絡があった提携先に向かい、ご遺体を搬送することを行います。寝台車と呼ばれるご遺体を搬送する目的の車を運転することになるため、葬儀屋として働くには運転免許を持っていることが必須となってきます。
提携先に着いた後はご遺体を丁寧に寝台車に乗せます。
この際、ご遺体の損傷が激しい場合もあります。多くの場合はまるで眠っているように亡くなっているケースがほとんどですが、事故などによって亡くなってしまった方を搬送する際は、精神的にきつさを感じる可能性もあるでしょう。
ご遺体を寝台車に載せ、納棺までの間にご遺体を安全な場所に安置することも仕事の1つです。
安置の場所としては状況にもよりますが、遺族の自宅であったり、葬儀屋や斎場に設けられている安置所など様々です。
安置所にご遺体を運ぶことができたら、ご遺体を清め、腐敗を処理する環境を整えた後、供え物を用意します。
2. 葬式・通夜の打ち合わせ
ご遺体を安置できたら遺族と葬式や通夜の打ち合わせを進めていきます。
遺族も突然の不幸の知らせで動揺をしていることも多く、安心できるコミュニケーションを意識して打ち合わせを進めていくことが求められます。
葬式や通夜について詳しく理解をしていないケースも多いため、そもそも葬儀とは何か、通夜とはどういった形で取り行われるものかといった基本的な知識をわかりやすく説明する説明能力も重要です。
打ち合わせの中では遺族の希望を聞き取り見積書を作成して提示します。遺族が見積もり内容に納得をしたら、そのまま通夜や葬式の準備に取り掛かることになります。
3. 葬儀・通夜の手配
見積もりに対し遺族の同意を得られたら、通夜や葬儀の発注となります。
遺族の要望に合わせて斎場や火葬場に連絡を取り確保を行います。
また、お花や料理、香典返しなど葬儀屋と提携している会社に対して連絡を取り、スムーズに通夜と葬儀が進められるようコミニケーションをとっていくことになります。
地元に根ざしている葬儀屋の場合は、提携先としてやりとりをする業者が限られてくるケースが多く、スムーズに業務を進められる傾向にあります。一方、大規模な葬儀屋の場合は、その都度連携する協力会社が異なることがありますので、より葬儀に関する幅広い知識を求められることになるでしょう。
4. 葬儀・告別式終了後のサポート
通夜が無事に終わると、基本的にその翌日に葬儀が行われます。葬儀の運営についてはほとんどのケースで提携先が行いますので、葬儀屋が直接運営に関わる事が少ない傾向にあります。
葬儀と告別式が無事に終わった後は出棺となり、火葬場へ個人と遺族、弔問客が移動します。その間に葬儀屋は斎場の撤収を行い、精進落としと呼ばれる会食の準備に進みます。
合わせて、精進落としが終了するまでに、遺影や骨壷を遺族が持ち帰れるように準備を整えます。精進落としが終わった後は遺族に遺影と骨壷を渡し見送ります。
5. 葬儀に関係する事務作業
葬儀に関係する事務作業も葬儀屋が担う仕事の1つです。
提携先業者との連絡を行った後に発注書を作成・送付することや、葬儀の電話受付を行い、関係各所に連絡を共有することも重要な仕事の1つです。
また、昨今では葬儀が終わった後に仏壇の提案をしたり、相続に関する相談に乗ることも葬儀屋の仕事の1つとなってきています。
これらのアフターフォローは勤める葬儀屋によって求められる水準が異なってきますので、就職前には必ずどの領域まで仕事を担うのか確認しておくことをおすすめします。
葬儀屋に必要なスキル
葬儀屋に必要なスキルとしては以下の3点が挙げられます。
- 学習意欲
- コミュニケーション能力
- 自己管理能力
これらのスキルを持っている人であれば、葬儀屋として就職した後に遺族に遜色のないサービスを提供できるようになるでしょう。
それぞれ詳しく解説します。
1. 学習意欲
葬儀屋として働く上では学習意欲が強く求められます。葬儀に関する基本的な流れや業者との連携といったビジネス的な観点はもちろんですが、葬儀については、宗派や宗教といった日ごろ触れる機会の少ない観点が非常に重要になってきます。宗派によってはタブーとされるような行為もありますので、しっかり学習しておかないと遺族と大きなトラブルになることが考えられます。身内の不幸で悲しみに飲まれている中、自分の勉強不足でトラブルを引き起こしてしまえば、相手に対して大きなストレスを与えてしまうことになるでしょう。
他にも葬儀だけでなく、相続に関する基礎知識や生前贈与などの税制にも知識があることが求められます。特に人の死は突然訪れるものですので、すべての遺族が死に関する知識を知っているわけではありません。遺族に対してプロフェッショナルとして会話ができるよう学習を続けることが大切です。
2. コミュニケーション能力
葬儀屋は遺族だけでなく、たくさんの人とコミュニケーションを取ることになります。
加えて、葬儀屋がコミュニケーションを取る際は常に重い空気の中となるため、TPOに合わせた適切なコミュニケーション能力を発揮していくことが極めて大切です。
遺族とのコミュニケーションで言えば、とにかく相手を不快にさせないことが求められます。
営業職やサービス職のような相手と朗らかに話して、会話を盛り上げるといったコミュニケーションではなく、相手の考えていることや気持ちに配慮して、丁寧なコミュニケーションを進めていく必要があります。
また、斎場や花屋を始めとした提携業者とのコミュニケーションにおいては、伝達すべき情報を漏れなく、間違いなく伝えるといった能力が求められます。報告・連絡・相談等1つでも書けると、葬儀や通夜がスムーズに進行できなくなる可能性もありますので気をつけましょう。
3. 自己管理能力
葬儀屋は体調管理やタスク管理といった自己管理能力が求められます。
体調管理で言えば、葬儀屋は24時間体制で勤務するシフト制であることがほとんどです。病院や介護施設等から来る連絡はいつ来るか分かりません。生活リズムが乱れる中で体調を崩してしまうと仕事がうまく進められなくなりますので、体調管理の努力が求められるということになります。
また、タスク管理能力で言えば、葬儀屋は決められたフローに従ってスケジュール通りにタスクを消化していくことが重要ですので、やるべきことを一つ一つ着実に進められるような能力が重要になってくると言えるでしょう。
葬儀屋の働き方の種類
葬儀屋は基本的に日勤と夜勤のシフト制をとっていることがほとんどです。
また、多くの場合は正社員として葬儀屋で働くことになるため、パートやアルバイトといった求人はあまり見られないといった特徴があります。
ここからは葬儀屋の働き方の種類について詳しく解説していきます。
1. 基本的にはシフト制
葬儀屋は基本的に日勤と夜勤の2つのシフト制で働くケースがほとんどです。夜勤がある理由としては、ご遺体の搬送をすることになる死亡連絡が深夜であっても来ることがあるためです。
シフト制の葬儀屋の場合は、求人の勤務時間欄にその旨が必ず記載されています。葬儀屋として働くのであれば、基本的にはシフト制になるということは認識しておく必要があるでしょう。
また、シフト制ということもあり、休暇は週休2日制であったり月に休暇が何日と定められていることが多い傾向が見られます。民間企業のように毎週土日必ず休めるといった葬儀屋は少ないため、合わせて認識しておいてください。
日勤
日勤のシフトにおいては、基本的に9時から17時までの勤務であることがほとんどです。日勤においてご遺体の搬送がない時は、顧客対応や葬儀の準備、後片付けといった業務が主となってきます。
葬儀がない時であっても、事務所での事務作業や葬儀会場の管理といった業務があることもあります。
また、提携先を増やすための営業を行うこともあるため、日勤のシフトでは幅広い業務と向き合うことが考えられます。
夜勤
夜勤のシフトにおいては、突発的な緊急対応が主となってきます。提携先からの死亡連絡を受け、ご遺体を搬送・安置するといった業務がメインとなるため、1人で葬儀の流れをしっかりと話せるような知見が求められます。
葬儀屋によっては社内で待機するのではなく、自分の家の中で待機をするといったケースもあります。突発作業の対応が多くなるため、提携先からの死亡連絡がない限りはシフトの時間が終わるまでひたすら待機をすることになります。
2. 残業の有無は読みづらい
葬儀屋の場合、自分で業務の調整ができないといった特徴があります。したがって、残業がどれぐらい発生するかは読みづらいといった事実が見られます。
自分のシフト時間外であっても、通夜や葬式の準備、遺族の問い合わせ、対応等が生じることも珍しくはありません。計画通りに仕事を進めていくというよりも、自分の手元に来た仕事をテキパキとこなすような能力が大切になってくるということを認識しておきましょう。
葬儀屋向けの資格
葬儀屋として働くのに必須となる資格はありません。
ただ、以下のような資格を持っておくと、就職成功率が上がるだけでなく、就職後に重要なポジションにつける可能性が高まるでしょう。
- 葬祭ディレクター
- 納棺師認定試験
- 遺体衛生保全士
- 仏事コーディネーター
- お墓ディレクター
- 葬送儀礼マナー検定
- 仏教葬祭アドバイザー資格
それぞれ合格率や目安となる勉強時間を解説しますので、就職活動に余裕がある人であれば取得を検討してみてください。
1. 葬祭ディレクター
葬祭ディレクターは、1996年から存在する葬儀屋向けの資格としてはメジャーな資格です。
厚生労働省に認定されているということもあり、資格を取得できれば葬儀屋として高いサービスを提供できることが証明できます。
難易度によって1級と2級の2つの区分に分かれており、どちらも学科試験だけでなく、実技試験が設けられています。それぞれの等級に合格できると、葬祭ディレクターのIDカードを発行してもらうことができるため、実務上でも業者や顧客から信頼されることができます。
試験は全国各地で行われていますが、年に1回だけしか受験チャンスがありませんので、タイミングを見計らって受験を検討してみてください。
合格率目安 | 70% |
勉強時間目安 | 100〜150時間 |
2. 納棺師認定試験
納棺師認定試験とは日本納棺士技能協会が実施する資格です。取得することで納棺士として一定水準以上のスキルがあることを証明できます。
納棺士とは、亡くなった方をきれいな状態に整え、棺に収める役割を持った人です。
映画「おくりびと」で注目を浴びるようになった仕事とも言われており、資格取得を目指す人もそのタイミングで増えてきていると言われています。
納棺師認定試験は試験の内容や受験費用等が全て非公開になっているため、実施先の日本納棺式技能協会に直接問い合わせる必要があります。未経験者が就職活動のために取得を目指すには若干ハードルが高いため、葬儀屋になってから資格を取得することがおすすめです。
合格率目安 | 非公開 |
勉強時間目安 | 100〜200時間 |
3. 遺体衛生保全士
遺体衛生保全士とはエンバーマーとも呼ばれ、体に対して腐らない処理を行い、きれいな見た目を長期的に維持するといった役割を持つ人のことを指します。もともと日本は火葬率が100%に近いため、エンバーマーが活躍する機会はそれほどまで多くはありませんでした。
ただし、最近では亡くなってから葬儀を行うまでに日数が必要になってきたり、海外で亡くなった方を日本で葬儀するといったケースが出てきていることから、遺体衛生保全士の活躍が増えてきていると言われています。
現時点で遺体衛生保全士は民間資格の1つではありますが、ISFA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)が国家資格化と法整備を急速に進めているため、今後国家資格になる可能性が考えられます。
資格取得のためにはISFAが認定している養成学校に入学し試験を受ける必要があります。学校に入学しなければ受験できないということもあり、やや受験ハードルが高いといえます。
合格率目安 | 60〜70% |
勉強時間目安 | 150〜200時間 |
4. 仏事コーディネーター
仏事コーディネーターとは、仏教という宗教そのものや仏壇仏具といった仏事にまつわる豊富な知識を持っている証明ができる資格です。日本においては無宗教といった人も多く、いざ葬儀を行う時になって初めて仏事に触れるというケースも珍しくなくなってきました。
仏事コーディネーターは、講習と資格試験がセットになっている資格です。
例えば、2024年であれば、11月13日に11時から16時までの時間で仏事に関する講習を行った上で、試験がその場で実施されます。基本的に講習の内容をしっかり理解できておけば合格できるレベルとなっていますので、勉強時間がそこまでいらないと言ったメリットがあります。
ただし講習と試験は年に1回しか実施されていないため、就職活動のタイミングによって取得するか検討する必要があります。
合格率目安 | 70〜80% |
勉強時間目安 | 10〜30時間 |
5. お墓ディレクター
お墓ディレクターとは、一般社団法人日本石材産業協会が認定する民間資格です。お墓に関する幅広い知識を持っていることを証明できる資格であり、難易度に応じて1級と2級の2つの区分に分かれています。
日本では亡くなった後、お墓に納骨されることが一般的です。ただお墓といっても、デザインやどういった石材を使うのかなど、あらゆる点を検討しなければなりません。そこでお墓ディレクターの資格を持っていることで、より多くの顧客から相談をしてもらいやすくなります。
お墓ディレクターの1級は2級を取得していないと受験ができません。
2級の資格は自身のパソコンで受験ができるオンライン試験に移行されていますので、自分の予定に合わせて受験がしやすいといった点がポイントです。受験申し込みをインターネットでできますので、受験のハードルが低い点が特徴となっています。
合格率目安 | ・2級:40% ・1級:30% |
勉強時間目安 | 300〜400時間 |
6. 葬送儀礼マナー検定
葬送儀礼マナー検定とは、葬儀に関する幅広いマナーを有していることを証明できる資格です。他の資格で言えば、秘書検定やビジネスマナー検定に似たイメージを持っておくと良いでしょう。
試験はインターネットで自宅から受験ができる方式のため、パソコンがなくてもスマートフォンやタブレットでも受験できる点が特徴です。
加えて受験日は特に設けられておらず、自分の好きなタイミングで受験することが可能です。
受験料が10,000円を切っているということもあり、就活をしている人でも並行して資格取得を目指しやすい点がメリットといえます。
合格率目安 | 非公開 |
勉強時間目安 | 100〜150時間 |
7. 仏教葬祭アドバイザー資格
仏教葬祭アドバイザー資格は、一般社団法人日本仏教協会が実施する資格です。
最近では1日葬や直葬といった葬儀自体の簡略化の傾向があります。葬儀屋としては本来の通夜や葬儀を行ってもらいたいと考えているため、仏教総裁アドバイザー資格を持っていると、遺族への提案に納得性や信頼感を与えることにつながり、結果的に葬儀屋として高い実績を残していけるようになるでしょう。
資格試験ではありますが、参考書やインターネットを見ながら回答して良いということになっていますので、実質的に真剣に取り組めば誰でも合格できると言えます。
受験日も設けられていないため、自分の予定に合わせていつでも受験することが可能です。合格できると認定証や有資格者向けの勉強会に参加できるようになりますので、葬儀屋になった後も資格を活かせると考えられます。
合格率目安 | 非公開 |
勉強時間目安 | 100時間 |
葬儀屋になる方法
葬儀屋になるのに特別な方法はありません。以下のような方法で、民間企業への就職活動を行う時と同じように葬儀屋になることができます。
- 求人サイトで応募する
- 就職エージェントに求人紹介をしてもらう
- 知人から紹介してもらう
- パートやアルバイトから正社員を目指す
- ハローワークを活用する
それぞれどういった方法で葬儀屋を目指すことができるのか解説していきます。自分に合った方法を見つけてみてください。
1. 求人サイトで応募する
葬儀屋を目指す方法として最もメジャーなものは求人サイトを使った就職活動です。葬儀屋専門の求人サイトはあまり多くありませんので、様々な職種を網羅している総合型の求人サイトを使えば大丈夫です。
ただ、そもそも葬儀屋の求人数が多くはありませんので、複数の求人サイトを使って就職活動を進めるのがおすすめです。また、検索時には葬儀屋というジャンルでは検索することが難しいため、フリーワードで「葬儀」などと入力をして検索してみる必要があります。
求人サイトを使った就職活動は、求人の選定から応募、企業との面接日時の調整まで全て自分1人で行わなければなりません。エージェントなどの第三者を介さない分、就職までのスピードを早めることができる一方で、就職活動そのもののノウハウが求められます。
2. 就職エージェントに求人紹介をしてもらう
就職活動が初めてやひさしぶりといった人であれば、就職エージェントを活用するのがおすすめです。就職エージェントに登録することで、自分専任のアドバイザーが以下のようなサポートをしてくれるようになります。
- キャリアカウンセリングの実施
- 希望条件にマッチした求人の紹介
- 履歴書や職務経歴書など応募書類の添削
- 企業との面接日時の調整代行
- 模擬面接の実施
- 入社日時の調整
就職活動の初めから終わりまでを全てプロがサポートしてくれる方法になるため、効率的に希望する葬儀屋に就職しやすくなると考えられます。
就職エージェントも、求人サイトと同じようにサービスによって紹介できる求人の数や幅に違いがあります。出来る限り多くの葬儀屋を比較検討して就職先を見つけたいと考える人は、気になる就職エージェントのサービスを複数利用して就職活動を進めてみてください。
3. 知人から紹介してもらう
葬儀屋の求人はそこまで多くないことから、タイミングによっては求人サイトや就職エージェントを利用してもなかなか募集求人を見つけられないことが考えられます。ただ、人手が充足しているような葬儀屋はそう多くないため、本当は人手が欲しいのに求人募集をしていないというケースも少なくありません。
そういった葬儀屋に就職するには、知人から紹介してもらうことがおすすめです。知人紹介はリファラル採用とも言われ、応募者からすれば企業の内情を知った上で就職ができますし、企業からすればお金をかけずに人材採用ができるメリットの大きい採用手法です。
知人から紹介をしてもらう場合は、実際に働いていてどういった職場なのかを確認することをおすすめします。職場の雰囲気や仕事内容を聞いてみて、自分にマッチしていると感じたら、そのまま知人に紹介してもらう形で面接に進んでいきましょう。
4. パートやアルバイトから正社員を目指す
葬儀屋は、簡単な業務をパートやアルバイトといった非正規の社員でまかなっているケースがあります。まずは非正規として葬儀屋で働き、職場の雰囲気や仕事の大まかな流れを理解した上で正社員を目指すこともおすすめです。
パートやアルバイトであれば、正社員としていきなり面接するよりも選考に通過しやすいと考えられます。自分の住んでいる家の近くなどの葬儀屋でパートやアルバイトの募集がないかを確認し、募集を見つけたら応募してみるようにしてみてください。
パートやアルバイトといった働き方であっても、しっかりと業務を進められる人と認められることができれば、正社員として雇ってもらえることもあります。ある程度会社に対して貢献できていると感じたら、上司や人事などに「正社員になりたい」ということを伝えてみてください。
5. ハローワークを活用する
葬儀屋の求人はハローワークに掲載されていることも少なくありません。むしろ地元密着型の葬儀屋の場合は、求人サイトや就職エージェントではなくハローワークをメインに採用活動をしているケースも見られます。
ハローワークを活用したい場合は、まず最寄りのハローワークに足を運び求職申し込みを行います。求職の申し込みをすることで、ハローワークで掲載している求人を閲覧することが可能になります。
ハローワークでは求人の検索だけでなく、自分にマッチしている求人がどういった特徴を持つのかといったキャリアカウンセリングを受けることも可能です。求人サイトと就職エージェントの両者のいいとこ取りをした就職活動が進められますので、多くの人におすすめできると言えるでしょう。
ただし、地元密着型以外の求人はハローワークにあまり掲載されていない傾向にありますので、比較検討する求人をできるだけ多くしたい場合は、求人サイトや就職エージェントと併用する形でハローワークを活用するのがおすすめです。
葬儀屋に向いてる人の性格
葬儀屋に向いてる人の特徴としては以下の8つが挙げられます。
- 相手の気持ちに沿って対話できる人
- ご遺体を目の当たりにしても動じない人
- 体力やメンタルが強い人
- 生活リズムが崩れても問題ない人
- 感受性が豊かすぎない人
- 誠実な人
- 臨機応変に対応できる人
- マナーを重視できる人
これらの特徴に多く当てはまっていれば、その分葬儀屋として活躍することが期待できます。それぞれの性格について詳しく解説していきます。
1. 相手の気持ちに沿って対話できる人
葬儀屋はほとんどのケースで身内がなくなったばかりの人を相手にコミュニケーションをすることになります。亡くなった方との関係性にもよりますが、基本的には遺族はひどく落ち込んでいるため、相手の気持ちに寄り添って対話をする必要があります。
葬儀屋になる場合は、ただ相手と会話ができれば良いというだけでなく、相手の気持ちや感情を汲み取りつつ、対話ができるといった性格の人が向いていると言えます。
商談において、時にはその場で泣き崩れてしまうような人もいますので、相手の気持ちを汲み取る姿勢を出すことも求められます。
2. ご遺体を目の当たりにしても動じない人
葬儀屋として働いていると、ご遺体を目にする機会が日常的になってきます。
毎日のようにご遺体を目の当たりにするだけでなく、場合によっては損傷の激しい遺体を搬送・安置することも求められますので、どんなご遺体を目の当たりにしても、同じないような性格である必要があります。
最初のうちはご遺体を見て気分を落としてしまうかもしれませんが、ある程度回数を重ねたら慣れることもできるはずです。
しかし、ご遺体を見るといったことに耐性を持てるかどうかは人それぞれ異なりますので、ご遺体の当たりにしても動じない自信があるかは事前に自己認識しておいてください。
3. 体力やメンタルが強い人
葬儀屋はとにかく体力とメンタルが求められる仕事のため、体力やメンタルが強い人に向いています。特に体力であれば、ご遺体を搬送する際の肉体労働が挙げられますし、夜勤のシフトなどによる体力の消耗も考えられます。
また、メンタルで言えばご遺体を目の当たりにしたり、ネガティブになっているご遺族とコミュニケーションを取ったりなど、仕事中暗い気持ちになることが多くなるため、メンタルの強さが求められます。
周囲の環境に応じて自分のメンタルが変化してしまうような人だと、葬儀屋として働くことに強いストレスを感じてしまうかもしれません。
4. 生活リズムが崩れても問題ない人
葬儀屋は24時間体制で働く職場が多くなっています。勤務体系は日勤と夜勤の2つに分かれており、基本的に交互にシフトが組まれることが多く、生活リズムが崩れやすいといった働き方になります。
生活リズムが崩れるとどうしても体調不良を起こしてしまう人がいますので、夜勤といった働き方をしても体調に支障が出ないような人に向いている仕事と言えるでしょう。
良い意味で鈍感であったり、バイタリティーのある人であれば、葬儀屋の働き方についていけると考えられます。
5. 感受性が豊かすぎない人
葬儀屋は数多くの遺族とやりとりをする仕事ですが、遺族の多くは親しい身内の人が亡くなった事実に深い悲しみを感じています。感受性が豊かな人だと遺族の心理に飲まれる形で、自分もネガティブな思考に陥ってしまうことが考えられます。
このことから、感受性が豊かすぎない人には葬儀屋の仕事が向いていると言えるでしょう。
ただし、鈍感であれば良いというわけではなく、遺族に対して寄り添ったコミュニケーションをした上で自分の気持ちをコントロールできるような能力が求められます。
多少感情が豊かであっても、自分でしっかりと感情の波をコントロールできれば、葬儀屋として働く上では問題ないでしょう。感動映画を見ていつも涙してしまうような人が葬儀屋になると、遺族のエピソードなどを聞いてメンタルを落ち込ませてしまうこともあるので注意してください。
6. 誠実な人
葬儀屋は人の死というものを取り扱う仕事のため、常に誠実である必要があります。
遺族に対するコミュニケーションにおいては連絡すべきことを伝えなければならないことを必ず伝えることや、やるべき業務をしっかりと果たさないと葬儀をうまく進めることができません。
業者とのコミュニケーションにおいても、連絡を漏れなく行わなければ葬儀に必要なサービスをうまく提供できなくなります。社会人として働く以上、一定の誠実さは常に求められますが、葬儀屋の場合は特に高い誠実さが求められるといえます。
7. 臨機応変に対応できる人
葬儀が必要になるタイミング、つまり人が亡くなるという事はいつも不意に訪れるものです。
死亡連絡がいつどのタイミングで来るか分かりませんし、遺族と故人の関係性も葬儀ごとで大きく異なってくるため、自立した対応というものが難しいのが現実です。
したがって、葬儀屋として業務をスムーズに進めていくためには、臨機応変に対応できることが求められます。現在置かれている状況を素早く理解して、次に自分がとるべき行動を瞬時に判断できる人であれば、葬儀屋としてどのような案件が来ても対応できると考えられます。
葬儀屋の業務は大きな枠で見ればルーティンワークに近いですが、各論でいうと毎回仕事のたびに細かな業務内容が変わるということは理解しておく必要があります。
8. マナーを重視できる人
葬儀屋を目指すのであれば、マナーの重要性はしっかり理解しておきましょう。
一般的なビジネスマナーはもちろんですが、宗派や宗教を始めとして葬儀屋が意識しなければならない特別なマナーもたくさん存在します。
マナーを軽視していると、遺族に対して強いストレスを与えることもありますし、葬儀屋としての業績に悪影響をもたらすことも考えられます。
葬祭に関するマナーを一つ一つ覚えて、仕事に活かしていくような行動が非常に大切になるため、しっかりと勉強をして行動にすぐに移せるといった力が求められます。
未経験から葬儀屋を目指すには
葬儀屋の仕事は未経験者であっても就職が可能です。未経験から葬儀を目指すのであれば、以下の方法を試してみましょう。
- 未経験歓迎の求人に応募する
- 葬儀屋に関する資格を独学で取得する
- 葬儀屋のホームページから応募する
基本的にどの方法で求人に応募しても、選考の通過率は大きく変わりません。自分に合った方法で葬儀屋の仕事を目指してみてください。
1. 未経験歓迎の求人に応募する
葬儀屋の実務経験がない人が葬儀屋を目指すのであれば、必ず未経験歓迎の求人に応募するようにしてください。
未経験歓迎の求人とは文字通り実務経験がない人でも採用をすることを明記している求人のことを指します。基本的には求人サイトの求人にタグのような形で記載されていることが多いです。
未経験歓迎と書かれていない求人でも未経験者は応募することができますが、基本的にそういった求人は経験者を募集している傾向にあるため、応募しても書類選考の時点で見送りになってしまうことが多いです。
求人サイトで未経験歓迎の求人を検索する際は、サイトごとに用意されている未経験歓迎のチェックボックスにチェックを入れた上で検索を行いましょう。なお、サイトによっては業種未経験歓迎と職種未経験歓迎の2つの検索条件が用意されていることがありますが、職種未経験歓迎を選択すれば問題ありません。
未経験枠で選考を進める際はポテンシャルをアピールすることが大切です。
先ほど解説したような葬儀屋に向いている性格であることをアピールしたり、葬儀屋になりたいと思っている理由をわかりやすく面接で伝える必要がありますので、しっかりと意識しておきましょう。
2. 葬儀屋に関する資格を独学で取得する
未経験者はポテンシャルで内定を目指すことになりますが、少しでも就職できる成功確率を高めたいのであれば、葬儀屋に関する資格を独学で取得しておくのもおすすめです。
葬儀屋の資格はそれぞれが専門性が高いため、未経験者がいきなり勉強をしても難しいと感じてしまうかもしれません。
先ほど紹介した資格の中で言えば葬送儀礼マナー検定だと、未経験者であってもとっつきやすい勉強内容となっているだけでなく、いつでも受験ができるといったメリットがありますのでおすすめです。
ただ、葬儀屋は就職してから資格を取得するケースがほとんどであり、就職すること自体に資格が必須というわけではありません。
資格取得のために勉強をし続けて就職するまでに期間が空いてしまうと、それはそれで空白期間が長引きネガティブな印象を与えることになりかねないため注意してください。
3. 葬儀屋のホームページから応募する
特に気になる葬儀屋があり、そこに就職をしたいと考えているのであれば、求人サイトや就職エージェントなどではなく、葬儀屋のホームページから直接応募してみるのもおすすめです。
人材を募集している葬儀屋の場合は、ホームページに採用情報として求人を掲載しています。そこから気になる求人を見つけられたら、履歴書等とともに応募してみましょう。
ホームページから直接応募することで、就職に対する熱意をアピールできるだけでなく、企業からすればノーコストで人材を採用できるため、内定をもらえる期待も高められます。
葬儀屋によってはホームページをしっかりと更新していないこともあるため、求人サイトと見比べながら、求人募集状況をチェックすることを意識しておきましょう。
葬儀屋のキャリアパス
葬儀屋として働くことで、以下のようなキャリアパスを歩むことができます。
- 葬祭責任者
- 企画や営業部門に異動
- 葬送業界の別職種に転職する
- 別業界に転職する
様々なキャリアパスを歩むことができますので、葬儀屋を目指すのであれば事前に理解しておきましょう。それぞれ詳しく解説します。
1. 葬祭責任者
葬儀屋として就職すると、まずは小さな葬儀を担当することになります。
基本的に主任の指示に従って、自分の業務を進めていくことでスキルを身に付けていきます。
担当として一人前になったら、葬祭主任として自分で葬儀を担当するようになります。
およそ4〜5年程度経験を積むことができたら、葬祭責任者として葬儀全体のディレクションを担当する役職に就くことが可能です。一般的な会社でいうと課長や部長の層です。
役職がつきますので責任も増えますが、その分給料を増やすことが可能です。
2. 企画や営業部門に異動
葬儀を直接進行するような仕事だけでなく、大規模な葬儀屋であれば企画や営業の部門などに異動することが可能です。営業であれば提携先となる病院や介護施設を開拓したり、相続に関するアドバイスなど別業態の営業を行うことがあります。
企画職であれば、プロモーションや広報活動などにより、自社の葬儀屋に相談をしてくれる顧客数を増やすなど、別のミッションを担い仕事に向き合っていくことになります。大規模な葬儀屋であれば、このように社内異動で様々な経験を積むことも可能です。
3. 葬祭業界の別職種に転職する
同業界への転職もキャリアパスの1つです。葬儀に関連する生花店や精進落としなどの料理を作る飲食など、似たような業界にスライドする形で転職をすると、葬儀屋としての経験を活かすことも可能です。
別業界の別職種転職になると未経験転職となるため、面接では葬儀屋の経験がどのように活かせるのかをしっかりと面接官にアピールすることが大切になってきます。
4. 別業界に転職する
葬儀屋以外の業務経験を積みたいと考えたら、別業界に転職することも可能です。
特に葬儀屋の場合は、顧客に対する丁寧なコミュニケーション能力を養える仕事のため、同じくコミュニケーション能力が強く求められる営業職やサービス職、販売職などに有利に転職できると考えられます。
別業界に転職する場合は、葬儀屋としてどのようなことに取り組んできたかであったり、実際にどれぐらいの業績を上げられたかなど、数値でも実績をアピールすることが重要です。
少しでも不安がある人は、就職エージェントなどを使って転職活動をする葬儀屋経験者もいます。
葬儀屋の一日のスケジュール
葬儀屋の1日のスケジュール例としては以下のようなものになっています。
- 8:30葬儀や告別式会場の準備
- 10:00葬儀・告別式の開始
- 11:00出棺
- 12:30火葬
- 13:00初七日法要・精進落とし
- 16:00事務所に戻る
- 16:30事務作業
- 17:00退勤
今回は、葬儀や告別式がある日の葬儀屋の1日を例にして解説します。
就職後に葬儀屋として働くイメージを具体化し、就職活動や面接に役立てるようにしてみてください。
8:30 葬儀や告別式会場の準備
葬儀や告別式の当日は、事前に手配をしておいた会場にて遺族から弔電を預かります。また、供花が会場に届いている場合は、その配置や順番を決めていきます。
会場の細かな設営については、葬儀屋ではなく会場のスタッフが対応しますが、細かな質問が来ることがありますので、葬儀屋として適切に指示を行います。
10:00 葬儀・告別式の開始
葬儀や告別式が開始したら、運営をサポートすることもあります。
担当によって業務は変わりますが、司会進行や僧侶の案内、遺族のサポートや参列者の誘導など状況によって対応内容が変わりますので、臨機応変に応対を進めていきます。
11:00 出棺
告別式が終了すると、棺に生花を入れ故人と最後のお別れを行います。
時間の関係もありますが、遺族や弔問客の最後の時間となりますので、うまく状況を見極めて火葬に案内して行きます。
12:30 火葬
出棺が完了したら火葬を行います。火葬をした後は遺族によってお骨上げを行います。
火葬場は告別式を行った場所とは離れていることもありますので、場合によっては遺族を葬儀屋が車で送迎するケースもあります。
13:00 初七日法要・精進落とし
火葬が終わったら初七日法要を行います。
加えて、遺族が精進落としと呼ばれる会食を実施しますので、配膳の担当になっている場合は食事を準備することになります。
16:00 事務所に戻る
精進落としまで完了すると葬儀の項目は全て終了となりますので、最後に請求書を発行して遺族にお渡しします。
その後、遺族を見送って自分は事務所に戻ります。
16:30 事務作業
葬儀の対応を全て終わらせることができたら、その日のうちにやっておくべき事務作業を事務所で対応します。
特に事務作業がない場合は、葬儀会場から直帰になるケースもあります。
17:00 退勤
葬儀の対応をする日は、基本的に無事に葬儀が終わったら退勤になります。残業は特に発生しないことが多いため、比較的早く退勤することが可能です。
葬儀屋の仕事のやりがい
葬儀屋として働くことには、以下のようなやりがいが挙げられます。
- 遺族からの感謝の言葉をもらえる
- 人生の最後の瞬間を彩れる
- 葬儀の都度達成感や安心感を感じられる
- 社会的意義を感じやすい
それぞれ詳しく解説します。
1. 遺族からの感謝の言葉をもらえる
葬儀屋は故人の最後の瞬間である葬儀を担う仕事のため、残された遺族から直接感謝の言葉をもらえるといったやりがいがあります。他の仕事では人の死というものに関わる機会はありません。そのため、当然ながら遺族と会話をするといった機会は存在しないのが普通です。
しかし葬儀屋は常にといって良いほど、人の死に近い場所で働くことになります。
悲しみに暮れている遺族に対して寄り添う形でフォローを行えるのは葬儀屋の仕事だけと言えます。中には気力を失ってしまっている遺族を相手にすることもありますが、一生懸命葬儀を実現することで、遺族の新たな1歩を踏み出す手助けもできるでしょう。
2. 人生の最後の瞬間を彩れる
葬儀は故人にとって人生の最後の瞬間です。
人生に1度しか訪れない葬儀という場を取れるというのは、葬儀屋しか感じることのできない仕事のやりがいと言えます。
冠婚葬祭の中でも、葬儀は結婚式などと違って楽しさや盛り上がりといった事はありませんが、その必要性は結婚式以上とも捉えることができます。
最近では簡略された葬儀も流行ってはきていますが、葬儀そのものをしないというケースはあまりありません。葬儀屋として仕事を進めていくことで、様々な人の人生の最後を垣間見えるというのは葬儀屋でしか味わえない尊い瞬間ともいえます。
3. 葬儀の都度達成感や安心感を感じられる
葬儀を行うには、遺族とのコミュニケーションだけでなく関係する業者とのスピーディーなやり取りが必要になります。ご遺体には防腐処理がされているものの、いつまでも葬儀まで安置所に安置しておくことはできません。
一般的に、葬儀までの期間はおよそ3日から5日とされています。
短い期間で様々な業者を取りまとめ、葬儀や告別式の準備を進めていくため、プレッシャーを感じる一方、葬儀の都度達成感や安心感を感じられるといった葬儀屋ならではのやりがいを感じられます。
人が何十人も集まるような場を数日でセッティングするといった仕事はほとんどありません。結婚式であれば半年以上準備にかけますし、イベントプランナーなどであれば1年以上準備に時間をかけることもあるでしょう。
その点でいうと、短いスパンでたくさんの人間関係や業者の調整ができるという仕事上のやりがいも感じられるはずです。
4. 社会的意義を感じやすい
葬儀屋は社会的に必要な仕事となっていますので、働いていることで社会的意義を感じやすいといったやりがいもあります。
葬儀屋であることはあまり人にアピールできるようなことではないと感じてしまうかもしれませんが、間違いなく社会にとって必要な仕事ができているため自尊心も補えるでしょう。
もし、葬儀屋がいないと適切に葬儀ができなくなってしまうため、日本社会に大きな影響を与えるかもしれません。それだけ葬儀屋は重要な仕事といえます。
世の中のニーズとしても普遍的な領域の仕事ですので、知見を磨いて社会貢献をしたいといった人にも向いている仕事です。
葬儀屋に就いて良かった人の声
葬儀屋に就職して良かったという人の声には、以下のようなものが挙げられます。
- 利用者から直接口コミをいただける
- 一人で葬式を運営できて成長実感がある
- 自分の人生を見つめ直すきっかけになった
それぞれ簡単に声をご紹介しますので、葬儀屋を目指している人は参考にしてみてください。
1. 利用者から直接口コミをいただける
葬儀屋は消費者向けのサービスを提供していますので、Googleや葬儀屋口コミサイトなどで利用者から直接口コミをいただくことができます。自分が頑張って丁寧にサポートをしたことが利用者から褒められることもあり、自分の仕事を認めてもらえていると感じる人がいます。
中にはお叱りの言葉をいただくこともあるかもしれませんが、ポジティブに捉えて自分の日頃の仕事の糧にしている葬儀屋の人もいます。
短い期間ではありますが、遺族にとって重要な存在と認識されることもあり、社会に対してはもちろん遺族の人生にも影響を与えられるかもしれません。
2. 一人で葬式を運営できて成長実感がある
葬儀屋のキャリアパスは比較的シンプルなため、未経験で就職した直後だと簡単な仕事しかできません。しかし、経験を積むことで1人で葬式の運営をすることも可能です。
成長実感を持ちやすい仕事とも言えるため、そういった点が葬儀屋に就職して良かったと話す人も多くいます。
葬式や告別式を運営するためには様々な知識が必要ですが、ITエンジニアのように日々新しい物事を覚えなければならないわけではありません。そのため、一度知識を習得することができれば、着実にステップアップしていける点が特徴の仕事となっています。
仕事での成長実感を強く持ちたいという人は、葬儀屋を目指してみるのも良いかもしれません。
3. 自分の人生を見つめ直すきっかけになった
葬儀屋は他人の人生の最後を看取る仕事のため、働いていて自分の人生を見直すきっかけになると答えている人もいます。
他の仕事では、働いていても自分の人生どころか目の前の業務だけを見つめることしかできないケースが多いため、葬儀屋ならではの働くメリットとも言えるでしょう。
実際に葬儀屋として働いていて、遺族の人が「亡くなった人ともう少し会話をしておけばよかった」などと後悔の言葉を聞き、自分の両親に感謝の言葉を伝えたというケースも見られます。
葬儀屋になるメリット
葬儀屋になるメリットとしては以下のポイントが挙げられます。
- 無資格・未経験でも正社員になりやすい
- 希望するエリアで働き続けられる
- 仕事を覚えやすい
- 将来的になくなりにくい仕事
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
1. 無資格・未経験でも正社員になりやすい
葬儀屋に就職するために必須となる資格がありません。
もちろん葬儀屋として就職した後に取っておきたい資格はいくつかありますが、資格の中には葬儀屋としての実務経験の年数が受験資格となっていて、未経験者の資格取得をそもそも想定していないようなものもあります。
また、葬儀屋という仕事がそもそも特殊なこともあり、求人の多くが未経験者関係で募集されているといった傾向も見られます。経験や資格がなくても就職しやすいということで、社会人としてのキャリアの1歩を歩みたいという人にもおすすめできる仕事と言えるでしょう。
2. 希望するエリアで働き続けられる
葬儀屋の多くが地元に根ざした経営をしています。これは葬儀屋が地元の医療機関や警察、介護施設等と連携をすることが重要なためであり、全国展開をする葬儀屋よりも地元密着型の葬儀屋の方がある種強いといった特徴があります。
そうした背景もあり、葬儀屋は希望するエリアで長く働き続けられるといったメリットが挙げられます。全国転勤を避けたいと考えている人でも、地域に根ざして働き続けられるという点は嬉しいポイントと言えるのではないでしょうか。
3. 仕事を覚えやすい
葬儀屋は特殊な仕事のため、宗教や葬儀に関連したマナーなどを覚えなければなりませんが、一度覚えた知識を常に仕事で発揮し続けることができることもあり、仕事を覚えやすいといったメリットもあります。
もちろん臨機応変に対応しなければならない状況はたくさんありますが、覚えた知識で対応できるものの方が多く、業務の難易度としてはそこまで高くないといった特徴があります。
物覚えに自信がない人でも着実にレベルアップしていける仕事のため、やる気があれば誰でも葬儀屋として活躍できると考えられます。
4. 将来的になくなりにくい仕事
今でこそ葬儀は簡略化されてきているものの、葬儀そのものは行われています。このことから、将来的になくなりにくい仕事という点もメリットの1つとして挙げられるでしょう。
AIによって様々な仕事が失われると言われていますが、人を弔う気持ちというものはAIに代替される事はありません。
葬儀屋として学んだスキルや経験は、今後数十年にわたって活かしていけるとも考えられますので、長く働ける仕事につきたいと考えている人ほどメリットに感じられるはずです。
葬儀屋になるデメリット
葬儀屋になるデメリットとしては以下のポイントが挙げられます。
- 肉体的にも精神的にもハード
- プライベートが犠牲になりやすい
- 年収が低め
葬儀屋を目指すのであれば、メリットだけでなくこれらのデメリットもしっかりと理解しておくことが大切です。それぞれ詳しく解説します。
1. 肉体的にも精神的にもハード
葬儀屋は夜勤のシフトがあるだけでなく、ご遺体を搬送したり葬儀場の運営や業者との調整など、肉体的にハードな働き方が求められます。
加えて、人の死というものを扱うだけでなく、精神的にネガティブな状態のご遺族とコミュニケーションを取らなければならないため、精神的なハードさも求められます。
このように、葬儀屋は肉体的にも精神的にもハードな仕事というデメリットが挙げられます。
特に夜勤のシフトによる肉体的な負担は働いてみないとわからないことが多く、人によっては葬儀屋になった後に働き方が合わないと感じて早期離職してしまうケースもあります。
2. プライベートが犠牲になりやすい
葬儀屋の働き方は基本的にシフト制になってきます。
土日や祝日など決まった曜日で休むことができないだけでなく、お盆期間や年末年始といった長期休暇期間でも仕事をしなければならないため、プライベートが犠牲になりやすいといったデメリットも挙げられます。
趣味を始めとしたプライベートな時間をうまく取れないと、働いていてストレスが溜まり続けてしまうこともありますので気をつける必要があります。
3. 年収が低め
厚生労働省が発表した令和4年賃金構造基本統計調査によれば、葬儀屋が属する生活関連サービス業の平均年収は362万円となっています。月収でいうと25万円〜30万円のゾーンになってきますが、ハードな働き方の割に年収が低めといったデメリットが挙げられます。
もちろん上の役職に昇格することができれば収入を上げることができますが、5年から10年程度は昇格に時間がかかるということもあり、長い期間低い年収で働かなければならない点はデメリットといえます。
葬儀屋の求人選び
葬儀屋の求人を選ぶ際には以下のようなポイントを意識してみてください。
- 企業理念がマッチしているか?
- 就職口コミサイトの評価もチェック
- 利用者の口コミも確認するとより良い
それぞれ詳しく解説します。
1. 企業理念がマッチしているか
葬儀屋に限らず、就職活動する上では企業理念が自分の考えにマッチしているかを確認することが大切です。自分の働き方や身に付けられるスキルにも関わってきますので、企業ホームページなどから必ず確認しておきましょう。
企業理念がない会社も存在しますが、そういった会社に就職するとやるべきことが上の意向でコロコロと変わってしまうこともあるため、仕事をしていてストレスが溜まることもあります。
2. 就職口コミサイトの評価をチェック
社内の働く雰囲気については、就職口コミサイトの評価をチェックすることがポイントです。気になる会社を見つけたら「会社名+口コミ+就職」などで検索をしてみましょう。
葬儀屋の場合は、ただ「口コミ」とだけつけて検索すると利用者として葬儀屋を利用したときの口コミしか出てきませんので、注意してみてください。
就職口コミサイトはそのサイトの特性上、どうしてもネガティブな意見が多く寄せられやすくなります。しっかりとネガティブな意見を見て、自分なら許容ができるかできないかを判断基準にして確認をしてみるのをおすすめします。
3. 利用者の口コミも確認するとより良い
葬儀屋としてどういったサービスを提供しているのかを確認するためにも、利用者としての口コミも確認するとより良い就職が叶えられます。
Googleなどで葬儀屋の名前を検索すると口コミがヒットします。
良い口コミが多く寄せられている葬儀屋に就職することができれば、自分が葬儀屋として身に付けられるスキルのレベルも高まることが予想されます。
葬儀屋志望のひとから「よくある質問」
最後に、葬儀屋への就職を考えている人によく見られる質問を3点取り上げて解説します。
1. 葬儀屋としてつらいことは何ですか?
葬儀屋としてつらいことは以下のようなものが挙げられます。
- 精神的にも肉体的にもつらい
- 葬儀屋という仕事に対して偏見を持たれやすい
- 気を遣う機会が多い
- なかなか昇給が難しい
この他にも会社ごとにつらいと感じるポイントは異なってきますので、気になる葬儀屋を見つけたら就職口コミサイトをチェックしてみてください。
2. 葬儀屋になるにはどんな能力が必要ですか?
葬儀屋になるには、コミュニケーション能力やタスク管理能力が非常に重要になってきます。
遺族や業者に対してのコミュニケーションがうまくできないと、葬儀の手配を整えることができません。
また、やるべきことが次々と降ってくる仕事のため、自分でやるべきことを管理して素早くこなしていくような能力も非常に大切です。
3. 葬儀屋は誰でもできる?
未経験で就職できるという観点で言うと、葬儀屋は多くの人が取り組める仕事と言えます。
ただ、実際に葬儀屋になった後は遺族とのやりとりをする精神的なきつさや、葬儀というプレッシャーのかかる行事をこなさなければならないといったこともあり、誰もが活躍できるというわけではありません。
自分に葬儀屋が向いてるかどうか分からないという人は、就職エージェントのキャリアカウンセリングなどを受けてみることもおすすめです。
まとめ
葬儀屋を目指す上で知っておきたい知識を網羅的に解説しました。
葬儀屋は未経験からでも就職して活躍ができる仕事ではありますが、就職後直後には精神的にも肉体的にもきついと感じやすかったり、夜勤が発生してプライベートの時間が取りにくかったりなど、気をつけなければならないポイントもいくつかあります。
この記事で解説したような内容をしっかりと理解した上で、葬儀屋を目指すのか検討してみてください。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい