さとり世代のトリセツをご紹介します。さとり世代の特徴や生まれた背景について、詳しくお伝えしていきます。特徴8選と接し方5選をご紹介していますので、さとり世代自身も、関係を持ちたい人も記事を参考に理解を深めていきましょう。
さとり世代の時代背景
「さとり世代」とは一般的に、「ゆとり世代」の派生形といわれ、1987年(昭和62年)~2004年(平成16年)頃に生まれた世代の若者のことを指しています。
2019年現在では、16歳~32歳頃までの年齢が「さとり世代」です。
「2ちゃんねる」から広まった言葉とされていて、2013年の「新語・流行語大賞」にノミネートされて、一気に認知度が広まりました。
ゆとり世代という言葉に比べて、「欲がない」、「落ち着いている」、「人生を悟っている」などのポジティブなイメージがありますが、どのような時代背景で生まれたのか、ご説明していきます。
さとり世代の世間のイメージ
さとり世代の世間のイメージは、
- 欲がない
- お金に執着しない
- 車やブランドなどに興味がない
- お酒をあまり飲まない
- 夢や目標を追わず、淡々としている
- ITリテラシーが高い
- 情報収集力が高い
などといわれています。
ドライで、合理的なイメージの強いさとり世代ですが、どのような時代背景で生まれてきたのか確認していきましょう。
さとり世代が生まれた原因
さとり世代が生まれたのは、1987年~2004年といわれますが、この世代が成長する間の日本は、社会を揺るがす様々な出来事がありました。
- バブル崩壊(1991年~1993年頃)
- 阪神淡路大震災(1995年)
- リーマンショック(2009年)
- 東日本大震災(2011年)
経済的にも環境的にも社会が変わるインパクトのある出来事が起き、お金やモノに意味がなく、国ですら信頼できないといった考えに至ったといわれています。
さらに、2000年頃からはITが急激に進んだ時代でもあります。物心ついたときからインターネットが当たり前にあり、学生時代からスマートフォンを持っているようなデジタルネイティブ世代でもあります。
「さとり世代」は莫大な情報にもまれて育ち、どれだけ努力しても経済は回復せず、自然災害などのどうしようもないことも経験し、SNS等で常に誰かに見られている感覚を味わっていることで、「人生を悟っている」ような世代になっているといわれています。
さとり世代のトリセツ
さとり世代は、どのような特徴を持っているのかご紹介します。一般的に、ドライで合理主義者のイメージですが、他にどのような特徴があるのでしょうか。また、さとり世代への接し方についてもご紹介していきます。
さとり世代の特徴
特徴①物欲がない
さとり世代の最も大きな特徴として「物欲がない」ことがあげられます。
自分の物欲をかなえるために大変な思いをするなら、物欲自体が必要ないという考え方のためです。
具体的には、お金を稼ぐためにハードな仕事をするなら、給料は少なくてもいいので、残業が少なく、しっかり休める仕事を選びたいといったニーズです。
「お金やプライドよりも、現実的な自分のライフスタイルを尊重したい」という思いが強くあることが特徴です。
特徴②インドア派
さとり世代の二つ目の特徴は、「インドア派」なことです。
物心ついたときからインターネットを使いこなし、スマホでAmazonプライムやYouTubeを見ていれば、家の中で十分に充実感を感じられるためです。
必要なものがあればAmazonや楽天、メルカリで買い物し、友人との連絡はSNSでいつでも取れるので、家の外に出る必要がありません。
わざわざ外出して体力を消耗するよりも、家の中で楽しく生きている方が合理的であるという判断であり、外に出ないからといって人生を楽しんでいないわけではありません。
特徴③恋人はいらない
さとり世代の人たちは、恋愛に興味が少なく、「恋人はいらない」と思っています。
恋愛は人間同士のリアルなコミュニケーションであり、思い通りにいかなかったり、腹が立ったりすることがあるためです。
さとりよりも上の世代では、恋愛特有のドキドキ感や充実感を感じますが、さとり世代では心に波風を立てず、できれば平穏に暮らしたいと思っているため、わざわざ恋愛したいと思っていません。
また、離婚の多いこの社会で、結婚すること自体がリスクになるといった考えもあります。
特徴④スマホ依存症
さとり世代では、はじめて手に入れた携帯がスマホだったという人も少なくありません。
気になったことがあればすぐに検索し、友人たちとの連絡もSNSで欠かしません。
ネットの力を最大限に活用できるスキルを持っているため、何事もスマホがあればできると思っています。
何かあれば、InstagramのストーリーやTwitterにアップすることが当たり前で、
検索スキルも高く、気になることがあれば、InstagramやTwitterで生の声を自らすぐに検索するため、広告なども効きません。
最大のリスクはスマホの充電がなくなることで、常に大容量のモバイルバッテリーを持ち歩いている人が多いことも特徴です。
特徴⑤ミニマリスト
ミニマリストとは、モノをなるべく所有せず、食事も最低限の栄養を摂取し、車も家もシェアでOKといった、「無駄を最大限に削ったライフスタイル」のことをいいます。
さとり世代はモノの消費に興味がないため、基本ほとんどモノを買いません。
また、必要のなくなったモノはメルカリなどですぐに売ってしまうため、身の回りにはモノが少なくミニマリストであるといえます。
最近では、「少ないほど豊か」なミニマリストのライフスタイルが脚光を浴びていることもあり、さとり世代を中心に、ミニマリスト人口は増えていくでしょう。
特徴⑥リアルな人間関係が苦手
さとり世代では、恋愛に限らず、リアルで濃い人間関係が苦手な面があります。
人間関係はロジックだけでは語れず、面倒なことだと認識しているためです。
しかし、人は1人で生きられないことは、十分理解しているため、最低限の少数な人間関係は保っていますが、不特定多数のリアルなコミュニケーションは避ける傾向にあります。
コミュニケーション自体が苦手なわけではなく、世渡り上手といったイメージを持たれることも多いです。
特徴⑦常に余裕がある
さとり世代はとにかくライフスタイルに余裕がないと不安になってしまうため、肉体的や精神的に、自分を追い込むことは決してしない特徴があります。
YouTuberやブロガーなど、ネットを通じて収入を得る職業があることも知っていますし、同世代で収入と自由を両立している人も多くいます。
ストレス社会といわれる現代の中で、さとり世代的な生き方が増えてきていることも、
人間の生き残り本能の1つといえるのかもしれません。
特徴⑧マイペース
さとり世代の特徴で、他の世代から見た最大のイメージは「マイペース」でしょう。
これまでご紹介してきた内容を、決して感情的に熱くならず、冷静にスマートに実行します。
無理に頑張ることもしなければ、リスクを取ることもしないため、昭和の世代から見ると
「なんてマイペースなんだ」といった評価になるでしょう。
常に周りよりも自分のことを考えているように見える(実際には周りは見えているが、あえて口に出して言わない)ため、ネガティブなイメージになると、「冷たい人」になってしまうこともあります。
さとり世代との接し方
接し方①踏み込みすぎない
さとり世代は1人の時間を大切にしたいため、過干渉になると心を閉ざしてしまいます。
特に仕事上では、プライベートをしっかりと分けている人が多く、詮索されることを好みません。
飲み会も、さらりと断っているのに、深入りしてしつこく誘うのはNGです。
とはいえ、表面的には周りがしっかり見えていて空気が読めるため、踏み込みすぎなければ円滑な関係を築くことができます。
接し方②精神論は絶対NG
さとり世代に精神論は全くといっていいほど効きません。
基本的にネット検索で方法はすぐに見つけられると思っているため、「熱く頑張れ」、「俺の若いころは~」といったフレーズを聞いた瞬間に、耳を閉ざすでしょう。
成功したパターンや方法を、ロジカルに話すと喜んで聞いてくれます。
精神論もですが、感情的なことも嫌いなので、怒られるとやる気をなくす場合も多くあるので、注意が必要です。
接し方③本音で話せる関係をつくる
さとり世代は、リアルなコミュニケーションが得意ではないため、いきなり仲良くなることは苦手です。
しかし、物事をしっかりと深く考えているため、本音で話せる関係ができれば、強固な信頼関係を築くことができるでしょう。
物事を考えているのに、本音で話さないのは、「どうせ話しても聞いてもらえない」という諦めをもっているためです。
まずはこの壁を取り外さなければ、本音は引き出せないでしょう。
接し方④貢献感と達成感
さとり世代には、サラリーマン的な価値観は通じません。
出世や昇給などにあまり興味はなく、会社のために貢献といったことにも心は動かないでしょう。
しかし、社会貢献や、自分以外の大切な人への貢献に関しては興味があり、自分で納得すれば勝手に動いていきます。
そういった貢献感のあることを少しずつ積み上げて、達成感を経験していくと、汗をかくことの楽しさも伝わり、本当の自分の自信をつけていくことができます。
接し方⑤自主性と責任感
さとり世代は貢献感を大事にして、少しずつ達成感を積み上げることで自信をつける世代だとお伝えしました。
自信がついてくると、自主的に動くことができるため、徐々に責任の大きいことを任せていきます。
責任を任せる際にも最も重要になるのは、本人の納得感です。
納得した上で負った責任については、一生懸命に動くといえます。
さとり世代とゆとり世代
「さとり世代」についてここまでお伝えしてきましたが、よく似た世代で、「ゆとり世代」と呼ばれる世代もあります。
ゆとり世代とは、1987年(昭和62年)から2004(平成16年)に生まれた世代であり、2002年(平成14年)から2010年(平成22年)までのゆとり教育を受けた人たちのことをいいます。
お気づきかもしれませんが、年代的には「さとり世代」とほとんどかぶっており、同じ世代といえます。
一般的には、上記の世代をネガティブな意味で「ゆとり世代」といい、ポジティブな意味で「さとり世代」ということが多いようです。
「ゆとり世代」は、時代に甘やかされた若者といった意味で使われることが多く、「さとり世代」は、自分で人生を悟った生き方を選択しているような意味で使われます。
「さとり世代」の方が広く価値観を表現しているので、ポジティブな意味も多く、使われることが多くなっており、今後もこの価値観は広がっていくといわれています。
【番外編】他の「○○の世代」特集
「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)
よく聞く団塊の世代ですが、終戦後の翌年に生まれた、第一次ベビーブーム世代です。
この世代だけで800万人がおり、高度経済成長やバブル景気を経験し、社会に大きな影響を与えた世代だといえます。
2007年には、団塊の世代が一斉に定年退職を迎え、労働者不足が叫ばれた「2007年問題」も起こりました。
名前の由来は、堺屋太一の小説「団塊の世代」に由来しています。
「しらけ世代」(1950年頃~1964年生まれ)
しらけ世代の学生時代は、教育や政治などの権力に対し、若者を中心に戦った学生運動が終わりを迎えていった時期になります。
学生運動に精を出していた団塊の世代に比べ、三無主義(無気力・無関心・無責任)といわれ、「シラケる」という言葉が流行したことに由来しています。
「さとり世代」にも近い価値観かもしれません。
「バブル世代」(1965年~1970年生まれ)
バブル世代とは、1987年~1991年に学校を卒業し、社会人になった世代のことです。
有効求人倍率が「1.47倍」と非常に高い時代に就職した世代であり、コミュニケーションが高いといわれています。
半面自分に自信はなく、他人の評価を気にしすぎる見栄っ張りな部分もあるといわれています。
「氷河期世代」(1970年~1983年生まれ)
氷河期世代は、バブル崩壊後の1993年~2005年に学校を卒業し、社会人になった世代です。
有効求人倍率は「0.48倍」と最低レベルであり、正社員に就職できず、フリーターが多い世代でもあります。
また、1971年~1974年に生まれた世代を、「団塊ジュニア世代」と呼び、第二次ベビーブームで人口も多いです。
この世代も右肩上がりの経済を経験できず、厳しい受験競争にも巻き込まれ、この後の世代とは価値観が異なるといわれています。
「不安の世代」(1982年~1987年生まれ)
不安の世代は、氷河期世代とゆとり世代の間に生まれた世代のことをいいます。
バブル崩壊後の深刻な経済の状況を子供時代に経験し、社会人になる頃にもリーマンショックを味わい、右肩上がりの経済や社会を知らないため、不安の世代と呼ばれています。
柔軟性もあり、ドライになりすぎず、優秀な人が多いともいわれています。
こんな人におすすめ!
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