休職中は転職できない？
休職中の転職を禁止する法律がないため、基本的には休職中に転職活動をしても問題ありません。
ただし、現在の職場の就業規則に「休職中の転職活動を禁止する」旨の記載がある場合、それに違反すると懲戒処分のリスクがあります。
また、休職中の転職活動が転職先に与える印象は、休職理由やその説明方法に左右されます。たとえば、健康上の理由などの場合、その問題が解決済みであることを誠実に説明すれば、ネガティブな印象を避けられるでしょう。
職場復帰後ではなく、何らかの事情で休職中に転職活動を開始する場合は、自身の健康状態や退職準備の進行度、現職の規則を確認しながら慎重に進めることが大切です。
法律的には問題なし
休職中に転職活動を行っても、法律上は問題ありません。
日本国憲法第22条では「職業選択の自由」が定められており、これによると、個人がどのようなタイミングで転職活動を行うかは基本的に自由です。そのため、休職中であっても新たな職場を探すことや面接を受ける行為は違法ではありません。
ただし、転職活動中に現職に直接的な迷惑をかけたり、機密情報を持ち出すような行為は法律違反に該当する可能性があるため、注意が必要です。
また、法律上問題がないかという点だけではなく、転職活動が健康に与える影響や現職との関係も意識すべきでしょう。特に体調を整える必要がある場合は、短期的な利益だけにとらわれず、長期的な視野で判断することが重要です。
就業規則・契約内容によって制限がある場合
休職中の転職活動は法律上では問題ありませんが、就業規則や雇用契約の内容次第で制限される場合があります。
例えば、「休職中は他企業への応募や就労を禁止する」といった規定が就業規則に含まれている場合、これに違反すると懲戒処分や契約解除となるリスクがあります。また、会社によっては、休職中の行動について事前に報告が必要となる場合もあります。そのため、休職中に転職活動を行う前に、会社の規定を改めて確認しておくことが重要です。
一方で、就業規則が曖昧な場合や転職活動に関する明確な制限が設けられていない場合でも、会社との信頼関係を考慮した行動が求められます。
トラブルを防ぐためには、自分が休職している理由を客観的に考え、それが転職活動を行う状況として適切かどうかを慎重に見極める必要があります。
休職中の転職活動におけるリスク
休職中に転職活動を行うことは法的に問題はありませんが、現職の会社に知られることによるトラブルや応募先企業にマイナスな印象を与える可能性、また、体調不良を理由に休職している場合は、転職活動がさらなる心身の負担となる可能性も考えられます。
これらのリスクを回避するためには、慎重な行動と準備が必要になります。休職中に転職を検討する際は、これらのリスクについてしっかり把握しましょう。
現職に知られるリスク
休職中に転職活動を行う場合、現職の会社に知られるリスクがあります。
たとえば、職務経歴書や履歴書に、これまでの勤務先や所属を記載することで、転職活動を行っていることが噂や情報として現職に伝わってしまう可能性があります。
さらに、休職中の転職は就業規則に違反するケースもあり、その場合は懲戒処分や最悪の場合解雇される可能性もあります。そのため、応募先企業とのやり取りや情報の共有には細心の注意を払いましょう。
また、内定を得られた場合も、現職への退職の申し出時にトラブルにならないよう、事前に会社の規則や制度を確認しておきましょう。
転職先企業からの心証が悪くなる可能性
休職中に転職活動を行っていることが応募先企業に知られると、「現在の職場との関係が良好ではないのではないか」「体調が万全ではないのでは」と懸念され、心証が悪くなる可能性があります。
特に休職理由が体調不良の場合、「採用後に再び体調を崩すのではないか」と不安を抱かれ、採用プロセスが不利になったり、内定が取り消されることも考えられます。
そのため、休職中であることを伝える際は、前向きな理由を添えて説明するなど、印象を悪くしないよう注意をはらうことが大切です。
健康面への影響と注意点
休職理由が体調不良やメンタルヘルスの問題である場合、転職活動の準備や面接などがストレスを増加させる要因になることがあります。新しい環境への不安や将来への焦りが症状を悪化させる可能性も考えられます。
こうしたリスクを避けるためには、まずは体調の回復を最優先し、無理のない範囲で活動を進めることが重要です。
また、転職活動を一人で進めるのではなく、転職エージェントや専門家のサポートを受けるなど、負担を軽減する方法を検討すると良いでしょう。自身の健康を損なわないよう慎重に行動することが大切です。
転職活動を行う際の具体的な注意点
休職中に転職活動を行うのであれば、休職の理由をどのように相手企業に伝えるかについて考えることが重要です。休職中であることを隠すと、新たなリスクを生む可能性もあるため、誠実に状況を伝えましょう。
さらに、転職活動による健康面への影響にも配慮し、心身の回復を優先することも大切です。
これらの注意点に気を付けることで、休職中でも転職を成功させる確率を高めることができます。
休職理由の伝え方に気を付ける
休職理由が体調不良であった場合は、単に「療養中」と伝えるだけではなく、ポジティブかつ具体的に説明を補足しましょう。
たとえば、「しっかり療養し、現在では業務に復帰が可能な状態まで回復しています」など、現状を前向きかつ具体的に伝えることが重要です。
また、やむを得ない家庭の事情で休職していた場合も、採用担当者に安心感を持ってもらえるよう、誠実かつ簡潔な説明をするよう心掛けましょう。必要以上に詳細に踏み込みすぎない範囲で、納得感のある説明を準備しておくことが大切です。
休職中であることを隠すリスクがある
休職中であることを企業側に隠し、採用過程で後から知られると、誠実さを疑われて採用を見送られる可能性があります。
特に、健康状態が理由で休職中であることを、隠したりごまかしたりしていた場合は、入社後にトラブルとなったり、信頼関係の希薄化につながる可能性もあります。
休職中であることを伝える際には、相手企業の立場に配慮しながら、事実を誠実に説明することが大切です。ただし、詳細を無理に話しすぎず、プライバシーを守る範囲で伝えるよう心がけることも重要です。
適切な方法で理由を説明できるように、前もって準備しておくことが望ましいでしょう。
精神面や体調の回復を優先させる
休職中の転職活動では、現職のスケジュール調整や、選考への準備や対応などに追われ、オーバーワークに陥る危険性があります。
健康状態が万全でない中で転職活動を進めると、ストレスが増加したり体調が悪化するなどして、結果的に将来のキャリアにも悪影響を及ぼす可能性があります。焦らずに、十分に体調が回復してから活動を始めることが大切です。
心身が十分に整っていなければ、新しい環境での仕事に適応することが難しくなります。
新しい職場でスムーズにスタートするためにも、精神面や体調の回復を最優先し、焦らず最善のタイミングで転職活動を始めましょう。
休職中の転職活動を不利にしないコツ
休職中の転職活動では、転職するタイミングの見極め、履歴書の工夫、そして面接での前向きな姿勢が鍵になります。また、転職エージェントを活用することで、体調や精神面を考慮しつつスムーズな転職を実現することも可能です。
「休職中は転職できない？」という不安を解消するためにも、本記事で紹介する注意点を参考に、計画的な転職活動を進めましょう。
適切な転職のタイミングを見極める
休職中に転職活動をする場合、体調の回復具合や現職での状況をよく見極めながら、転職のタイミングを見極めることが大切です。特に、体調不良を理由に休職している場合は、無理に動き出すよりも健康を最優先に考えるべきです。
一方で、転職の好機を逃さないために、転職先として希望する業界の動向や求人市場の状況をチェックしておくと良いでしょう。例えば、求人の繁忙期である春や秋は採用活動が活発な時期であり、選択肢が広がります。慎重な判断と計画的な準備を兼ねそなえることで、転職活動を有利に進められるでしょう。
転職エージェントを活用する
休職中の転職活動では、体調やストレスを考慮しつつ活動することが大切です。
転職エージェントを活用すると、限られた時間や労力の中で、より質の高い転職活動ができるでしょう。
転職エージェントは、求人の紹介、応募書類の添削、面接対策などを行ってくれます。また、担当者に現在の状況や希望を伝えることで、キャリア相談を行ってくれる点も魅力です。
信頼できるエージェントを見つけるために、複数のサービスを比較検討することもおすすめです。プロの力を借りて、転職成功の可能性を高めましょう。
履歴書の書き方を工夫する
休職中に転職活動を行う際、履歴書には休職理由を正直かつ簡潔に記載するなどの工夫をすることで、応募先企業に良い印象を与えることができます。例えば、「一身上の都合」や「体調の回復を必要としたため」といった表現で説明するのが一般的でしょう。
また、職務内容や実績、スキルについても具体的に記載し、自分の強みをしっかりアピールすることも大切です。
職務経歴書には、さらに具体的な成果や貢献度を盛り込むことが可能です。休職中であってもポジティブな姿勢を持っていることを伝える文章構成が転職成功の鍵になります。
面接でポジティブな姿勢を示す
面接で休職中であることについて尋ねられた場合、体調がすでに改善していることや、これからの仕事に対する前向きな意欲を伝えるようにしましょう。
たとえば、「現在は体調が良好で、これまでの経験を新たな環境で活かしたいと考えています」など、積極的な理由を述べることで好印象を与えることができたり、転職への意欲や目標を明確に伝えることで、企業側に信頼感を持ってもらえるでしょう。
終始、自分の価値をアピールしつつ、誠実な姿勢を忘れずに面接に臨むことが成功への一歩となります。
まとめ
休職中に転職活動を行うことは、法律上では禁止されていません。
ただ、就業規則に違反していないかを事前に確認したり、健康面に配慮し転職のタイミングを考慮するなど、現職や応募先企業に与える影響、精神面や健康状態への負担などに注意することが大切です。
「休職中は転職できない？」と不安に感じる方も多いと思いますが、正しい準備と戦略を持って活動することで、転職成功の可能性を高めることができるはずです。
