
引きこもりの最長期間は?
引きこもりの最長期間は、数十年以上に及ぶと考えられ、NPO法人全国引きこもりKHJ親の会の調査によると最長が40年でしたが、こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)によると、40歳〜69歳対象調査で「現在の外出状況になってからの期間」を30年以上と回答した人が3%いました。
そもそもの「ひきこもり」という言葉が世に広く出たのは1989年の毎日新聞の記事が最初だと言われています。
この記事から「ひきこもり」という言葉が誕生して30年以上たつため、最長が40年というこの数値には違和感はありません。
その後、ひきこもり研究の第一人者である筑波大教授斎藤環さんが執筆した「社会的ひきこもり」(PHP新書)が1998年にベストセラーとなったことにより、「ひきこもり」という言葉が広がりました。
また、引きこもりの平均期間はNPO法人全国引きこもりKHJ親の会の調査によると平均 8.8 年だとわかっています。
同調査は、引きこもり経験者83名とその家族426名の協力を得て実施されたものです。調査の限界もあり、すべての引きこもりとその家族から聞き取りを行ったわけではありません。
そのため、実際はもっと長期間に渡って引きこもり状態にある人もいる可能性もあると考えられます。
参考:BIGLOBEニュース「ひきこもり」という言葉、いつから使われるようになった?
参考:特定非営利活動法人 KHJ 全国ひきこもり家族会連合会が毎年行っている調査
参考:NPO法人全国引きこもりKHJ親の会における実態「引きこもり」の実態に関する調査報告書⑥
参考:こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)第3章 40歳~69歳対象調査(PDF形式:954KB)
引きこもりの平均期間
特定非営利活動法人 KHJ 全国ひきこもり家族会連合会が毎年行っている調査によると平均 8.6 年(1回目)でした。
また、一般社団法人引きこもりUX会議の調査によると引きこもり経験者・現在引きこもりになっている人の平均期間は8.8年だとわかっています。
平成27年内閣府実施の「若者の生活に関する調査報告書」によると、過去に引きこもり状態にあった人の継続期間は6か月~1年が最も多く39.2%、1年~3年が28.5%と3年以内に社会復帰している人が多数であることがわかります。
調査によって結果は異なりますが、共通しているのは引きこもりが長期化するほど社会復帰が難しくなることです。
引きこもり期間が短いうちに、早期解決を図ることが重要と言えるでしょう。
参考:特定非営利活動法人 KHJ 全国ひきこもり家族会連合会「ひきこもり実態に関する調査」
参考:平成27年内閣府実施の「若者の生活に関する調査報告書」
引きこもりが長期化する理由
調査によると引きこもりの平均期間は数年間でしたが、中には数十年に及んで引きこもり状態にある人もいます。
ここまで引きこもりが長期化してしまう理由が何か気になる人もいるでしょう。
そこでここからは、引きこもりが長期化する3つの理由について解説します。
- 引きこもり支援の認知不足
- 家族の問題として隠してしまう
- 精神疾患を患っている
家族の問題として隠してしまう
1つ目の理由は、引きこもりを家族の問題として隠してしまうことです。
たとえば、周囲から「育て方が間違っていた」などと批判されるのを恐れていたり、「怠けているだけ」だと決めつけてしまったりといったケースが挙げられます。
どちらも引きこもりになっている本人の気持ちと向き合っていないことが問題と言えるでしょう。
引きこもりはさまざまな原因が複雑に絡み合って起こるため、家族だけの問題ではありません。引きこもり支援機関に相談し、専門家のサポートを受ける必要があります。
家族の問題として隠してしまうと適切な支援が受けられず、引きこもりが長期化してしまうでしょう。
精神疾患を患っている
2つ目の理由は、精神疾患を患っていることです。精神疾患が原因で引きこもっている場合は、まず病気を治さないと引きこもりは解決しません。
精神疾患は治療に長い時間がかかるため、それに伴い引きこもりも長期化してしまうでしょう。具体的には以下のような精神疾患が挙げられます。
- うつ病
- 統合失調症
- パニック障害
- 社交不安障害
こうした病気は過剰なストレスが原因で発症することが多いです。原因が職場のストレスであれば、社会復帰へのハードルは高くなります。
精神疾患は治療に長い時間がかかり、引きこもりが長期化する原因となるでしょう。
引きこもり支援の認知不足
3つ目の理由は、引きこもり支援の認知不足です。
引きこもり経験者やその家族の多くは支援期間やサービスの存在を知らない、もしくはそもそも相談していいものだと思っていないケースが多いです。
これは自治体の周知活動が足りなかったり、引きこもりは相談するものではないという思い込みがあったりすることが原因と考えられます。
現在の自治体の周知活動は、HPへの掲載やチラシの配布等が主な活動ですが、これだけでは必要な人に情報が届いていません。
新たな周知方法を模索し、引きこもり支援の認知不足を解消していく必要があるでしょう。
引きこもりが長期化するとどうなる?
引きこもりが長期化するとどうなるのでしょうか?ここからは、想定される以下の2つの問題について解説します。
- 本人や家族の努力で解決しにくくなる
- 8050問題に繋がることも
引きこもりの長期化により、発生する問題を知ることで、早期解決の重要性がわかるようになります。1つずつ解説するので参考にしてみてください。
本人や家族の努力で解決しにくくなる
引きこもりが長期化すると、本人や家族の努力で解決しにくくなります。なぜなら、長期化するほど問題が複雑化し、専門的な支援が必要になるからです。
たとえば、長期間引きこもっているとコミュニケーション力などが衰えて、人間関係を築くのが難しくなります。
その結果、社会復帰への不安や恐怖が大きくなってしまうでしょう。
また、引きこもりが長期間続くと、家族は対応に疲弊していきます。引きこもり本人と衝突し、関係が悪化してしまうかもしれません。
このように、引きこもりが長期化すると本人と家族の努力だけでは解決が難しくなるでしょう。
8050問題に繋がることも
引きこもりが長期化すると8050問題に繋がる可能性があります。「8050問題」とは、80代の親が50代のひきこもりの子どもを支えている状況のことです。
引きこもり期間が数十年になると、本人は50代、それを支えている親も80代になってしまいます。年齢的に親自身も介護状態になるかもしれません。
8050問題の家庭では、収入を親の年金に頼っていることが多いため、親が介護状態になると生活が困窮してしまいます。
8050問題に陥ると、問題の解決が非常に難しくなります。専門家を頼り、早期解決に向けて動くべきでしょう。
引きこもりが長期化しても社会復帰はできる
引きこもりが長期化すると、問題が複雑化し、解決が難しくなってしまいます。
一方で、たとえ数十年間引きこもり状態にあったとしても社会復帰できる可能性はあります。
なぜなら、引きこもりの原因や解決策は個人によってさまざまであり、きっかけと本人の意思があれば社会復帰できるからです。
実際に以下の事例のように、長期間引きこもっていても社会復帰できた例があります。
・33年引きこもっていた男性が「推し活」をきっかけに外出するようになった
・17年間引きこもりで統合失調症と診断された男性が38歳で通信制の高校に通い、41歳で大学に入学
何がきっかけで社会復帰につながるかはわからないので、行政の引きこもり支援など適切な支援先に早めに相談すべきと言えるでしょう。
参考:集英社オンライン「33年間ひきこもった男性が外に出ることができた意外な理由」
参考:文春オンライン「当時の自分は異常だった」「でも、恋愛や就職を諦められず…」17年間”引きこもり”だった50歳男性が、大学に入学して社会復帰を果たすまで
まとめ
引きこもりの最長期間は、NPO法人全国引きこもりKHJ親の会の調査によると40年でした。調査の限界もあるため、実際にはさらに長期間引きこもっている人もいると想定されます。
引きこもりは、家族の理解不足や精神疾患、引きこもり支援の認知不足などによって長期化してしまいます。
引きこもりが長くなるほど、本人や家族の努力では解決しにくくなり、8050問題に繋がることもあるでしょう。
しかし、引きこもりが長期化しても社会復帰はできます。あきらめずに適切な支援に相談しましょう。




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