就活のエントリーシートの書き方によって、企業の印象は大きく左右されます。エントリーシートは企業が応募者の考え方や人間性を判断するための資料であり、応募する学生にとっても、志望企業からの内定を勝ち取るために重要なものです。魅力的なエントリーシートを書くには、一般常識などの基本の書き方を押さえたうえで企業側が知りたがっていることを書くのが大切であり、事前の対策は必須です。今回は、企業が注目するエントリーシートのポイントや書き方のコツ・注意点について解説します。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
この記事の目次
エントリーシートの目的と役割
エントリーシートの目的と役割について解説をします。また、エントリーシートと履歴書の違いも紹介をするので、就活生はエントリーシートで企業が何を見ようとしているのかを理解しておきましょう。
エントリーシートの目的と役割
エントリーシート(ES)とは、企業が学生の個性や人柄を把握するためのものです。履歴書が学生のスキル・能力や基本情報を把握するものであるのに対して、エントリーシートはより人間味の部分にフォーカスした書類であると言えます。エントリーシートは基本的に企業が独自のフォーマットを用意しているので、企業が学生に対して聞きたい事をピンポイントにリサーチできるのも特徴です。
履歴書とエントリーシートはセットにして提出が求められる事もあれば、エントリーシートだけで良いという場合もあります。採用試験において必要になる書類は企業によって異なるので、予め募集要項をよく確認しておくようにしましょう。
エントリーシートは書類選考や面接官からの質問材料、採用後の配属先決定などさまざまな場面で活用される書類です。書いた内容が後々まで影響を及ぼすという点には十分注意しておきましょう。また、エントリーシートは企業が面接に招く応募者を選定する資料となっています。したがって、エントリーシートのクオリティが芳しくないと、面接に呼んでもらう事すらできなくなる可能性が高いのです。「ただの応募書類」と考えず、しっかりと準備をしたうえで記入する必要があります。
エントリーシートと履歴書の違い
エントリーシートと履歴書はどちらも就職活動において重要な資料ですが、混同してしまいがちなのでここでは両者の違いをしっかりと把握しておきましょう。まず、エントリーシートは主に採用試験や配属先の検討に使用されますが、履歴書は公的書類という扱いになるので、内定後も社内で保管されるのが一般的です。氏名・住所・生年月日はもちろん、学歴や連絡先といった項目で虚偽の内容を記載すると私文書偽造に該当します。不採用や解雇の対象となってしまうので、十分に注意しましょう。
履歴書はコンビニやスーパーなどで市販されているため、容易に入手できます。一方でエントリーシートは市販されていないため、企業指定のフォーマットを使用したり、書式がない場合も自分で設定して書いたりする必要があります。企業独自のフォーマットの場合、エントリーシートの質問項目は、履歴書に比べて独自性の高いものになっています。エントリーシートの配布方法はインターネット上からダウンロードできるケースのほか、説明会参加者への手渡しなど企業ごとに異なることもあるため、入手方法をよく確認しておく事が大切です。
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企業が注目するポイント
エントリーシートで、企業から見られるポイントは以下の通りです。
文章が読みやすいか
エントリーシートの読みやすさは、印象を大きく左右します。手書きの場合、文字が適切な大きさで丁寧に書かれているかも重要です。内容にこだわる事も大切ですが、まずは採用担当者が読みやすいエントリーシートを意識しましょう。手書きではなくパソコンで作成したエントリーシートだとしても、誤字・脱字、不自然な改行といったケアレスミスには注意が必要です。また「〜と考えております。〜と考えております。」など、ひとつの項目内で同じ言い回しを繰り返し用いた文章は稚拙な印象を与えてしまうので、表現力や語彙力も身につけておきましょう。
エントリーシートを書き上げたら一度全体を見直し、不自然な箇所がないかをよく確認しましょう。手書きの場合も下書きをするか、パソコンに入力して内容をチェックしてから清書することをおすすめします。
準備したうえで書いているか
実は、エントリーシートの内容からは「学生が就職活動に対して事前準備をしていたか」ということがある程度読み取れます。たとえば、以下のようなエントリーシートは、採用担当者があまりよい印象を持ちません。
- 文章に応募者自身の考えが感じられない
- 無難すぎて採用担当官の印象に残らない
- 応募先の企業のことを理解できていない
内容の浅いエントリーシートではほかの応募者との差別化が難しく、なかなか書類選考を突破する事ができません。文章の仕上がり具合を確かめるためには、第三者にチェックしてもらうなどの対策が有効です。
エントリーシートは基本的に応募する企業の数だけ必要になり、それぞれの企業に合わせて記入することになります。複数の企業へ応募する場合、同じ内容の質問項目があるケースも珍しくありません。ただし、こうした場合に同じ内容の回答を使い回す事は避けましょう。企業ごとに求めている人材像は異なるため、有効なアピールポイントは異なるためです。また、企業研究や自己分析など、事前準備が不十分だと面接時に深堀りして質問された際にスマートな応答ができない恐れもあります。
志望動機が納得できる内容か
エントリーシートにおける具体的な記入内容のなかでも、志望動機は特に重要視されるポイントです。この項目からは「学生の企業に対する熱意」を読み取ることができ、企業にとって、その応募者が必要な人材であるかどうかを見極める重要な判断材料になるのです。応募先企業の経営理念や事業方針をよく研究し、それに寄り添った志望動機を書くと好印象です。企業で展開されている事業に対し、入社後はどのように貢献していきたいかについて、具体的かつ丁寧に記入することも重要です。
エントリーシートでよくある質問
エントリーシートによくある質問と記入のポイントをご紹介します。
志望動機
エントリーシートのフォーマットは企業によって様々ですが、頻出事項とも言える質問内容がいくつか存在しています。効率的に就職活動の準備をすすめるためには、こうした頻出の質問を押さえておく事も重要です。いくつかある頻出事項の中でも「志望動機」はかなりの頻度で問われる内容と言えるでしょう。志望動機は学生が持つ「入社意欲の高さ」をチェックするための項目です。企業側からすれば、自社への入社をより一層希望している学生を採用したいというのは自明の事でしょう。
志望理由を記入する際のポイントは「数ある企業の中から、何故その企業を選んだのか」という事を出来るだけ具体的に示す事です。同業他社ではなく「この企業がいい、この企業でなくてはならない」という説得力のある理由が必要になります。そのため「事業内容に興味がある」「待遇が魅力的」といった浅い内容では熱意をアピール出来ません。企業理念や経営方針をよく分析して、自分が何故その企業に魅力を感じたのかを書き起こしましょう。なお、志望動機は面接時に深堀りして質問されるケースが多いので、内容に矛盾がないかよく確認しておく事も大切です。
学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)
新卒採用の場合、「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」という質問は、エントリーシートの頻出事項です。応募者がどのようなことに興味を持ち、実際にどのようなアクションを起こしてきたのかを把握することで、性格や行動パターンを見ているのです。また、具体的な取り組み方や壁にぶつかった時の乗り越え方から、企業はその学生の伸びしろや可能性を垣間見ることができます。
学生時代に力を入れたことを書こうとすると単なる思い出話になってしまうケースも少なくありませんが、それでは企業に自分の人柄や可能性をアピールする事はできません。学生時代に努力した経験から学んだことや、成長したことを具体的に記入するのが重要です。その経験で得たことが応募先企業の仕事でどのようにプラスに作用するかという点に結びつけるようにしましょう。
なお、企業は特別な経験を持った学生や、学生時代に大きな成果を上げた能力に秀でた学生を採用したい訳ではありません。学生時代に頑張った事は、大げさな取り組みでなくても良いのです。どうしても自分で頑張った事が思い浮かばない場合は、家族や友人に聞いてみると自分では気が付かなかった意外な努力が見つかるかも知れません。
就活の軸
「就職活動の軸」も、エントリーシートで記入することがあります。あまり聞き慣れない言葉かも知れませんが、これは、就職先を選ぶにあたって自分が譲れないと思うポイントと言い換えられます。仕事とは人生において多くの時間を費やす事であり、そこで譲れないポイントというのは「人生で大切にしていきたいこと」とも言えるでしょう。そのため、就活の軸は企業が学生の人間性をチェックするのに適した質問なのです。
就活の軸をエントリーシートに記すにはまず業種・職種・企業規模など、自分が一体何を優先して応募先を選んでいるのかを整理してみましょう。その際「社会貢献が出来る」といったようにどこの企業でも当てはまってしまうような回答はアピール力に欠けるので避けるのが無難です。また、給与や待遇といった仕事に直接関係ないポイントは「仕事に対する熱意がない」と捉えられてしまい逆効果なので注意しましょう。就活の軸は志望動機とも深く関わり合う部分です。応募先企業にマッチする「就活の軸」を見つけ、その理由も添えて説得力のある文章に仕上げましょう。
エントリーシートでよくある質問4.今までに乗り越えた困難
「今までに乗り越えた困難」という質問も押さえておきたいポイントです。この質問では応募者の「ストレス耐性」をチェックしています。仕事が順風満帆に進み、何の苦労もなく日々を過ごす事が出来るというケースは殆どないと言って良いでしょう。せっかく雇った新人がすぐに挫折して退職してしまっては、企業としても大きな損失となります。仕事で困難にぶち当たった時にそれを乗り越える力があるか、苦難に耐える精神力を持ち合わせた人材であるかを見極めているのです。
こうした理由から、企業では困難を乗り越えた経験を持ち、気力に満ちた学生を求める傾向が高いです。この質問項目は、社会人として仕事に取り組む上での粘り強さをアピール出来る貴重な機会と言えます。今まで自分が困難な状況に対してどのような考え方で、どのような取り組みをもって乗り越えて来たのかを記入しましょう。
エントリーシートでよくある質問5.自己PR
応募者の人間性を深く掘り下げて聞きたい場合に用いられる質問項目が「自己PR」です。他の質問項目よりも広い記入スペースが設けられている場合が多く、それだけ重要視されているポイントとも言えるでしょう。文字数が多くなると冗長的でまとまりのない文章になってしまいがちです。しかし、限られた時間で採用担当官に自分をアピールするためには文章の読みやすさはもちろん内容の分かりやすさも重要になります。自己PRを記入する際は「結論・具体例・今後の展望」という3つの枠組みで文章を構成すると上手くまとまる事が多いです。自己PRに説得力を付加するためには、具体的なエピソードを盛り込んで記入するのが良いでしょう。具体的なエピソードは応募者の個性・人間性をアピールするために重要なポイントなのです。
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エントリーシートと面接の内容は変えるべき?
エントリーシートで書類選考を突破したら、その後には面接を行うというのが一般的です。ここで「エントリーシートに書いた内容と面接の質疑応答の内容は変えるべきか?」と悩んでしまう人も多いでしょう。結論から言えば、エントリーシートと面接での回答内容は同じで問題ありません。面接官はエントリーシートの情報を参考にして面接内容を組み立てます。エントリーシートだけでは汲み取れない部分を面接で質問するというケースが多いのです。
その際、エントリーシートで既に回答してある内容が聞かれる事もあります。ここで面接官に答えた内容とエントリーシートでの回答が食い違ってしまうと、面接官が確認作業に時間を取られてしまうので望ましくありません。回答内容に一貫性がないと信憑性に欠けてしまうため、面接官の印象も良くないでしょう。エントリーシートと面接では、一貫性や統一感を持たせる事が大切です。
周りに差をつけるエントリーシートの書き方のコツ
就職活動では「他の応募者との差別化」という点が自分の武器になります。そしてそれはエントリーシートにも言える事なのです。エントリーシートを上手に書き上げるためには、書き方のコツを押さえておく必要があるでしょう。基本的にエントリーシートの質問項目では「結論」を先に述べるようにしましょう。多くの応募者を選考する採用試験では、自分に割いてもらえる時間は限られています。そのため、効率的に文章の内容を伝えるためにはまず自分が一番言いたい事を最初に持ってくるのが効果的なのです。
エントリーシートを魅力的に仕上げるためには、論理的に文章を構成するスキルが必要になります。一文一文がしっかりと意味を持っているのか、前後の繋がりはおかしくないかなど、何回も下書きして丁寧に推敲してみましょう。内定をもらった先輩のエントリーシートを参考にして自分の言葉で書き直してみるのも有効です。丸写しすると面接時の質疑応答で上手く答えられなかったり、企業が求める人物像と食い違いが生じるので避けましょう。
また、エントリーシートの文章におけるポイントは主体性・協調性・論理性が明確に伝わるようにする事です。この3つは仕事に従事する上で欠かせない要素なので、具体的なエピソードを交えて記入するのが望ましいでしょう。ただし、具体性のある文章は魅力的に見えますが内容がぼやけてしまいがちです。不要な言葉はなるべく排して、シンプルで読みやすく書く事を意識してください。文章全体を見やすくするためには、レイアウトにも工夫を凝らす事が必要な場合があります。漫然と文章を続けて書くのではなく、改行や小見出しを利用してスッキリと見やすい文章を意識しましょう。
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エントリーシートの記入・提出の注意点
エントリーシートの記入・提出には細かいところにも気を付けておきたいところです。例えば、文字を書く時には見やすい大きさ、丁寧な楷書体で記入するように気をつけましょう。どんなに内容が魅力的でレイアウトがスッキリしていても、肝心の文字が読みにくければ本末転倒です。接続詞の多用は文章を冗長的に見せてしまうので、一文一文はなるべく簡潔に短く書くのが定石と言えます。また、曖昧な表現は意志が弱いと捉えられてしまうので、断定的な言い回しを心がけましょう。
記入に用いる筆記用具は黒のボールペンか万年筆が原則です。消せるペンは書き換え可能である事や長期保存に向かないという理由から、エントリーシートや履歴書を書くには不適切とされています。書き間違えた場合は修正液や修正テープを使用せず、最初から書き直すというのがマナーです。エントリーシートは自分を売り込むための書類であり、空白は望ましくありません。かと言って文字を詰め込み過ぎても読みにくくなってしまうので、目安として記入スペースの9割を埋めるように心がけましょう。企業ごとに設けられた提出期限はしっかりと把握して、余裕を持って提出するようにしてください。
エントリーシートの書き方のコツをつかんで就活を有利に進めよう
就職活動においてエントリーシートは「企業との初対面」とも言える書類です。第一印象が良ければ、その後の採用試験でも有利に働くと言えるでしょう。魅力的なエントリーシートを書き上げるには、まずエントリーシートの目的や役割を理解する事が大切です。そしてその上で、応募先企業が求める人材像をイメージしてそれに寄り添った内容を記入しましょう。今回ご紹介した頻出の質問内容や企業側の意図が分かっていれば、効果的に自分をアピールする事が出来ます。就職活動の第一歩であるエントリーシートのノウハウを身に付けて、希望する企業の内定を目指しましょう。
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