「フリーターでも払わないといけない年金はあるの?」
実は、フリーターでも納めなければならない年金保険料はあります。それは「国民年金」や「厚生年金」です。
こちらの記事では、どのような年金制度が設けられているのか?どんな場合はフリーターでも支払う義務があるのか?などを解説しています。年金についてしっかり理解すれば、あわてずスムーズに対応できるようになります。ぜひ最後までお読みください。
この記事の目次
フリーターでも年金を支払わなければならない
フリーターにも、年金保険料の支払い義務があります。
ここでは、改めてフリーターの定義をおさらいして、「なぜ、フリーターも年金保険料の納付義務があるのか」について確認しましょう。
フリーターの定義
フリーターの定義は、一般的に以下の条件をすべて満たす人を指します。
- 15〜34歳
- 雇用形態が「パート」もしくは「アルバイト」
- 学生でない
- 家事専従者でない
フリーターは「ニート」と混同されることが多いのですが、ニートの定義は以下の通りです。
- 15〜34歳
- 働いていない
- 仕事に就くための就業訓練も受けていない
- 学生でない
要するに、「パートやアルバイトとして働いている」のがフリーターです。
一方で、「働いておらず、働く意思もない人」がニートです。
似ているようで意味が大きく違うので、混同しないようにしましょう。
年金の支払い義務がある
まず、大前提として「日本国内に住所を有している20歳以上60歳未満の人は全員、国民年金に加入する義務がある」と法律で定められています(国民皆保険制度)。免除等の手続きをすることなく、年金保険料を支払っていないと「法律違反」になるのです。
そして、ニートのように収入がない人や、フリーターであっても極端に収入が少ない場合は、申請をすれば、年金保険料の免除・減額・猶予がされる場合があります。
しかし、「一定の収入があり、年金保険料の支払いが客観的に可能」な状況にあるフリーターには、法律の規定通りに年金保険料の支払い義務が生じます。
「今の年金制度では、いずれ自分たちが受け取れる金額が減るだろうから損だ。だから支払いたくない」と言う人もいます。しかし、年金は老後になってからの受給だけでなく、まだ若く働いている期間の「病気・ケガ・死亡」についても保障がある制度です。日本では年金をはじめとした社会保険料や各種税金によって、いざという時のセーフティーネットが整備されています。歳をとってからのみではなく、若い間にも活用するメリットが大きい制度であることを理解しましょう。
日本の年金制度は2つ
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は全員、年金保険料の支払い義務があります。
「年金制度」と聞くと複雑に思うかもしれませんが、その種類は「国民年金」と「厚生年金」の2つです。それぞれの制度について解説していきます
1. 国民年金
国民年金の対象者は「日本国内に住所を有している、20歳以上60歳未満の人」です。
つまり、自営業や会社員などで働いている人に限らず、フリーター・ニート・学生も対象となるのです。国民年金のみに加入している人を「第1号被保険者」といいます。
国民年金保険料は一律で16,590円(令和4年度)となっており、自ら手続きをして納める必要があります。これが後ほど解説する「厚生年金」との大きな違いです。
仮に40年間、国民年金を満額を払い続けた人(40年間ずっと国民年金のみ加入していた場合)は、65歳以降に毎月65,000円を受給できます。ここで注意したいのは、減額や未納の期間があると、割合に応じて将来受け取る年金額も減っていく点です。
年金というと「老後に受け取るお金」というイメージが強いかもしれませんが、それ以外にも受給できるタイミングがあります。それが「障害年金」と「遺族年金」です。
障害年金とは、病気やケガによって生活や仕事に支障が出た場合に受け取れる年金です。法令により定められた等級(1級、2級)に該当すると受給できます。
遺族年金とは、年金を払っていた人が亡くなった際に、遺族(亡くなった人によって生計を維持されていた家族)が受け取れる年金です。
このように、年金制度は経済的に困った際にも給付が受けられる、心強い制度です。中には「所得が少なく年金の支払いが困難」という人がいるかもしれません。そんな人は、免除・減額・猶予といった制度もあるので申請を行いましょう。国民年金の免除・減額・猶予制度は、以下の段階に分かれています。
国民年金の 免除・減額・猶予制度 | 老齢基礎年金の 受給資格期間 | 老齢基礎年金の 受給金額 (全額納付した場合を 1とする) | 障害基礎年金・ 遺族基礎年金の 受給資格期間 |
---|---|---|---|
全額免除 | あり | 2分の1 | あり |
4分の3免除 (4,150円) | あり | 8分の5 | あり |
半額免除 (8,300円) | あり | 8分の6 | あり |
4分の1免除 (12,440円) | あり | 8分の7 | あり |
納付猶予・ 学生納付特例 | あり | なし | あり |
未納 | なし | なし | なし |
「免除・減額・猶予申請」は、自ら手続きを行わないと「未納扱い」となってしまうので注意しましょう。
厚生労働省の調査によると、国民年金保険料の納付率は73.9%(令和3年度)でした。ここには全額免除・猶予となっている人は含まれません。全額免除・猶予者も含めた全体で考えると、納付率は41.4%程度であるのが現状です。
参考「NHK:国民年金 保険料の納付率 10年連続前年度上回る」
参考「日本年金機構:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
2. 厚生年金
厚生年金は、国民年金に上乗せして納める年金です。2種類のどちらかに加入するのではなく「国民年金のみ加入している人」と「国民年金と厚生年金の両方に加入している人」に分かれる点を理解しましょう。後者を「第2号被保険者」といいます。また、加入する対象も国民年金とは異なり「企業の会社員または公務員」になります。
ただし、フリーターであっても以下の条件をすべて満たす場合は厚生年金加入の対象となります。
- 従業員が常時501人以上の法人または個人事業所に勤めている
- 学生でない
- 雇用期間が1年以上(見込みの場合も含む)
- 労働時間および労働日数が正社員の3/4以上
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 賃金の月額が88,000円以上
フリーターでも、月に88,000円以上稼いでいる人は多いのではないでしょうか。それに加えて、同じ勤務先で長期的に働いている人は厚生年金の加入対象となるケースが多いです。あなた自身が厚生年金の加入者に該当するかは、確認しておきましょう。
もし「自分が国民年金・厚生年金のどちらに加入しているか分からない」という人は、勤務先から受け取る給料明細を見れば分かります。「健康保険料」「厚生年金保険料」と書かれた項目に金額が入っていれば、厚生年金に加入しています。
厚生年金保険料は、国民年金のように一律ではなく、「毎月の給与×18.3%」という計算式で決まります。例えば、月の給与が20万円の人であれば、200,000×0.183=36,600円が月に支払う厚生年金保険料です。つまり、収入が多い人ほど支払う保険料も高くなる仕組みです。
この金額を会社と個人で折半することになっています。つまり会社と本人が18,300円ずつ負担します。厚生年金に加入している第2号被保険者は、国民年金のみの第1号被保険者に比べて支払う保険料が大きいですが、その分、受け取れる老齢年金・障害年金・遺族年金も増えます。
それ以外にも、フリーターが厚生年金に加入すると「傷病手当金が受給できる」というメリットがあります。傷病手当金とは、病気やケガなどで働けなくなった際に生活保障として支払われるお金です。1日あたりの支給額は「支給日前12か月分の標準報酬月額を平均した金額÷30(日)×2/3」で、最長1年6か月間も受け取れます。
国民年金のみに加入している人は、病気やケガの際も傷病手当金が受け取れません。万が一の際にも手厚い公的保障が受けられるのは、厚生年金に加入している人ならではの利点といえるでしょう。
第2号被保険者(厚生年金に加入している人)に扶養されている人は、「第3号被保険者」となります。自分で年金を支払う必要がないうえに、将来「第1号被保険者と同様の年金」が受け取れる点が大きな魅力です。ただし、注意点もあります。
- 第1号被保険者に扶養されている配偶者
- 厚生年金に加入しているが、65歳以上の人に扶養されている配偶者
上記の人は、第3号被保険者に該当しませんので、ご注意ください。
フリーターが年金以外に納付すべき社会保険料
年金以外にも、就労状況や収入額によっては「健康保険料」「雇用保険料」などの支払いが必要になる場合があります。
健康保険
健康保険とは、公的な医療保険のことです。
日本国内では「国民皆保険制度」により、全国民は必ず何らかの公的医療保険に加入することになります。そのおかげで、ケガをしたときや病気になったときの医療費の自己負担が1〜3割で済む仕組みになっています。
フリーターの場合、勤務状況によってはアルバイト先の社会保険に加入できないこともあります。その場合は、国民健康保険への加入が必要です。
社会保険の健康保険
フリーターがアルバイト先の社会保険に加入できる場合、健康保険料を会社が半分負担してくれることになります。
全国健康保険協会 協会けんぽの「都道府県単位保険料率」によれば、東京都の健康保険料率は9.81%です。月額報酬が20万円のケースでは、健康保険料19,620円を本人と会社で折半するため、本人の負担額は9,810円となります。
フリーターであっても下記の条件を満たせば、原則として勤務先の健康保険に加入できます。
- 1ヶ月の賃金が8万8,000円以上(残業代や通勤手当を除く)
- 勤務先の従業員数が51人以上
- 雇用期間の見込みが2ヶ月以上
- 学生ではない
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
2024年10月から、従業員が51人以上の勤務先で働いているフリーターも社会保険の適用対象となりました。
フリーターの社会保険について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
国民健康保険
年収130万円以上で、アルバイト先の健康保険に加入していないフリーターは、国民健康保険に加入することになります。国民健康保険料の算出方法は地域ごとに異なるため、あなたが住んでいる市区町村のWebサイトで確認しましょう。
なお、年収が130万円未満で親や配偶者の扶養に入る場合は、国民健康保険の加入が免除されます。
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 厚生労働省から法律改正のお知らせ
雇用保険
雇用保険は、失業や休業したときでも労働者が安心して暮らせるよう、給付金の支給や就職活動の支援をするための制度です。
失業して収入が途絶えてしまったり、病気やケガなどによる休業で収入が減ってしまうというリスクは誰にでもあります。雇用保険があることで、失業や休業に対する給付金支給などの支援が受けられます。
そして、下記の条件を満たしていれば、フリーターも雇用保険に加入できます。
- 雇用期間の見込みが31日以上
- 1週間の実働時間が20時間以上
フリーターがバイトを退職してから次の仕事を探す際、失業保険の支援があれば就職活動の費用や生活費の負担を軽くできます。
雇用保険料は、勤務先の会社が一年分を前払いで国に納めます。従業員と企業が負担し、従業員負担分の保険料は、各月の給与から分割して徴収されます。
雇用保険料は「賃金総額×保険料率」で算出されます。現在の雇用保険料率は、厚生労働省「令和4年度の雇用保険料率について」をご確認ください。保険料率と負担する割合は、業種の種類で定められています。
フリーターが年金を納める3つの方法
これまでの説明で、フリーターであっても年金保険料を納める必要があり、支払わないことで起こるリスクもご理解いただけたと思います。
最後に、フリーターが年金保険料を納める方法を3つ紹介します。
方法1. フリーターは給与所得者である
まず、フリーターは「給与所得者」である点を理解しておきましょう。
ここで押さえておきたい知識は「給与」と「報酬」の違いです。
- 給与:働いた時間に対して支払われるお金(フリーターが該当)
- 報酬:成果物に対して支払われるお金(フリーランスが該当)
パートやアルバイトの求人には「時給〇〇円」と記載されています。仮にコンビニのアルバイトで「1時間でこれだけ売り上げたので、今日は帰ります」などと言っても認められません。給与をもらっている人は、事前に決められた勤務時間に沿って働く必要があるからです。
一方、フリーランスのような「報酬」でお金をもらう人は、給与所得ではなく「事業所得」となり、成果に対してお金が支払われます。例えば「月末までにホームページ制作を納品して、報酬は30万円」のような報酬形態です。つまり、ホームページが月末までに完成していれば良いのです。そこに費やした時間は加味されません。仮に、ホームページ制作に600時間かかれば、1時間あたり500円の労働となってしまいます。しかし報酬には「最低賃金」という概念がないため、誰にも文句は言えません。一方で、もし60時間で依頼されたホームページを完成できたら、時間単価は5,000円になります。
これがフリーターとフリーランスの大きな違いです。フリーターが受け取るお金は、上記2つのうち「給与」である点を理解しておきましょう。
方法2. 給与所得者は勤務先の会社で年末調整を行う
給与所得者であれば、勤務先による年末調整が行われます。年末調整を行った人は、このあと解説する「確定申告」が不要です。一般的には勤務先で年末調整を行うため、ほとんどのフリーターはこのケースに該当するでしょう。
ただ、年末調整を行わない会社もあるようです。その場合は、あなた自身で確定申告をしなければなりません。年末調整が行われているかを確認する方法は、勤務先から受け取る「源泉徴収票」を確認しましょう。源泉徴収票の中にある「給与所得控除後の金額」「所得控除額の合計額」という欄に注目してください。何らかの金額が書かれていれば、年末調整が済んでいます。もし、この項目に金額が入っていない(空白になっている)場合は、年末調整が終わっていないことを意味します。
もし「源泉徴収票をもらっていない」もしくは「年末調整がされていない」のであれば、管轄の税務署に「源泉徴収票不交付の届け出」という書類を提出しましょう。書類を受け取った税務署から、勤務先に指導が入ります。
年末調整を行うことで、あなたの支払う年金保険料が決定します。そこから国民年金の人は「自分で納付」をし、厚生年金の人は「給与から天引き」されることによりに納付します。
方法3. 確定申告をする
フリーターでも、一部の人は確定申告をしなければなりません。国税庁のサイトによると、確定申告をしなければならない人は、以下の条件のうち1つ以上が当てはまる人です。
- 勤務先で年末調整を受けていない
- 給与所得以外の所得が年20万円を超えている
- 2か所以上から給与を受けている
特に気をつけたいのが「フリーターで、アルバイトを掛け持ちしている人」と「フリーターとフリーランス(個人事業)を兼業している人」です。フリーターとフリーランスを兼業している例としては、夜は居酒屋でアルバイトをし、昼間に個人事業主としてデザイナーの仕事も受けている人などが該当します。
確定申告をしなければならない人は、以下の手順で確定申告を行いましょう。
- ステップ1:必要書類を準備する
- ステップ2:確定申告書を作成する
- ステップ3:確定申告書を提出する
必要書類は「すべての勤務先の源泉徴収票」と、該当する人は以下の書類です。
- 社会保険料控除証明書
- 国民健康保険料の控除証明書
- 国民年金の控除証明書
- 生命保険料控除証明書
- 地震保険料控除証明書
- 医療費の領収書や明細書
- 小規模企業共済等掛金控除の証明書
- 寄付金受領証明書
国税庁のホームページに「確定申告書の作成コーナー」があります。表示される項目の入力を行い、作成しましょう。作成する書類にも種類があり、勤務先が2か所以上のフリーターは「確定申告書A」を作成します。フリーターとフリーランスを兼業している人は、より細かな書式の「確定申告書B」を作成する必要があるので注意しましょう。
確定申告書の作成が終わったら、税務署に提出します。提出方法は以下の3種類です。
- e-taxで申告する
- 印刷して税務署に郵送する
- 印刷して税務署に持参する
確定申告の申告・納税期限は毎年2月16日〜3月15日です。期限内に申告できないと、本来の税金に加えてペナルティが加算されるので、くれぐれも注意してください。
フリーターの確定申告について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
フリーターが年金を払わなかった場合どうなるのか?
国民年金保険料を納めずに「未納扱い」となっている場合、将来 年金は受け取れません。繰り返しになりますが、受給できる年金は以下の3種類です。
- 老齢年金
- 障害年金
- 遺族年金
これらの年金給付を受け取るには「資格期間が10年(120か月)以上である」ことが条件です。まだ10年間も年金を納めていない20代の人は「初診日(遺族年金の場合は死亡日)の前々月までにおいて、年金加入期間の2/3以上で保険料を納付または免除されていること」が条件となります。
金銭的余裕がないなどの理由で、年金を未納のまま放置してしまう方も少なくないようです。しかし、年金を払わず、免除・減額・猶予申請もしていなければ、65歳から受給できる老齢年金、病気やケガの際に支給される障害年金、自身が亡くなった際に遺族に支払われる遺族年金など、さまざまな給付を受け取ることはできません。
また、年金を支払わないでいると、以下のような対応が行われる場合があります。
催告状が送付される・電話がかかってくる
国民年金保険料を未納のまま放置していると、日本年金機構の委託事業者から催告状が届きます。さらに、電話もかかってきたり、職員が自宅まで訪問してくる場合もあります。
それに応じないままでいると、いずれは資産の差し押さえが行われる場合もあります。
資産の差し押さえもある
度重なる連絡や督促に応じないでいると、「差押予告通知書」が届きます。差押予告通知書とは、「保険料の支払をこれ以上待ちません。強制的に回収します」という最後通告です。
差押予告通知が届いても何もしなければ、実際に財産が差し押さえられます。
例えば、次のようなものが差押えの対象になります。
- 給料のうちの一定額
- 銀行預金(定額預金を含む)
- 自宅などの不動産
- 自動車
- 生活必需品以外の動産
- 有価証券などの債権
一方、年金や生活保護費、家電や家具など生活必需品は基本的に差し押さえられません。
また、あなたの親(世帯主)や配偶者など、国民年金保険料の連帯納付義務者にあたる人の財産も、差押えの対象となる可能性があります(国民年金法88条2項、3項) 。
- 2 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う
- 3 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う
親族にも迷惑が掛かる場合がありますので、国民年金保険料はしっかりと納めましょう。
さらに詳しく、フリーターが年金を払えない場合やそのデメリットについて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
年金の支払いが難しい時の対処法
フリーターは給与が低い傾向があるため、「社会保険の負担が重すぎる」と感じることもあるでしょう。収入に対する保険料負担が大きいとお悩みの場合は、下記の対処法をお試しください。
役所に相談して、免除や納付猶予の制度を利用
社会保険料の支払いが難しい場合は、黙って滞納するのではなく、あなたの居住地を管轄する役所へ相談しましょう。役所には、相談窓口が設けられています。担当者に相談する際は、「支払えない理由」「支払う意思はあること」「毎月払うことができる金額」を伝えるのがポイントです。
理由によっては、支払期限を猶予してもらえたり、免除されたりすることもあります。たとえば、収入が極端に少なくて支払いが困難な場合は「国民年金保険料免除・納付猶予制度」を利用しましょう。この制度を利用すると、年金の受給資格だけでなく、事故で障害を負ったときの障害年金の受給資格も維持できます。
申請には市区役所、または年金事務所での手続きが必要です。ただし、フリーター本人の所得が低くても、配偶者や世帯主の所得によってはこうした制度を利用できない場合もあります。
社会保険に加入できる会社への就職
社会保険料の支払いが難しいというフリーターの中には、今のアルバイトの収入が少なすぎるという人もいることでしょう。バイト先を増やす方法もありますが、長時間勤務や休日が無いような働き方はずっと続けられるものではありません。
そこで「社会保険が完備された会社」に、「社会保険に加入できる条件で就職する(正社員になる等)」のがおすすめです。社会保険料を会社が半分負担してくれますので、支払いの負担が軽減されるでしょう。
フリーターが「社会保険が完備された会社」へ就職する方法
ここまでの内容をお読みいただいて、「社会保険に加入できる会社で働きたい!」と思った方も多いのではないでしょうか?
「各種の社会保険をなるべく広範囲に加入する」ためには、ほとんどの場合「正社員であること」が条件になります。つまり「社会保険完備の会社に、正社員として就職する」ことで、目的が達成できるのです。
そのための方法を、以下に3つご紹介します。
方法1. ハローワークを利用する
ハローワークは、全国に500ヵ所以上設置されている国の施設です。求人の検索や応募、就職活動の相談・支援などを無料で受けられます。
ハローワークでは、一定の条件をクリアすれば「職業訓練」を受けることも可能です。ITスキルをはじめ、働く際に役立つ技能をほぼ無料で習得できるので、フリーターから正社員就職を目指す場合は職業訓練を受けてみても良いでしょう。
方法2. 就職サイトを利用
就職サイトとは、求人を一覧で確認できるWebサイトのことです。希望条件を設定し、その条件にマッチする求人があればサイト上で企業に直接応募できます。
就職サイトの利用者は特に制限されていませんが、IT業界の求人が多い、メーカーの求人をメインに扱っているなど、サイトごとに扱う求人に特徴があるため、自分の希望に近い求人が多く掲載されているサイトを選べると良いでしょう。
方法3. 就職エージェントを利用
就職エージェントとは、就職活動を無料でサポートしてくれるサービスです。主に次のサポートを受けられます。
- 求人紹介
- 企業への応募
- 履歴書・職務経歴書の添削
- 面接アドバイス
- 企業との面接日程の調整
- 企業との給与交渉
就職エージェントごとに紹介できる求人情報が異なるため、あなたが希望する種類の求人情報を多く扱うエージェントを利用するのがおすすめです。フリーターから正社員就職を目指す場合は、未経験でも転職できる求人を多く扱っているエージェントを使うと良いでしょう。
私たちジェイックが運営する就職エージェントは、フリーターをはじめ、社会人未経験者の就職サポートに特化しており、紹介する求人は正社員のみです。フリーターの方の就職支援実績を豊富に持つプロのキャリアアドバイザーが二人三脚でサポートさせていただきますので、はじめての就職活動でも安心して進められます。
先ほど紹介した就職エージェントのサポートの他に、次のサポートも無料で受けられます。
- 就活講座
- 集団面接会
就活講座では、面接対策のポイントやビジネスマナーなどを学べます。集団面接会ではさまざまな業界の会社と一度に出会うことができ、書類選考なしで面接できるので学歴や経歴に自信がない方でも安心です。
まとめ
フリーターが知っておきたい「年金に関する基礎知識」を解説してきました。
年金の支払いは毎月発生し、決して小さい負担とはいえません。しかし、「日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人」には全員、年金の支払い義務があります。
さらに、年金保険料を納付していないと、将来に大きなリスクを背負うことになるだけでなく、若い時期でも病気やケガをした場合のセーフティネット機能も利用できません。
経済的に年金の支払いが厳しい場合は、役所に相談して「免除・減額・猶予」などの申請を行い、絶対に「未納」とならないように心がけましょう。