
「仕事を辞めたいのに上司に言えない…」
「退職を伝えるのが怖い」
こうした悩みを抱えていませんか?
この記事では、仕事を辞めたいと言えない理由を8つに分け、それぞれの対処法を紹介します。
退職を上司にどうしても言い出せない場合の対策もお伝えしますので、ストレスなく退職したい人は参考にしてみてください。
この記事の目次
仕事を辞めたいけど怖いから言えない理由と対処法
退職することを言い出せない理由としては、次の8つが考えられます。
- 上司に怒られそうで怖い
- 人手不足なので迷惑をかけてしまう
- 退職日まで気まずい思いをしそう
- 説得されそうで怖い
- 退職理由をうまく言える自信がない
- 新しい環境でうまくやれるか不安
- 退職後にお金の面で苦労しそう
- 家族から反対されそうで怖い
1. 上司に怒られそうで怖い
普段から厳しい上司や、感情の起伏が激しい上司に退職を伝える場合に、「どういった反応をされるかな…」と不安に感じてしまう人は多いでしょう。
上司に意見を伝えたときに強く怒られたり、理不尽に怒鳴られたりした経験がある人は恐怖心を特に抱いてしまうかもしれません。
対処法
退職の意思を伝えるのは勇気がいることですが、民法第627条1項では「会社は社員の退職の申し出を拒否できない(※)」と定められています。
つまり退職の申し出は労働者の権利のため、上司から怒られるようなことではないのです。
退職を伝えたあとに上司から不当な扱いを受けたときは、労働組合や労働基準監督署に相談することで仲介に入ってくれることもあります。
退職の申し出は従業員の権利なので、ぜひ自信を持って退職の意思を伝えてみてください。
※無期雇用(正社員)の場合
2. 人手不足なので迷惑をかけてしまう
人手不足の職場で働いている場合、自分が退職することで同僚に大きな負担をかけてしまうのでは…と不安になる人も多いかもしれません。
同僚との仲が良い人ほど迷惑をかけづらく、結果として退職を切り出せずにモヤモヤとした気持ちだけが募っていく人も多いでしょう。
対処法
人手不足が理由で退職を言えないときに覚えておきたいのが、必要な人員を確保する責任や、仕事の割り振りを決める責任は上司にある、ということです。
残った社員に業務のしわ寄せがきても、その社員たちが不満の声をあげるのは、辞めたあなたのせいではなく、人材確保ができない会社や業務量をうまく配分できない上司に対してです。
また、退職する際は引き継ぎをしっかりと行い、同僚への負担をできるだけ減らすことも心掛けましょう。
最後まで責任感を持って仕事に取り組むことで、周りからの不満の声は出にくくなります。
3. 退職日まで気まずい思いをしそう
上司や同僚との関係が気まずくなってしまうのでは?と感じ、退職を切り出せない人も多いかもしれません。
「退職したい」と伝えた途端に周りの態度が変わってしまったらどうしよう…という不安から退職を言い出せない人もいるでしょう。
実際、ぎくしゃくした雰囲気の中で退職日まで過ごすことに耐えられそうになく、退職を伝えることを後回しにしてしまう人も多いのです。
対処法
気まずい思いをしたくない人に、心に留めておいてほしいことがあります。
それは、あなたの新たなスタートを応援してくれる人もいる、ということです。
退職は、新たな道へと進む前向きなアクションです。退職に賛同しない人もいるかもしれませんが、それはその人の考えであって、絶対なものではありません。
それよりも「自分を応援してくれる人もいる」とポジティブに捉え、前向きな気持ちで退職までの期間を過ごしましょう。
これからの新生活について考えるなど、未来に目を向けることで不安な気持ちは自然と和らいでいきます。
4. 説得されそうで怖い
「退職したい」と伝えたあとに説得されたり、引き止められたりするのでは…と不安な人もいるでしょう。
「会社には君の力がどうしても必要だ」「給料を上げるので退職を考え直してほしい」といった言葉を掛けられた場合を想定し、自分の意志を貫き通せるか心配な人もいるかも知れません。
対処法
会社からの説得が怖い場合は、退職の意思を伝える前に自分の気持ちを整理しておくことが大切です。
考えをまとめておくことで説得に惑わされず、自分の意思を貫けるようになるからです。
具体的には、次の3つを明確にしておきましょう。 なぜ退職したいのか
退職後はどうしたいのか
いつ退職するか(転職先の入社日はいつか)
また、給料アップや昇格のような“甘い誘惑”がきても絶対に動揺しない、とあらかじめ決めておくのもおすすめです。
5. 退職理由をうまく言える自信がない
退職理由をうまく説明できるかな、と不安な人も多いかもしれません。
職場の人間関係が悪いことや、給料の低さなど、こうしたネガティブな理由で退職したい場合は伝え方に特に苦労するでしょう。
「本当の退職理由は言えないから、納得してもらえるような理由を考えないと…」とは思うものの、良い伝え方が思い浮かばずに困っている人も多いと思います。
対処法
退職理由をうまく言える自信がない場合、まずはウソをつく必要はありません。
とはいえ本音を伝えると上司との関係にカドが立ってしまうので、本音の理由をポジティブな内容に変換することを意識してみましょう。
たとえば「残業が多い」という理由であれば、「ワークライフバランスを重視したい」と伝えてみる、といったことです。
上司が納得できる理由を新しく考えないと…と思うとさらにプレッシャーに感じてしまうので、あくまでも自分の本心をベースに伝えることを心掛けてみてください。
退職理由の具体的な伝え方は、この先の「【退職理由別】仕事を辞めたいときの伝え方」でも解説しています。
6. 新しい環境でうまくやれるか不安
転職先の人間関係や仕事に馴染めるかな…と不安に感じる人も多いでしょう。
これまでとは違う仕事のやり方やルールに戸惑う可能性もありますし、環境が合わずに早期退職をしてしまうかもしれません。
こうした未来を想像し、「やっぱり今の会社で働き続けたほうがいいかも」「でも今の仕事は辛いし…」といった気持ちで板挟みになり、身動きがとれない人も多いのです。
対処法
新しい環境でうまくやれるか不安な場合は、事前の情報収集が肝心です。
なぜなら、不安の原因をあらかじめ特定しておくことで対策を立てられるからです。
転職する会社の口コミなどを見つつ、特に以下の情報をチェックしておきましょう。
- 社風(上下関係が厳しいか、風通しが良いかなど)
- 成果がどれだけ給与(賞与)に影響するか
- 研修制度は何が用意されているか
7. 退職後にお金の面で苦労しそう
退職後の転職活動を考えている場合は、生活費の面で不安になる人も多いでしょう。
「家賃や食費を貯蓄で賄(まかな)えるかな…」「転職先がすぐに決まらなかったらどうしよう」という心配から、退職を切り出せない人も多いかもしれません。
対処法
退職後にお金の面で苦労しそうな人は、固定費をできるだけ下げておきましょう。
毎月出ていく支出を減らすことで、収入がない時期の家計への影響を抑えられるからです。
具体的には、以下の方法を検討してみてください。 スマホを格安SIMに乗り換える
電力会社やガス会社を切り替える
住宅ローンの借り換えで金利を下げる
また、退職後に受け取れる給付金について学んでおくことも重要です。
たとえば、同じ会社に1年以上勤めている場合は「失業手当(基本手当)」を受け取れる可能性があります。
失業手当の受給条件について詳しく知りたい方は、以下の記事も読んでみてください。
8. 家族から反対されそうで怖い
家族に退職を反対されるのでは?と不安に思う人も多いでしょう。
結婚したばかりの人や、子供がいる人は特に不安に感じるかもしれません。
「せっかく安定した仕事に就いているのに、どうして辞めるの?」と、パートナーから理解してもらえない可能性もあるでしょう。
対処法
家族から反対されそうなときは、退職したい理由を冷静に話せる場を作りましょう。なぜなら、退職は家族にとって繊細な問題のため、感情的な言い合いに発展してしまうケースが多いからです。
相談場所としてはファミリーレストランや公園など、人の目が多く、言い争いをしにくいところを選びましょう。
また、退職後の金銭面について具体的に伝えることも大切です。
たとえば「退職金が◯万円出るから半年分の生活費は工面できる」と伝えることで、家族としても退職を認めやすくなります。
「仕事を辞めたい」と上司にどうしても言い出せない場合の対処法
会社を辞めたいと上司に伝えたいものの、「何か言われるかもしれない…」という恐怖心から退職をどうしても切り出せない人もいるかもしれません。
こうした人は、次の方法を試してみましょう。
- 人事部に退職届を出す
- メールで伝える
- 退職代行サービスを使う
人事部に退職届を出す
上司に退職を伝えるのが難しいときは、人事部に退職届を提出するのも一つの手です。
退職の意思は直属の上司に伝えるのがマナーですが、人事部経由でも退職を受理してもらえるケースが多いからです。
特に、パワハラやセクハラを受けているなど、上司に退職を伝えることで状況が悪化してしまいそうな場合は人事部に退職を伝えましょう。
ちなみに人事部から退職理由を聞かれる可能性がありますが、基本的には「一身上の都合で辞めさせていただきます」と伝えればOKです。
メールで伝える
退職の意思を上司に直接言いにくいときはメールで伝えましょう。
ビジネスマナーとしては対面で直接伝えることが推奨されていますが、退職の意思を伝える方法は法律で定められていません。そのため、メールで伝えても退職の意志を伝えたことになるのです。
ただし就業規則や雇用契約書で「退職は口頭で伝える」という規定がある場合は、できる限りその規定に従いましょう。
ちなみに電話は記録が残らず、「言った・言わない」というトラブルに発展する可能性があるのでおすすめできません。
「仕事を辞めたい」と上司に伝える前の準備
退職交渉をスムーズに進めるには、事前の準備が欠かせません。
具体的には、次の3つに取り組んでおきましょう。
- 退職届を書く
- 退職日を決める
- 引き継ぎ方法を考えておく
退職届を書く
退職届とは、退職の意思表示を伝える文書のことです。
「退職の意思を従業員が示した」という重要な証拠のため、社内規定などで提出を義務付けている会社も少なくありません。
形式的な文書のため決まった書き方はなく、以下の例文のような簡潔な文章でもOKです。
▼退職届の例文
退職届
45646
株式会社〇〇
代表取締役 ▲▲▲▲殿
営業第三部 第一課
山田太郎(印)
このたび一身上の都合により、
2024年12月31日をもって退職いたします。
以上
退職日を決める
退職の意思を伝える前に、退職日もあらかじめ決めておきましょう。
退職日を定めておくと引き継ぎ期間が具体的に分かるだけでなく、次の会社に転職するまでに準備期間をどれくらい取れるか、といったことも明確になるからです。
ここでは、退職日を設定するときのポイントを2つ紹介します。 就業規則を確認する
有給の残日数を確認する
就業規則を確認する
会社とのトラブルを避けるためにも、まずは就業規則をもとに退職日を決めましょう。
就業規則とは労働条件などを定めた“会社独自のルール”のことで、一般的には退職に関わる規定も定められています。
民法には「退職日の2週間前までに伝えればOK」という記載があり、2週間前に伝えれば会社の承諾がなくても退職できます。
とはいえ2週間前だと引き継ぎ期間がほぼ取れず、会社としても新たな社員を採用する時間が取れません。
退職日の1~2か月前には退職の意思を伝えるように定めているケースが多いので、まずはその規定に従いましょう。
就業規則は以下の方法で確認できます。
就業規則の確認方法 入社時に配布された資料を確認する
「社員ポータルサイト」などにアップされているファイルを確認する
人事部に問い合わせる
有給の残日数を確認する
退職日を決めるときは、有給(有給休暇)の残日数も確認しておきましょう。
たとえば有給が10日残っている場合は、想定していた退職日よりも10営業日分前倒しになります。
有給を全部使うと会社にさらに迷惑をかけてしまう…と悩む人もいるかもしれませんが、有給取得は従業員の権利です。正当な理由がない限り会社は有給取得を拒否できないので、安心して利用しましょう。
有給の残日数は給与明細に記載されているケースが多いですが、確認できない場合は人事部に問い合わせてみてください。
引き継ぎ方法を考えておく
会社や同僚への負担を減らすためにも、退職の意思を伝える前に「引き継ぎ方法」を考えておくことも大切です。
引き継ぎ方法(例) 自分の業務をリストアップする
業務マニュアルを作成する
他の社員がアクセスできるようにデータを整理しておく
営業など外回りの仕事をしている人は、取引先への挨拶回りのスケジュールを決めておくことも大切です。
退職日直前になって慌てないように、余裕を持って業務を引き継げる体制を整えましょう。
【3ステップ】仕事を辞めたいと伝える流れ
退職の意思を上司に伝える流れを紹介します。
- 直属の上司に時間をもらう
- 退職理由と感謝の気持ちを伝える
- 引き継ぎの流れを伝える
円満退職のコツを知りたい人は、次の記事も参考にしてみてください。
円満退職をしたい!退職理由はどうする?上司への切り出しは?
ステップ1:直属の上司に時間をもらう
まずは、上司に30分ほど時間をもらいましょう。
ここでの上司とは「直属の上司(役職が一つ上の社員)」を指すため、あなたが一般社員であれば係長や課長、課長であれば部長などが該当します。
他の社員の目が気になる場合は、メールでアポイントメントを取るのも手です。
上司が忙しくて時間が取れないときは、定期的な評価面談などで退職を切り出すのもおすすめです。
ステップ2:退職理由と感謝の気持ちを伝える
退職の意思を伝えるときのポイントは、相談ではなく「断定口調」で伝えることです。
「退職しようと思います」と伝えてしまうと、「退職を迷っているのかな?」「引き止める余地があるかもしれない」と上司が勘違いしてしまう可能性があるからです。
退職理由を話したくないときは「一身上の都合」と伝えましょう。
また、上司や会社への感謝の気持ちも忘れずに伝えるようにしてください。
お忙しいところお時間を作っていただき、ありがとうございます。
このたび一身上の都合により、20○○年〇月〇日に退職を決めましたので、そのご報告でお時間をいただきました。
◯◯さんのおかげで成長でき、深く感謝しております。本当にありがとうございました。
ステップ3:引き継ぎの流れを伝える
退職の意思と退職日を伝えたら、引き継ぎについて準備していることも伝えましょう。
引き継ぎ方法をしっかりと考えている姿を見せることで、退職を本気で考えていることを上司に示すことができ、上司としても安心して退職を承諾できるからです。
後任は◯◯さんを想定しており、引き継ぎ期間は2週間ほどを見込んでいます。
すでにマニュアルを作成済みで、取引先への挨拶周りの日程も組み終わっています。
〇〇さんや同僚の方の負担にならないよう、残りの業務にもしっかりと当たらせていただきます。
何かご要望があれば、ぜひお申し付けください。
【退職理由別】仕事を辞めたいときの伝え方
退職理由を伝えるときは、次のポイントに気をつけて話しましょう。
- 本音の理由はできる限り伝えない
- ポジティブな言い回しに変更する
基本的には「一身上の都合により退職します」と伝えればOKです。とはいえ、お世話になった上司への礼儀として退職理由をしっかり伝えたい人や、理由をしつこく聞かれた場合に備えておきたい人もいるかもしれません。
では、以下3つのパターンに分けて退職理由の伝え方を紹介します。
- 違う環境で成長したい
- 給料を上げたい
- ワークライフバランスを改善したい
1. 違う環境で成長したい
今の会社では成長を感じられないことが理由で、退職を検討している人も多いかもしれません。
ただし「成長できない」とストレートに伝えてしまうと、上司の指導方法などを批判していると思われてしまう可能性があります。
そこで「やりたい仕事がある」「身につけたいスキルがある」といったように、ポジティブな表現に言い換えてみましょう。
▼違う環境で成長したい場合の退職理由の伝え方(例)
法人営業のスペシャリストを目指しており、様々な業種の企業とやり取りすることで営業力をさらに高めていきたいと考えています。
現職だと医療メーカー様としか関わりを持てないため、もっと別の業種の企業と仕事をする機会を作りたく、転職を決めました。
2. 給料を上げたい
給料が低いことを理由に退職を考えている人も多いでしょう。
しかし「給料に不満があります」と伝えると会社批判と捉えられかねないため、ストレートな伝え方は避けるのが賢明です。
給料が理由のときは「成果主義の会社に行くことで成長速度を速めたい」「自己投資にあてるお金を増やしたい」といったかたちで、ポジティブな言い回しに変換しましょう。
▼給料を上げたい場合の退職理由の伝え方(例)
現職の報酬には満足していますが、自社は年功序列という側面が強いため、たとえば年収を1.5倍にする、といった希望はすぐには叶いません。
私としては自分の努力や成果が表れる仕事で働くことで、報酬だけでなく、自分をさらに成長させていきたいという思いもあり、退職を決めました。
3. ワークライフバランスを改善したい
「残業を減らしたい」「休みを言い出しにくい」といった理由で退職を検討している人もいるでしょう。
ただし「残業が多い」「休日が少ない」と伝えると会社への不満と捉えられる可能性があるため、こちらの理由もポジティブな表現に変換してみてください。
たとえば「資格勉強に時間をあてたい」「家族との時間をもっと作りたい」などと伝えるのがおすすめです。
▼ワークライフバランスを改善したい場合の退職理由の伝え方(例)
経理の仕事に興味があり、税理士の勉強を始めています。
2年後の合格を目指していますが、一般に4,000時間の勉強が必要と言われているため、月に40時間の残業がある今の状況だと合格まで4年以上かかる計算になります。
そこで、月残業10時間未満の会社への転職を決めました。
まとめ
この記事では「仕事を辞めたい」と言えない8つの理由と、それぞれの対処法を紹介しました。
退職を切り出すのは勇気がいりますが、今回紹介したように不安や恐怖を乗り越える方法はいくつも存在します。
上司と直接会って話すのがどうしても怖い人は、次の方法も試してみてください。 人事部に退職届を出す
メールで伝える


