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大人のひきこもりの原因は?深刻化する8050問題とは

大人のひきこもりの原因は?深刻化する8050問題とは

大人のひきこもりの原因は?

大人のひきこもりの原因は、こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)「現在の外出状況になった最も大きな理由」によると、「退職したこと」「新型コロナウイルス感染症が流行したこと」「病気」「人間関係がうまくいかなかったこと」「介護・看護を担うことになったこと」などが理由でした。

大学や高校等を卒業して一旦は就職したものの、上記のようなきっかけで挫折し、ひきこもり状態になったと考えられます。

また、10代からの延長線上で引きこもりが続いているケースもありうるでしょう。一般社団法人ひきこもりUX会議「ひきこもり・生きづらさについての実態調査2019」の調査によると、大人のひきこもり、生きづらさの原因・きっかけとして以下の要因が挙げられています。

  • 家族との関係
  • 不登校
  • こころの不調・病気・障害
  • からだの不調・病気・障害

上記のことから、ひきこもりの原因は「退職」「病気」「人間関係」が多いと言えるでしょう。

大人のひきこもりの原因TOP5

大人のひきこもりの原因は多岐に渡り、それぞれが複合的に絡み合っていることが多いです。本人に原因がある場合もあれば、社会的な背景が原因にある場合もあり、一概に本人や家族のせいとは決めつけられません。
ここでは、「こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)」から最も多い回答TOP5について解説していきます

1. 退職

大人のひきこもりの原因として最も多い回答は「退職」です。一旦就職したものの、職場の環境や人間関係などの問題により挫折を経験し、そのままひきこもりになってしまうケースが多く見られます。

たとえば、職場の人間関係のトラブルや孤立、いじめやハラスメントによる大きなストレスがきっかけになるケースが考えられます。このような辛い経験をすると、再び働くことへの恐怖や不安を抱き、社会復帰へのハードルが高くなってしまうでしょう。

その結果、社会とのつながりが薄れて孤立感が強まり、ひきこもり状態が長期化してしまうかもしれません。このように「退職」は大人のひきこもりの大きな要因になると考えられるでしょう。

2. 新型コロナウイルス感染症の流行

新型コロナウイルス感染症の流行により、私たちの生活は大きな変化がもたらされました。外出の自粛や在宅ワークの普及により、人と接する時間が減っていき、孤独感を感じる人が増えたと考えられます。

また、新型コロナウイルス感染症の流行による外出自粛により、多くの企業が経済的に大きな打撃を受けました。その結果、仕事を失った人も多いです。感染防止のために企業の採用活動も抑制され、再就職が難しくなったこともひきこもりに陥る要因の1つと言えるでしょう。

仕事を失ったことで、経済的な不安や社会からの孤立感を感じ、ひきこもりとなった人もいます。このように新型コロナウイルス感染症の流行は大人のひきこもりの原因になっています。

3. 病気

「病気」が原因となりひきこもりに陥ってしまうケースも多いです。『8050問題の深層ー「限界家族をどう救うか』(ひきこもりの実態と社会的背景・要因の理解)によると、軽度の知的障害があったり学習障害や高機能広汎性発達障害などがあるのに、そのことが周囲に認識・理解されず、そのために生じる周囲との摩擦が本人のストレスになることがあるとわかっています。

軽度の障害によって人間関係をうまく築けず、周囲から孤立してしまったり、否定的な評価を受けてしまったりするケースがあるでしょう。

また、統合失調症やうつ病、パニック障害などの精神疾患にかかっていてひきこもりを余儀なくされている場合もあります。このように「病気」は大人のひきこもりの大きな原因の1つです。

4. 介護・看護

家族の介護や看護によってひきこもりとなるケースもあります。介護による精神的・肉体的負担はとても大きいです。

仕事が続けられず「介護離職」してしまったり、社会からの孤立感を感じたりする人も多いでしょう。

特に、責任感の強い人は「自分の親は自分が面倒をみる」と献身的に介護に取り組みます。その結果、自宅でつきっきりで看病することになり、社会的な交流や仕事への復帰の機会が失われてしまうでしょう。

仕事を辞めている場合、収入が少ないので金銭的にも厳しくなり、経済的にも不安を感じやすいです。無職期間が長くなるほど再就職は難しくなり、自身のキャリアや将来に不安を感じてひきこもりに陥るケースもあるでしょう。

5. 人間関係がうまくいかなかった

人間関係のトラブルは、ひきこもりの原因として非常に大きな影響を与えます。特に職場、学校でのいじめやハラスメント、対人ストレスなどがひきこもりの原因となることがあるでしょう。

人間関係がこじれると、他人と関わることへの不安や恐怖感が強まり、社会との接点を避けるようになってしまいます。

さらに、人間関係の失敗が自己否定感を強め「どうせ自分は誰からも受け入れられない」という思い込みに陥ることもあるでしょう。

このような心理状態では、新しい人間関係を築くことが困難になり、ひきこもりが長期化することがあります。

人間関係がうまくいかないことは、大人のひきこもりの大きな原因の1つとなるでしょう。

大人のひきこもりの特徴

大人のひきこもりには特徴があります。ここでは、次の4つの特徴について解説します。

  • 長期間化しやすい
  • 問題が表面化しにくい
  • 就業経験がある
  • 就職氷河期の影響を受けている層もいる

これらの特徴を知ることで、大人のひきこもりの原因についてより深く理解でき、解決策を考えるヒントとなるでしょう。1つずつ解説していくので参考にしてみてください。

1. 長期間化しやすい

1つ目の特徴は長期間化しやすいことです。

令和3年度に東京都江戸川区が行った調査(江戸川区「令和3年度江戸川区ひきこもり実態調査の結果報告書」(令和4年3月))によると40 代・50 代は 引きこもりの期間が10 年以上が一番多いことがわかっています。

日本では年齢が上がるほど、相応のスキルや経験を求められるため、再就職のハードルが高くなるからだと考えられます。このように、大人のひきこもりは社会復帰が難しいため、長期化しやすいです。

2. 問題が表面化しにくい

2つ目の特徴は、問題が表面化しにくいことです。なぜなら、ひきこもりは家庭の問題という意識が強く、支援につながりにくいからです。

たとえば、子供がひきこもり状態になっているのは恥ずかしいことだと感じ、隠す親がいます。また、支援を受けられる環境にあっても、家庭でなんとかしようと支援を拒否するケースもあるでしょう。

こうした家族や周囲の理解不足、偏見などにより、大人のひきこもりは問題は表面化しにくいという特徴があります。

3. 就業経験がある

3つ目の特徴は、就業経験があることです。KHJ全国ひきこもり家族会連合会「内閣府調査の実態データとKHJ調査データより.pdf」によると、大人のひきこもりのうち就業経験がある人の割合は、15歳〜39歳で62.5%・40歳〜69歳で90.3%との結果でした。

ひきこもりは就職したことがないというイメージが強いかもしれませんが、実際は就業経験がある人のほうが多いです。

1度就職したものの、いじめやパワハラ、長時間労働などのきっかけで退職しそのままひきこもりになってしまったと考えられます。

4. 就職氷河期の影響を受けている層もいる

4つ目の特徴は、就職氷河期の影響を受けている層がいることです。「就職氷河期」とは、1990年代半ばから2000年代初頭を指します。

この時期の日本では、経済不況により新卒採用が大幅に抑制されたため、満足な就職ができなかった人が多くいたと考えられます。

具体的には1970年代後半から1980年代前半生まれの世代で、2024年現在の年齢は40代半ばから50代前半です。

こうした社会背景の影響を受けて、ひきこもりとなったと考えられるでしょう。

大人のひきこもりと8050問題

大人のひきこもりでは、8050問題が深刻化しています。「8050問題」とは、80代の親が50代のひきこもりの子どもを支えている状況のことです。

問題点は、高齢の親が50代のひきこもりの子どもを支え続けており、親自身も介護が必要になる可能性が高いことです。このような家庭では、親の年金生活で生計を立てていることが多いため、親自身が介護状態になると生活が困窮すると考えられます。

この問題が起こった背景には、現在50代である就職氷河期世代(1970〜1980年代生まれ)の人々が、社会的な挫折を経験しやすい環境に置かれていたことが挙げられるでしょう。

親子が共倒れになって問題が発覚することも多く、深刻な社会問題として解決が急がれています。

まとめ

今回は、大人のひきこもりの原因と深刻化する8050問題について解説しました。

大人のひきこもりの原因は「退職したこと」が最も多いです。他にも「新型コロナウイルス感染症」「病気」「家族の介護」「人間関係のトラブル」など、さまざまな原因が複合的に絡み合っています。

大人のひきこもりは長期化しやすく、問題が表面化しにくいです。深刻化すると8050問題の状態に陥り、痛ましい事件につながるかもしれません。

何か事件が起きてしまう前に、自治体の相談窓口などに事前に相談しておくべきでしょう。

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池本 駿
株式会社ジェイックマーケティング開発部。2016年慶応義塾大学経済学部卒業。2018年慶應義塾大学大学院経済学研究科修了(修士課程)。2019年慶應義塾大学大学院理工学研究科修了(修士課程)。同大学経済学部附属経済研究所「こどもの機会均等研究センター」協力研究者。元・三菱経済研究所研究員。経済産業大臣登録 中小企業診断士。著書「教育経済学の実証分析: 小中学校の不登校・高校における中途退学の要因分析」