「大学留年と中退、どっちにした方がいいのか。どっちかを選んだ場合、その後の就職活動や生活はどうしたらいいのか」と考えている学生もいるかもしれません。
バイトをしすぎて卒業に必要な単位を取れなそう、学生生活ががつまらなくて授業をさぼりがち、勉強についていけなくなってきたなどのときに、ふと留年や中退が頭をよぎる人もいるでしょう。今回は、留年か中退、どっちが良いのか悩む人にぜひ参考にして欲しい考え方と、就活への影響などについてまとめてみました。
記事の最後には、よくある質問として記事の内容をまとめたものを紹介していますので、最後までご覧ください。
この記事の目次
大学を留年する人の割合や特徴
大学を留年する人の割合と特徴について、それぞれご紹介します。
大学を留年する人の割合
文部科学省が発表している「Ⅱ調査結果の概要(高等教育機関)」によれば、平成26年4月に大学に入学し、平成30年3月に卒業(4年間で卒業)した人の割合は81.6%という結果が出ています。
平成30年3月に大学を卒業した人のうち、留年年数のそれぞれの割合は、以下の通りです。
- 5年で大学を卒業した人(平成25年4月入学):7.1%
- 6年で大学を卒業した人(平成24年4月入学):1.5%
- 7年で大学を卒業した人(平成23年4月入学):0.4%
- 8年で大学を卒業した人(平成22年4月入学):0.2%
このように、1年留年した人の割合がもっとも高く、目安としては100人中7人程度です。2年以上の留年はやはり少数派ではあるものの、1年留年した人は、一定数存在していることがわかります。
大学を留年する人の特徴
大学を留年する人の特徴としては、以下が考えられます。
- 学業以外のことを優先させてしまった/どうしてもそうせざるを得なかった
- やる気がなかった/途中からやる気をなくした
- サボり癖や怠け癖がついてしまった
- 留年してまでもほかにやりたいことがあった
- 「4年で卒業できなくてもいい」と早々にあきらめた
- 中退する前に留年して今後どうするか考えたかった
ジェイックが2019年度に、大学中退者248名(男性188名・女性60名)を対象に実施したアンケート調査「中退者の留年割合・留年経験率・留年理由」によると、留年理由は以下のようになっています。
文系・理系で結果が異なっており、文系は「サークルや部活、バイト等に熱中したから」が51.5%、理系は「授業についていけなかったから」が48%という結果です。
大学を留年する人の理由として、留年することになった具体的な理由には、以下が考えられます。
- 勉強についていけず単位が取れなかった
- 遊びやバイトばかりして授業に出なかった
- 大学生活がつらかった(なじめなかった、友達ができなかった、など)
- 中退するかどうかを検討したかった
- けがや心身の病気
- 家族の病気や介護
- 経済的事情(学費や家計のため長時間バイトをしなければいけなかった、など)
- 在学中の妊娠や出産、子育て
- 海外留学
- ほかの専門学校やスクールなどへの通学
- その他特別な理由(芸能活動や起業など)
大学の場合、進級に必要な単位が取れれば留年することはありません。つまり「留年するつもりはなかったが結果的に留年してしまった」ケースと「早い段階で留年を覚悟していた」ケースのいずれかに分かれるといえます。
大学留年・中退のそれぞれのメリット・デメリット
大学の留年と中退のそれぞれについて、どのようなメリット・デメリットが考えられるのかについてご紹介します。
大学留年のメリット・デメリット
大学留年のメリット・デメリットについてご紹介します。
大学留年のメリット
大学留年のメリットは、以下の通りです。
- 「大学生」という肩書きをキープできる
- 新卒枠で就職活動ができる
- 人によっては有意義に時間を使える
留年した場合でも、大学に在籍していることには変わりはありません。通常よりも長く大学生でいることができるため、学生のうちにどうしてもやりたいことがある、チャレンジしたいことがあるなどの場合、比較的低リスクで取り組むこともできます。
就職活動に関しても、たとえ留年していても企業は「大卒」とみなします。同級生とタイミングはずれるものの新卒枠での応募が可能となるため、就職できる企業の範囲が狭くなりにくいでしょう。
大学留年のデメリット
大学留年のデメリットは、以下の通りです。
- 留年しても学費は支払わなければいけない
- 留年という経歴が就職活動でよく思われないことがある
- 進級や卒業へのモチベーションが下がることがある
留年の最大のデメリットのひとつが、学費です。学費が通常よりも1年分多くかかることになるため、金銭的な負担は避けられません。経済的な理由でとりあえず留年したとしても、そのぶん学費を支払わなければいけなくなるため、結局大変になってしまうかもしれないリスクがあります。
就職活動においても、留年したことが不採用につながるわけではなくとも、企業によっては好ましく思わないところもあるかもしれません。
また、同級生より一年遅れるということで、就職活動に限らず自分自身のモチベーションが下がって卒業する気をなくしてしまうこともあり得ます。
大学中退のメリット・デメリット
大学中退のメリット・デメリットをご紹介します。
大学中退のメリット
大学中退のメリットは、以下の通りです。
- 中退後は学費がかからない
- 本当にやりたいことがある場合はそっちに集中できる
- 勉強や学校のことに悩むことがなくなる
当然ですが、大学を中退すればそれ以上学費がかかることはありません。学費を自分で支払っていた場合や奨学金を借りていた場合など、その合計金額を減らすことが可能です。奨学金を利用していた場合、中退しても返済は必要にはなるものの「どうしても学費を支払うのが厳しい」という場合、中退のほうが金銭的負担は軽減されます。
また、大学を中退しても絶対にやりたいことがあるという場合にも、中退はメリットのほうが大きくなります。課題やテスト勉強、授業などに時間をかける必要がなくなるためです。
大学中退のデメリット
大学中退のデメリットは、以下の通りです。
- 経歴が「高卒」になる
- 就職や仕事選びに影響が出ることがある
- あとから「大学に戻りたい」と考えてもむずかしい
大学中退の最大のデメリットは、経歴が大卒ではなく高卒になることです。大学中退での就職は高卒扱いとされるため、「大卒以上」を条件にする企業には応募できなくなります。給与面でも、大卒と高卒で差がある企業もあります。
また、留年の場合はまた再開することができますが、中退してしまうと、ふたたびその大学に戻るのはかなりハードルが高くなります。なかには退学者の再入学を認めている大学もありますがもちろんすべてではないため、安易な中退はリスクが高くなってしまいます。
大学中退を考えている方は、中退後の就職のことまで考えたうえで決断することをおすすめします。中退して就職するつもりの方やすでに中退している方は、以下の記事を参考にしてみてください。
まだ大学に在学中で中退を検討している方は、以下の記事も参考にしてみてください。
深く考えずに大学を中退すると「こんなはずではなかった」ということにもなりかねません。そうならないためにも、中退するかどうかは慎重に判断しましょう。
留年か中退どっち?悩む前に考えるべきこと3つ
大学留年するべきか大学中退するべきかどっちなのか迷ったら、就職活動やその後の生活について考える前に、まずは以下の3つの点を振り返ってみましょう。
1. 留年、中退しそうな理由(単位など)を整理
「大学留年と中退、するならどっちなのか?」を選択する基準を作るために、まずは留年、中退しそうな理由を整理しましょう。
たとえば、以下のように複数の理由が重なっているケースもあるでしょう。
- アルバイトをしすぎて大学に行かなかったので単位が取れなかった
- 大学で学びたいことが専攻と違って大学に行く気がなくなった
- 大学生活に馴染めなかった
1つだけでなく、いろんな理由が積み重なって卒業が出来なくなっている場合が多いでしょう。
それらの理由を「中退したら解決する理由」と「留年したら解決する理由」に分けて整理していくと、留年して大学生活を続けた方が良いのか、中退して就職活動のことを考えた方がいいのか、どっちなのかが分かってくるでしょう。
たとえば「アルバイトをしすぎて大学に行かなかったので単位が取れなかった」が主な理由なら、いまの大学に残りたい気持ちがあれば留年し、その後の就職活動に備える方がよいかもしれません。
2. そもそも大学の勉強は好き?
中退せずに留年するならば、大学に残って単位未取得の科目の勉強をしなければなりません。また、学費も留年した分多く払う必要があります。
未取得の科目はいくつあり、どれくらいの時間や労力をかけたらすべての単位がとれそうですか?また、学費は留年する分払えそうですか?
時間や労力、お金をかけてでも大学卒業の資格が必要と判断したなら、その後の生活を考えて中退せずに留年した方が賢明です。
3. 就職への意欲はどれぐらい?
中退してすぐに働かなければいけない理由がある人以外で、通常よりも早く社会に出て働きたい意欲はどれくらいあるでしょうか。
どうしても働く必要がある人は、留年して大学に残るよりも、中退して就職活動をした方がお金の面では合理的かもしれません。勉強に一切魅力を見出せないという人は、場合によっては中退して就職する道を選んだほうが、自分としては納得感があるかもしれません。
下のグラフは、大学生と高校生が学校を中退する理由を、文部科学省「学生の中途退学や休学等の状況について」のなかでまとめたものです。
中退の理由で一番多いのは20.4%の「経済的理由」で、「就職」も13.4%とかなり多くなっています。大学を中退してからもアルバイトを続ける人もいますが、経済的理由や社会に早く出たいがために中退する場合は、安定した収入が見込める正社員での就職をおすすめします。
ただし、留年・中退のどっちを選んだとしても、就職活動の難易度は新卒よりも高くなることは理解しておきましょう。
大学を中退した場合、就職後よりも心配するべきなのは内定を得るまでの就職活動の進め方です。以下の記事では、大学中退者向けの就職活動のコツについてまとめています。
大学中退者向け求人の現実などについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
留年または中退した時、就職活動でどう説明するか?理由別の例
実際の就職活動ではどのように大学留年や大学中退の理由を説明したらよいのか、留年/中退の理由別に例を紹介します。
例1. 経済的理由
留年よりも、中退した人に特に多いのが経済的理由です。
- 家計や家族の生活を支えるために大学中退して働くことにした
- 単位が取れず留年が決まり、学費が払えずに大学中退を決意した
- 学費のためにバイトをしていたがサボるようになり支払いが滞ってしまった
自分ではどうしようもない中退理由から、頑張ればどうにかなった中退理由までさまざまですが、就職活動中は偽らずに面接で伝えましょう。
どんな経済的理由でも面接でPRしていきたいのは「経済的に苦労して中退したからこそ、その後の社会人生活は高い意欲を持って仕事に打ち込んでいく」という意気込みです。
企業が若者を採用する決め手に多いのは「積極性」や「働く意欲」です。それらを伝えられるように、中退した事実に触れつつもポジティブに説明しましょう。
例2. 体調のトラブル
体調のトラブルでの留年・中退とは、例えば以下のようなケースを指します。
- けがで入院してしまいそのまま中退した
- 病気を治すために療養していて留年した
体調不良が理由で出席日数を確保できずに単位を落として留年したり、そのまま中退したりするケースもあるでしょう。また、けがや病気がテスト期間に重なってしまったという人もいるかもしれません。
この場合、面接官が気になるのは「その病気やけがは就職後の仕事に影響があるか?」です。
外科的な事情だと後遺症は大丈夫か、内科的・精神的な事情だと再発の危険がないかなどと心配されますので、事実の説明を十分に行いましょう。
身体のことが原因の大学留年や大学中退はどうしようもないケースがほとんどです。現在は治っていることと、その後の生活や就職後の仕事に悪影響が無いことを正直に伝えたら、問題はありません。
例3. 家庭的な事情
家庭的な事情での留年や中退は、例えば次のような場合でしょう。
- 家族の介護に時間を取られ、学業に専念できずに留年や中退した
- 家業の手伝いをせざるを得なくなり、中退した
介護や家業の手伝いといった、家庭の事情が原因の大学留年・大学中退した後に就職活動をする場合も、言える範囲で事実を面接官に伝えましょう。
このような場合も、自分ではどうしようもないケースが多いです。「現在は就職活動や仕事に集中できる」ことを留年、中退した理由に付け加えて必ず伝えましょう。
例4. やる気がなかった
いちばん厄介なのが「やる気がなかったので大学を留年(中退)した」場合です。
- 面倒で大学に行かなかったら単位を落とした
- 大学生活がつまらなくて勉強しなかった
このような場合、就職活動で正直に留年や中退の理由を説明して良いのか悩むかもしれません。悩むかもしれませんが、できるだけポジティブに言い換えて伝えましょう。
たとえば「やる気が出ず大学を留年(中退)してしまったが、社会人では中途半端になることなく仕事に取り組みたい」という社会人生活に対する意欲を示す方が賢明です。
しかし「大学の時にやる気が出なかったなら、社会人になっても変わらないのでは?」と疑ってしまう面接官もいます。面接官に納得してもらうためにも、アルバイトなど、何かを頑張りきった経験を自己PRすることが必要です。
「そんな経験はないな・・・」と悩んでしまう場合は、就職支援会社でのキャリアカウンセリングを受けるのもおすすめです。自分だけでは練習できない自己PRや面接の対策ができ、就職活動の成功率が高まります。
大学中退理由の面接での伝え方は、以下の記事でもご紹介しています。
大学を中退した理由を企業にどう伝えるべきか迷っている方は、こちらも参考にしてみてください。
よくある質問
4年制の大学を4年間で卒業した人の割合は81.6%、つまり18.4%は留年していることになります(平成30年3月データ)。詳しいデータは「大学を留年する人の割合や特徴」をご覧ください。
もし金銭的に余裕があるのであれば、卒業はした方がよいでしょう。中退して、高卒になると給料に影響が出る可能性が高いです。ただし、中退したら必ず大卒に劣るのかと言われるとそうとも限りません。成功のカギは早めの就職活動です。中退専門の就職サービスに申し込んで、成功をつかみ取りましょう。
どちらも就職に影響は出ます。重要なのは留年の回数です。中退の方が悪いイメージがあるかもしれませんが、2年以上留年した場合は大学中退よりも悪いイメージを持たれる可能性もあります。
中退後に就職活動を始めるスケジュールをあらかじめ引いておきましょう。スケジュールを立てないと、大学中退のフリーター/ニートとなってしまい就職がどんどん遠のきます。私たちジェイックは中退専門の就職サービスを運営しており、中退検討段階から申し込みすることが出来ます。
大学留年・大学中退どちらでも前向きに就職活動をしよう
大学留年か中退か迷ったら、まずはいまの自分の悩みは留年したら解決する問題なのか、中退しなければ解決しないのか、その後の生活や就職活動のことも考えて総合的に判断しましょう。
大学留年と中退、どっちであっても、普通に4年間で大学を卒業した人と比べると就職活動は苦労します。大切なのは、留年や中退の理由をごまかさずに「留年(中退)したからこそできた経験があり、それを社会人生活で活かしたい」とポジティブに伝えることです。留年か中退のいずれかを選択したとしても、前向きに捉えて就職活動やその後の生活に臨みましょう。
私たちジェイックは、大学中退者を専門とした就職支援サービスを運営しています。中退後の就職にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
大学を辞めたい、大学中退の末路について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
こんな方におすすめ!
- 学歴に自信がないから就職できるか不安
- 就職について、誰に相談したら良いか分からない
- 中退しようかどうかを迷っている
- 学歴に自信がないから就職できるか不安
- 就職について、誰に相談したら良いか分からない
- 中退しようかどうかを迷っている