大卒フリーターとなって働いている人は意外に多いです。就活に失敗し、やむを得ずフリーターになっている人は焦りや不安を感じているかもしれません。
フリーターとして働き続ける事によって生じるメリットやデメリットとはどのような事なのでしょうか。そして、卒業後3年以内に就職した方がいいと言われている理由や面接で絶対聞かれる質問など、大卒フリーターの就活について、実態を解説していきます。
この記事の目次
大卒でフリーターになるメリットとデメリット
大卒でフリーターになってしまっただけでも、デメリットばかりに目が向いてしまうかもしれません。落ち着いて、大卒フリーターのメリット、デメリットを整理していきましょう。
大卒フリーターになるメリット
まずは、大卒でフリーターになることによって得られるメリットについて考えてみましょう。ただし、大卒のフリーターでも高卒のフリーターでも、メリットはあまり変わらないことは覚えておきましょう。
フリーターは時間に融通が利く
フリーターと正社員とを比較して真っ先に思い浮かぶメリットといえば、「時間に融通が利く」という点です。大卒で正社員になったあなたの友達は、毎日決まった時間に出社して、定時を過ぎてもその日の仕事が終わるまで帰宅することは出来ません。
一方、フリーターの勤務時間は一般的にシフトで管理されています。そのため、自分が働きたい時間をある程度自由に決めて働くことが出来ます。大卒でも高卒でも、正社員になれば一定の時間以上は必ず働く必要があります。出退勤の時間をある程度自由に決められる「フレックス制」もありますが、フリーターの自由度には及びません。
フリーターは職場を変えやすい
フリーターには勤務時間以外にも、もう一つ自由度が高い側面があります。それは「転職」です。大卒後、正社員になって入社した会社がもし自分に合わなかった場合、再び正社員として次の会社に転職するために、かなりの労力が必要です。大卒で正社員になった知人で、「就職する会社を間違えた」と言っている人もいるのではないでしょうか?
一方、フリーターの場合はバイト先を変えるのも、正社員に比べるとかなり楽です。
現在勤務している場所が嫌だと感じれば、大卒で就職した知人よりは簡単に辞めて、次のバイト先を探すことが出来ます。働く場所の自由が利くのも、大卒でもフリーターで働くことによって得られる大きなメリットでしょう。
フリーターは転職しても収入が変わりにくい
正社員が転職する場合、転職1年目から前職と同じくらいの収入を得ることは難しいです。大卒の同期が転職した時、収入の増減について聞いてみましょう。
一方、フリーターは研修期間を過ぎたら大卒でも、新人やベテランも給料が変わらないので、転職後の収入減について気にする必要はありません。
フリーターは休みを取りやすい
休みを自由に取得することが出来るのも、フリーターの大きなメリットです。働かない分だけ収入が減りますが、休みたい日にシフトを入れないだけで、簡単に休むことが出来ます。
一方、正社員は有給休暇を取得しない限り、休日は土日と祝日、そしてお盆の期間や年末の長期休暇しか休みがありません。大卒で正社員になった人の中には、自由時間が多い大学生活とのギャップに衝撃を受ける人もいるでしょう。
更に、大卒の就職先には少ないものの、上記の休みすら取りにくい職種も存在します。
フリーターは色んな働き方が出来る
フリーターといっても、現在はさまざまな働き方があります。中には就活をせずに、自宅でブログやアフィリエイトの広告収入を得ている人もいます。成功している人は、同年代で大卒の正社員の給料と同等か、それ以上の収入を得ている事もあります。
こういった話を聞くと羨ましいと感じますし、大卒でも高卒でも関係ないと考える人も居るかもしれません。
しかし、それだけの収入を得ている人のほとんどは、大卒で正社員として働いている人達以上に時間や努力をし続けてきています。だれもが同じようになれるわけではないので、相当の覚悟や勉強が必要です。
大卒でフリーターになるデメリット
大卒後も就職せずにフリーターとして働いていることによって生じるデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。大卒で正社員になった人と比較しながら、大卒フリーターのデメリットを解説します。
フリーターを続けるほど正社員になりにくい
この表は、20代フリーターの就職率についてまとめたものです。
【期間別・正社員への就職成功率】
フリーター期間 | ||||
---|---|---|---|---|
6ヶ月以内 | 7ヶ月~1年 | 1年~2年 | 2年~3年 | 3年以上 |
64.0% | 58.3% | 52.2% | 58.9% | 48.9% |
表にあるように、フリーターを続けると就職成功率は下がります。1年以上フリーターを続けると、約半分のフリーターは正社員就職が出来ません。ちなみに、女性フリーターだけに限定すると、就職成功率は5~10%低下します。
大卒のフリーターと正社員は生涯賃金が大きく違う
一番大きな違いは生涯賃金です。例外もありますが、フリーターとして働き続けていると、基本的に生涯賃金は正社員よりも大幅にダウンします。仮に、時給1,500円で週50時間(10時間×5日、8~9時間×6日)のバイトを22~60歳までやり続けたとすると、生涯賃金は約1億5千万円です。
一方、60歳まで正社員として働いた場合の生涯賃金は、大卒であれば約2億9千万円です。
参考:労働政策研究・研修機構、ユースフル労働統計
大卒で正社員になった友人から「時給で換算したらフリーターより安い」という愚痴を聞くこともあるかもしれません。実際、20代前半の内はそのような場合もあります。しかし、大卒で正社員になった彼らは、20代後半から大きく収入を増やしていきます。
フリーターはボーナスがほぼ無い
フリーターには基本的にボーナスという概念はありません。
一方、正社員なら高卒でも大卒でも関係なく、数十万円から百万以上のボーナスが貰えます。例えば30万円以上必要な海外旅行に行こうとした場合、正社員なら高卒でも大卒でもボーナスを使えばいいですが、フリーターはコツコツ貯金するしかありません。
フリーターは給料があまり上がらない
月給の上昇金額も、フリーターに比べると正社員の方がずっと多いです。フリーターの場合は、昇給といっても時給が10円上がるくらいです。
一方、大卒で正社員になった場合は、毎年数千~数万円昇給することが多いです。年齢が上がるだけでも昇給しますし、評価されて昇格したら更に昇給します。
フリーターは収入が安定しない
収入の安定性という面でも、フリーターは大卒であっても正社員に大きく劣ります。正社員の場合でも会社の業績によって月給が減ることはありますが、決められた固定給が必ず支給されるので、毎月の生活費のシミュレーションがとても立てやすいです。
正社員ならではの「収入の安定性」は、高卒でも大卒でも関係ないポイントですが、フリーターの場合は自分が出したシフトによって収入が大きく変動します。バイト先の業績が悪い場合は、シフトを削られ収入が大きく減るリスクもあります。
例えば飲食店の場合はお客さんが少ない日などはその日の人件費を節約するために早上がりを言い渡されることもあります。
フリーターはクビにされやすい
バイト先の業績がかなり悪化した場合、突然クビを言い渡されるようなこともあります。クビになれば当然収入はゼロになります。正社員よりもフリーターがクビにされやすいのは、「整理解雇の4要件」という、リストラに関するルールがあるためです。クビにされるフリーターを選ぶ基準はバイト先によりますが、大卒や高卒と言った学歴はあまり関係ないでしょう。
フリーターは保険に入りにくく無駄な出費が増える
フリーターとして働くと、保険に入りづらいことがあります。収入も大きなデメリットですが、大卒の場合、社会保険に入れないことが最大のデメリットだと考えている人も多いでしょう。
具体的には、
- 払うべき税金(所得税や住民税)が月に1~2万円増える
- 老後に貰える給付金や給付金が約15万円減る
- 病気やケガをした時に給付金が貰えない
社会保険に加入するためには一定の条件があるのですが、自分が出したシフト時間のみ働いている大卒フリーターは加入条件を満たしていない場合がほとんどです。会社によってはシフトの時間を会社側で調整し、ギリギリ社会保険加入の条件を満たさないようにしているところもあります。
もっとひどいところは条件を満たしているのに加入させないような会社もあります。フリーターは何も保険に入らないままでは医療費を全額支払わなければいけないので、自分で国民健康保険を毎月支払うことになります。
フリーターは何もしないと老後に年金がもらえない
保険とも深く関係しますが、フリーターで働いていると、年金についても問題があります。大卒も高卒も、正社員は毎月の給料から国民年金分と厚生年金分を差し引かれています。よって、定年を迎え受給年齢になれば、国から厚生年金と国民年金が支給されることになっています。
厚生労働省によると、平均で月22万円ほどが支給されるようです。
参考:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/H28.pdf
一方、フリーターは毎月の給料から年金が天引きされていないので、何もしないままだと受け取ることが出来る年金はゼロです。フリーターの人が年金を受け取りたいのであれば、自分で毎月国民年金を支払う必要があります。中には、年金を受け取れる保証が無いからと国民年金も支払わない大卒フリーターもいるでしょう。
しかし、年金を受け取れる保証がなくとも、今のうちに払っておかないと絶対に受け取ることは出来ません。
フリーターの年金について知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
フリーターは偏見を持たれて気まずい
大卒後にフリーターになっている人は、正社員と比べて印象はあまり良くないという偏見を持たれているのが現状です。この世間体という問題は、大卒後すぐであればあまり感じる事がありませんが、年齢を重ねれば重ねるほど重くのしかかってきます。
特に30代になると、事情を知らない限り相手のことを大卒正社員だという前提で話をしてくることが多々あります。自分が大卒フリーターであることを言い出しにくい状況がたびたび訪れることになるでしょう。
例えばお盆や正月に親戚が集まった時に、「なんで正社員じゃないの?」「就活はしていないの?」と聞かれるフリーターは少なくありません。フリーターとして働いている人のほとんどが将来について不安を感じていることでしょう。
フリーターは結婚にもハードルが高い
将来に対する不安は、実際に大卒フリーターとして働いている本人だけが感じているのではありません。「将来に対する不安」が最も大きく影響してくるのが、結婚するときです。女性は結婚して仕事を辞め、専業主婦になるという選択肢もあるので、大卒フリーターとして働いていることによる悪影響を抑えることも出来ます。
しかし男性の場合は、大卒フリーターであることが結婚において大きなマイナスになる場合も多いです。「主夫をする」という考え方も広まってきていますが、それでも親の立場で考えれば、収入が少なく安定しないフリーターの男性に、なかなか娘は任せられないでしょう。
フリーターの結婚について知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
フリーターはローンを組みにくい
ローンを組む際にもフリーターは大きなハンデを背負うことになります。キャッシングやカードローンなど、ちょっとしたお金を借りるのであればフリーターでも融資してくれるところが増えてきています。しかし、大きな借金を抱えることとなるマイカーローンや住宅ローンを組む際に、職業がフリーターだと審査すら受けさせてもらえないことがあります。
フリーターは就職成功率が低い
大卒でも関係なく、フリーターは就職の際にも不利になります。新卒(大卒)の内定率は毎年90%を越えますが、いわゆる既卒やフリーターが普通に就活をした場合、3年フリーターをしていると内定率は48%と約半分まで落ちます。これは、若者を採用するなら高卒や大卒の新卒を採用し、それ以外なら経験のある中途社員を採用しようとする日本ならではの考え方が影響しているのです。
新卒であれば手厚い研修を受け、社会人のマナーから実際の業務に関しても、先輩に教えてもらいながら身に着けれるでしょう。
しかし、会社から見るとフリーターは中途採用扱いです。業界知識はまだしも、基本的なビジネススキルくらいは身についている前提で扱われます。とはいっても、正社員として求められているレベルのマナーやスキルを20代のフリーターが持っていることは稀です。
そんなフリーターの就職支援を、私たちジェイックでは10年以上続けており、就職成功率は80%を越えています。一人での就活に不安がある場合は、ぜひ相談に来てみてください。
フリーターになった理由別!おすすめの就活方法
一言で大卒フリーターといっても、就活しなかったから、新卒で就職して早期退職した、などフリーターになった理由は人それぞれです。ここでは、大学や大学院をフリーターになった理由別におすすめな就活の進め方を解説します。
就活せずに大卒フリーター
就活をしないままフリーターになった人は、大きく2つのパターンに分けられます。
- 就職したいとボンヤリ思っているが行動できなかった
- 企業に就職する気がない(バンド活動で生活したい、等)
・企業に就職する気がない人は就活の必要がないので省略し、・就職したいとボンヤリ思っているが行動できなかった人向けの就活について解説します。
就職する目的を作る
就活すべきだと思っても、なかなか行動に移せないフリーターには「このために働きたい、働かなければ」という就職する目的を設定し、就活することをおすすめしています。就職する目的は、仕事を通じて誰に(自分も可)どんな貢献をしたいのか?という問いかけから始めることをおすすめします。
「とりあえずやってみる」という考え方
就活をしなかったフリーターの考え方の特徴として、「できない理由、やらない理由を考えてしまう」というものがあります。デメリットばかりを見て行動しないと、就職もできませんし今の生活を変えることは出来ません。誰かから就活のアドバイスをもらったら、まずは実行してみてから良かったか悪かったかを判断してみましょう。
就活をしたけど内定が取れず卒業してフリーター
学生時代に就活をしたけれど、会社から内定をもらえなかったフリーターにありがちなのは、自己分析や面接対策、企業研究など就活の基本をおさえていないパターンです。どれも自分一人だけでレベルアップするには限界があるので、友人や就職アドバイザーに相談しながら内定獲得に向けて就活していきましょう。
私たちジェイックもフリーターの就職支援を行っており、フリーター就職を専門にした就職アドバイザーも在籍しています。
そんなジェイックでは、大卒フリーターに多い「自己分析が深くできておらず、面接での発言に説得力が出ない」という問題を解決するために、【適職診断】と【就職相談】を組み合わせた、無料の就職支援サービスを提供しています。
大卒で就職後、早期退職してフリーター
新卒で会社に就職しても、1年以内に退職する人は約12%、3年以内には約30%の人が退職するというデータが出ています。
【卒業年度別・離職率】
1年目 | 2年目 | 3年目 | |
---|---|---|---|
2012年卒 | 13.1% | 23.4% | 32.3% |
2012年卒 | 13.1% | 23.4% | 32.3% |
2013年卒 | 12.8% | 22.8% | 31.9% |
2014年卒 | 12.3% | 22.9% | 32.2% |
このように早期退職してフリーターになっている人の中には、就活時の会社のイメージと事実にギャップがあったという場合が少なくありません。その場合、就職支援会社や就活エージェントに企業を紹介してもらう事をオススメしています。
支援会社やエージェントは、紹介する企業の内部事情や社風を客観的に説明してくれるので、一人で就活するよりも多くの情報を得ることができます。入社後の悪いギャップを避けたい場合は、一度就職相談をしに支援会社へ足を運んでみましょう。
アルバイト経験しかない大卒フリーターが、面接で聞かれること
想像できるかもしれませんが、フリーターが正社員になるための面接で聞かれる質問は、新卒や中途の面接と大きく違う場合が多いです。
例を出すと、以下のような質問です。
- アルバイト先に、どのような貢献が出来たと思いますか?
- 大卒フリーターになった理由は何ですか?
- 正社員になりたい理由はなんですか?
- 「正社員になりたい」という意欲を裏付けるものはありますか?
- あなたは中途入社という扱いですが、社会人としてのビジネスマナーは問題ありませんよね?
以上のような質問に自信を持って回答できるのならば、すぐに正社員になれる可能性が高いです。もし、「そんなこと聞かれても…」と詰まってしまったけれど、正社員にはなりたい意欲があれば、ぜひ私たちジェイックに就職相談してみてください。面接対策の他にも、企業選びのやり方、自己分析など、就職活動が初めてのフリーターでも安心の就職支援サービスを用意しています。
期限は3年!新卒として扱われることも?
フリーターが就職するのが難しくなっている最大の原因は、前述した日本の就職市場の考え方にあります。日本の就職市場は基本的に新卒主義です。大卒の新卒を積極的に雇用し、ゼロから会社で働く人材として育てていくという方針を持っていることがほとんどです。
厚生労働省は大卒後3年までを新卒扱いとしている
実は、厚生労働省は「大卒後3年以内の人は新卒者として扱う」と各企業に通達を出しています。大学在籍時の就職活動に失敗し、正社員として就職できなかったとしても、大卒後3年以内であれば、フリーターであっても新卒者として就職試験や面接を受けさせてもらえるというわけです。
新卒主義である日本において、新卒者として就職活動できることが大きなアドバンテージになることは改めて説明するまでもないでしょう。
大卒フリーターを採用した企業にも奨励金が出る
大卒後、3年以内の就職活動が有利になるのは大卒フリーター側だけではありません。厚生労働省は、「三年以内既卒者等採用定着奨励金」という制度を企業側に通達しています。簡単に説明すると、大卒後3年以内の人を新卒者として採用し、定着させた企業には国からお金が支払われることになっています。
実際は、85%の企業が大卒フリーターに内定を出していない
以上のような制度や奨励金を整えた結果、実際に大卒フリーターや既卒者は採用されたのでしょうか。結論、85%の企業が内定を出していません。厚生労働省の調査では、高卒大卒後3年以内の人に内定を出したのは14.2%だけです
また、51.8%の企業が「募集を受け付けているが、内定は出していない」、34%の企業が「募集を受け付けていない」という結果です。実質、大卒フリーターを採用していない企業が少ないからこそ、前述したように内定率も48.9%と低いのです。
大卒フリーターに関連する質問
大卒フリーターは何割くらいですか?
大学卒業後フリーターになる人は12.4%、正社員になる人は81.7%です。また、フリーターのうち、大卒フリーターの割合は男性が21.8%、女性は16.0%です。
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の変容」
独立行政法人 労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状 ③」
3年経つ前に大卒フリーターを脱出して就職
大卒後、フリーターで働きつづけることはメリットも確かにありますが、総合的にみれば収入面や将来に対する不安など、デメリットの方が大きいです。20代の内にはデメリットをそれほど感じないかもしれませんが、年齢を重ねれば重ねるほどフリーターで働き続ける事のデメリットは大きくのしかかってきます。
本気でフリーターから正社員に就職を成功させたい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
フリーターの就職活動について、賢い進め方や様々な対策、フリーターから正社員になった体験談を掲載しています。
高学歴のフリーターについて知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。