正社員になれないなら、アルバイト先を辞めるべきなのではないかと考えている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、非正規から正社員になれないなら辞めるべきなのかどうかについて解説していきます。また、正社員になれない原因を洗い出した上で、これから正社員を目指そうとする非正規の人が意識しておきたいコツについても解説します。
正社員になれないなら辞めるべきかどうか悩んでいる人は、記事の内容を就職活動の参考にしてみてください。
この記事の目次
非正規から正社員になれないなら辞めるべき?
非正規から正社員になれないなら辞めるべきかどうかについては、身の回りの状況や自分の考え方によって変わってきます。
まずは、非正規から正社員になれないなら辞めるべきかどうかについて詳しく解説していきます。
正社員登用制度がないなら辞めるのも手
アルバイトやパートなどの非正規雇用で働いている場合、就業先に正社員登用制度がないのであれば、辞めることも選択肢になってきます。
正社員登用制度とは、非正規雇用で働いている人の中でも、正社員になりたいと考えている人や勤務態度が評価されている人に対して、雇用切り替えを行って正社員になれる制度のことを言います。
同じ就業先で正社員として働くことができるため、手っ取り早く正社員になるのに有効な方法です。
ただ、正社員登用制度はどんな会社でもあるわけではありません。
正社員をそもそも必要としていない場合もありますし、正社員の採用は別のルートで選考を行っているといったことも考えられます。
そのため、正社員登用制度がそもそもないようなバイト先で働いている場合、どれだけ真面目に働いても正社員になることはできません。
早く正社員になりたいのであれば、正社員登用制度のないバイト先を辞めて就職活動を始めるか、正社員登用制度のあるバイト先に変えるかといった方法が選択肢になってきます。
一年未満で辞めるのは避けた方がいい
正社員を目指すために今働いているバイト先を辞めようとする場合、働き始めてから1年未満で辞めるのは避けるべきと考えられます。
なぜなら、新しいバイト先を探すにしろ正社員を目指して就職活動をするにしろ、「同じ勤務先で1年も仕事が続かなかった」という見られ方をしてしまうからです。
アルバイトであっても正社員であっても、求人企業は長く働いてくれそうな人を採用したいと考える傾向にあります。もしバイトを1年未満で辞めてしまうと「この人は採用しても長く働いてくれなそう」と判断されてしまい、書類選考や面接で落ちる可能性が高まりかねません。
今働いているバイト先の勤務期間が1年未満の場合は、バイトを辞めずにフリーターをしながら正社員を目指す就活をするのがおすすめです。
将来を見据えた上で判断するのがおすすめ
正社員になれないなら辞めるという短期的な考えだけで仕事を転々としてしまうと、やめ癖がついてしまいます。自分が気に入らなかったことがあるたびに仕事を辞めるような判断をするようになりかねませんので、将来的に仕事が長続きできないリスクが高まります。
そのため、現在フリーターとして働いていて正社員を目指したいのであれば、中長期的なキャリアビジョンをぼんやりとでも良いので持っておきましょう。
「いつまでに正社員になるのか」「正社員として、こういったスキルを身に付けていきたい」といったビジョンを持っておけると、就職活動でのアピールにもなります。
非正規から正社員への登用は難しい?
非正規で働く人が正社員を目指す方法として最も手早いのが正社員登用制度の利用です。
ただ、正社員登用制度を使ってどれくらいの人が正社員になれているのか気になる人も多いでしょう。
ここからは、非正規から正社員への登用を目指す人が知っておきたい知識について、データをもとに解説します。
非正規から正社員登用を目指すのは若干難しい
厚生労働省の調査によれば、正社員登用制度があると回答した事業所は全体の46.5%となっています。また、その46.5%のうち正社員登用制度を実際に活用して正社員に雇用切り替えを実施したと回答する事業所は52.2%となっていました。
つまり、割合的な計算でいうと100人のフリーターがいた場合、正社員登用制度を使って正社員になれる人数は約24人ということが分かります。言い換えれば、24%の人しか正社員登用制度で正社員になれないという計算になりますので、若干ハードルの高い方法であると言えるでしょう。
特にここで認識しておきたいのが、正社員登用制度がある事業所が46.5%と半分を切っているという点です。しっかりと吟味してバイト先を選ばないと、そもそも正社員登用制度を利用できないといったケースも少なくないため注意してください。
5年以上働けば正社員になれる
非正規雇用として5年以上同じバイト先で働いたときには、「無期転換ルール」を使うことで正社員になるという方法も存在します。
無期転換ルールとは、同じ雇用元との間で、期間に定めのある労働契約が5年を超えて更新された場合、契約社員やアルバイトとして働く労働者からの申し出によって無期労働契約(正社員)に転換されるルールのことを言います。
無期転換ルールによって求職者から正社員になりたい旨の話を受けた際、雇用者は断ることができないルールになっています。つまり、5年間同じバイト先で働けば原則正社員になれるということです。
高い可能性で正社員になれる無期転換ルールですが、正社員になるまでに5年もの時間を要してしまいます。
5年間フリーターとして働くか正社員として働くかによって、生涯の収入が大きく変わってきてしまいますので、正社員になりたい意欲があるのであれば無期転換ルールを待たずに正社員を目指して就職活動するのがおすすめです。
参考:厚生労働省「無期転換ルールについて」
正社員になれない原因
非正規から正社員になりたいのであれば、まずは自分が正社員になれない原因を知っておく必要があります。
一般的に正社員になれない原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 会社から声がかかることを待っているだけ
- そもそものスキルが足りていない
- 自分の魅力をアピールできていない
- 基本的なビジネスマナーがない
- 仕事に対するこだわりが偏っている
- 自主的な行動ができていない
- 会社の経営状況・経営者の方針
自分がどういった原因が当てはまるのか認識した上で、就職活動に役立てていきましょう。それぞれ詳しく解説します。
1. 会社から声がかかることを待っているだけ
正社員になるためには、自分から積極的に行動していくことが重要です。
それにもかかわらず、会社から「正社員にならないか」と声がかかるのを待っているだけだと、いつまでたっても正社員になることはできません。
現在非正規として働いているからといって、その会社で正社員になれる可能性が高まっているということはありません。会社によっては選考ルートが分かれていて、非正規は非正規、正社員は正社員と分けて考えているケースもあります。
そのため、非正規として自身が活躍できていると思っていても、一向に正社員になるような声かけをされないといったこともあり得ます。
2. そもそものスキルが足りていない
非正規と正社員では求められるスキルが異なってきます。
特に非正規の場合は、言われたことを着実にこなすタスク処理能力が強く求められる傾向にあります。自分ではスキルが足りていると思っていても、正社員として活躍できる水準のスキルがないと判断されていれば、正社員になることはできません。
自分が正社員として活躍できるスキルがどれくらいあるのかについては、客観的に判断してもらうことで確認できます。
手っ取り早いのは正社員の面接を受けてみることですが、就活支援のプロである就職エージェントのキャリアカウンセリングでも、自分のスキルを見極めてもらうことができます。
3. 自分の魅力をアピールできていない
正社員の就活を進めているにも関わらず、面接になかなか通らないという人もいるかもしれません。面接で合格が出ない原因としては、自分の魅力をアピールできていないという原因も考えられます。
どれだけ素晴らしいスキルを持っている人であっても、面接で正しく自己PRができなければ内定を勝ち取ることは難しいです。自分の魅力をアピールするためにも、強みと弱みを言語化できる自己分析に取り組むようにしてみてください。
自己分析については、後ほど詳しく解説します。
4. 基本的なビジネスマナーがない
非正規として働いているのであれば、ビジネスマナーに多少難があっても問題ないとされている職場が少なくありません。しかし、正社員として働くのであれば会社の看板を背負うことになるので、ビジネスマナーが特に重要視されます。
面接などの場において基本的なビジネスマナーがなっていないと判断されると、いつまでたっても正社員になることができません。
正しい敬語表現の使い方や細かな挙動を始め、ビジネスマナーとして習得しておくべきポイントはいくつか考えられます。余裕のある人はビジネスマナー検定などの資格取得を目指してみても良いでしょう。
5. 仕事に対するこだわりが偏っている
現在は様々な種類の仕事の求人が募集されていますが、仕事に対するこだわりが偏っていると応募できる求人の種類が減ってしまい、正社員になかなかなれないこともあるでしょう。
求人を探す上では、自分の希望条件を複数設定して比較検討することが可能です。
ただし、条件を絞りすぎてしまうと該当する求人数が減ってしまいます。加えて、最初から仕事に対して偏見を持って応募先から除外してしまうと、実は自分に向いているような求人を見逃すことにも繋がります。
非正規から正社員になりたいのであれば、まずは仕事に対するこだわりや偏見をなくすことから始めてみるのも良いかもしれません。
6. 自主的な行動ができていない
先ほども解説した通り、正社員になるには自主的に行動していくことが重要です。
正社員登用制度を活用したいのであれば、店長に正社員になりたい旨を伝える必要がありますし、就職活動を進めるのであれば自ら積極的に応募していくアクションが重要になってきます。
正社員になるには待ちの姿勢でいることはできません。
自分から正社員になりたいことを公言して行動していかないと、いつまでたっても非正規のままということは認識しておいてください。
7. 会社の経営状況・経営者の方針
正社員登用制度があるにもかかわらず、正社員になれない理由として会社の経営状況や経営の方針も挙げられます。
業態にもよりますが、一般的に正社員登用制度を使って非正規の従業員を正社員にすることで人件費が上がります。人件費を抑えるような経営をしている会社だと、正社員登用制度があるにもかかわらず、正社員を増やさないといった判断をすることもあるでしょう。
また、会社によっては正社員と非正規の割合をコントロールしようとしているケースもあります。そういった会社で正社員が増えている場合、経営判断によってこれ以上正社員を増やさないようにするために、正社員登用制度を活用できないということもあるでしょう。
この原因はタイミングによるところが大きいため、今は正社員になれなくてもいずれ正社員登用制度を使って正社員になれる可能性もあります。
非正規から正社員登用が難しいときの対処法
非正規から正社員登用制度を使って正社員になるのが難しいときには、以下のような方法に取り組んでみましょう。
- 自己分析を行う
- 求人サイトを利用する
- 就職エージェントを活用する
それぞれ詳しく解説します。
1. 自己分析を行う
非正規から正社員を目指そうとする時は、まず自己分析を行うようにしてください。
自己分析とは、今までの経験を棚卸しし、自分の強みと弱みを言語化して、自分にマッチした職業を見つけられる分析のことを言います。それだけでなく、自己分析ができると自分のアピールポイントを言語化できるようになるため、正社員を目指す面接の場での自己PRに説得性が増します。
フリーターの自己分析のやり方としては以下の記事で詳しく解説していますので、合わせて参考にしてみてください。
2. 求人サイトを利用する
正社員登用制度が利用できない場合は、いきなり正社員を目指して就職活動をするのが選択肢になってきます。求人サイトを利用することで、掲載されている求人に応募して就職活動を進めていくことが可能です。
求人サイトの特徴としては、フリーターでも正社員として就職しやすいような学歴・実務経験不問の求人が多いという点が挙げられます。加えて、サイトによっては数千件以上もの求人が掲載されており、自分の希望条件にマッチした求人を多く見つけられるでしょう。
ただし、求人サイトは応募書類の準備から企業との面接日時の調整まで、全て1人で行う必要があります。就職活動が初めてという人であったり、フリーターとして忙しく働いている人だと対応が難しいこともあるということは認識しておいてください。
3. 就職エージェントを活用する
正社員になれずに悩んでいる非正規の人には、就職エージェントの活用がおすすめです。
就職エージェントを活用することで、自分専任のアドバイザーが担当につき、様々なサポートをしてくれるようになります。
例えば登録直後に行うキャリアカウンセリングでは自分に向いてる求人の種類や活かせるスキルが分かりますし、自分にマッチしている求人を紹介してもらうことも可能です。
他にも履歴書などの応募書類を添削してもらえたり、模擬面接を実施してもらえるなど、選考に通過しやすくなるサポートを幅広く受けられます。
就職エージェントによって紹介を受けられる求人が変わってきますので、幅広く求人を比較検討したい人は複数の就職エージェントを活用するのがおすすめです。
非正規から正社員になるメリット
非正規から正社員になるメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 安定した収入が稼げる
- 仕事でスキルを身につけられる
- 社会的信用が高まる
それぞれ詳しく解説します。
1. 安定した収入が稼げる
非正規から正社員になることで、安定した収入が稼げるようになるといったメリットがあります。
非正規として働いている場合、シフト次第で収入が増減してしまう事は珍しくありません。
月に入ってくる収入が増えたり減ったりすると、生活が安定しないだけでなく、精神的にもストレスを感じてしまうことでしょう。
正社員は欠勤でもしない限り毎月安定した給料が入ってきます。家計のやりくりをしやすくなるため、計画的に貯蓄をしていくこともできるでしょう。
2. 仕事でスキルを身につけられる
正社員として働くことで、仕事で発揮できるスキルを身に付けられるというのも大きなメリットです。
フリーターとして得られるスキルはコミュニケーション能力とタスク処理能力のみであり、キャリアとしてのスキルはほぼ身に付きません。
一方、正社員として何らかの仕事に就くことができれば、自身のキャリアとしてアピールできるスキルが身に付きます。
スキルアップをして別の会社に転職をし、年収を上げていくといったことも可能になりますので、将来の選択肢が増やせる点は正社員ならではのメリットと言えます。
3. 社会的信用が高まる
正社員になることで社会的信用が高まるというのも大きなメリットです。社会的信用とは、自分のことを知らない第三者が自分のことを信用できるかどうか判断する水準のことを指します。
具体的には、金融機関でローンを組むときや、婚活で異性にアプローチする時などで社会的信用が大切になってきます。特に金融機関のローンについては、正社員として1年以上働いていないと審査の土台に乗らないこともあります。
非正規としてどれだけ真面目に長く働いていても、社会的な信用は得られないのが実態です。社会的信用は将来のライフイベントに直結してくるため、後悔しない人生を歩みたいのであれば今からでも正社員を目指して就活をしてみることをおすすめします。
非正規から正社員になるデメリット
非正規から正社員になるデメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 責任やプレッシャーが重くなる
- 決まった時間に働かなければならない
- 好きな仕事に就けない可能性もある
これらのデメリットもあることを認識した上で、正社員を目指すのか検討してみてください。
1. 責任やプレッシャーが重くなる
正社員になることで権利が増える分、義務も増えてきます。
仕事での責任範囲が増えることはもちろん、会社から受けるプレッシャーも重くなるため、精神的にストレスを感じやすくなるという点はデメリットと言えるでしょう。
その分、フリーターは言われたことだけをやれば良いので、大きな責任問題に発展することはほぼありません。加えて、そこまで難しい業務を任されるわけでもないため、気楽に働けるといった点が特徴です。
精神的なストレス耐性に自信がない人だと、正社員として働くことに強いデメリットを感じてしまうかもしれません。
2. 決まった時間に働かなければならない
非正規は自分の働きたいタイミングでシフトを組めれば、自身の生活リズムに合わせて働くことが可能です。しかし、正社員として働く場合は基本的に定時というものが存在してくるため、決まった時間に働かなければならないといったデメリットが生じてきます。
朝が苦手な人であっても、早朝の満員電車に揺られて通勤をしなければならなかったり、遅くまで働くことで趣味の時間が取れなくなったりすることもあるでしょう。
3. 好きな仕事に就けない可能性もある
非正規の場合、自分の就きたい仕事を選んで働けるといったメリットがあります。
一方、正社員だと多くの場合で総合職として就職するため、就職後に会社の指示によって別の仕事に異動させられることも考えられます。
場合によっては、自分が苦手だと感じているような仕事で働かなければならないという点は、正社員を目指す上で認識しておく必要があります。
正社員になれない人によくある質問
最後に、非正規から正社員になれない人によくある質問を4つ取り上げて解説します。
1. 契約社員なのになぜ正社員になれないの?
契約社員だからといって正社員に必ずなれるというわけではありません。
そもそも契約社員と正社員を別の選考ルートで採用している会社であれば、契約社員から正社員になる社内制度が整っていないことが考えられます。
社内制度が整っていたとしても、契約社員として実績を出せていなければ正社員になることはできません。ただし、契約社員として5年以上同じ職場で働いていた場合は無期転換ルールを活用して正社員になることが可能です。
詳しくは会社の人事に問い合わせてみると良いでしょう。
2. 非正規から正社員になりやすい仕事はある?
非正規から正社員になりやすい仕事としては、以下のようなものが挙げられます。
- 販売職
- サービス職
- カスタマーセンター
- 一般事務職
- 介護職
これらの仕事は、正社員登用制度が活用されていたり、正社員を目指す際の就職倍率が低いなどの特徴が見られます。
特になりたい仕事がないのであれば、これらの職種を中心に求人を検索してみるのも良いでしょう。
3. 正社員登用制度に落ちたら辞めるほうがいいでしょうか
正社員登用制度に落ちたとしても、そのバイト先を辞める必要はありません。非正規としてそのバイト先で働きながら、別の会社に正社員就職するための就活をするのがおすすめです。
ただし、正社員登用制度に落ちた後、そのバイト先にいづらさを感じるなどがあれば、別のバイト先に移ることを検討してみてもいいかもしれません。
4. 非正規でも就職エージェントは使える?
非正規であっても就職エージェントを活用することは可能です。サービスによっては、非正規で働く人を中心に就職支援を行うものも存在しています。
ただし、就職エージェントを使う際は自分の経歴をごまかすことはできないため、キャリアカウンセリングの時点で、自分は非正規雇用であることをしっかりと伝えるようにしてください。
まとめ
正社員になれないなら辞めるべきかどうかについて解説してきました。
正社員登用制度を使って正社員を目指すといった方法もありますが、実態として24%程度しか正社員になれていないというデータもありますので、バイトを続けながら正社員就職を目指すことも検討するべきでしょう。
初めての就職活動でどのように進めていけばいいのか分からない人は、就職エージェントの活用も検討してみてください。