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休みをずっと続けて退職してもいい?
休みをずっと続けて退職しても問題ありません。なぜなら、民法第627条には、被雇用者が雇用期間を定めない契約において、いつでも退職を申し出る権利がある旨が記されているからです。この規定は欠勤中や休職中の場合でも適用されます。
「会社にずるいと思われるのではないか」と心配になるかもしれませんが、法律的には問題ありません。特に休職の理由が病気や精神的な不調であれば、会社側も状況を理解してくれることが多いでしょう。
ただし、会社の就業規則によって、未消化の有給休暇の処理や保険・年金の手続きが異なったり、心身が不調の場合は傷病手当金の支給や転職支援を受けられるケースもあるため、必要に応じて確認しましょう。
法律的には問題ない
法律的には「休みをずっと続けて退職してもいいですか?」という問いに対する答えは「問題ない」です。
民法第627条および628条によると、退職したい旨を会社に伝え、その後2週間が経過すれば法律上退職が成立します。休職中や有給休暇消化中であっても、例外ではありません。
また、たとえ体調不良が理由であっても、必ずしも診断書の提出は必要ありません。
なお、退職後の生活に関しては、未消化の有給休暇日数や傷病手当金の支給条件について事前に確認しておくことをお勧めします。
(参考:厚生労働省「労働政策審議会労働条件分科会第49回資料」)
会社側にどう思われる?
長期間の欠勤や休職が続いた場合、業務に支障が出ないようにするために、会社側には担当者の交代や業務調整などの手間が発生します。そのうえ、突然の退職が発表されると、退職者に対して「無責任だ」と感じる場合もあるでしょう。
ただし、体調不良や心身の状態が理由の退職であれば、多くの会社が一定の理解を示すと考えられます。
なお、会社に迷惑をかけないためにも、休職中でも貸与物の返却や必要な退職手続きは期限内に済ませることが大切です。
会社側がどのように思うかは気になるところですが、まずは誠実に対応することを心掛けましょう。
休みをずっと続けて退職する方法
トラブルなく円滑に退職を進めるには、まず上司に意思を伝え、退職届を提出し、貸与された物品を返却し、退職手続きを完了させるといった適切な手順を踏むことが必要です。体調不良や職場環境の悪化が原因で出社が困難な場合でも、各種手続きを経て退職する必要があることに注意しましょう。
上司に退職の意向を伝える
休みを続けて退職する際、まず初めに上司に退職の意思を伝えることが必要です。
体調不良や職場環境が原因で出社が難しい場合は、電話やメールで一報を入れる方法があります。休職中であれば対面での報告が難しいこともあるため、無理せず自分の状態に合った方法を選びましょう。
伝える際は、「退職を決意した理由」と「退職予定日」を簡潔に説明するのがポイントです。事前に診断書を用意する必要は必ずしもありませんが、状況説明が明確にできればスムーズでしょう。
退職届を提出する
退職の意思を上司に伝えた後、次に行うことは退職届の提出です。
民法第627条では、退職を申し出てから2週間経過すれば法律上退職が認められているため、退職日をスケジュールに沿って明記することが重要です。
退職届には理由を「一身上の都合」と簡潔に記載するのが一般的です。体調不良に起因する場合、状況の説明に必要であれば、診断書を添付しましょう。
また、有給休暇が未消化の場合は退職届を提出する際に利用を申請すると、退職までの準備期間が確保できます。書類の形式が気になる場合には、職場のフォーマットを確認することも忘れずに行いましょう。
貸借物の返却
退職する際には、会社から借りている物品の返却を漏れなく行う必要があります。たとえば、社員証や制服、パソコンやスマートフォンなどが該当します。
これらを迅速に返却することで、退職手続きをスムーズに進めることができます。休職中の場合でも、返却について会社と連絡を取り、郵送など無理のない方法を選びましょう。
また、データや資料の削除、業務の引き継ぎについても指示を仰ぐのが望ましいです。返却漏れがあるとトラブルの元になるため、リスト化するなどして物品を整理し返却するとよいでしょう。
退職手続きを済ませる
最終的なステップとして、必要な退職手続きを完了させることが大切です。
社会保険の手続きや退職後の年金切り替え、有給休暇の消化状況など、確認すべきポイントは多岐にわたります。
特に傷病手当金の給付申請が可能な場合は、休職中に手続きを進めるとよいでしょう。また、会社が用意する離職票などの書類をきちんと受け取り、ハローワークで失業保険手続きを行う準備をしておきましょう。
退職後も生活に関わる重要な手続きが多数あります。事前に必要書類や申請期限を確認しておくことが大切です。
休みをずっと続けて退職するときの伝え方
退職することを伝える連絡方法としては、電話やメールがあげられ、それぞれの方法において適切なマナーや配慮が求められます。
特に休職中の場合、面談して退職の意志を伝えるのは難しいかもしれません。連絡手段ごとの特徴を理解して最適な方法を選びましょう。
休みをずっと続けて退職する場合は、会社に対し誠意のある伝え方をすることが大切です。体調不良や個人的な事情で欠勤中の場合でも、退職に関する意向をしっかりと丁寧に伝えることで、円滑に手続きを進めることができるでしょう。
電話での伝え方
電話で退職の意向を伝える際には、相手の立場を考慮した言葉遣いや伝え方をすることが大切です。特に欠勤や休職中の場合は、第一報の伝え方がその後のスムーズな手続きにも影響します。
以下は電話での伝え方のポイントです。
- 上司が話せるタイミングを事前に確認する。
- 「お忙しいところ申し訳ございませんが」といった配慮のある言葉で切り出す。
- 欠勤中や休職中の状況について簡潔に説明する。
- 退職を検討した理由を冷静に伝える。ただし詳しすぎる説明は不要。
- 意向に加え具体的な希望日(退職日)についても述べる。
- 最後に「ご迷惑をお掛けして申し訳ございません」と感謝と謝意を伝える。
- これらのポイントを押さえることで、退職の意志を正確に伝えやすくなります。
メールでの伝え方
メールで退職を伝える場合、文面での表現の仕方が重要です。視覚的な印象にまで気を配り、配慮のある丁寧な内容にすることで、受け取る側に不快感を与えない工夫をしましょう。
以下はメールで退職を伝える際のポイントです。
- 件名に「退職のご相談」または「退職のご連絡」と明記する。
- 冒頭で、「お忙しい中失礼いたします」といった丁寧な言葉を使う。
- これまでの勤務について感謝の意を述べる。
- 欠勤中である場合は、現在の状況と退職を決断した理由を簡潔に伝える。
- 退職希望日やその理由についても記載する。
- 最後に、お世話になったことへの謝意を述べ、必要書類や手続きについて協力をお願いする。
受け取った上司が混乱しないよう、要点を端的かつ丁寧にまとめることが大切です。
退職を決断する前に考えるべきこと
休職中であったり欠勤を続けてそのまま退職する場合は、自分の退職理由が明確であるか、退職後の生活設計ができているかなどをしっかりと考えておくことが大切です。
また、休みを続けることで生じる労働契約上のトラブルや、退職後に受けられる社会保険給付金の手続きについても確認しておくことをおすすめします。これらを踏まえ、自分にとって最適な選択が何かを冷静に考える必要があります。
退職の理由を明確化してみる
退職を決断する前に、自分の退職理由を明確にしておくことが大切です。「なぜ退職したいのか」を内省することで、今後の方向性も見えやすくなります。
給与や待遇面だけではなく、職場の人間関係や仕事内容、職場環境への不満、体調不良が退職理由になっていることもあります。退職という選択肢以外でそれらの問題を解消する方法がないか検討してみましょう。
また、転職を考えているのであれば、自分に適した職場を見つけるために必要なスキルや希望条件を整理しておくとよいです。
こうした要因を正確に把握し、必要に応じて職場の相談窓口や専門機関に相談することも有効です。「休みをずっと続けて退職してもいいのか?」という不安を持つ場合も、その背景を明確にすることで、より良い決断ができるでしょう。
休みから続けて退職のメリット・デメリット
「休みをずっと続けて退職する」ことのメリットとしては、体調不良や心身の負担が限界を迎えている場合に無理をせず退職手続きに進めることが挙げられます。有給休暇を消化しながら退職することで、収入を確保しつつ円滑に退職ができます。
一方で、デメリットとしては、会社とのコミュニケーション不足から退職後にトラブルが発生する可能性があることや、職場での信用問題に影響を与えかねない点が挙げられます。
また、退職後に社会保険の切り替えや給付金の申請などの手続きを迅速に行わないと生活に支障をきたすケースもあります。休職中に体調を優先することも大切ですが、それと同時に退職後の生活設計を考え、しっかりと準備することが重要です。
休職から退職までに確認すべきこと
休職中に退職を考える場合、未消化の有給休暇の扱いや、退職後の生活設計、離職後に活用可能な傷病手当金や失業保険、社会保険と年金の切り替え手続きなどについて正確に把握しておくことが重要です。
さらに、退職金や手当の有無、支給方法を確認することで、経済的な不安を軽減することができます。
これらを事前に確認しておくことは、円滑な退職を可能とするだけでなく、退職後の生活準備にも役立ちます。
未消化の有給休暇の扱い
休職中でも未消化の有給休暇が残っている場合、その消化方法を確認しておきましょう。
有給休暇は労働者の権利として法律で保護されており、退職前に消化することが可能です。退職日までの日数がある場合は、有給を使用することで出社せずに退職準備を進められます。
通常は退職願を提出する際に、上司や人事部と有給休暇の消化について相談します。ただし、退職時に有給を消化しきれない場合でも、法律に基づき未消化分を金銭として支給する「有給休暇の買取り」が行われる場合があります。
退職予定の会社のルールを確認し、対応を検討することが大切です。
傷病手当金の支給条件と申請方法
休職中で、傷病手当金の支給対象となるのは原則として、休職開始から4日目以降で、かつ給与が支払われない日に限られます。また、支給額は直近12カ月の平均給与の約3分の2が目安になります。
申請の際には、会社や医療機関から発行される必要書類が求められるため、これらを事前に揃えておくことが重要です。
傷病手当金は、健康保険に加入している社員が病気やけがで働けなくなった場合に一定の収入を補填するものです。手続きが遅れると支給が遅れる場合もあるため、早めに健康保険組合や人事部へ相談し、進めておきましょう。
失業保険の支給条件と申請方法
失業保険は、ハローワークに「求職者」として登録した上で支給が始まります。ただし、退職理由が自己都合なのか会社都合かによって支給開始時期や期間が異なるため、注意が必要です。
自己都合退職では通常、退職後3カ月の待機期間が設定されます。申請手続きでは離職票、本人確認書類、通帳などが必要です。
退職前に失業保険の支給条件や申請書類について必要事項を確認しておき、余裕を持って退職後の計画を立てておきましょう。
社会保険・年金の切り替え手続き
退職に伴い、会社を通じて加入していた健康保険や厚生年金の資格が失効するため、退職後、忘れずに国民健康保険や国民年金への切り替えを行う必要があります。
国民健康保険の加入手続きは退職後14日以内に、市区町村の役所で行います。また、年金についても厚生年金から国民年金へ変更する必要があります。扶養に入る場合や新たに就職した場合には、適用ルールが変わるため事前に確認しておくと良いでしょう。
切り替え手続きが遅れると医療費負担が増えるリスクがありますので、退職前から準備を整えておくことをおすすめします。
退職金や手当の確認
退職時には、退職金や各種手当の有無を確認しておきましょう。
退職金の支給は法律で義務付けられていないため、会社の就業規則や雇用契約書で確認する必要があります。また、支給される場合には条件や金額を事前に把握しておくことで安心して手続きを進められます。
また、退職に際して支給される特別手当(例:退職補償金)が存在する場合もあるため、人事部に忘れずに確認しましょう。
支給されるべきものの見落としがないように注意することが大切です。
退職後の生活設計を立てる
退職する前に、退職後に利用できる給付金制度や収入源を整理し、生活に必要な費用を計算して見通しを立てましょう。その際、失業保険だけではなく、家族の支援やアルバイト等の短期収入も含めて検討することがおすすめです。
また、再就職やスキルアップを目指す場合には、必要となる時間や費用についても計画しておきましょう。
収入の減少や就職活動に対して不安を抱える方もいると思いますが、まずは冷静に現状を把握し、自分に合った生活設計を組み立てることが大切です。
まとめ
「休みをずっと続けて退職してもいいですか?」という悩みを抱えている方は少なくありません。
今回の記事では、休職や欠勤を経て退職をする際の具体的な方法や注意点について解説しました。退職を決める前には、未消化の有給休暇の消化や社会保険・傷病手当金の手続きを確認することが重要です。