大学中退した人が取った方がいい資格には何があるのでしょうか?
大学を中退した人の中には、就職や今後のキャリアを有利に進めるために資格取得について知りたい方も多いのではないでしょうか。
大学中退という状況だからこそおすすめできる資格はあります。中には大学を中退をして資格取得に専念する人もいるほどです。
この記事では、大学中退者が資格を取るメリット・おすすめの資格TOP5・取得しても役に立たない資格をご紹介します。また、資格取得を目指す場合の注意点、取得後におすすめの職種や就職方法も解説していきます。
この記事をお読みいただくと、大学中退者が取得すべき資格について知ることができます。資格に興味のある方は、ぜひ最後までお読みください。
- 大学中退後の就活が資格取得で有利になるケースもあるが、「資格選び」が重要!
- 取得すべき資格TOP5【簿記、宅建、登録販売者、基本情報技術者、保育士】
- 資格を取得する際の注意点は「とりあえずの気持ちで目指さない」「働きたい分野を決めてから資格を選ぶ」
この記事の目次
大学中退後の就活は資格取得で有利になる!
大学中退後に就活をする場合、資格はアピール材料のひとつにはなりますが、取得しなくても就職は可能です。まずは、大学中退者が気になる点のひとつである大卒資格についてご紹介します。
通信制大学で取得できる「大卒資格」には要注意
大学中退者でも大卒の学歴を得られる方法として、「通信制大学に再入学して卒業する」という選択肢があります。通信制大学には、場合によっては通常の4年よりも短い期間で卒業できるところもあります。
しかし、本気で大学で学び直したいのではなく、「ただ大卒資格が欲しい」という理由での通信制大学進学はおすすめしません。その理由は、企業から以下のように思われる可能性が高いからです。
- 就職のために大卒資格を取っただけなのではないか
- 結局通信制に行ったなら、なぜ全日制をがんばって卒業しなかったのか
大卒資格があれば「大卒以上」が条件の求人に応募できるようになるのは事実です。しかし、それだけの理由から通信制大学に進学しても、就職活動では通常の新卒と同じように扱われることは難しいでしょう。
本気で勉強したいから再度大学を目指すのはよいことですが、ただ「大卒資格」だけを目的にふたたび進学しても、結果的には就職で有利にならない可能性のほうが高いでしょう。
大学中退者が資格を取得するメリット
大学中退者が資格を取得することによるメリットを3つご紹介します。
やるべきことが明確になる
大学中退後の空白期間を有効に使う方法として、資格取得という目標を持ち、やるべきことのために行動するのはよい選択肢です。
人によっては大学中退後、以下のようになってしまうケースもめずらしくありません。
- ダラダラと何もしない
- なんとなくアルバイトを続ける
- 遊びや趣味ばかりに没頭してしまう
- すぐに就職活動に向けて動かない
上記のように時間を過ごすよりも、資格取得という明確な目標を持つことで中退後の時間を勉強に充てることができ、有意義に使えます。合格すれば、就職や将来の選択肢も広がるでしょう。
資格取得の努力が評価される
大学中退後に資格を取得した場合、少なからず就職活動の場ではプラスに働きます。難易度の高い資格や、実務に役立つ資格などであればなおさらです。
その資格自体の価値もそうですが、それ以上に、資格を取得したという努力を評価され、企業からは以下のような人材だと評価されることもあります。
- 目標に向けて努力できる
- 成果を出せる
- 中退はしているが、学力・能力はある
「資格取得」というひとつの結果を出したことが、大学中退のハンデをカバーできる可能性もあるのです。
スキルが証明できる
資格を取得することで、以下のようなスキルを証明できます。
- 専門性
- 即効性(実務に直結する資格の場合)
- 一定以上の知識
これらのスキルは、企業にとっていずれもプラスになるものです。資格の種類や難易度にはよるものの、資格試験に合格するにはある程度のレベルに達していることが必要だからです。
大学中退者が取得すべき資格TOP5
大学中退者が資格を取得するうえでの注意点やメリットが把握できたでしょうか。
次に、大学中退者におすすめの資格を5つ、活かせる仕事・合格に必要な勉強時間の目安・試験の詳細とともにご紹介します。
簿記
簿記は、お金の流れや出入りなどを細かく知る・管理するうえで必須の資格です。経理など、企業の財務管理を行う人には必須の資格といえます。
3級から1級までありますが、就職において有利になることが多いのは2級以上です。
資格が活かせる仕事
簿記の資格を活かせる仕事としては、以下があります。
- 経理
- 営業事務
- 販売
- 会計事務所職員
- 税理士事務所職員
- コンサルティング
数字を扱う職種は多いため、経理以外にも活躍の場は比較的あるといえます。
勉強時間
簿記の資格を取得するための勉強時間の目安は、以下の通りです。
- 3級:100時間~
- 2級:250時間~
- 1級:600時間~
1日3時間を勉強時間に充てたと仮定した場合、3級で約1ヶ月程度、2級では約3ヶ月程度、1級では半年程度かかる計算になります。
試験の詳細
簿記の試験の詳細は、以下の通りです。試験日程などは「簿記|商工会議所の検定試験」を参考にしてみてください。
項目 | 簿記試験の詳細 |
---|---|
受験会場 | 全国 |
試験時間 | ・3級:60分 ・2級:90分 ・1級:3時間 |
受験資格 | なし(併願受験も可能) |
合格基準 | 70%以上(1級の1科目ごとの得点は40%以上) |
合格率 | ・3級:60.4% ・2級:16% ・1級:12.8% ※2020年度 |
受験方法 | ペーパー受験、ネット受験(3級、2級) |
2020年12月からはペーパー試験以外に、テストセンターでのネット試験も導入されています。
宅地建物取引士
「宅建」などとも略され、不動産業界の仕事をするうえで非常に役立つ資格です。資格保有者のみの独占業務があり、不動産取引において顧客に重要事項などを説明できるのが特徴です。
宅地建物取引士の資格を持っているということで、不動産取引における高い知識があると見なされます。
資格が活かせる仕事
宅地建物取引士の資格を活かせる仕事としては、以下があります。
- 不動産営業
- 金融系(不動産投資のコンサルティングなど)
- 建設・建築業
やはり、一般的には不動産・建物に特化した仕事を中心に活躍の場があります。
勉強時間
宅地建物取引士の資格を取得するための勉強時間の目安は、以下の通りです。
- 250~400時間程度
1日3時間を勉強時間に充てたと仮定した場合、約3ヶ月~約4ヶ月半程度かかる計算になります。
試験の詳細
宅地建物取引士の試験の詳細は、以下の通りです。試験日程などは「一般財団法人不動産適正取引推進機構」を参考にしてみてください。
項目 | 簿記試験の詳細 |
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受験会場 | 全国 |
試験時間 | 2時間(登録講習修了者は1時間50分) |
受験資格 | なし |
合格基準 | 50問中38問以上の正解(登録講習修了者は、45問中33問以上) |
合格率 | 17.6% ※2020年10月度 |
受験方法 | 筆記試験(四肢択一式) |
合格率は低めなため、難関資格のひとつと考えて事前の対策をしておくことが必要です。
登録販売者
登録販売者は、ドラッグストアやコンビニエンスストア、ホームセンターなどで一般医薬品の販売・商品説明・アドバイス等の業務ができる資格です。
国家資格の一種で、「第2類医薬品」と「第3類医薬品」の2種類の医薬品の取り扱いが可能です。
資格が活かせる仕事
登録販売者の資格を活かせる仕事としては、以下があります。
- 店舗スタッフ
- ネットショップスタッフ
医薬品を扱うのは実店舗のみならずネットショップもあるため、店舗以外にも活躍の場があるのが特徴です。
勉強時間
登録販売者の資格を取得するための勉強時間の目安は、以下の通りです。
- 400時間程度
1日3時間を勉強時間に充てたと仮定した場合、約4ヶ月半程度かかる計算になります。
試験の詳細
登録販売者の試験の詳細は、以下の通りです。試験日程などは東京都福祉保健局「登録販売者試験について」を参考にしてみてください。
項目 | 簿記試験の詳細 |
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受験会場 | 東京都内 ※2021年時点では大学内キャンパスが基本 |
試験時間 | 4時間 |
受験資格 | なし(ただし所定の実務経験がない場合、合格後は働ける条件が限られる) |
合格基準 | 約7割以上正解 |
合格率 | 41.5% ※2020年 |
受験方法 | 筆記試験(多肢選択式) |
合格率は低めなため、難関資格のひとつと考えて事前の対策をしておくことが必要です。
基本情報技術者
基本情報技術者は国家試験である「情報処理技術者試験」のひとつで、高度な人材になるための基本的な知識・技術、実務に役立つ能力を身につけた人を対象とした試験です。
似たような国家試験に「ITパスポート」がありますが、こちらはIT系の専門職に従事する人とは限らず、社会人全般が対象です。ITパスポートよりも基本情報技術者のほうがより専門性や難易度が高く、就職に有利な資格です。
資格が活かせる仕事
基本情報技術者の資格を活かせる仕事としては、以下があります。
- システムエンジニア
- プログラマー
- Webデザイナー
IT業界の仕事全般において、活躍の場があるといえます。
勉強時間
基本情報技術者の資格を取得するための勉強時間の目安は、以下の通りです。
- 200時間程度
1日3時間を勉強時間に充てたと仮定した場合、約2ヶ月程度かかる計算になります。
試験の詳細
基本情報技術者の試験の詳細は、以下の通りです。試験日程などは「情報処理推進機構」を参考にしてみてください。
項目 | 簿記試験の詳細 |
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受験会場 | 全国 |
試験時間 | 合計5時間(2時間30分ずつの試験) |
受験資格 | なし |
合格基準 | 約6割以上正解 |
合格率 | 25.7% ※2019年度まで |
受験方法 | ペーパー試験、CBT試験(多肢選択式、四肢択一式) |
エンジニアなどの仕事に就職したい場合、試験勉強を通じて知識などを身につけやすいのが特徴です。
保育士
保育園やこども園などの施設において、未就学児の身の周りのお世話などをする仕事です。ただ生活のサポートするだけでなく、年齢に応じた遊びや運動などを通じて子どもたちの能力を育んだり、ルールや決まりごとなどにおける適切な指導をしたりするのも大切な業務のひとつです。
無資格でもできる保育の仕事に「保育補助」がありますが、こちらは資格がない範囲でできる業務がメインとなります。保育施設に就職して働きたい場合には、ほぼ必ず保育士資格が必要です。
資格が活かせる仕事
保育士の資格を活かせる仕事としては、以下があります。
- 保育園/こども園
- 乳児院/児童養護施設
- ベビーシッター
- 小児病棟(院内保育など)
- 産婦人科(新生児の世話など)
保育士の仕事というと「保育園で働く」イメージが強いですが、実際には保育園以外の子どもにまつわる施設や医療などの場で働くことも可能です。
勉強時間
保育士の資格を取得するための勉強時間の目安は、以下の通りです。
- 100~150時間程度
1日3時間を勉強時間に充てたと仮定した場合、約1~2ヶ月弱程度かかる計算になります。
試験の詳細
保育士の試験の詳細は、以下の通りです。試験日程などは「一般社団法人全国保育士養成協議会」を参考にしてみてください。
項目 | 簿記試験の詳細 |
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受験会場 | 全国 |
試験時間 | 筆記:合計8時間(2日間に分けて実施)+実技試験 |
受験資格 | 大学に2年以上在学して62単位以上修得した者 ※大学中退者が受験する場合 |
合格基準 | 約6割以上正解(筆記の場合) |
合格率 | 19.74% ※2019年度 |
受験方法 | 筆記試験・実技試験 |
大学中退者でも大学に2年以上在籍し62単位を取得していれば、たとえ保育と無関係の学部・学科に通っていた場合でも受験資格があります。合格率は約2割程度と決して簡単な試験ではなく、合格には一定の対策が必須です。
大学中退者が取得しても役に立たない資格
資格のなかには、取得してもあまり就職に役立たないものもあります。大学中退者におすすめしない資格5つとその理由について、それぞれ解説します。
英検/漢検/数検
英検・漢検・数検といった検定は、1級など難易度の高い資格を持っていない限り、就職で特別な評価を受ける可能性は低いといえます。理由としては、以下があります。
- そのほかの資格と比べると実務に活かしにくい
- ほかの資格のほうが評価されやすい(例:英語系であればTOEICのほうが一般的)
在学中にそれらの勉強が好きで取得するのであればまだしも、就職に役立てるための資格として取得するのはおすすめしません。
MOS
MOSは「Microsoft Office Specialist」の略で、WordやExcelなどに関するスキルを証明する資格です。MOS資格が就職で役に立ちづらい理由としては、以下があります。
- 基本的なパソコンスキルは「できて当たり前」と見なされがち
- 難易度が高い資格ではない
近年は学生時代からパソコンに日常的に触れている人がほとんどで、授業などで使用しているケースも多いため、企業も「応募者には最低限のパソコンスキルはあるだろう」と考えています。そのため、MOSを取得しても差別化にはなりにくいといえます。
ITパスポート
ITの基礎的な知識を証明する資格です。ITパスポートをおすすめしない理由としては、以下があります。
- IT系の資格のなかでは専門性が低い
- 基本情報技術者などと比較すると実務に直結しにくい
ITパスポート自体は持っていても損にはなりませんが、ITツールを使用して仕事をする社会人全般向けの資格となっているため、IT系の専門職に就くうえでは、専門性が高いとは見なされにくい資格です。
医療事務
医療事務は、病院や歯科医院などの医療施設で事務業務に従事する人を対象とした資格です。資格取得を特におすすめしない理由としては、以下があります。
- 資格がなくても就くことができる
- 医療事務以外の仕事に転職する際には役に立たない
医療事務は通信講座などでも取得できる資格ですが、無資格でも就職可能です。医療事務の仕事がしたい人はまず就職して、そのうえで「資格があったほうが仕事に活かせそう」と感じたら目指す方法でも遅くはありません。
3級以下の資格
資格には5級~1級、3級~1級など難易度別に分けられているものも比較的あります。3級よりも難易度の低い資格取得をおすすめしない理由としては、以下があります。
- 難易度が低い資格=高い能力を証明するものにはならない
- 2級よりも下はあまり評価対象にならない
資格を取得すること自体はマイナスではないものの、合格率の高い資格や、少ない勉強時間でも取得できる資格は、就職の場であまり有利にはなりません。たとえば簿記やFPなどの資格でも、3級は比較的合格しやすい傾向にあります。
資格を取得して就職に役立てたいのであれば、2級以上を目指しましょう。
大学中退者が資格を取得する際の注意点
大学中退者が「資格を取得する前に意識しておきたい注意点」を、2つご紹介します。
とりあえずの気持ちで資格取得を目指してはいけない
大学中退者のなかには、少しでも就職しやすくするために資格取得を目指そうとする方もいるかもしれません。しかし「とりあえず資格を取ろう」という姿勢で目指すのはやめましょう。
就職のためにがんばって資格を取得した場合でも、その資格と関連する仕事への就職にのみ有利になる可能性が極めて高くなります。たとえば不動産の仕事に興味がないのに宅地建物取引士の資格を取得しても、不動産系以外の就職では特に役に立たないケースもあるのです。
働きたい分野を決めてから資格を選ぶ
明確な目標や就きたい仕事のための資格取得であれば、有意義だといえます。就職活動の前に資格取得を目指す場合、まずは自己分析や職業研究などを徹底し、自分が働きたい分野を決めたうえで、必要な資格やあったほうがよい資格があれば取得を目指すとよいでしょう。
資格取得には一定の時間を必要とするため、モチベーションが低いと途中で挫折しがちです。まずは自分がやりたい仕事をはっきり決めてから、資格の勉強をスタートしましょう。
大学中退者の進路は主に4つ
大学中退後の進路について、主にあげられる4つのケースを解説します。
進路1:資格に取り組む
この記事でご紹介してきたように、興味・関心がある分野や将来的なキャリアに役立つ資格の取得に取り組むケースです。
「大学中退者が取得すべき資格TOP5」であげた資格が活かせる業界・職種で働きたい人は、チャレンジする価値がある進路と言えます。
資格取得を目指して勉強している期間は「職歴なしの期間」となりますが、見事取得できれば「保有資格」として履歴書に記載できます。その資格が採用時に評価される種類のものであれば、将来の就職活動において有利になるでしょう。
進路2:就職で正社員になる
大学中退後の進路として最もおすすめできるのは、就職して正社員になることです。
正社員は収入や待遇面が安定しています。また、社会的な信用が高く、例えば賃貸住宅を借りやすい、クレジットカードやローンの申請が通りやすいなどのメリットもあります。「経済的になるべく早く自立したい」「安定したキャリアを築きたい」という人に向いている進路です。
ただ、正社員の求人は「大学卒業以上」が応募条件となっていることが多く、中退の場合は正社員就職がなかなか決まらないこともあるでしょう。
そこで、「大学中退者や既卒者を積極的に採用している企業」を探すことをおすすめします。そうした企業は、これまでの経歴よりも応募者の人柄やポテンシャルを重視し、入社後の育成にも力を入れている傾向にあります。規模的には中小企業が多く、就活に不慣れな人は自力で見つけられないことが多いため、大学中退者の就活に強みのあるエージェントなどを活用すると良いでしょう。
正社員として就職・勤務できれば、それはもちろん立派な職歴になりますし、将来的に転職を考える際には履歴書に記載できます。
進路3:他の大学/専門学校へ進学する
興味・関心がある分野・キャリアに役立つ分野について学ぶため、大学・専門学校に進学するパターンです。
「進路1:資格に取り組む」においても、独学や通信・WEB講座だけでなく、資格の専門学校に数か月ほど通学する人もいるかも知れません。
ただ、大学・専門学校へ「進学する」となると、大抵は数年単位の期間が必要になります。通学している期間は「学歴」にはなりますが、同時に「職歴なしの期間」でもあります。新卒時の年齢から期間が長くなるほど、将来の就職活動では不利になる恐れがあります。
他の大学・専門学校への進学を検討する際は、「本当に進学しなければ得られない専門性やスキルなのか?」、「より短期間で同じ分野について学ぶ方法が他にないか?(独学、通信・WEB講座、専門学校の短期通学講座など)」を慎重に検討してください。さらに、進学には多額の費用がかかる点にも注意が必要です。
進路4:アルバイトを始めてフリーターになる
先述のとおり、大学中退の場合は正社員就職がなかなか決まらない場合もあります。収入がない状態では就職活動を続けることも難しくなり、焦る気持ちから十分に検討せずに就職先を決めてしまい後悔するケースもあります。
就職活動が長引きそうな場合は、並行してアルバイトで収入を得ることもあるでしょう。そんな時は、あなたが志望している業界や職種に近い職場でのアルバイトを選んでみてください。その仕事で得られるスキルなどを知るきっかけになったり、正社員で就職した場合のシミュレーションにもなることでしょう。
ただし、安易にアルバイトを始めてしまうと、フリーター生活から抜け出せなくなるというデメリットもあります。アルバイトをする場合は、上記のような目的をしっかり持ち、正社員就職に向けての計画を立てましょう。
なお、アルバイトの経験は職歴に含まれませんが、就職活動で履歴書を作成する際、志望理由や自己PR欄など、自由記載の項目に記載することは可能です。まったくの未経験に比べて、評価が期待できるでしょう。
資格取得した大学中退者におすすめの職種
ここからは、資格を取得した大学中退者におすすめの職種をいくつかご紹介していきます。
職種1:営業職
新規開拓営業、ルート営業など営業の種類はいくつかありますが、いずれも主な業務内容は以下のとおりです。
- 製品やサービスの提案・受注
- 顧客へのフォローやサポート
- 社内外との調整業務
ほとんどの企業には、営業部署があります。営業職を経験しておくと、将来的に他業界に転職したいと考えた場合でも、一定数の選択肢が期待できます。
doda「平均年収ランキング(年代別・年齢別の年収情報)」によると、営業職(20代)の平均年収は378万円です。
若手の営業職は未経験でも応募できる求人が多く、大学中退者でも正社員就職が狙える職種の代表格です。ただ、今回は「資格取得後におすすめの職種」がテーマですので、資格があることで就職がより有利になる可能性が高いケースをご紹介します。
それは、不動産関連の営業職です。「大学中退者が取得すべき資格TOP5」にもあげた『宅地建物取引士』。不動産取引において顧客に重要事項説明を行うのは、資格保有者のみの独占業務です。あらかじめこの資格を保持していれば、不動産に関する基礎知識があることや、業界への志望意欲の高さがアピールでき、採用選考で有利に働くでしょう。不動産営業としての実務経験がなくても、それは働きながら体得できます。
不動産業界の20代の平均年収は432万円と、他職種に比べて高い水準にあります。30代の平均年収も517万円で、経験を積めば年収アップも期待できます。不動産業界は業務量が多く、離職率が高い傾向もあります。一方、実績が給与に反映されるので、高収入を目指す意欲のある人に適しています。
職種2:公務員
公務員試験を受験し、合格すれば大学中退者でも公務員になることができます。ただし受験には年齢制限があり、おおむね30歳が上限になっていることが多いです。種類や地方によって、25歳まで・35歳まで・40歳までと上限年齢が異なるので、自分が受けたい公務員試験の年齢上限を必ず確認しましょう。
公務員の主な職務内容は、以下の通りです。
- 国家公務員(各省庁または出先機関)
- 地方公務員(公立学校教員、警察官、消防士、役所職員など)
公務員の仕事は、国や地域に貢献したい人におすすめです。
平均年収は職種や所属する自治体により大幅に異なり、20代で307万~450万円です。30歳時点での平均年収は403万~498円です。
また、大前提として合格するにはかなりの勉強が必要なので、無計画に勉強を進めてもなかなか合格に至らず、年数ばかりが経過して後々後悔する恐れもあります。
そんな事態を避けるには、試験に挑戦する期限を事前に決めた上でしっかりと勉強し、念のために民間企業への就職活動も並行して行うのがおすすめです。
職種3:建築業
建設現場の作業員として働く建設業は学歴や経歴を問われない求人が多く、大学中退者にとって就職ハードルの低い業種といえます。体力がかなり必要とされ、夜勤もあるので仕事内容はかなりハードです。しかし、その分収入が高い傾向にあります。建設業の20代前半の平均年収は312万円、20代後半の年収は391万円。いずれも20代全体の平均年収を20万円ほど上回る結果になりました。建設業は人材不足と急激な業務量の増加もあって、年収は増加傾向にあるようです。
建設業界において資格の有無、そして取得資格の等級は年収に大きく影響します。たとえば建築士の資格には「一級建築士」と「二級建築士」があり、前者の方が高年収です。取得している級によって生じる平均年収の差は約160万円あります。また、高度な知識や技術が求められる資格がほとんどであり、まったくの未経験から取得するのはかなり困難です。まず未経験で応募可能な求人に応募し、働きながらスキルアップと資格取得を目指すのが賢明です。
職種4:ITエンジニア
IT業界、しかも「エンジニア職」と聞くと、未経験では応募できないのではないかと思うかも知れません。しかし、プログラミング・スクール(WEB、通学)で知識やスキルを習得し、未経験者でも短期間の学習で取得可能なIT関連の資格を取得しておくと、学ぶ姿勢やポテンシャルが評価され正社員就職のチャンスが広がります。また、事前の学習や資格取得をしていなくても、若い人材であれば積極的に採用している企業もあります。
doda「平均年収ランキング(年代別・年齢別の年収情報)」によると、ITエンジニアの平均年収は20代で372万円です。30代では511万円、40代は615万円と、将来的な年収アップが期待できるところも大きな魅力です。
ITエンジニアの仕事内容は、情報システムやWebサイト、ソフトウェアなどにおいて、システム設計・開発、テスト、運用などの工程が主な担当です。
ITエンジニアに向いてるのは、下記のようなタイプの人です。
- ITやデジタル技術に興味がある人
- パソコン作業を長時間、集中して行える人
- 専門技術や知識を継続的に身につけていきたい人
ITエンジニアの仕事は、パソコンを使っての業務が主体です。デスクワークが苦手な人は避けた方が無難でしょう。また、IT系の仕事は常に新しい技術や知識が出てくるため、自主的に勉強を継続できる人に適性があります。
職種5:施工管理
施工管理とは、前出の「建設業」に含まれる職種です。建設現場などにおける工事全般の管理業務を担当し、予算や安全面の管理、スケジュールや予算の管理、提出書類作成や各種手続きなどが、主な業務内容です。
国家資格である「施工管理技士」は、工事現場での技術責任者として施工管理や安全管理するために必要な資格です。1級と2級に分かれていて、それぞれ許可されている施工管理範囲が異なります。2級の第一次検定の受験資格は、試験実施年度に満17歳以上になる方です。学歴や実務経験の定めがないので、年齢さえクリアすれば誰でも受験できます。
求人ボックス給料ナビ「施工管理の仕事の年収・時給・給料情報」によると、施工管理職の平均年収は467万円です。
施工管理職に向いてるのは、人との調整や計画管理が得意な人です。現場で身体を動かすというよりも、スケジュールを調整・管理したり、スタッフがスムーズに業務に取り組めるよう手配する業務であり、そうした事を得意とする人にはおすすめです。また、実務を通じてマネジメント業務を体得できるため、長く使えるスキルを身につけたい人にも適性があります。
大学中退者の就職方法
最後に、大学を中退した人が就職する方法を3つ、具体的に解説します。 それぞれのメリット・デメリットを理解してから活用しましょう。いくつか併用してみて、あなたに合う方法を選ぶのもおすすめです。
方法1:ハローワークを利用する
ハローワークの主なサービスは、以下の通りです。
- 求人の紹介、応募
- 就職に関する相談
- 就職セミナーやイベントの実施
- 職業訓練
求人を検索・応募できるほか、独自のセミナー開催などもあります。条件を満たしていれば、職業訓練で就職に役立つ技能も学べます。
ハローワークを利用するメリットは、以下の通りです。
- 誰でも気軽に使える
- さまざまなサービスを利用できる
- 若者に特化したサポートもある
一方、ハローワークを利用するデメリットは、以下の通りです。
- 条件の悪い求人も混ざっている事がある
- 大学中退者に特化したフォローは期待しづらい
ハローワークは全国各地にあるため、自宅から通いやすい場合が多いのはメリットです。セミナーや職業訓練などさまざまなサービスを利用できる点も、情報収集・就職準備に有益です。ハローワークによっては若年層に特化した就職サポートを実施している拠点もあります。
ただハローワークの求人には、求人票に記載された内容と実態が異なるものも含まれている場合があり、要注意です。求人側も費用がかからないため、どんな企業でも求人を出すことができてしまいます。また、パート職など正社員以外の求人数も多く、正社員として働きたい人は仕事探しに時間を要するかもしれません。
方法2:就職サイトを利用する
就職サイトの主なサービスは、以下の通りです。
- 求人の検索、応募
- 企業からのスカウト
- セミナーやイベントなどへの参加
基本的には、全国の求人を検索することが可能です。幅広い職種を網羅した総合型サイトと、専門職など特定の職種のみを掲載する特化型サイトがあります。大学中退者が利用するのは、総合型がほとんどです。あなたの経歴情報を登録しておくと、それに興味を持った企業から、面接などへのお誘いが来ることもあります。
就職サイトを利用するメリットは、以下の通りです。
- 多くの求人を簡単に検索できる
- いろいろな職種に応募できる
- 条件を絞って探すことも可能
一方、就職サイトを利用するデメリットは、以下の通りです。
- 幅広い経歴の人が応募するため、大学中退者は不利になる場合がある
- 応募先が自分に適した企業かどうかわからない
- 応募書類の作成や面接対策、面接の日程調整などは自分で行う必要がある
求人数は圧倒的に多いため、自分の希望に近い企業を探すことができます。複数の職種に興味がある場合、未経験OKの求人に応募すればチャンスが広がります。
ただ、大学中退者の就職では、既卒や第二新卒と比較して「中退」という要素があるため、就職サイトからの応募ではなかなか選考に残らないこともあります。また、掲載されている企業情報には限りがあるため、ミスマッチになるリスクもあります。簡単に応募できる分、適切な就職対策をしないまま数を打つだけにもなりがちです。
方法3:就職エージェントを利用する
就職エージェントの主なサービスは、以下の通りです。
- 専任アドバイザーによるアドバイス、サポート体制
- 就職講座(自己分析、書類・面接対策、マナー研修など)
- 個々人の適性に応じた求人紹介
- 企業側との連絡業務や条件交渉の代行
専任のキャリアアドバイザーが、大学中退者の就職を支援します。就職活動のための講座も開催され、中退者がはじめての就職に自信を持って臨めるよう、きめ細かくフォローします。求人紹介、面接日程の調整なども代わりに行ってもらえます。
就職・転職エージェントを利用するメリットは、以下の通りです。
- 大学中退者に特化したアドバイスを受けられる
- 諸手配を代行してもらえるので、就職活動に集中できる
- 正社員就職を目指しやすい
一方、就職・転職エージェントを利用するデメリットは、以下の通りです。
- 自分に合う企業が見つかるとは限らない
- アドバイザーと相性が合わないこともある
企業との連絡など事務手続きをサポートしてもらえるので、効率良く就職活動を進められます。また、正社員就職を目指したい人にとっても、エージェントの活用は有効です。
ただ、エージェントから紹介された求人のなかに、希望する職種がないこともあり得ます。また、エージェントの方針が合わないと感じたり、就職まで至らない場合もあることは認識しておきましょう。
さて、私たちジェイックでは、大学中退者に向けた就職支援サービス「就職カレッジ® 中退者コース」を実施しています。
就職カレッジ® 中退者コースの特色は、以下の通りです。
- 短期集中型の就職支援講座
- 書類選考免除の合同面接会
- 入社後のアフターフォロー
スクール型の講座では、自己分析や面接対策などのほか、大学中退の経歴を活かした就職活動のポイントもお伝えしています。
講座終了後は、中退者の採用に積極的な複数の企業と、書類選考なしで面接の機会を設けています。紹介するのは正社員求人に限られているので安心です。入社後も約一年にわたり、職場に定着するためのサポート体制を設けています。
これらの支援サービスはすべて無料で受けられます。就職活動に不安がある方は、ぜひご相談ください。
まとめ
大学中退をしてから就職する場合、資格を取得するかどうか迷う方もいるかもしれません。就きたい仕事に資格が必要な場合は取得を目指すべきですが、そうではない場合は無理に資格を取得する必要はありません。
まず先に就職し、働くなかで「資格があったほうがよりいまの仕事に活かせそう」「やりたいことが見つかり、その実現のために資格が必要」という状況になってから目指しても、決して遅くはありません。
資格を取得することに「就職するため」以外の明確な目的がないのであれば、就職活動を優先させることをおすすめします。
大学中退の履歴書の書き方を知りたい方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
「大学中退の資格」に関するよくある質問
大学中退者が就職のために資格を取得するのはあまりおすすめできません。実務に必要または専門性の高い資格以外、資格を持っていること自体が就職に直結するわけではないのです。くわしくは「大学中退者が資格を取得する際の注意点」でご紹介しています。
大学中退という経歴の方のなかには、いま就職活動をしたほうがいいのか、就職に有利になるための資格を取得したほうがいいのか、迷っている方もいるのではないでしょうか。ジェイックの「就職相談」にお申込みいただければ、現状をお聞きしたうえで分析し、アドバイスをさせていただきます。
大学中退者におすすめの資格は複数ありますが、たとえば宅地建物取引士や基本情報技術者などの資格を持っていると、関連する業界には就職しやすくなるでしょう。具体的には「大学中退者が取得すべき資格TOP5 」をご覧ください。
こんな方におすすめ!
- 学歴に自信がないから就職できるか不安
- 就職について、誰に相談したら良いか分からない
- 中退しようかどうかを迷っている
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