
「高学歴ニート」とはどういう意味ですか?
高学歴ニートとは、一般的に高学歴と呼ばれる大学や大学院を卒業していますが、現在は会社等に所属せずに教育や職業訓練等も行っていないニートの人を意味します。
高学歴な学校を卒業してから、1度も就職していない人だけではなく就職したが何らかの理由で退職して現在は仕事をしていないという人も対象です。
また、高学歴ニートは別名「高学歴難民」と呼ばれており、類似して学歴に対して雇用状態や賃金水準が不安定な人を指す「高学歴ワーキングプア」という言葉もあります。
高学歴ワーキングプアとして過ごすことに不安や不満を感じることで仕事が続かず、最終的にニートとなってしまったというケースもあります。
家族の病気や育児、介護を理由に就業できずにいる人も含まれているなど、高学歴ニートとなる理由は様々です。
ニートの基本的な定義
ニートとはイギリスで誕生した造語で、「Not in Education, Employment, or Training=就学、就職、職業訓練のいずれもしていない人」の略称です。
厚生労働省ではニートの基本的な定義として「15~34際の非労働力(仕事をしていない・失業者として求人活動をしていない者)」のうち、主に通学でも、主に家事でもない独身者」と位置づけています。
しかし、一般的に年齢に問わず学生ではないが就業や家事を行う意思のない人たちのことであると認識している人が多い傾向があります。
どちらも“働く意思のない人”という認識は同じですが、年齢の決まりにおいては相違があることからニートには厳密な定義がないともいえるでしょう。
出典:厚生労働省「ニートの状態にある若年者の実態及び 支援策に関する調査研究 報告書 」
高学歴とはどこからか
高学歴とは一般的に大学卒業者のことを表しており、文部科学省が発表した「令和5年度学校基本調査」によると2023年度の大学卒業者数は590,162人です。
また、近年では偏差値55以上の大学を卒業した人を表す場合も増えてきました。
受験者が1,000人だった場合の最上位から偏差値55以上の人の割合は以下の通りで、約3割の人が高学歴の対象であることが分かります。
偏差値 | 最上位からの割合 | 1,000人中の順位 |
---|---|---|
80 | 0.13% | 1.3位 |
75 | 0.62% | 6.2位 |
70 | 2.28% | 22.8位 |
65 | 6.68% | 66.8位 |
60 | 15.87% | 158.7位 |
55 | 30.85% | 308.5位 |
出典2:栄光ゼミナール「偏差値とは何?偏差値の意味と求め方・計算方法をわかりやすく解説!」
一方で、偏差値に関係なく国立大学や有名な私立大学の卒業者も高学歴として判断される場合も多いです。
企業側の目線では経営拠点とする地域の有名大学など知名度の高い大学を高学歴とみなして採用活動を行っている場合もあり、高学歴の基準はニートと同じく厳密な定義はないと考えられます。
高学歴ニートの割合
高学歴ニートの割合は、文部科学省の「学校基本統計調査」の進学・就職が決まっていない割合を基に算出されます。
ここでは、大学・大学院卒業者の高学歴ニートの割合と有名大学9校を一例とした高学歴ニートの割合についてそれぞれ解説します。
大学・大学院から就職・進学しない割合
文部科学省が発表している「令和5年度学校基本統計調査」から過去10年間(2014~2024年)の大学・大学院卒業生の中で進路が決まっていない割合を表にしました。
就職・進学しない割合の中には、結婚・育児・介護などの家庭の事情により就職を選ばなかった人も含まれています。
年度(3月) | 大学(学部)卒業者進路未定者の割合 | 大学院(修士課程修了者)進路未定者の割合 |
---|---|---|
2024年度 | 8.2% | 11.4% |
2023年度 | 9.4% | 12.2% |
2022年度 | 9.6% | 12.0% |
2021年度 | 7.1% | 10.0% |
2020年度 | 6.7% | 9.4% |
2019年度 | 7.0% | 9.6% |
2018年度 | 7.8% | 9.5% |
2017年度 | 8.7% | 9.8% |
2016年度 | 10.3% | 10.5% |
2015年度 | 12.1% | 12.0% |
2014年度 | 13.6% | 12.5% |
大学卒業者の進路未定者は、2020年度に6.7%と過去10年で最も少ない割合を記録していますが、2014年度と比較すると半減しており、ここ数年は緩やかに変動しています。
一方で、大学院卒業生の進路未定者は2021年以降は大学卒業者に比べて割合が約3%ずつ高いことも表から分かります。
就職未定者の割合が高い背景には国内の経済状況が反映していることが考えられ、不振が続くことで求職者数と求人数の比率が崩れてしまいます。併せて近年は新型コロナウィルスによって就職活動が困難な時期もあるなど、就職や転職先を見つけられず高学歴ニートの人も増加傾向となったことが考えられます。
有名大学の就職・進学しない割合
一般的に有名大学と呼ばれている東京大学・京都大学・大阪大学・東北大学・名古屋大学・九州大学・北海道大学・早稲田大学・慶應義塾大学の割合を一例とさせていただきました。
就職・進学しない割合の中には、結婚・育児・介護などの家庭の事情により就職を選ばなかった人も含まれています。
9つの大学を2024年3月と2023年3月に卒業した人の就職・進学しない割合の表は以下の通りです。
大学名 | 大学(学部) 進路未定者の割合 (2024年3月卒業者) | 大学(学部) 進路未定者の割合 (2023年3月卒業者) |
---|---|---|
東京大学(2024年度発表データ) | 12.5% | 12.2% |
京都大学(2024年度発表データ) | 5.7% | 6.2% |
大阪大学(2024年度発表データ) | 4.2% | 7.0% |
東北大学(2024年度発表データ) | 4.3% | 5.4% |
名古屋大学(2024年度発表データ) | 5.3% | 5.0% |
九州大学(2024年度発表データ) | 7.0% | 5.1% |
北海道大学(2024年度発表データ) | 13.4% | 7.8% |
早稲田大学(2023年度発表データ) | 5.7% | 5.5% |
慶應義塾大学(2023年度発表データ) | 11.0% | 11.4% |
就職未定者の割合は各大学によって多少の差はありますが、有名大学と呼ばれている大学の約4%以上の卒業生が高学歴ニートとなっているといえます。
高学歴でニートでいる辛さ
憧れをもたれることの多い高学歴の大学を卒業したが、現在はニートとして過ごしている人の中には辛い気持ちや不安感など様々な感情が沸いている人もいるのではないでしょうか。
ここでは、高学歴ニートの人が感じている様々な不安や辛さについて解説します。
家族や周囲の期待に応えられない辛さ
偏差値が高い大学など教育レベルの高い環境で過ごしてきた人は、家族や周囲の期待に応えた就職先を見つけなければならないというプレッシャーに辛さを感じる場合があります。
家族や周囲からの期待を感じることで、一流企業などの一般的に高い水準の会社へ就職しなければいけないというプレッシャーを知らず知らずのうちに自分へ課している人もいることでしょう。
期待に沿った将来が描けていないことへの辛さを強く感じるようになると思考もマイナスの方向へと進んでしまい、最終的には就職を断念して高学歴ニートとなるケースも少なくありません。
実績を積んでから転職するという方法もありますので、家族や周囲の期待に応えられないことに辛さを感じている人は、10年後20年後のキャリアステップを考えて就職活動を行うのも良いでしょう。
自身のプライドと折り合いがつかない辛さ
高学歴ニートの人の中には幼少期から「天才」「頭が良い」などと呼ばれ続けてきたことでプライドと理想の就職先との折り合いがつかず、辛いと感じている人もいることでしょう。
“高学歴=大手企業への就職”という固定概念に縛られてしまい、就職先を厳選しすぎることで就職活動が思い通りにいかない可能性もあります。
人一倍勉強を頑張ってきたことは就職活動においても、努力できる人として自己アピールになりますし、自身が絶対に譲れない事項があるのは当然です。
ただし、プライドの折り合いがつかないことに辛さを感じているのであれば、今一度自分を見つめ直して妥協点を探ってみるのも良いでしょう。
同期や友人と比較してしまう辛さ
高学歴ニートの同期や友人には同等の学歴をもつ人も多いことから、就職や転職する企業を比較してしまうことに辛さを感じる人もいるでしょう。
厚生労働省が行っていた「賃金構造基本統計調査(初任給)」によると大学卒者の初任給は21.2万円、高校卒者は約16.74万円で、学歴によって大きな差があることが分かります。
高学歴の人の場合、一流企業や、高度な専門職に就いている友人が多くなる傾向のため、さらに高い水準の初任給となります。ニートの自分との収入の違いがより浮き彫りになり辛いこともあるでしょう。
これまで一緒に努力を続けてきた同期や友人にライバル心や比較する気持ちが芽生えるのは当然です。
ただし、比較してしまうことに辛さを感じているのであれば周囲は自分の就活と関係ないことを再確認し、自分自身と向き合うよう心掛けてみましょう。
将来への不安
高学歴に限らずニートは収入がないことから親亡き後のことや就活を再開しても無事に就職できるのか等、将来に様々な不安を抱えている人が多いです。
こうした先の見えない将来に対して漠然とした不安感を感じている方もいるでしょう。
仕事に就いていないとクレジットカードやローン審査が通りにくくなるなど社会的信用を失ってしまうリスクも高まります。
自分の趣味や性格、興味のある分野、得意な分野などを見つめ直すことで具体的な就職先の希望が見え、将来への不安解消にも繋がるのではないでしょうか。
高学歴ニートから就職はできる?
高学歴ニートとして生活している人の中には無事に就職できるのか不安に思う方もいるかもしれませんが、行動次第で就職できる可能性は十分あります。
ここでは、高学歴ニートを抜け出したいと考えている人向けに就職できる可能性や就職成功のポイントについて解説します。
就職は十分に可能
高学歴ニートの期間があったとしても、どの企業にも就職できる可能性は十分にあります。
高学歴であることは就職活動においてもアピールできる経歴であり、自身が努力できる人で
あることの証明です。
また、日本社会では少子高齢化や地方からの人口流出、人材受給のアンバランス化等の進行によって深刻な人手不足も起きています。
こうした日本社会の現状によって人材を必要としている企業も多いことも就職できる可能性を高めているといえるでしょう。
ただし、高学歴ニートとして過ごしていた期間があることで世間からは多少厳しい評価を受けてしまうことも理解しておく必要があります。
新卒ではなく中途採用となるため、学歴以外のアピールポイントをまとめておくなど事前対策を考えておくことが大切です。
就職成功のためには早めの行動が大切
ニートという空白期間が長いと企業から不信に思われるなどのデメリットとなることから、就職を成功させるためには早めに行動することが大切です。
就職活動をしたいけど何からしたら良いか分からないという方は、ハローワークやジョブトレ等の公的機関の就職支援へ相談してみるのも良いでしょう。
また、全面的にサポートを受けながら就活がしたいという人は転職エージェントに相談してみることも有効な手段といえます。
例えば、ジェイックの転職サポートである「就職カレッジ®」は、内定率を高めるだけでなく、入社後も役立つ知識も学べることから相談満足度93.5%の評価を受けています。
就職後もサポートチームが相談にのってくれるなど最後まで就職活動を支えてくれます。
ジェイックのような充実した就活サポートを行っている転職エージェントを利用することも就職成功への近道となるかもしれません。
まとめ
高学歴ニートとは、高学歴とよばれる学校を卒業した後に仕事をしていない人のことを指しますが、学歴や趣味、特技を活かすことで今後就職できる可能性は十分にあります。
家族や友人などの周囲の期待や比較によって様々な不安を感じる人もいるかもしれませんが、周りを気にせず自分が本当にやりたいことは何かゆっくり見つめ直してみてはいかがでしょうか。
自分を見つめ直すことでプライド等が邪魔することなく本当にやりたい仕事に就けるきっかけとなり、将来への不安解消にも繋がる可能性が高まります。
少しでも早く就職して高学歴ニートから抜け出したいという人はハローワークやジョブトレ、転職エージェントなどの支援サービスを利用することでスムーズに事が進むでしょう。




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