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大卒フリーターは何割くらいですか?
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査によると、大卒フリーターの割合は男性が21.8%、女性は16.0%です。一方、高卒フリーターの割合は、男性では48.6%、女性では44.9%となっています。男女ともに高卒の占める割合が半数近くあり、大卒フリーターは1割~2割くらいです。
男性
学歴 | 2017年 |
---|---|
中学 | 11.4 |
高校 | 48.6 |
専門・短大・高専*1 | 16.9 |
大学・大学院*2 | 21.8 |
女性
学歴 | 2017年 |
---|---|
中学 | 9.0 |
高校 | 44.9 |
専門・短大・高専*1 | 28.8 |
大学・大学院*2 | 16.0 |
独立行政法人 労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状 ③」
大学卒業後にフリーターになる割合は12.4%
大学卒業後、フリーターになる割合は12.4%です。一方、大学卒業後に正社員になる割合は81.7%で最も多く、大卒ニートの割合は1.3%です。このことから、大卒者の多くは就職していることがわかります。
フリーターの割合は学歴やによっても異なります。大卒者の場合、学歴が高いにも関わらずフリーターになる率が無視できないほどあります。一方、高卒や専門学校卒の場合、フリーター率はこれよりも高くなる傾向があります。
正社員(公務含む) | アルバイト・パート | 契約・派遣等 | 自営・家業 | 失業 | 無職で何もしていない | 無職で進学準備等 | その他・在学中 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学卒 | 81.7 | 7.9 | 4.5 | 1.2 | 1.7 | 1.3 | 1.6 | 0.2 | 100.0 |
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の変容」
大卒フリーターは増えていますか?
大卒フリーターの割合の推移をみると、1982年から2017年にかけて大卒フリーターの割合が増えていることが分かります。2002年には男性が14.8%、女性が8.5%でしたが、2007年にはそれぞれ16.4%と11.7%に増加し、2012年には男性が23.2%、女性が16.2%とさらに上昇しました。最新の2017年データでは、男性が21.8%、女性が16.0%と若干の減少が見られるものの、依然として高い割合を占めています。
また、2012年、2017年の大卒フリーターの割合は、1980年代・90年代の大卒フリーターの割合の2倍近くになっています。
1982年 | 1987年 | 1992年 | 1997年 | 2002年 | 2007年 | 2012年 | 2017年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 12.2 | 10.0 | 8.8 | 12.5 | 14.8 | 16.4 | 23.2 | 21.8 |
女性 | 9.3 | 7.8 | 7.1 | 8.4 | 8.5 | 11.7 | 16.2 | 16.0 |
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の変容」
大卒フリーターの就職率
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査によると、正社員になりたいと希望した大卒のフリーターのうち、正社員になれた割合は72.8%です。フリーター全体の就職率が66.6%であることから、大卒であることは、有利であると言えます。
学歴 | 割合 (%) |
---|---|
高卒 | 57.4 |
専門・短大・高専卒 | 67.6 |
大学・大学院卒 | 72.8 |
中卒・高校中退 | 48.1 |
高等教育中退 | 61.2 |
その他 | – |
合計 | 66.6 |
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の変容」
大卒フリーターになる理由
大卒フリーターになる理由にはいくつかのパターンがあります。まず、就職活動がうまくいかなかった、希望の企業に内定が得られなかったというケースがあります。また、一度就職しても短期間で退職し、その後フリーターとして働くことになった人も少なくありません。
その他にも、公務員試験や大学院入試に失敗したために一時的にフリーターを選択する人や、特定の夢や目標を追求するためにあえて就職せずフリーターになった人もいます。これらの理由は一見バラエティに富んでいますが、共通しているのは「自分が望む形での就職ができなかった」ことが背景にあるという点です。
大卒フリーターのリスクと課題
経済的リスク
大卒フリーターが直面する最大の課題の一つは経済的リスクです。フリーターとして働くことの多くは非正規雇用であり、雇用の安定性が低いです。例えば、正社員と比較して給与は一般的に低く、給与の向上も難しい状況にあります。フリーターのままでいると、将来的に生涯賃金において大きな差が生じることもあります。具体的には、正社員と比較すると生涯賃金が約1億円も少なくなることがあるため、長期的な経済的安定を確保することが難しいです。
キャリア形成の遅れ
大卒フリーターはキャリア形成の遅れという課題にも直面します。正社員としての経験がないと、採用活動で不利になる可能性が高いです。さらに、フリーター期間が長くなるほど就職市場での評価が下がり、正社員としての転職がより困難となります。このため、早期に正社員としてのキャリアを築くことが重要です。キャリア形成が遅れることで、職業選択の幅が狭まり、将来的に求められるスキルや経験を積む機会も減少します。
社会的認知とプレッシャー
大卒フリーターは社会的認知とプレッシャーという精神的な課題にも晒されています。多くの人々は正社員としての雇用を望むため、フリーターとしての生活が周囲からの理解を得にくい場合があります。また、家族や友人、同級生などからのプレッシャーも感じることが多く、自身の選択に対してネガティブな気持ちを抱くことが少なくありません。このような心理的な負担も、大卒フリーターが直面する重要な課題の一つとなっています。
大卒フリーターの将来
フリーターの末路
大卒フリーターの末路について考えると、まず経済的な不安が大きな課題となります。フリーターとしての収入は一般的に安定しておらず、将来的な貯蓄や年金の積み立てが不十分になる可能性があります。正社員と比較すると、生涯賃金において1億円以上の差が生じることも珍しくありません。
また、社会的な信用を得ることも難しくなります。住宅ローンやクレジットカードの審査において、安定した収入がないことで不利となり、望む生活を手に入れるのが困難になります。さらに、正社員経験がない場合、将来の転職活動でも応募先企業へのアピール材料が不足しがちです。
結果として、大卒フリーターのままでいることは、将来的な生活の質を低下させるリスクが非常に高いと言えます。
正社員になるためのステップ
大卒フリーターが正社員を目指すためには、いくつかの具体的なステップを踏む必要があります。まずは、自分がどのような職種で働きたいのかを明確にすることが重要です。自己分析を行い、自分の強みや興味を整理し、適した業界や職種を絞り込みます。
次に、就職活動を本格的に始める段階では、求人サイトやハローワークを利用して求人情報を収集します。新卒としての扱いを受けられる期間(大卒後3年以内)を活用し、新卒採用枠での応募も検討しましょう。特に現在のアルバイト先での正社員登用が可能な場合、その機会を最大限に利用するのも有効です。
面接対策としては、自分の経歴やフリーター期間についてポジティブに説明する練習を欠かさず行いましょう。企業が求める人物像をしっかりと分析し、自分自身がその役割にどうフィットするかを伝えることがポイントです。嘘をつかず、本音で語ることで、企業側に信頼感を持ってもらうことが大切です。
以上のステップを踏むことで、大卒フリーターから正社員への転身が可能となり、将来的な安定を手に入れる一歩を踏み出すことができます。
大卒フリーターからの脱却方法
新卒枠の活用
大卒フリーターとしての状況を脱却する方法の一つは、新卒枠を活用することです。大卒後3年以内であれば、新卒としての扱いを受けられることが多いです。この期間を利用して、新卒向けの就活イベントや企業の採用説明会に参加することが推奨されます。新卒枠では、未経験者でも採用されやすく、研修制度やサポートが手厚い企業が多いですので、これを活用することでスムーズに正社員デビューが実現できます。
既卒としての就職活動
大卒後3年が経過してしまった場合でも、既卒として就職活動をすることが可能です。既卒採用市場では、社会経験がありつつもまだ若い人材を求める企業が多く存在します。求人サイトやハローワークを利用し、自分にマッチする職種や企業を探しましょう。また、既卒採用を積極的に行っている企業をリストアップし、その企業の中から自分に合った職場を見つけることが大切です。
就職支援サービスの利用
大卒フリーターは就職支援サービスの利用も考慮するべきです。これらのサービスでは、カウンセリングやキャリアコンサルタントによるサポートが提供され、自分自身に合った企業や職種を見つける手助けをしてくれます。使い方によっては、短期間で正社員としての就職が実現することもあります。特に、フリーター期間が長引いている場合、専門家のアドバイスを受けることで、自信を持って就職活動に臨むことができます。