なぜ葬儀屋はやめとけと言われるのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、葬儀屋はやめとけと言われる主な理由を9つ解説します。
あわせて、葬儀屋に向いている人や向いていない人の特徴、葬儀屋として働くメリットについても詳しく解説します。
将来的に葬儀屋への就職を検討している人は、記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
葬儀屋はやめとけと言われる理由9選
葬儀屋はやめとけと言われる理由は以下の9つが挙げられます。
- 精神的な負担が大きい
- 重労働が多く肉体的にもハード
- 労働時間が不規則で生活リズムが乱れやすい
- 年収が高くない
- 意外とノルマが厳しい
- 世間的に仕事への印象があまり良くない
- キャリアパスが見えにくい
- 業務の幅が広く覚えることが多い
- 身に付くスキルが限定的
それぞれ詳しく解説します。
1. 精神的な負担が大きい
葬儀屋は業務で常にご遺体と向き合う必要があります。
基本的に葬儀屋が対応する時点では、ご遺体に対して医療従事者による処置が行われていますので、身体に損壊があったり体液が漏れ出しているといった事はありません。
まるで眠っているかのようなご遺体の対応をするものの、どうしてもご遺体を目にする機会が多くなってしまうことから、精神的な負担が大きいという点は避けられないでしょう。
また、ご遺体だけでなく遺族とも会話をする機会が多いのが葬儀屋の仕事の特徴です。
遺族も悲しみの中で葬儀の打ち合わせを行うため、ネガティブな感情が自分にも伝播してしまい、暗い気持ちの中で働かなければならないことも考えられます。
2. 重労働が多く肉体的にもハード
葬儀屋は、ご遺体の搬送や斎場の組み立てなど肉体労働が多いのも特徴です。
そのため、精神的だけでなく肉体的にもハードという点が、葬儀屋はやめとけと言われる理由と考えられます。
ただ、葬儀屋といっても様々な働き方や職場がありますので、応募する求人を選べば肉体労働があまり発生しないポジションで働くことも可能です。
デスクワーク中心の葬儀屋はほぼありませんが、少しでも肉体労働を避けたい人は求人票の仕事内容の中身をしっかりと確認しておくようにしましょう。
3. 労働時間が不規則で生活リズムが乱れやすい
葬儀屋は、人が亡くなった連絡を受けたらすぐに現場に移動してご遺体を搬送し、腐敗を防ぐ処置を行う必要があります。当然ながら人はいつ亡くなるか分からないため、結果的に葬儀屋はシフト制で24時間働くような仕事となっています。
働き方改革が進んでいる会社も少なくはないものの、依然として夜勤のシフトがある葬儀屋も珍しくはありません。日勤と夜勤を交互に繰り返すような働き方を続けていると、労働時間が不規則になってしまい、生活リズムが乱れるといったリスクに繋がります。
夜勤だけでなく、早朝勤務など働く時間が読めないため、プライベートを満喫することも難しくなるといった点が葬儀屋やめとけと言われている理由の1つです。
4. 年収が高くない
厚生労働省が発表している令和4年賃金構造基本統計調査によれば、葬儀屋が属する生活関連サービス業の平均月収は約27万円となっています。同調査における全体の平均月収は約31万円であるため、年収が高い仕事ではないことが分かります。
月収にして4万円の差があるため、年収にするとおよそ50万円もの差になると計算できます。肉体的にも精神的にもハードな働き方をしているにもかかわらず、収入が低めであることから、趣味やプライベートで使えるお金が少ないという点も葬儀屋はやめとけと言われる理由の1つです。
5. 意外とノルマが厳しい
葬儀屋はご遺体の搬送や葬儀の打ち合わせといった業務が中心となってきますが、意外とノルマが厳しい仕事でもあります。
葬儀屋は最終的に利息に対して葬儀料金の見積もりを出し、葬儀の申し込みをしてもらう必要があります。その際、できるだけ豪華な葬儀にしてもらえるよう営業をかけなければならない会社もあります。
他にも、個人に対してテレアポ営業や飛び込み営業などを行うような、冠婚葬祭互助会形態をとっている会社もあります。葬儀という仕事に向き合いたいと思って就職したにもかかわらず、ノルマが厳しく退職してしまう葬儀屋もいると言われています。
6. 世間的に仕事への印象があまり良くない
葬儀屋は人の死を扱う仕事になるため、第三者からの印象があまり良くないといった点もやめとけと言われる理由に挙げられます。
図らずも「縁起の悪い人」や、「24時間走り回ってご遺体と触れ合い続けている人」と思われてしまうと、結婚相手を探す時にも苦戦してしまうかもしれません。
もちろん、葬儀屋の仕事は社会貢献性が高く、人の人生の最後を彩れる素晴らしい仕事ではありますが、世間体という観点で言うと必ずしも良いとは言い切れないことを認識しておく必要があります。
7. キャリアパスが見えにくい
葬儀屋は、いわゆるスタッフとして決められた業務をこなしていく仕事です。
業務で活躍しても、その後のキャリアパスが見えにくく、昇格や昇給はしていけるのか不安を感じやすいというのも葬儀屋をやめとけと言われる理由の1つです。
葬儀屋は収入が低めであることを解説しましたが、少しでも収入を上げるためにはキャリアアップをしていかなければなりません。
ただ、葬儀屋のキャリアパスは他の仕事に比べて比較的限定されているため、ポストが少なく、真面目に働いていてもキャリアアップが見込めないような会社も見られます。
8. 業務の幅が広く覚えることが多い
葬儀屋として就職すると、最初のうちは覚えることが多いと感じることがあります。
ご遺体の搬送だけでなく、葬儀の見積もりの取り方や様々な業者と仕事を進めていく方法を始め、幅広い業務知識が求められます。
加えて、葬儀は宗教とも密接に関連しているため、様々な宗教の知識も継続して覚えていく必要があります。このように、肉体労働でありながらも覚えることが多いという点も認識しておく必要があるでしょう。
9. 身に付くスキルが限定的
葬儀屋として働くことで、コミュニケーション能力や調整力といった汎用的なスキルを身に付けられます。
その他に身に付けられるスキルとしては、葬儀を行うことそのものに対する知識となりますが、この知識は他の仕事で活かすことが難しく、限定的なものであることは認識しておく必要があります。
将来的なキャリアパスを考えた際、身に付いているスキルが限定的だと転職で苦戦してしまうこともあるでしょう。幅広いキャリアを止めるようなスキルを身に付けたいと思っている人は、葬儀屋以外の仕事が向いている可能性も考えられます。
やめとけと言われる葬儀屋に向いてる人の特徴
様々な理由からやめとけと言われる葬儀屋ですが、葬儀屋として働くのに向いている人の特徴としては以下の3点が挙げられます。
- 思いやりの精神が強い人
- 臨機応変な対応が得意な人
- 誰かのためになる仕事がしたい人
それぞれ詳しく解説します。
1. 思いやりの精神が強い人
葬儀屋は思いやりを持って働くことが特に求められる仕事です。
ご遺体に対して丁寧な処置を行う事はもちろん、親しい家族を亡くして悲しんでいる遺族には、思いやりのある言葉を投げかけることも求められます。
葬儀屋として働く上ではもちろんコミニケーション能力が求められますが、その中でも特に相手のことを気遣った会話ができるかについては面接においても重視されます。
2. 臨機応変な対応が得意な人
葬儀屋はある程度決まった業務をルーティンワークのように進めていくのが基本ですが、人の死や遺族の性格は千差万別です。そのため、TPOに合わせて臨機応変に対応することが非常に重要です。
柔軟性が高く、周囲の状況を観察して自分がとるべき行動を選択できるような人だと、葬儀屋として活躍していけると考えられますし、本当に遺族に寄り添ったコミュニケーションができるはずです。
3. 誰かのためになる仕事がしたい人
葬儀屋が行う葬儀は、遺族とご遺体の最後の別れの儀式といった役割があります。
当然ながら、その人の葬儀は人生で1度しかありませんので、その1度きりの儀式を彩れるというのは葬儀屋ならではの特徴でもあります。
このことから、葬儀屋の仕事は誰かのためになる仕事がしたい人に向いていると言えるでしょう。遺族から直接感謝の言葉を言われることも多くありますので、サポート意識やホスピタリティに溢れている人にとっては、葬儀屋が天職と言えるかもしれません。
こんな人は葬儀屋はやめとけ!向いてない人の特徴
葬儀屋の仕事は、向き不向きがはっきりと分かれている仕事です。特に以下のような特徴に当てはまる人は、葬儀屋に向いていない可能性があります。
- コミュニケーション能力に自信がない人
- 感受性が豊かすぎる人
- ワークライフバランスを重視したい人
それぞれ詳しく解説します。
1. コミュニケーション能力に自信がない人
葬儀屋は常に誰かとコミュニケーションを取ることが求められる仕事です。
遺族に対してはもちろん、葬儀を行う上での様々な関係業者との調整ややりとりが発生しますので、コミュニケーション能力に自信がない人には向かない仕事だと言えるでしょう。
特に葬儀屋の場合は、遺族に対して丁寧なコミュニケーションが求められますので、相手の気持ちを理解して会話ができない人だと、トラブルやクレームに発展することも考えられます。
2. 感受性が豊かすぎる人
葬儀屋は常に人の死と隣り合わせで働くため、感受性が豊かすぎる人だと自らの感情もネガティブなものになってしまい、精神的に強いストレスを感じることがあります。
また、遺族とのコミュニケーションにおいては、亡くなった方との思い出話を聞くこともあり、自らが悲しい気持ちになって仕事が手につかなくなるといったことも考えられます。
淡白すぎる性格だと、それはそれで遺族とのコミュニケーションがうまくいかない原因になりますので、自分の感情をうまくコントロールできる人でないと葬儀屋の仕事は難しいかもしれません。
3. ワークライフバランスを重視したい人
葬儀屋はその仕事の性質上、夜勤のシフトが発生することが多くあります。
働き方としてシフト制を採用している会社も少なくなく、ワークライフバランスが保ちにくいといった注意点が存在します。
加えて、葬儀は土日や祝日に関係なく行われることも多く、決まった休みを取りたい人や、プライベートの時間をなるべく確保したいという人には、葬儀屋の働き方がマッチしないと考えられます。
ただ、葬儀屋によっては夜勤がそもそも発生しなかったり、別の職種に異動して日勤業務だけをするなど、柔軟な働き方が選択できるケースもあります。
ワークライフバランスを重視したいのであれば、葬儀屋の求人を見るときは勤務時間やシフト制の有無などをチェックしておくと良いでしょう。
やめとけと言い切れない?葬儀屋で働くメリット
働くのはやめとけと言われやすい葬儀屋ですが、葬儀屋で働くからこそ感じることができるメリットとして以下のようなものが挙げられます。
- 社会的意義の高い仕事
- 未経験からでも正社員就職しやすい
- 遺族から本心で感謝される
これらをメリットだと感じられる人であれば、葬儀屋を目指してみるのも良いでしょう。
それぞれ詳しく解説します。
1. 社会的意義の高い仕事
葬儀屋の仕事は非常に社会的意義が高いです。
人間は誰しも最後には亡くなってしまいます。亡くなった後には最後の晴れ舞台として葬儀が存在しているため、葬儀屋は社会にとって不可欠な仕事と言えるでしょう。
昨今では大々的な葬儀ではなく、家族葬のように小規模で実施する葬儀も増えてきています。
社会の潮流の変化にうまく対応をしていくことができれば、仕事で社会貢献をしていると言った実感も持てるはずです。
2. 未経験からでも正社員就職しやすい
葬儀屋は求人数に対し、就職したいと考えている求職者数が少ない傾向にあると言われています。
加えて、葬儀屋に就職するには専門的なスキルが必須なわけではないため、未経験からでも正社員就職がしやすいというのは大きなメリットです。
また、未経験だけでなくそれまでの学歴や職歴を不問にして募集している求人も多く見られますので、フリーターや既卒といった人でも適切に自己PRができれば正社員就職ができるでしょう。
葬儀屋に正社員として就職した後は、社内異動で別の仕事にチャレンジすることもできますし、コミュニケーション能力を徹底的に磨いて営業職や販売職などの別のキャリアに転職することもできるようになります。
3. 遺族から本心で感謝される
葬儀は遺族にとって亡くなった方との最後の別れの場ですので、葬儀を問題なく行うことができると、遺族から本心で感謝されることができます。
第三者から本心で感謝されるような仕事は葬儀屋以外にはあまりありません。
誰かのためになる仕事を一方的にするのではなく、自分の仕事に対して適切に感謝の言葉をもらいたいなど、やりがいを重視した仕事選びをしたい人には葬儀屋の仕事がおすすめできます。
よくある質問
最後に、葬儀屋に関するよくある質問を3つ取り上げて解説します。
1. 葬儀屋の収入は平均でいくらですか?
厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によれば、葬儀屋が属する生活関連サービス業の月収が約27万円であることがわかっています。ボーナスを無視すると、葬儀屋の年収は平均で326万円程度と計算できます。
全体の平均年収よりかはやや低めな水準ですが、会社によっては葬儀に関連する資格を取得することで収入を上乗せしてもらえるようなケースもあります。
もらえる収入や手当については求人票に必ず記載がありますので、応募前にチェックをしておいてください。
2. 葬儀屋としてつらいことは何ですか?
葬儀屋としてつらいことには、以下のようなものが挙げられます。
- 肉体労働がつらい
- 精神的につらい気持ちになりやすい
- 第三者からの印象がよくない傾向にある
- 配慮をしなければならないことが多い
- 就職後に勉強することが多い
- 夜勤がある
これから葬儀屋を目指そうとするのであれば、これらのつらいことがあることを認識した上で応募する必要があります。
3. 葬儀屋の離職率は?
厚生労働省の発表する令和4年雇用動向調査結果の概況によれば、葬儀屋が属する生活関連サービス業の離職率は18.7%となっています。
全職種の平均離職率が15.0%であることから、葬儀屋の離職率は全体よりも高いと考えられます。
ただ、会社によっては離職を食い止めるために福利厚生や待遇を積極的に改善しているケースもありますので、会社ごとの離職率を知りたい人は就職エージェントなどのプロに情報を教えてもらうのがおすすめです。
まとめ
葬儀屋に就職するのはやめとけと言われる理由を詳しく解説しました。
確かに葬儀屋は体力的にも精神的にもハードであることに加えて、夜勤が発生したり収入が全体よりも低めであるといった点があるものの、仕事の社会的意義が高く、かつ遺族から感謝の言葉をもらえるといったやりがいの強い仕事でもあります。
自分が葬儀屋に向いているのかどうか詳しく知りたい人は、就職エージェントのキャリアカウンセリングを受けてみるのもおすすめです。
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