仕事でのストレスや疲労が限界で、退職や休職を考えている人もいますよね。この場合、「退職と休職どっちがいい?」と疑問を感じるかと思います。結論としては、その人の状況に応じておすすめできる選択肢は異なります。
そこでこの記事では、仕事での疲れやストレスがピークに達している人に向けて、退職と休職をおすすめできる人の特徴やメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。
退職するか休職するかを見極めて、次のステップに進むためにもこの記事を参考にしてください。
この記事の目次
どっちがおすすめ?退職・休職をおすすめできる人の特徴
退職するか休職するかを考える際は、どっちが自分に合っているのかを考えることが大切です。そこでまずは、退職がおすすめな人の特徴と、休職がおすすめな人の特徴について解説します。
あなた自身に当てはまる特徴があるか確認してみてください。
退職がおすすめな人の特徴
退職がおすすめな人の特徴は、以下のとおりです。
- ストレスからすぐにでも解放されたい
- 職場環境の改善が見込めない場合
- 上司や同僚との関係性が悪い
退職がおすすめな人は、すぐにでもストレスから解放されたいと考えている人や、部署異動や上司との相談によってストレスの原因となる環境を改善できる見込みがない場合などです。
これらの人は、休職ではなく退職することで、会社の人との人間関係や、復帰後のことを考えるストレスから解放されます。職場環境の改善が見込まれるのであれば、一度休職して体調を回復させてから復帰する選択肢もあるかもしれませんが、改善が見込めないのであれば、退職を選んでもいいでしょう。
これらの人は休職ではなく退職をし、失業手当を受け取りながら気持ちをリフレッシュさせてから転職活動を始めると次のステップに進めますよ。
休職がおすすめな人の特徴
休職がおすすめな人の特徴は、以下のとおりです。
- 休職することで仕事に復帰できる見込みがある
- 職場環境の改善が見込める
- 職場の雰囲気や人間関係に不満はない
- 復帰するかゆっくり考えたい
一方で休職がおすすめな人は、休職して一定期間仕事から離れることで仕事に復帰できる見込みがある人や、職場環境の改善が見込める人などです。
休職せずに退職するメリット
休職せずに退職するメリットはいくつかあります。たとえば、すぐに退職することで今のストレスから解放されるだけでなく、失業後に受け取れる手当の待遇が手厚くなる可能性もあります。
そこでここでは休職せずに退職するメリットを3つ紹介するので、あなた自身にとって大きなメリットがあるか確認してみてください。
スムーズな転職が期待できる
休職せずに退職することで、転職先が決まり次第すぐに転職先企業に入社できるため、スムーズな転職が期待できます。
一方で休職期間を設けてしまうと、休職期間中に転職活動をして転職先が決まったとしても転職先企業に入社するまでに今の会社を退職しなければいけませんよね。
また、休職中に転職活動をすることは法律では禁止されていませんが、休職とは業務復帰を目的とした長期休みであるため、会社によっては休職中の転職活動を就業規則で禁止しているケースもあります。
これらのことから、すぐに働くことが可能で、今後のキャリアプランが明確で転職先として考えている業界や職種が決まっているのであれば、休職せずに退職してスムーズに転職活動を進めることも一つの手段だといえるのです。
会社の人と関係を絶てる
休職する場合、会社側から休職後の業務復帰について相談しなければなりません。
人間関係のストレスが原因で休職する場合、会社の人と復帰についての話し合いをすることや、休職期間が過ぎたら仕事を再開しなければならないことにプレッシャーを感じてしまうでしょう。
しかし休職せずに退職することで、すぐにでも会社の人との関係を断ち切れるため、人間関係などの会社がらみのストレスからすぐに解放されます。
休職中に会社に復帰した後のことばかり考えていると、それだけで気が休まらずストレスを感じてしまいます。そのため、人間関係についてストレスを感じている人は退職するほうが良いケースもあるのです。
失業保険の待遇が手厚くなる可能性がある
会社を辞める理由が会社都合の場合、失業保険の待遇が手厚くなります。
たとえば、会社側のハラスメントなどで退職した場合は「特定受給資格者」として、ストレスなどの精神病で退職した場合は「特定理由離職者」として認定される可能性があります。
このように「特定受給資格者」や「特定理由離職者」として認定されると、自己都合退職よりも失業保険を受け取るまでの期間が短縮されるほか、手当の受給期間が伸びるなど待遇が手厚くなるのです。
そのため、休職せずに退職した場合は、ハローワークに行くことですぐに手当を受け取れる可能性があるため、一定期間は手当を受け取りながら生活を送れます。
ただし、失業保険には受給資格が必要であるため注意しましょう。自己都合退職と特定受給資格者・特定理由離職者で失業保険を受け取るために必要な雇用保険の被保険者期間は、以下のとおりです。
- 自己都合退職:離職日以前の2年間で12カ月以上
- 特定受給資格者・特定理由離職者:離職日以前の1年間で通算6カ月以上
休職せずに退職するデメリット
休職せずに退職することはメリットだけではありません。いくつかのデメリットもあります。そのため、ここでは休職せずに退職する3つのデメリットを紹介するので、退職してから後悔しないためにも確認しておきましょう。
職歴に空白の期間ができてしまう
仕事に疲れたからといって転職先を決めないまま休職せずに退職した場合、次の転職先が決まって入社するまでの間、職歴に空白の期間ができてしまいます。
たとえば、職歴に数カ月以上の空白期間がある場合、採用担当者からすると「計画性のない人材」などとネガティブなイメージを抱いてしまう可能性があります。
そのため、職歴の空白期間ができる場合は、採用担当者が納得できる理由を考えておく必要があるのです。具体的には、転職活動と並行して職業訓練を受けたり、資格の取得に励んだりなどがあります。
また、転職先を決めずに今の会社を退職するのであれば、なぜ転職先を決めずに退職したのか具体的に説明できるようにしておくことも大切ですよ。
年金や保険の手続きが必要になる
休職期間中の年金や保険は、会社側があなたの保険料を納める社会保険です。そのため、これまで通り会社側から社会保険料の引き落としがおこなわれます。
しかし、休職せずに退職した場合、社会保険から脱退することになります。社会保険から脱退後は、以下のいずれかの健康保険に加入する手続きが必要になります。
- 任意継続健康保険
- 国民健康保険
- ご家族の健康保険(被扶養者)
また、会社員が加入する厚生年金から、無職の方が加入する国民年金に加入する手続きも必要になります。
自治体によってはインターネット上で手続きができるところもありますが、手続きする手間や、どの健康保険がいいか考えることに労力や時間がかかってしまいます。
参考:全国健康保険協会「退職後の健康保険について」
参考:日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」
転職活動に焦ってしまう可能性がある
休職せずに退職した場合、失業保険は受け取れますが、休職期間中に受け取れる「傷病手当金」は受け取れません。傷病手当は1年6ヵ月まで受給することができますが、失業手当は1年間です。そのため、休職をはさんでから退職するよりも収入が途絶えるまでの期間が短く、それによって転職活動を焦ってしまう可能性があります。
たとえば、生活費としていくらかの貯金を蓄えていた場合は、失業保険の受給が終わったとしても心に余裕を持って転職活動を進められるかもしれません。
しかし一方で十分な貯蓄がない状態で退職した場合は、失業保険が終わると収入が途絶えてしまいます。
このことから「失業保険の受給期間中に転職先を見つけなければ」というプレッシャーを感じてしまうでしょう。このことを考慮すると、休職せずに退職すると、転職活動に焦ってしまい、転職先を決める際に妥協してしまうなどの危険性があるといえるのです。
休職するメリット
次に退職せずに休職するメリットを3つ紹介します。退職ではなく休職を前向きに考えている人は、休職にはどのようなメリットがあるのかを確認しておきましょう。
今の会社で仕事を再開できる可能性がある
昇給や昇進を目指すのであれば、一つの会社にできるだけ長く勤めることが大切です。
そのため、今の会社に不満を感じていないのであれば、今の会社で仕事を再開できる休職は、今後の昇給・昇進を考慮すると大きなメリットだといえます。
休職して同じ会社で仕事に復帰するメリットは、以下のとおりです。
- 会社からの評価を維持したまま仕事に復帰できる
- 人間関係をリセットせずに仕事に復帰できる
- 自身の体調面に対して会社側が気を遣ってくれる
- 転職活動をする手間を省ける
たとえば、業務量を減らす、部署異動するなど、復帰後に改善が見込まれる場合であれば、休職で心身ともにリフレッシュすることで、復帰後は安心して働ける可能性があります。
会社の人と相談し、職場環境が改善される余地があるのであれば、休職しつつ、今後の仕事について考えてみると良いですよ。
一定の期間「傷病手当金」を受け取れる
休職中は一定の期間、健康保険組合から「傷病手当金」を受け取れます。具体的には、会社を休んだ日が連続して4日間以上あれば、4日目以降の休んだ日から支給が始まります。
また、一日当たりの支給金額は「支給開始日以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)」で計算され、最長で支給が開始された日から1年6カ月まで手当を受け取れますよ。
ただし、会社によっては休職中にも従業員に対して給料を支払う場合もあり、会社からの給料が傷病手当金の支給額を上回った場合は、傷病手当金は支給されないため注意しましょう。
参考:全国健康保険協会「傷病手当金」
今の会社の在籍期間を延ばせる
休職中は会社に在籍している扱いになるため、今の会社の在籍期間を延ばせるメリットがあります。今の会社の在籍期間を延ばせると、転職活動をする際の採用担当者からの印象が良くなります。
ほかにも、休職して仕事に復帰できると、退職金計算の対象期間を延ばすこともできますよね。ただし、休職中は退職金期間から外される可能性が高いです。
これらのことから退職するか迷っているにしても休職中は在籍期間に含まれるため、退職前に今後の仕事について考える休職期間を設けることは一つの手段だといえます。
休職するデメリット
休職も退職同様にいくつかのデメリットがあります。自分では気付けなかったデメリットを理解することで、休職ではなく退職する選択肢も視野に入れることができますよ。
ここでは休職するデメリットを2つ紹介するので、退職せずに休職した場合にはどのような
デメリットがあるのかを確認しておきましょう。
同僚や上司からの目が気になる
あなたが休職した場合、会社側は同僚や上司にあなたが担当していた仕事を割り振ります。そのため、休職中にあなたの仕事が割り振られた同僚や上司からの目が気になってしまう場合もあります。
特に同僚や上司との良好な関係値が築けていない場合は、「悪口を言われているのでは」と不安を感じてしまう可能性は高いでしょう。
このように同僚や上司からの目が気になってしまうと、休職後に仕事に復帰しづらくなってしまうこともめずらしくありません。
診断書の提出が求められる可能性がある
会社側に休職について相談する場合、休職理由のエビデンスとなる診断書を求められる可能性があります。そのため、休職しようと考えた場合、病院に訪れて医師に診断書を発行してもらわなければならないケースもあるということです。
この場合、診断書の発行料として一般的に2,000から10,000円ほどの費用がかかるため、診断書の費用がかかることは休職するデメリットの一つだといえるでしょう。
休職や退職に関するよくある4つの質問
最後に、休職や退職に関するよくある質問を4つ紹介します。
これまで会社を退職したことはあっても休職したことがない人は、こちらで休職や退職についてのよくある質問を確認してみてください。
休職してそのまま辞めてもいいですか?
休職期間中でもそのまま会社を辞められます。しかし、休職中に転職活動をして転職先企業を決めてから辞める場合は、事前に会社の就業規則や労働契約を確認しておくと良いですよ。
前述したとおり、企業によっては就業規則などで「休職中の転職活動は禁止」と記載されている可能性があるからです。このような場合に休職中に転職活動をしていることが発覚すると、会社側とのトラブルにつながってしまう可能性があります。
休職のまま退職したら失業保険はもらえますか?
休職のまま退職しても、失業保険の受給条件を満たしていれば失業保険を受け取れます。
前述したとおり、失業保険を受給するには、自己都合退職の場合で離職日以前の2年間で12カ月以上、特定受給資格者・特定理由離職者の場合で離職日以前の1年間で通算6カ月以上の雇用保険の被保険者期間が必要です。また休職中は雇用保険に加入している期間として含まれるため安心してください。
ただし、休職期間を満了して退職する場合は「正当な理由のある自己都合により離職した者」として自己都合退職という扱いになることを覚えておきましょう。
メンタル不調で退職したいのですが、伝え方は?
メンタルの不調で退職する場合、その旨を包み隠さずに伝えると良いですよ。
なぜなら、無理に隠そうとして退職することが、上司や人事に違和感を覚えさせてしまうきっかけにつながるからです。また退職願は「一身上の都合」や「体調不良により」といった書き方で問題ありません。
メンタル不調で退職したい場合の伝え方のポイントは、以下のとおりです。
- 最初にメールで要件を伝える
- 医師からの診断書を提出する
- 改善に向けて努力したことを伝える
ほかにも、仕事が原因でメンタルに不調をきたした場合は、退職前に医師から診断書を発行してもらうことで、「特定理由離職者」として失業保険の手当が優遇される可能性があることを覚えておきましょう。
一カ月休職して退職できますか?
一か月休職してから退職することはできます。前述したとおり、休職期間中に退職することは労働者の自由であるため、会社側に退職の旨を伝えましょう。
まとめ
会社の仕事が疲れてしまい、退職と休職どっちにしようか悩んでいる人もいますよね。この場合、それぞれのメリットやデメリットを把握し、自分の状況と照らし合わせて考えることが大切ですよ。
ただし、一つの会社で長く勤めたほうがキャリアを積み上げられるため、仕事に疲れたと感じる悩みを休職で解決できる可能性があれば、一度休職してみて今後のキャリアプランについて考えてみることをおすすめします。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい