引きこもりの30代は何人いますか?
引きこもりの30代について、東京・江戸川区が15歳以上およそ25万人の区民を対象に行った調査によると968人いることがわかりました。
引きこもりの定義について厚生労働省は、「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人と交流せずに6ヶ月以上続けて自宅に引きこもっている状態」としています。
しかし江戸川区では、6ヶ月という期間を除き「仕事や学校等に行かず、家族以外の人との交流をほとんどしない人」と定義して、今回の調査を行いました。
6ヶ月という期間はあくまで引きこもりの定義をするために厚生労働省が定めたものなので、今回の江戸川区の調査はより実態に沿ったものと言えるでしょう。
一方で、15歳以上のうち給与収入で課税がない人や介護や障害など行政サービスを利用していない人を対象に行った調査なので、実際はもっと多くの人が引きこもり状態にある可能性があります。
正確な人数を把握するのは難しいですが、1,000人以上の引きこもり状態にある人がいるかもしれません。
全国の30代引きこもりの割合
内閣府の「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」によると、15〜64歳で引きこもり状態にある人は146万人いると推測されています。
本調査では、15〜39歳と40〜69歳で分けて結果を出しており、15〜39歳で引きこもり状態にある人のうち30〜39歳の割合は36.8%でした。
また、引きこもり状態になった年齢が20代が最多であることから、30代の引きこもりは20代から引きこもっている可能性が高いでしょう。
なお、20〜29歳の割合は41.7%で、15〜39歳の調査の中では最も割合が多いです。この年代が10年後引きこもりのままだった場合、30代の引きこもりの割合は増えていくと予想されるでしょう。
参考:内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」
30代引きこもりの特徴
30代の引きこもりには以下のような特徴があります。
- 実家暮らし
- 20代から引きこもり状態になっている
- 社会人経験がある
- 過去に辛い経験をしている
上記の特徴を知ることで、他の世代との違いや引きこもりとなった原因、脱出方法などが見つかります。
1つずつ紹介していくので、参考にしてみてください。
1. 実家暮らし
内閣府の調査(「こども・若者の意識と生活に関する調査」)によると15〜39歳は単身世帯はわずか8.3%、配偶者ありが16.0%なので、大半が実家暮らしで親と同居していることが読み取れます。
仕事をしておらず収入がないため、賃貸を借りて1人暮らしをしていたとしても、家賃が払えなければ退去せざるを得ません。貯金がなければ、実家に戻り親と同居するようになる方がほとんどでしょう。
また、30代の親世代は50〜60代と考えられます。親もまだ現役で働いていることが多く、子供を養っていける財力があることも要因のひとつです。
子供がまた仕事を見つけるまでは面倒をみるのが親の務めと思っている方も多いかもしれません。
参考:内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」
2. 20代から引きこもり状態になっている
内閣府の「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」によると、15〜39歳のうち引きこもりになった年齢は、20代が41.7%で最多でした。
30代から引きこもりになった割合は、18.7%となっており、20代に比べて少ないことがわかります。
一般的に30代になると、家族をもったり役職についたりしていることが多く、責任感から引きこもりになれないといったことが考えられます。
30代で引きこもり状態の方は、急に引きこもりとなったわけではありません。20代のときに何らかのきっかけで引きこもり状態となった可能性が高いです。
引きこもりになってからの期間が7年以上が21.5%と最多であることからも、20代のときに引きこもり状態になり、現在まで続いていることが読み取れるでしょう。
参考:内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」
3. 社会人経験がある
内閣府の「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」によると15〜39歳で就労経験がある人は62.5%でした。
このことから30代の引きこもりのうち、半分以上の人が社会人経験があることがわかります。
大学を卒業して一度就職したものの、何らかのきっかけから退職してしまい、そのまま引きこもり状態になったと考えられます。
引きこもりと聞くと、就労経験がなく甘えているという印象を持つ人も多いかもしれません。実際は、就労経験がある人も多く、決して「甘え」や「本人の問題」だけが原因ではないと言えます。
一度つまずくと、復帰するのが難しい社会の仕組みにも問題があるかもしれません。
ちょっとしたきっかけで、誰もが引きこもり状態となってしまう可能性があると言えるでしょう。
4. 過去に辛い経験をしている
内閣府の調査によると引きこもり状態の人のうち、就労意欲のある人は7割以上(74.8%)でした。それにもかかわらず、以下のような過去の辛い経験が社会復帰を阻んでいることがわかります。
- いじめ
- パワハラ
- 暴言
- 暴力
- 叱責
- 非難
- 差別的発言
- 長時間労働
- 仕事が遅いことを執拗に責められる
- 職場での孤立
上記のような経験がトラウマとなり、社会復帰ができず、引きこもり状態から抜け出せなくなってしまうと考えられます。
本来いじめやパワハラはあってはいけないことであり、引きこもり状態の人は被害者であると言えます。
悪いのはいじめやパワハラをした側であるはずなのに、被害を受けた引きこもりの人が過去の経験にしばられてしまうのは悲しいことです。
30代引きこもりが今すぐ行動すべき理由
30代引きこもりの人は今すぐ行動すべき理由があります。
年齢が上がるほど、可能な支援が減ってしまい、引きこもりから抜け出すのが難しくなってしまうケースがあるからです。
また、年齢が上がるほど引きこもりが長期化しやすいことも理由のひとつです。
可能な限り早めに支援を受けることが重要になります。以下を読んで、今すぐ行動するのがおすすめです。
1. 年齢が上がるほど支援の幅が狭まる
基本的に引きこもりの支援は34歳までを対象としているケースが多いです。
これは厚生労働省がニートの定義を「15〜34歳の非労働力(仕事をしていない、また失業者として求職活動をしていない者)のうち、主に通学でも、主に家事でもない独身者としていることが要因と考えられます。
地域若者サポートステーションの年齢上限が「39歳まで」から「49歳まで」に変更されましたが、氷河期世代支援のために変更が行われたため、今後変更される可能性があるでしょう。
外部の支援が受けられないと引きこもりを抜け出すことがさらに難しくなる可能性があります。
できるだけ早めに支援をうけて、引きこもり脱出のための行動をしていきましょう。
2. 年齢が上がるほど引きこもりが長期化しやすい
調査の結果、40代以上の引きこもりの割合が年々高まっていることがわかっています。
年齢が上がるほど支援の幅が狭まり、就職も難しくなることから、引きこもりが長期化しやすいと考えられるでしょう。
引きこもりから社会復帰するには長い時間がかかります。数日や数ヶ月で解決する問題ではありません。
本人の努力次第でもありますが、一般的にはまずは外に出たり、家族以外の人と会話したりといったことからはじめるケースもあります。焦らずじっくりと進めていくことが重要です。
時間が経つほど、年齢も高くなり、より社会復帰が難しくなるという悪循環に陥ってしまう可能性があります。
引きこもりを抜け出すために、年齢が高くなる前に支援を受けるようにしましょう。
まとめ
この記事では、引きこもりの30代が何人いるか、その特徴と今すぐ行動すべき理由について解説しました。ポイントは以下の通りです。
- 江戸川区の調査では30代の引きこもりは968人いる
- 全国の30代の引きこもりの割合は36.8%
- 20代から引きこもり状態になっている方が多い
- 過去にいじめやパワハラなどの辛い経験をしている
- 年齢が上がるほど引きこもりから抜け出すのが難しくなるので今すぐ行動すべき
30代の引きこもりでもまだ諦める必要はありません。今すぐ行動し、的確な支援を受けることが引きこもりを抜け出すことにつながるでしょう。