
休職にデメリットがあるのではないかと不安を感じて、なかなか休職に踏み切れてない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、休職のデメリットに加えてメリットについて詳しく解説します。
合わせて、休職を将来的なデメリットにしないための方法や、今後のキャリアについても分かりやすくご紹介します。
今の仕事に不満を感じていて、退職をするのか休職をするのか迷っている人は、記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
休職とは
休職のデメリットについて解説する前に、まずはそもそも休職とはどういったものなのかについて理解を深めておきましょう。
ここでは休職について以下の3つの観点で解説していきます。
- 会社に在籍したまま長期的に休むこと
- 休業や欠勤とは意味が異なる
- 休職には6種類ある
それぞれ詳しく解説します。
1. 会社に在籍したまま長期的に休むこと
休職とは、会社に在籍したまま将来的に復帰することを前提として、長期的に休むことを言います。自主的に休むことを認めてもらうような制度となっていますので、休職期間中の給料はゼロになる点が特徴です。
退職や有給休暇と異なり、休職は法律でルールなどが明確に定められているわけではありません。したがって、どれぐらいの期間休職できるかであったり、休職の申し出るタイミングについては、それぞれの企業の就業規則で定められています。
どういった理由で休職をするのかにもよりますが、一般的には最低でも1ヵ月は休むケースがほとんどです。長いと半年や1年に及ぶ期間休職するケースもありますが、休職する期間が長引けば長引くにつれて、デメリットが大きくなっていく点には注意が必要です。
2. 休業や欠勤との違い
休職と似たような言葉として、休業や欠勤というものがあります。
いずれも会社を休むことには変わりませんが、なぜ休むのかという理由がそれぞれの単語で異なりますのでしっかりと理解しておきましょう。
休業とは、従業員が働く意思がある状態で会社から働くことを止められたり、従業員本人の移管しがたい理由で働けない状態で会社を休むことをいいます。
前者で言えば、勤めていた工場が一時的に閉鎖されるなどが例として挙げられます。後者では産前産後休業、介護休業等が挙げられます。
欠勤については、従業員が働く意思がない状態で自ら申し出て会社を休むことをいいます。
一般的に有給休暇が残っている状態で会社を休む事は有給消化となりますが、有給休暇がない状態で会社を休むときには「欠勤」と整理されるケースが多くなっています。
3. 休職には6種類ある
休職には休む理由によって6つの種類に分けられます。
傷病休職 | 病気や怪我を原因として長期間休職すること |
事故休職 | 民間事件や事故における容疑者として逮捕・勾留されたときに休職すること |
起訴休職 | 刑事事件に関して、起訴されたときに休職すること |
出向休職 | グループ会社や子会社などに出向するために休職扱いとすること |
組合専従休職 | 労働組合の業務に専従するときに休職すること |
自己都合休職 | 留学や資格取得、家庭の事情など自分の都合で休職すること |
どの休職であっても、会社を自分の都合で休むことは変わりません。
加えて、休職中にお金がもらえなくなるといった点も共通していますので、ここでは様々な理由で休職をするケースがあるという理解をしておけば問題ありません。
休職について詳しく理解を深めたい人は、以下の記事も合わせて参考にしてみてください。
休職するデメリット4選
休職をすることには特に条件がないことがほとんどのため、休職を申し出れば誰でも休職できてしまいます。
しかし、休職をする上では以下のようなデメリットがあることを認識しておく必要があります。
- 1.休職中は収入が減る
- 2.社会保険料の支払いは必要
- 3.社内評価がマイナスになりやすい
- 4.休職後の復帰ができない可能性がある
お金の面はもちろん、将来のキャリアの面でもデメリットが生じることになりますので、慎重に判断した上で決断することが大切です。
それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
1. 休職中は収入が減る
休職をする大きなデメリットには、休職中は収入が減るするという点が挙げられます。
休職は有給休暇とは異なり、休んでいる期間で収入が発生する事はありません。
休職期間が長引けば、それだけお金が入ってこない状況が続きますので、貯金を切り崩すような生活を余儀なくされます。
ただ、傷病手当や育児休業、労災による休業等所定の条件を満たした場合の休職の場合であれば、給料は払われないものの各種手当が支払われることがあります。
手当によって計算式は異なりますが、一般的にはこれまで稼いでいた給料のおよそ66%(2/3)の手当金額になるため、家計を切り詰めなければならない点は変わりません。
収入の激減については、休職を検討する上で大きな判断ポイントとすべきでしょう。
2. 社会保険料の支払いは必要
休職中であっても、社会保険料を支払い続ける必要があります。
収入がない中で、社会保険料として毎月数万円の支払いをしなければならない点は大きなデメリットと言えます。
収入がないからといって、無断で社会保険料の支払いを滞納してしまうと督促状が届き、無視し続けると銀行口座や資材を差し押さえされてしまうリスクがあります。もしどうしても社会保険料の支払いができない場合は、会社ではなく住んでいる近くの役所にまずは相談しに行くことをおすすめします。
3. 社内評価がマイナスになりやすい
休職の理由にもよりますが、一度休職をすると社内評価がマイナスになりやすい点もデメリットと考えられます。
産前産後休業や介護休業など、世間一般的に大きな違和感のない休業休職であれば特に社内評価に影響する事は少ないと考えられますが、精神的な病気を理由にした傷病休職や、明確な目的のない自己都合休職の場合はネガティブな評価を受けやすくなるでしょう。
将来的に自分が昇格するかどうかの候補者になった際、休職歴があることで責任が大きいポジションを任せにくいと思われてしまい、昇格しづらくなることもあります。
復帰後に成果を出し、社内での信頼を高めていくことで昇格のチャンスを得ることはできますが、自分の将来のキャリアの選択肢の幅を狭める可能性があるデメリットも認識しておいてください。
4. 休職後の復帰ができない可能性がある
特に自己都合休職の場合は、休職後に会社に復帰することが難しい精神状態になってしまうことがあります。
自己都合休職だと、会社で働いていた分の時間が丸々浮くことになりますので、暇な時間が増えます。
海外留学や資格取得の勉強など目的がある場合は別ですが、心身疲労などの理由で休職をした場合はダラダラと時間を潰してしまう人も少なくありません。
そうなれば、再び会社に戻って働くことに拒否反応が出てしまうこともあり、そのまま退職してしまうケースも考えられます。
あらかじめ休職する期間を決めておくなど、自分で自分を律する行動をとっておかないと、今後数年・数十年と後悔する末路を迎えかねない点は注意が必要です。
休職することにはメリットもある
休職することにはデメリットだけでなく、以下のようなメリットも考えられます。
- 1.心身ともに療養できる
- 2.時間を有効活用できる
- 3.今後の人生やキャリアを見つめ直せる
休職を検討する際は、デメリットとメリットを合わせて認識し、フラットな目線で判断をすることを心がけてください。
1. 心身ともに療養できる
特に現時点において、会社で働くことに強いストレスや心身的疲労が溜まっている場合は、自己都合休職をすることによって、心身ともに療養できるといったメリットがあります。
長時間労働や残業、休日出勤が横行している会社で働いていたり、上司から常にプレッシャーをかけられている状態で働き続けていると、やがて体調を崩しそのまま働けないような体になりかねません。
最悪の事態に陥ってはどうしようもすることもできないため、退職をすることなく心身のリフレッシュを図れるというのは、休職ならではのメリットと言えるでしょう。
2. 時間を有効活用できる
正社員として働いていると、毎日最低でも8時間は会社で働く必要があります。
それに加えて、休憩時間や会社までの通勤時間を合わせると、1日の半分程度は仕事に関係する時間を強制的に過ごすことになります。
休職をすることによって、毎日仕事にかけていた時間を有効活用できるようになります。
例えば、これまで挑戦したいと考えていたような長期留学や難しい資格の取得に時間を充てることで、中長期的に見た時の自分のキャリアの選択肢を広げることに繋がるでしょう。
他にも、趣味や副業など自分が本当にやりたいことに取り組む時間を作ることも可能です。休職をきっかけに、様々なことにチャレンジしてみるのもおすすめです。
3. 今後の人生やキャリアを見つめ直せる
毎日忙しく働いていると、自分の人生をどのようにしていきたいか考える余裕がなかなか持てないものです。
休職によって一時的に働くことから遮断された生活となりますので、浮いた時間を使って今後の人生やキャリアを見つめ直せるという点もメリットの1つとして挙げられます。
自分の人生やキャリアを改めて見つめ直してみることで、今の職場で働くことが本当に自分のためになっているのかを定められるようになります。
また、将来自分がやりたい事は何なのかということを自問自答すれば、日々の働き方を大幅にアップデートできることもあります。
このように、毎日働くことに疑問やストレスを感じている人こそ、休職によるメリットは大きいと考えられます。
デメリットを減らすための休職中の過ごし方
休職をしたときのデメリットを少しでも減らしたいのであれば、以下のような過ごし方を意識することが大切です。
- まずは徹底的に休むことが第一
- 心から興味を持てることを見つける
- 将来のライフプランをキャリアプランを言語化する
それぞれをしっかり理解した上で、休職期間を有意義なものにしましょう。
1. まずは徹底的に休むことが第一
休職をする場合は、第一に徹底的に休むことを意識してください。
そもそも休職の目的は、会社を長期間休み、自分が成し遂げたいことを成し遂げることにあります。特に病気の療養で休職する場合は、仕事のことを忘れて自分の体調の事だけを考えるようにしましょう。
休職をしていると収入が基本的になくなりますが、生活ができないからといってアルバイトやパートで働こうとするのは本末転倒です。本来は心身ともに休む期間にもかかわらず、多少なりとも働いてしまうことで、結果的に休職期間が長引いてしまうリスクが高まります。
休職期間中の金銭面の不安をなくすためにも、可能であればある程度生活費を貯金した上で休職に入ることをおすすめします。
2. 心から興味を持てることを見つける
社会人になると、なかなかまとまった期間の休みを取れません。
その点で考えると、休職期間は貴重な休暇とも捉えることができるため、自由に使える時間を活用して心から興味を持てることを見つけるのもおすすめです。
趣味でも特技でも、今後のビジネスに関わるような勉強でも何でも構いません。
休職期間中に自分の興味を刺激できれば、精神面をリフレッシュできるだけではなく、将来的に職場復帰した後の精神的な支えになることもあります。
人生は数十年と長く続いていきますので、休職で少し立ち止まっても大きな問題にはなりません。むしろ、休職期間で心から興味を持てることを見つけられれば、今後の人生を豊かにしていける可能性があります。
3. 将来のライフプランやキャリアプランを言語化する
休職期間中にやりたいことをやり切って、療養も目処がついたら将来のライフプランやキャリアプランを言語化することもおすすめです。
自分の人生や仕事に関する将来設計は、働いていて余裕がない状態だとなかなか向き合うことができません。休職という自由に使える時間が多い状況であれば、自分の将来と向き合いやすいと考えられますので、一度自分の理想的な未来を言語化してみると良いでしょう。
特にキャリアプランについて、休職期間中にうまく言語化できると、復帰してからの仕事のモチベーションが上がったり、本当に自分に向いている職場に転職できたりなど、様々なメリットがありますので意識してみてください。
休職した後のキャリアの選択肢
これから休職をしようとするのであれば、休職した後のキャリアの選択肢も事前に理解しておくことが大切です。
休職した後のキャリアの選択肢としては、大きく以下の3点に分かれます。
- 休職前と同じ部署に復職する
- 休職前とは別の部署に復職する
- 別の職場に転職する
それぞれの選択肢について詳しく解説します。
1. 休職前と同じ部署に復職する
休職後のキャリアとして最もメジャーなのが、休職前と同じ部署に復帰するという選択肢です。
この場合、休職期間中の人事異動などでチームのメンバーが変わっているような事はありますが、同じ仕事で再び働き続けられるため、仕事の面でブランクを感じにくいといったメリットがあります。
ただし、休職の理由がチームや配属部署の上司との人間関係がきっかけだった場合、同じ部署に復帰する事は再び休職をしてしまうリスクに繋がります。
同じ部署に復帰するかどうか、最終的に判断をするのは人事になることが多いため、あらかじめ休職に入る際に休職理由をしっかり伝えておくことが大切です。
2. 休職前とは別の部署に復職する
休職前とは別の部署に復帰するというのも珍しくない復職方法です。
これまでとは別の部署で働くことになりますので、新しく仕事を覚える努力が必要になったり、人間関係を1から構築しなければならないといったデメリットがある一方、仕事や人間関係をリセットできるため、心身ともに新しい気分で仕事に向き合えるといったメリットがあります。
会社によっては、休職をした人には仕事上の負担がかかりにくい部署に復帰させるといった風潮があるケースもあります。
通常の人事異動と変わらず、休職からの復職であっても配属部署は基本的に自分で決める事は難しい傾向にあります。
もし自分の特性的に難しいと感じる業務や部署があるのであれば、復職の申し出をする際に合わせて伝えておくことで、配属する部署をある程度コントロールできることもあります。
3. 別の職場に転職する
会社そのものに対して強いストレスを感じていたり、会社に出社しようとするだけで拒否反応が出てしまうような場合は、別の職場に転職することも選択肢になります。
休職期間中に転職活動をして会社を退職することは珍しいことではありません。
むしろ、休職期間中の自由に使える時間を使って転職活動に取り組めば、しっかりとした対策がしやすいため、希望する会社に転職できる可能性を高められるとも言えます。
ただし、別の職場に転職を考える際は、自分が休職してしまっている理由を再び感じるような職場でないか見定めることが大切になってきます。
特に自己分析や企業研究が重要になりますので、もし休職期間中に転職活動を考える場合は、これらのアクションを忘れずに取り組むことを意識しておいてください。
転職活動で休職をデメリットにしないためにはエージェントがおすすめ
休職をしたことがある人が転職活動すると、面接官から休職理由を問われてしまい、うまく答えられず見送りになってしまうといったデメリットに繋がることがあります。
もし転職活動で休職をデメリットにしたくないのであれば、就職エージェントを活用することがおすすめです。
就職エージェントを活用することには、以下のようなメリットがあります。
- 自己分析や企業研究を教わることができる
- 自分にマッチした求人を紹介してもらえる
- ネットにはない生の企業の情報を知れる
それぞれのメリットについて詳しく解説しますので、休職を考えている人や、既に休職期間に入っている人は就職エージェントの活用も検討してみてください。
1. 自己分析や企業研究を教わることができる
就職エージェントを活用することで、専任のアドバイザーが担当につき、転職活動でおける様々なサポートをしてもらえるようになります。
転職活動のサポートは多岐に渡りますが、中でも転職後に再び休職をしてしまうリスクを減らすために重要になる自己分析や企業研究を教わることができる点は、大きなメリットと言えます。
自己分析や企業研究は、いずれも自分らしく働ける職場を見つける上で非常に重要なアクションです。
自己分析ができてないと、自分にどういった仕事が向いているのか分かりませんし、企業研究ができていないと、精神的にストレスを感じるような雰囲気の職場で働くリスクが高まります。
自己分析も企業研究も、やり方さえ分かればどんな人でも取り組めるものですが、自分で1からやり方を調べるのには時間がかかってしまいます。
転職支援のプロである就職エージェントを使えば数日でやり方が分かるようになるため、効率よく転職先を見つけられるでしょう。
2. 自分にマッチした求人を紹介してもらえる
就職エージェントでは、自分にマッチした求人を紹介してくれるといったサポートもあります。自分1人で求人を見つけようとすると、ブラック企業かどうかの見極めができず、後悔の残る転職に繋がってしまう可能性があります。
その点でいうと、就職エージェントはあらかじめキャリア面談で自分の希望や自分に向いている職場の特徴が何かを明らかにすることができるため、マッチ度の高い求人の紹介を受けられるといったメリットがあります。
自分で納得のいく求人を見つけられるか、不安を感じている人にとっては嬉しいポイントと言えます。
3. ネットにはない生の企業の情報を知れる
就職エージェントは企業の採用担当者と直接繋がっていますので、ネットには載っていないような生の企業の情報を知れるという点も特徴です。
働き方や働く職場の人の人間関係、職場の雰囲気など生の情報をあらかじめ教えてもらうことができれば、転職後にミスマッチを感じるリスクも大きく減らせます。
企業研究の精度を上げることにも繋がりますので、休職を繰り返したくない人は就職エージェントを使うメリットが大きいと言えます。
休職を考える人によくある質問
最後に、休職を考える人によくある質問を3つ取り上げて解説します。
1. 休職と退職、どちらが得ですか?
どちらが得という次元のものではありませんが、基本的にはいきなり退職をするのではなく、まずは休職をした方が良いと考えられています。
退職をすると再び今の会社に戻ってくることができないため、後悔した後のリカバリーができないという特徴があります。一方、休職であれば思い直して再び今の会社に戻ってくる選択肢が取れますので、比較的リスクが低い方法だと言えます。
2. 仕事を休職するとどうなる?
仕事を休職すると以下のようなことが起きます。
- 収入がなくなる
- 条件を満たせば手当を受け取れる
- 自由な時間が増える
- 自身のキャリアの成長が止まる
- 社内での評価が悪くなる場合がある
- 転職活動において休職理由を聞かれやすくなる
短期的にも中長期的にもデメリットを多く感じることが考えられますので、気楽に休職をするのではなく、本当に休職をしていいかどうか冷静に判断することをおすすめします。
3. 休職は何ヶ月でクビになりますか?
明確に休職から何ヶ月が経つとクビになるという事は定められていません。そのため、会社によって対応が様々であるという点は前提として認識しておきましょう。
その上で、業務が原因で病気をして休職している場合は、労働基準法によって原則として療養のために休業する期間とその復帰から30日間の解雇が禁止されています。したがって、あくまでも原則になりますが、休職期間+1ヵ月はクビにならないということが言えます。
ただ、会社や自身の休職理由によってクビになるかならないかは変わってきますので、少しでも不安であれば法律の専門家に相談してみることもおすすめです。
まとめ
休職をすることによるデメリットについて詳しく解説しました。
確かに休職は、短期的に見ても中長期的に見ても、お金やキャリアの面でデメリットが多く存在します。しかし、休職をすることで自分のメンタルを回復できるなどのメリットもありますので、それぞれのデメリットとメリットをフラットに把握し、後悔しない選択をしてみてください。
また、休職をするほど今の会社にストレスを感じている場合は、転職活動を視野に入れることもおすすめです。
後悔しない転職をするためにも、就職エージェントの活用を検討してみましょう。


