この記事の目次
ニートの社会復帰率は?
ニートの社会復帰率は39.4%と考えられ、3人に1人が1年後に社会復帰している計算になります(1年前ニート状態の15歳~34歳男女が1年後に社会復帰している割合)。中でも正社員への就職率が18.0%と最も高く、パート・アルバイトが10.5%と続きます。
年代別でみると20代の復帰率が高く、30代・40代と進むにつれて社会復帰率が低くなる傾向にあります。
どの年代でも、男性より女性のほうが社会復帰率が高いことも特徴です。
※この記事における「社会復帰率」とは、1年前の時点で無業・非家事非通学・無配偶・卒業状態であった人のうち、1年後に以下に就いている人の割合を指します
- 正規の職員・従業員
- パート・アルバイト
- 労働者派遣事業所の派遣社員
- 契約・嘱託・その他雇用
- 役員・自営業主・自営手伝い
- 家事等が主で有業
参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」
【年齢別】ニートの社会復帰率
ニートの社会復帰率を年齢別に紹介します。
- 20代ニートの社会復帰率
- 30代ニートの社会復帰率
- 40代ニートの社会復帰率
20代ニートの社会復帰率
20代ニートの社会復帰率は、20代前半の男性は40.7%、20代前半の女性は51.8%です。
20代後半になると男性は39.9%、女性は48.5%へと微減しますが、30代・40代よりはいずれも高い水準です。
20代に関しては、およそ4~5割の人が1年ほどで社会復帰を果たしていることが分かります。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
20代前半 | 40.7% | 51.8% |
20代後半 | 39.9% | 48.5% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」
30代ニートの社会復帰率
30代ニートの社会復帰率は、30代前半の男性で27.5%、30代前半の女性は34.1%です。
30代後半になると男性は21.5%、女性は26.8%へと減少します。
30代に関しては、およそ3人に1人が1年ほどで社会復帰を果たしていることが分かります。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
30代前半 | 27.5% | 34.1% |
30代後半 | 21.5% | 26.8% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」
40代ニートの社会復帰率
40代ニートの社会復帰率は、30代前半の男性で21.3%、30代前半の女性は25.8%です。
40代後半になると男性は14.3%へと減り、女性は逆に29.7%へと上昇します。
40代後半の女性を除き、40代ニートの就職率は20代・30代に比べて低く、年齢が上がるほど社会復帰が難しくなることが分かります。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
40代前半 | 21.3% | 25.8% |
40代後半 | 14.3% | 29.7% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」
【男女別】ニートの社会復帰率
ニートの社会復帰率を男女別に紹介します。
- 男性ニートの社会復帰率
- 女性ニートの社会復帰率
男性ニートの社会復帰率
男性ニートの社会復帰率は20代前半が最も高く、30代・40代と経るにつれて下がっていくことが特徴です。
30代後半になると21.5%まで落ち込み、およそ5人に1人しか社会復帰していないことが読み取れます。
40代後半になると14.3%とさらに落ち込み、男女合わせて最も低い値となります。
男性ニートの年代 | 男性ニートの社会復帰率 |
---|---|
20代前半 | 40.7% |
20代後半 | 39.9% |
30代前半 | 27.5% |
30代後半 | 21.5% |
40代前半 | 21.3% |
40代後半 | 14.3% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」p.105
女性ニートの社会復帰率
女性ニートの社会復帰率も20代前半が最も高く、30代・40代と経るにつれて下がっていくことも男性と変わりません。
ただし40代後半になると上昇しており、これは子育てが一段落したタイミングであることが背景にあると考えられます。
どの年代も男性と比べると社会復帰率が上回っているため、こちらのデータからは社会復帰に対する女性の意欲の高さや就職成功率の高さを伺い知れます。
女性ニートの年代 | 女性ニートの社会復帰率 |
---|---|
20代前半 | 51.8% |
20代後半 | 48.5% |
30代前半 | 34.1% |
30代後半 | 26.8% |
40代前半 | 25.8% |
40代後半 | 29.7% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」
【学歴別】ニートの社会復帰率
ニートの社会復帰率を学歴別に紹介します。
- 大卒ニートの社会復帰率
- 高卒ニートの社会復帰率
- 中卒ニートの社会復帰率
大卒ニートの社会復帰率
大卒ニートの社会復帰率は、15~34歳の男女でおよそ5~6割、35~44歳の男女ではおよそ3割~4割です。
高卒・中卒と比べると、男女ともにいずれの年代も社会復帰率が高くなっています。
特に大卒女性のニートは15~34歳で比べると高卒・中卒の2~3倍の社会復帰率となっており、高学歴の女性ニートほど社会復帰率が高い傾向が読み取れます。
年代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
15~34歳 | 52.7% | 66.2% |
35~44歳 | 26.6% | 43.8% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」
高卒ニートの社会復帰率
高卒ニートの社会復帰率は、15~34歳の男女でおよそ3割、35~44歳の男女ではおよそ2割です。
大卒に比べると男女ともに低く、各年代で比べても落ち込みは顕著です。特に15~34歳に関しては、男女ともに社会復帰率が半分ほどに落ち込みます。
ただし35~44歳の男性に関しては大卒(26.6%)・高卒(19.3%)となっており、社会復帰率の違いはそこまで見られません。
年代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
15~34歳 | 27.6% | 29.0% |
35~44歳 | 19.3% | 17.6% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」
中卒ニートの社会復帰率
中卒ニートの社会復帰率は、15~34歳の男女でおよそ2割、35~44歳の男女ではおよそ1割です。
男女ともにいずれの年代も大卒・高卒より低く、35~44歳の中卒女性の社会復帰率は11.5%と特に低めです。
大卒と比べると3分の1ほどのため、社会復帰率には学歴が大きな要因を占めていることが分かります。
年代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
15~34歳 | 19.4% | 24.0% |
35~44歳 | 13.6% | 11.5% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」
【雇用形態別】ニートの社会復帰率
ニートの社会復帰率を雇用形態別に紹介します。
- ニートから正社員に就職した人の割合
- ニートからパート・アルバイトとして働く人の割合
- ニートから派遣になった人の割合
ニートから正社員に就職した人の割合
ニートから正社員に就職した人の割合は18.0%です(15歳~34歳 男女計)。
年代で比べると20代の正社員就職率が高く、30代・40代と経るにつれて下がります。
なお、大学卒・大学院卒の正社員就職率は男女ともに30~45%ほどと高い一方で、高卒・中卒は3~10%ほどのため、正社員就職率には学歴が大きく関わっていることも分かります。
年代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
10代後半 | 16.1% | 16.4% |
20代前半 | 20.6% | 22.7% |
20代後半 | 22.0% | 18.3% |
30代前半 | 12.5% | 10.7% |
30代後半 | 9.8% | 8.4% |
40代前半 | 7.9% | 7.1% |
40代後半 | 6.1% | 10.2% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」
ニートからパート・アルバイトとして働く人の割合
ニートからパート・アルバイトへの就職率は10.5%です(15歳~34歳の男女計)。
正社員就職率と同じく、年齢を重ねるにつれて就職率が下がっていることが特徴です。
性別で比べると、どの年代も女性のほうがパート・アルバイトへと移行した人が多いことが分かります。
年代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
10代後半 | 13.0% | 11.8% |
20代前半 | 11.8% | 16.6% |
20代後半 | 8.3% | 14.0% |
30代前半 | 5.1% | 10.1% |
30代後半 | 4.3% | 8.0% |
40代前半 | 3.8% | 8.2% |
40代後半 | 2.9% | 7.4% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」
ニートから派遣になった人の割合
ニートから派遣への就職率は3.4%(15歳~34歳の男女計)となっており、正社員移行率やパート・アルバイト移行率と比べると低いことが特徴です。
年代別でみると20代前半までは男性のほうが派遣移行率は高い一方で、40代前半を除き、20代後半以降は女性のほうが派遣移行率が高くなっています。
年代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
10代後半 | 5.2% | 1.4% |
20代前半 | 2.8% | 2.7% |
20代後半 | 2.4% | 4.8% |
30代前半 | 2.4% | 7.4% |
30代後半 | 1.5% | 3.6% |
40代前半 | 4.7% | 4.5% |
40代後半 | 1.6% | 5.4% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③-平成29年版「就業構造基本調査」より-」
ニートの平均期間
厚生労働省の調査によると、ニートの平均期間は「1年以下」が41.1%と最多です。
「1年超~2年以下」を超えると割合が大きく下がるので、多くの人は1年以内にニートの状態を抜け出していることが分かります。
全体でみると「3年超~5年以下」の割合が最も低くなっています。
一方で「5年超」になると11.5%と増えており、年数を重ねるごとにニートから抜け出すことが難しい、あるいは社会復帰を望む人が減る傾向にあることが分かります。
ニート状態の期間 | 割合 |
---|---|
1年以下 | 41.1% |
1年超~2年以下 | 13.2% |
2年超~3年以下 | 7.7% |
3年超~5年以下 | 6.5% |
5年超 | 11.5% |
出典:厚生労働省「ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究報告書|6. ニート期間」
失業から復職までの平均期間
参考までに、失業から復職までの平均期間(失業継続期間)を紹介します。
「ユースフル労働統計2022」によると、2021年の失業継続期間は平均3.6ヶ月です。2009年(4.38ヶ月)と比べると0.8ヶ月ほど短くなっており、復職までの期間は短縮傾向にあることが分かります。
これは社会に復帰しやすい環境が整備されてきているとも言えるため、就業を望むニートにとっては追い風といえるでしょう。
年 | 失業継続期間の平均(月)/男女計 |
---|---|
1991年 | 3.05 |
2001年 | 4.32 |
2009年 | 4.38 |
2021年 | 3.6 |
出典:労働政策研究・研修機構(JILPT)「ユースフル労働統計2022|表7-9 失業継続期間と失業頻度」p.93-94
まとめ
ニートの社会復帰率は「39.4%」です(15歳~34歳男女計)。
年代別でみると20代の復帰率が特に高く、男性に比べると女性の復帰率が高い傾向にあります。
いずれにしても、応募できる求人は年齢を重ねるにつれて少なくなるため、社会復帰できる可能性は低くなっていきます。
ニートの状態から抜け出したい方は、就職エージェントやハローワークを利用するなど、できるだけすぐに行動を起こし始めましょう。