オーバーワーク(日本語で「働き過ぎ」を意味する)に悩む人は少なくないのではないでしょうか。オーバーワークに陥ると、仕事の効率が落ちるだけでなく、心身に大きなダメージを与えてしまう危険性もあります。
そこで、このオーバーワークの原因や症状に加え、どのような対策ができるのかを解説していきます。
オーバーワークとはどういった状態なのか
オーバーワークは、たくさんの仕事を抱える企業に勤めた場合などに多く見受けられ、残業や休日出勤といった長時間労働に陥った状態を指します。
具体的な基準については、月80時間の残業が過労死ラインとされており、これを超える場合はオーバーワークで間違いありません。
また、1カ月の勤務日数を20日とした場合、1日平均で4時間以上の残業があると、この過労死ラインを超えるためオーバーワークといって差し支えないでしょう。
オーバーワークの原因
オーバーワークの原因は、周囲の環境によるものと、自身に問題がある場合の2つに分けることができます。
周囲の環境が原因
前者に関しては、勤める企業や所属する団体における、仕事量が多い、人員が不足している、締め切りや納期が厳しい、といった労働環境に問題があります。こういった事情が原因で、長時間業務に従事する必要が出てきたり、休みを取ることができなくなったりしてしまいます。
自分に問題がある
後者については、仕事のやり方が効率的でない、スケジュールをうまく管理できない、同僚との仕事量の調節がうまくいかず一人で抱え込んでしまう、といったことが考えられます。
これらの原因は、それぞれが単独でオーバーワークを招くだけでなく、複数が重なって影響を及ぼすことも少なくありません。例えば、長時間の労働を強いられることで思考力が低下し、作業効率の悪化や周囲とのコミュニケーションに問題が発生するなど、よりオーバーワークに陥りやすい状態になりかねないのです。
オーバーワークが引き起こす症状
それでは、オーバーワークが続くと、どういった症状が表れるのでしょうか。
慢性的な疲労感や体調不良
長時間の労働は、慢性的な疲労感や睡眠不足による眠気を引き起こすだけでなく、ストレスによって不眠に悩まされたり、頭痛や腹痛といった身体症状を引き起こしたりすることがあります。体の抵抗力も落ちてしまうため、風邪などの病気にかかりやすくなったり、持病がある場合それが悪化したりすることも考えられます。
精神面の落ち込み
精神面においても思考力や判断力の低下を招き、投げやりで落ち込んだ気分になり、仕事やプライベートに対するモチベーションを保つことが難しくなります。加えて、集中力の欠如によって作業効率が低下したり、ストレスからくるイライラで周囲とトラブルを起こしたりと、オーバーワークをさらに助長する結果になることも少なくありません。
オーバーワークは早めに対策を打つ
もちろん、人によって表れる症状は異なりますが、上記のようにオーバーワークの長期化は心身に様々な悪影響を及ぼします。最悪の場合、うつ病になってしまう恐れもあるので、労働環境や心身の状態に心当たりのある方はなるべく早めに対策を打つ必要があるでしょう。
オーバーワークを防ぐ対策
自身がオーバーワークだと感じられたら、仕事への取り組み方の見直しと、十分な休息をとることを並行して実施していく必要があります。
自分の仕事量を把握
まず、仕事により効率的に取り組むためには、自分のこなせる仕事量を正確に把握することが重要となるでしょう。目の前の仕事を終わらせることだけに執着し、「あと少しで終わる」と思って無理をしていくと、いつかは破綻してしまいます。
自身の許容範囲を把握できれば、与えられた仕事がその日のうちには終わらない場合、今日できる分を割り出し、残りを翌日に回すといった冷静な考え方ができるようになるはずです。この際に大切なのが、仕事を優先度や難易度によって細かく分類することです。
頼まれた仕事をそのままこなすのではなく、このように「見える化」すると、達成までの道筋がわかりやすくなるでしょう。
仕事の順番を考える
また、実際に仕事に取り組む際は、その順番をあらかじめ自分で決めておくようにしてください。「緊急性のある案件から始める」「疲労感があれば簡単なものに切り替える」など、どの仕事から取り掛かるのかが明確であれば、漠然とした焦燥感にストレスを感じる機会も減るはずです。
効率的な仕事を行う
他にも、辞書登録を活用したり、頻繁に使用する文章のテンプレートを作成したりすることでタイピングの時間を短縮すれば、より効率的に仕事を進めることができるでしょう。毎日行う業務であれば、出社時や昼休み後などに、まず初めに取りかかるタスクとしてルーチン化しておくと、よりスムーズに動き出せるはずです。
上司、周囲への相談
加えて重要なのが、仕事を一人で抱え過ぎないことです。自分だけでは終わらないと感じた時は、上司や同僚に相談し、負担を軽減することを心がけてください。一人で無理をして後々体調を崩すと仕事に穴が開き、状況が悪化するどころか周りにも迷惑がかかるので、早めに対処することが大切です。
仕事量を変えずにオーバーワークを改善できる
このように、同じような仕事量であっても、ちょっとした考え方や取り組み方の違いでオーバーワークを改善できるかもしれません。これらの中に自分でもできるものがあれば、積極的に取り入れるようにしてください。
ゆっくり入浴する
続いて身体を休ませて疲労を解消する方法ですが、オーバーワーク対策には、いかに日常生活の中で疲れを取り、翌日に持ち越さないかが重要になります。
入浴に関しては、リラックス効果のある38~40℃のぬるめのお湯に、少なくとも20分は浸かるようにしてください。血行を促進する効果が見込めるので、疲れが取れやすくなるはずです。コリをほぐす効果やリラックス効果のある入浴剤・アロマなどを併用するとより効果的でしょう。
栄養バランスを意識した食事
食事で気を付けるポイントは、美味しさと栄養バランスです。ファストフードやコンビニ弁当では脂質や糖質に栄養が偏りがちなので、ビタミンやたんぱく質を多く含む食材を意識して摂るようにしてください。また、美味しい料理は食べた人を幸せな気持ちにするので、ストレス解消にもつながるはずです。
運動
デスクワークで体を動かす機会があまりない人は、軽い運動やストレッチを取り入れるようにすることも大切です。階段の昇り降りや、腕や脚を伸ばすといった簡単なもので構わないので、帰宅後や仕事中でもこまめに取り組んでみてください。日常的に行えば身体のコリをほぐす効果が期待できます。
睡眠の質と量
最後に、睡眠については十分な時間を確保するだけでなく、質についても意識するようにしてください。アイマスクや耳栓は、より深く質の良い睡眠の実現に大いに役立つはずです。移動中だけでなく、仕事のストレスであまり眠れない場合などは特に、自宅で寝る時にも活用することをおすすめします。また、パソコンやスマートフォンの画面から出ている光には覚醒効果があるので、就寝前に使用するのは控えた方が良いでしょう。
改善しなければ転職も視野に入れて
以上のように、オーバーワークは自身の心身の健康に害を及ぼすだけでなく、家族など周りの人にも迷惑かける危険性があるので、気付いた時はできる限り早く対処することが大切です。
とはいえ、繁忙期や一時的な人員の不足などによる、1カ月程度の短期間のオーバーワークは仕方がないところもあります。しかし、そういった状態が長期間続く場合、その企業はブラック企業の可能性があります。
自身の周囲や上司に及ぶまで、企業全体がオーバーワーク体質だと前述のような対策だけでは改善が難しいので、そのまま我慢して働き続けるのではなく、転職するという選択肢も考えてみることが大切です。
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