自分はニート予備軍?と不安に思っている方もいるかもしれません。本記事は、将来ニートになりやすい人の特徴と効果的な予防策を解説しています。自己肯定感の向上やスキル習得など、具体的な対策が理解できます。
将来ニートになりやすい人の特徴は?
将来ニートになりやすい人の特徴は、
- 自己肯定感が低い
- 過保護な家庭環境
- コミュニケーションが苦手
- 不登校や中退経験がある
- いじめやトラウマ経験がある
- 就職や仕事での失敗経験がある
- 規則正しい生活ができない
といった傾向があります。特に自己肯定感の低さは、就職活動や職場での人間関係構築を困難にし、社会へ出た時に大きな障壁となり得るでしょう。また不適切な家庭環境は自立心を損ない将来ニートになるリスクを高める可能性があります。
コミュニケーションの苦手意識は職場環境への適応を困難にし、早期離職に繋がる可能性があります。そして不登校や中退、いじめの経験は学力の遅れだけではありません。心理的なトラウマとなり社会参加への不安を引き起こす場合もあります。
就職活動や仕事の失敗体験は将来への意欲を著しく低下させ、社会との接点を失わせる原因になり得るでしょう。さらに、生活リズムの乱れは仕事の継続を困難にする原因の1つです。
ニートになりやすい人の特徴は、調査統計からわかるニート状態の人が苦手意識を持つことやニートになった原因を鑑みて考案されたものです。厚生労働省の「ニートの状態にある若年者の実態及び 支援策に関する調査研究 報告書」によると、新入社員とニート状態の若者を比較して、特に対人関係に関しての意識の違いなどが顕著にみられています。
ただ、将来ニートになりやすい人の特徴に当てはまるからといって、即ちニートになってしまうということではありません。ご自身のキャリアを考えるための参考にしてみてください。
1. 自己肯定感が低い
自己肯定感の低さは、将来ニート状態に直結する大きな原因です。自分の能力や価値を低く見積もることで、就職活動や新しいチャレンジに二の足を踏んでしまいます。失敗への恐れが強く「どうせ自分にはできない」という思い込みが、行動の機会を奪ってしまうためです。
低い自己肯定感は、幼少期からの経験や環境に影響される傾向があります。たとえば、過度な叱責や他者との比較、期待に応えられなかった経験が自己肯定の形成に悪影響を与えることも少なくありません。
自己肯定感の低さから行動範囲が狭まり十分な社会経験を積めず、さらなる自信の喪失を招きます。結果、社会との接点をもつことがますます困難に感じるようになり、引きこもりやニート状態に陥りやすくなってしまうのです。
2. 家庭環境に問題がある
過保護や過干渉の家庭環境は、子どもの自立心を阻害する原因となりえます。親が過度に介入することで、子どもは自己決定の機会を失い、問題解決能力や責任感が育ちにくくなるためです。
また親の期待が高すぎたり逆に無関心であったりすることも、子どもの健全な成長を妨げます。そして家庭の経済状況も重要な要素の1つです。経済的な理由で若い時期から就労を余儀なくされ、学業に専念できないケースもあります。一方で、過度な経済的余裕が子どもの就労意欲や社会との関わりを妨げる可能性も否定できません。
こうした環境で育った若者は、社会に出た時に直面する困難に対処する力が不足しがちで、ニート状態に陥るリスクが高まります。
3. コミュニケーションが苦手
コミュニケーションの苦手意識は、社会参加への大きな壁となる原因の1つです。特に職場での円滑な人間関係の構築が困難な場合は、就労の継続に支障をきたすことが多い傾向にあります。この傾向は学生時代に集団活動を経験していない場合や、家庭内でのコミュニケーション不足に起因することが少なくありません。
また、オンラインコミュニケーションには長けていても、対面での会話に強い不安を感じる若者も増えています。特に初対面の人との会話や上司への報告、同僚との雑談といった基本的なビジネスコミュニケーションに苦手意識をもつ人もいます。
コミュニケーションの苦手意識は業務に支障をきたすだけでなく、最終的に離職やニート状態に繋がるリスクが高くなるでしょう。
4. 不登校や中退経験がある
不登校や中退経験は、単なる「学業の中断」以上の影響を及ぼします。まず、基礎学習の機会が失われることで、就職の選択肢が限られてしまいます。さらに重要なのは、集団生活を通じて培われる社会性やコミュニケーション能力の発達が妨げられることです。
そして不登校や中退は、自己肯定感の低下を招き「学校に通えなかった自分には、仕事も無理だろう」という否定的な思い込みに繋がります。同年代の人と異なる人生経験をもつことで、就職活動や社会に強い不安を感じやすくなる可能性もあるでしょう。こうした心理的なハードルが、社会へ出る一歩を踏み出すことを困難にしていると考えられます。
5. いじめやトラウマ経験がある
いじめやトラウマの経験は、若者の心理面に深刻な影響を及ぼす原因です。特に学校でのいじめは、対人関係全般への強い不信感や恐怖心を植え付け、その後の人間関係に大きな影響を与えます。
そして、新しい環境に入ることへの強い不安を抱え「また同じような目に遭うのではないか」という恐れから、就職活動や職場での人間関係に消極的になりがちです。また過去のトラウマ体験により、ストレス耐性が低下している場合も多く、職場でのプレッシャーや対人関係のストレスに対して脆弱になっています。
6. 就職や仕事での失敗経験がある
就職活動や職場での失敗経験は、将来への意欲を著しく低下させます。特に若い時期の挫折は自己肯定感を大きく損ない、その後の就労意欲に深刻な影響を与えると言っても過言ではないでしょう。
失敗経験による自信の喪失は新たな挑戦への意欲を低下させ、社会との関わりを避ける行動に繋がります。悪循環が続くことで就労への不安が増し、ニート状態に陥るリスクが高まってしまうのです。
たとえば面接の不採用が続いて自信を失い、それ以降の就職活動に踏み出せなくなるケースや、職場での人間関係のつまずきです。「自分に仕事は無理だ」という諦めの気持ちを強めてしまいます。特に最初の就職での失敗は、その後のキャリア形成に大きな影響を与えるでしょう。
7. 規則正しい生活ができない
規則正しい生活ができない人は、社会生活を困難にする場合があります。ゲームやインターネットに依存し昼夜逆転した生活に慣れると、目の前の欲求を制限することが難しくなる傾向があります。
特に深刻なのは、不規則な生活が長期化するほど改善が困難になる点です。夜型生活により日中の活動や就労の機会が失われ、社会との接点が更に減少する悪循環に陥ります。また不規則な生活は、心身の健康にも悪影響を及ぼし、うつ症状や体調不良を引き起こすリスクを高める点にも注意が必要です。
ニート状態の人が苦手意識をもつこと
ニート状態の人が苦手意識をもつことは、社会参加を困難にする大きな原因ともなりえます。厚生労働省の研究機関による調査では、ニート状態の人の苦手意識は主に2つの領域に集中しています。1つは基本的なスキルに関するものです。特に対人コミュニケーションに苦手意識を感じる傾向があります。
もう1つは、日常生活や社会生活に関するもので、人間関係の構築や社会的なルールの遵守に困難を感じています。
苦手意識の具体的な内容について詳しくお伝えします。
読み書き計算よりも人に話すことが苦手【スキル面】
厚生労働省委託:財団法人社会経済生産性本部の調査によると、ニート状態にある若者のスキル面での苦手意識は、対人コミュニケーション面が特に顕著です。「人に話すのが不得意」と感じる人が64.4%と最も高く、次いで「手先が不器用」が47.6%、「計算をするのが不得意」が42.8%となっています。
基礎的スキルの苦手意識 | 割合 |
---|---|
字を読むのが不得意 | 19.1% |
字を書くのが不得意 | 35.6% |
計算をするのが不得意 | 42.8% |
手先が不器用 | 47.6% |
人に話すのが不得意 | 64.4% |
人の話を聞くのが不得意 | 34.7% |
注目すべき点は、読み書きや計算といった基礎学力面での苦手意識よりも、対人コミュニケーションに関する課題の方が深刻だという点です。
読み書きや難しい計算はデジタル機器の助けを使えても、人間とのコミュニケーションは教えてくれません。ニート状態からの脱却を目指すためには、対人コミュニケーション能力の向上が重要な課題であると言えるでしょう。
友達をつくることや知らない人に話しかけることが苦手【生活面】
下記データは、ニート状態にある人の生活行動における具体的な苦手意識を明らかにしています。
生活行動の苦手意識 | 難しい | やや難しい | 合計 |
---|---|---|---|
働く意欲をもつ | 11.7% | 36.6% | 48.3% |
外出する | 2.6% | 17.0% | 19.6% |
知らない人に話しかける | 24.2% | 35.4% | 59.6% |
職場で友達をつくる | 25.8% | 38.8% | 64.6% |
遅刻せずに通勤する | 9.3% | 18.9% | 28.2% |
最も高い数値は「職場で友達をつくる」ことで、64.6%が困難を感じています。また「知らない人に話しかける」ことには、59.6%が苦手意識を持っており、対人関係の構築に関する課題が表れているといえるでしょう。
「働く意欲をもつ」ことへの困難さは48.3%(「難しい」11.7%、「やや難しい」36.6%)と約半数に上り、就労への心理的なハードルの高さを示しています。一方「遅刻せずに通勤する」という基本的な行動面での困難さは28.2%と比較的低く、具体的な行動よりも人との関わりに関する課題の方が深刻であることが分かります。
上記の調査研究から就労支援においては、職場での人間関係構築スキルを育成することの重要性を示唆しているといえるでしょう。
ニートになった原因
ニート状態に至る原因は個人を取り巻くさまざまな原因が複雑に絡み合っています。厚生労働省の報告書によると、ニートになった主な原因は下記のとおりです。
- 病気・ケガ
- 対面コミュニケーションでのつまずき
- 学校教育でのつまずき
- いじめ・不登校
- メンタル面の不調
- 親との関係の問題
原因は1つではなく、複数の原因が連鎖的に影響し合っています。たとえば、いじめが原因で不登校を引き起こし、学力の遅れや対人関係の不安に繋がります。そして最終的に就職活動での挫折に至るといったパターンです。
厚生労働省「ニート状態にある若年層の実態および支援策に関する調査研究」のデータを基に、ニートになった原因や特徴をそれぞれ詳しくお伝えします。
病気・ケガ
病気やケガがきっかけでニートになるケースは、若者の間で増加傾向にあります。特に精神疾患である「うつ病」や「適応障害」、「パニック障害」などのメンタルヘルスの問題が主な原因として挙げられます。
また、長期入院や療養を要する重篤な身体の怪我や持病の悪化により、就職活動や職場への復帰が難しくなることもあります。さらに、過度のストレスや過労による体調不良が重なり、徐々に社会から距離を置かざるを得なくなるという事も少なくありません。
早期発見と適切な治療、周囲のサポートが重要です。
対面コミュニケーションでのつまずき
学校や職場での対面コミュニケーションのつまずきが、次第に社会からの孤立を深めることがあります。たとえば下記のようなケースです。
- 相手の表情や声のトーンを読み取ることが難しい
- 場の空気に合わせた会話ができない不安
- 急な質問への対応に戸惑う
このような経験が重なると次第に人との交流を避けるようになります。
またグループディスカッションや会議での発言、上司や先輩との円滑なコミュニケーションへの恐れから、徐々に出社や通学が困難になるといったパターンもあります。
学校教育でのつまずき
学校教育でのつまずきは、将来のキャリア形成に大きな影響を与えます。集団行動に適応できないことやコミュニケーションがスムーズにとれないことは、社会で孤立する可能性が高くなるためです。
特に中学・高校時代の経験は将来に大きな影響を及ぼします。学生時代の挫折感が自己肯定感の低下に繋がり、将来の就労に対する自信を失わせるためです。教育現場と連携した早期支援や、生徒の個性に合わせた学習サポートが必要といえるでしょう。
いじめ・不登校
いじめや不登校の経験は若者がニートになる原因の1つです。いじめによる心理的トラウマは、対人関係への不信感や社会への強い不安を引き起こすためです。そしていじめは自尊心を著しく損ない、新しい環境へ挑戦する気持ちを失うことに繋がります。
不登校は学習の遅れだけでなく、基本的な生活リズムの乱れにも影響を及ぼします。不登校が長期化すると、同年代との交流機会の喪失や学力格差が広がり、将来の就職に向けた準備が困難になります。社会からの孤立が深まり、ニート状態に陥るリスクが高まるでしょう。
メンタル面の不調
メンタル不調により、社会的なプレッシャーやストレス耐性が低くなり、日常生活や就労に支障をきたす場合があります。特にうつ病や不安障害などの精神的な問題は、日常生活や就労に大きな支障をきたすでしょう。
症状によっては集中力や意欲の低下、社会的な引きこもりなどが生じ、学業や仕事を継続することが困難になります。社会的なプレッシャーやストレス耐性が著しく低下すると、些細な挫折経験でも大きなダメージを受けやすくなります。そうなると周囲からの理解が得られにくいことも多くなるでしょう。
孤立感や自己否定感がさらに強まり、学業や仕事への意欲が著しく低下することが考えられます。
親との関係の問題
親との関係の問題も、若者のニート状態を引き起こす重要な原因の1つです。過保護や過干渉の家庭環境では、子どもの自立心や問題解決能力の発達が妨げられます。親が過度に介入することで、子どもは自己決定の機会を失い、社会に出た際に直面する困難に対応する力が不足するためです。
一方、放任的な環境では基本的な生活習慣や学習習慣が身につきません。社会人として必要なスキルの習得が困難になる場合もあります。また、親からの過度な期待や批判は、子どもの自己肯定感を低下させ、挑戦する意欲を失わせます。
ニートにならないための予防策は?
ニートにならないための予防策は「自己肯定感の向上」「実践的なスキルの習得」「柔軟な思考」が大切です。
具体的には、まず小さな成功体験を積み重ねることで自信を培います。たとえば短期ボランティアや地域活動への参加から始め、徐々に責任ある役割を担うことで、社会参加への自信を高めていきます。
そして社会で必要とされる基本的なスキルを段階的に身につけることが大切です。コミュニケーション能力や時間管理能力など、実践的なワークショップやインターンシップを通じて習得できます。
さらに、変化する社会に適応できる柔軟な思考も必要です。学校や家庭、そして地域が連携し、ニートの社会的自立を効果的に支援することが重要でしょう。
小さな成功体験を積み、自信をつける
自信を築くための第一歩は、達成可能な小さな目標から始めることです。たとえば、毎日決まった時間に起床する。規則正しい食事をとるなど、基本的な生活習慣の確立から始めるのがおすすめです。達成可能な目標を1つずつクリアしていくことで自己肯定感が高まります。
次に短期のボランティア活動や地域のイベント参加など、社会との接点をもつ機会を増やしていきましょう。小さな成功体験の積み重ねが、より大きな課題に取り組む自信となり、社会参加への不安を軽減する効果に期待できます。
スキルや資格を習得する
社会で求められる実践的なスキルや資格の取得は、自己の市場価値を高める重要な手段の1つです。まずは基本的なパソコンスキルやビジネスマナーなど、汎用性の高いスキルから始めるのが効果的です。
次に、自分の興味や適性に合わせた専門的な資格取得を目指します。たとえば語学検定や簿記、IT関連の資格など選択枠は豊富にあります。通学が不安な場合は、オンラインで学びながら資格のとれるスクールを探すのも良いでしょう。
新しい知識やスキルを身につける過程は自己発見に繋がり、資格取得以上の価値があります。人生の新たな可能性を切り開く力となるでしょう。
柔軟な思考を持つ
柔軟な思考は、変化の激しい現代社会で成功するための重要なスキルです。1つの職業や進路にこだわりすぎず、さまざまな可能性を探ることが大切です。たとえば「正社員になれないなら働く意味がない」という固定観念を捨て、多様な働き方があることを理解しましょう。
自分を見つめ直し新たなキャリアを考えることで、思わぬチャンスが見つかるかもしれません。自分では何をしたら良いか分からない方は、若者向けの転職エージェントを活用し、プロのキャリアコンサルタントに自分に合った働き方を相談するのもおすすめです。
まとめ
ニートになりやすい人の特徴を理解することは、予防の第一歩です。自己肯定感の低さやコミュニケーションの課題は決して乗り越えられない壁ではありません。むしろ成長の機会です。
適切な支援と本人の努力により、誰もが自分らしい道を見つけられます。小さな成功体験を積み重ね、少しずつ自信を取り戻していくと良いでしょう。