
フリーターが扶養を外れるとどんなデメリットが待っているのでしょうか。
フリーターが超えてはいけない6つの収入の壁から、万が一超えてしまった場合の対処法まで解説しています。
扶養を気にせずに稼ぐ方法も紹介していますので、最後までご覧ください。
- 扶養とは「自分の収入では生活できない人が、親族から経済的援助を受けること」
- フリーターが意識すべき2種類の扶養:「税金の扶養」「社会保険の扶養」
- フリーターの扶養に関して超えてはいけない6つの壁をチェックしよう
- フリーターが扶養から外れた際は、必要な3つの手続きを忘れずに!




この記事の目次
フリーターが親の扶養から外れるとどうなる?
フリーターが親の扶養から外れると、①自分が支払う税金や社会保険料が増える②親が支払う税金が高くなる③老後の年金が増えるといった影響が出ます。
自分や親が支払うお金が増えることもありますので、扶養を外れようとする場合は、これらの影響をしっかり理解した上でどうしていきたいのか考える必要があります。
それぞれ生じることについて解説します。
自分で払う税金や保険料などの負担が大きくなる
フリーターが親の扶養から外れてしまうと、自分で払う税金や保険料などの負担が大きくなってしまいます。
親の扶養内で働くフリーターと親の税金・保険料の負担について、以下の表にまとめました。
対象 | 所得税 | 住民税 | 国民健康保険 | 国民年金保険 |
---|---|---|---|---|
フリーター | 支払い義務なし | 収入が100万円以下なら負担なし(一部を除く) | 支払い義務なし | 20歳以上は支払い対象になる |
親 | 扶養控除が適用される | 影響なし | 影響なし | 影響なし |
扶養内で働く場合、税金や保険料の支払いを気にせずに働けるのがメリットと言えるでしょう。
一方、フリーターが扶養を外れて働くと税金や保険料の支払い義務が発生し、以下の表のように負担が増えることになります。
対象 | 所得税 | 住民税 | 国民健康保険 | 国民年金保険 |
---|---|---|---|---|
フリーター | 収入103万円以上なら支払い義務あり | 収入100万円以上なら支払い義務あり(一部を除く) | 社会保険に加入していなければ支払い義務あり | 20歳以上は支払い義務あり |
親 | 扶養控除なし | 影響なし | 影響なし | 影響なし |
扶養から外れたにもかかわらず税金や保険料を支払わないと延滞税が発生し、最終的に財産の差し押さえが行われる可能性が高いです。
また、扶養を外れて働いたものの、税金や社会保険料の支払いが増え、損をした気分になる人もいるかもしれません。特に、年収が扶養の範囲を超えたばかりの段階では、負担が増える一方で収入の伸びをあまり実感できないでしょう。
「これなら扶養内で働いた方がよかったのでは」と感じる人も多いはずです。
・参考:国税庁「No.1180扶養控除」「家族と税」
・参考:厚生労働省「年収の壁について知ろう」
親が支払う税金が高くなる
フリーターが親の扶養から外れることにより、自分だけではなく親の金銭的負担が実質的に増えることもあります。
親は自分の子供を扶養に入れていることで、子供の国民年金を代わりに支払うことになります。その際、子供の分の年金支払い分を所得から控除できるため、実質的に親は節税のメリットを受けられているという見方ができます。
しかし、子供であるフリーターが扶養から外れることで、親は今まで控除できていた分のお金を控除できなくなってしまいますので、結果的に親が負担する税金が高くなるといったこともケースとしては考えられます。
もし親の扶養に入っているフリーターが、親に相談することなく扶養から外れてしまうと、大きな影響を与えることもありますので、あらかじめ親に相談しておくことをおすすめします。

フリーターにとっての扶養とは
「扶養から外れる」「扶養に入る」という言葉を見聞きすることがありますが、そもそも、扶養とはどのような意味を持つのでしょうか。
一般的な扶養・扶養控除の概念と、フリーターが親の扶養に入ることがある理由について、まずは知りましょう。
扶養とは
扶養とは、なんらかの理由で働けない・自分だけの収入で生活することが難しい人が、家族や親族から経済的援助を受けることを指します。すべての人が扶養に入るわけではなく、家族が扶養に入ったほうが金銭面でメリットがあるケースや、まだ経済的に自立できない年齢の家族がいる場合には、扶養に入れるのが一般的です。
たとえば、家事や育児の都合で働いていない・または短時間のパートなどで働く妻が、夫の扶養に入っているというケースは比較的イメージしやすいと思います。なお、扶養に性別は関係ないため、妻が夫を扶養に入れるケースもあります。
病気などで働けない・生活に困っている高齢の親を、働いている子どもの扶養に入れることもあります。
子どもは基本的には親の扶養に入っていますが、高校や大学などを卒業して就職すると経済的に独立するため、扶養から外れるのが一般的です。
また、パートなどで働く主婦が一定の収入を超えたり正社員就職したりした場合も、扶養からは外れます。
ただし、ニートやフリーターなど収入がない・少ない子どもがいる家庭では、子どもが学校を卒業して一定の年齢になっても、親の扶養に入れたままにしていることもあります。
実家に住んで親と生活しているけれど収入が低いフリーターの場合、あえて親が扶養に入れておき、子どもの金銭的負担を減らしてあげているケースもあります。
扶養控除とは
扶養控除とは、家族や親族の経済的な面倒を見ている人が受けられる控除のことを指します。
妻を扶養に入れている場合は夫が、子どもを扶養に入れている場合は親が、扶養控除の対象となります。
フリーターの場合、扶養控除を受けられるのは本人ではなく、自分の親ということになります。
なお、扶養控除の金額は年齢によって異なります。以下の表は年齢ごとの控除額(所得税)をまとめたものです。
区分 | 年齢 | 控除額(所得税) |
---|---|---|
一般の扶養親族 | 16歳以上 | 38万円 |
特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満 | 63万円 |
老人扶養親族 | 70歳以上(同居していない父母など) | 48万円 |
同居老親等 | 70歳以上(同居の父母・祖父母など) | 58万円 |
参考:国税庁「No.1180 扶養控除」
扶養控除の金額が年齢によって異なるのは、生活費や医療費の違いを考慮し、税負担を適正に調整するためです。
例えば、19〜23歳未満の特定扶養親族は、進学に伴う学費や生活費の負担が大きいため、控除額が高めに設定されています。
ただし、扶養親族として認められずに扶養控除を受けられないこともあります。
具体的には、以下のケースです。
- 年間の所得金額が48万円以上
- 青色事業専従者、事業専従者
- 生計をともにしていない
- ほかの人の扶養親族、控除対象配偶者
たとえば、自営業の夫の仕事を手伝う妻を夫の扶養に入れたり、すでに親の扶養に入っている子どもを祖父母の扶養に入れたりすることはできない、ということになります。
フリーターが意識すべき2種類の扶養
扶養と扶養控除についてご紹介しました。フリーターに限らず、扶養を受けている人は仕事をすることはできます。ただし規定の範囲内に収入を押さえることで、税金、社会保険といった支出の必要がなくなったり控除を受けられたりすることがあります。
それぞれについて、見ていきましょう。
税金の扶養
税制上の扶養とは、所得税の負担を軽減するための控除制度です。
扶養を受けている人の年収が103万円を超えると所得税の支払い義務が発生します。
また、所得によっては住民税の支払いは必要ですが、年収が100万円以下の場合は住民税はかかりません。
参考:国税庁「No.1180 扶養控除」「家族と税」
つまり、扶養の範囲内であれば支払わなくてよい税金や、受けられる控除の額が少なくなるということが起きるのです。
ただし金額によっては税金のことを気にせず働いたほうが、結果的に手取り額が増えるケースもあるため、必ずしも「扶養の範囲内で働くことがベスト」ではないこともあります。
社会保険の扶養
扶養を受けている人は、配偶者や親などが加入する社会保険の被扶養者という扱いになっているため、自分のお金から毎月の健康保険料や年金を支払う必要がないということになります。
ただし、年収130万円以上になると扶養から外れ、自分で国民健康保険や国民年金保険に加入し、保険料を支払わなければなりません。
フリーターの場合、収入が増えても税金や保険料の負担が大きくなるため、手取り額が思ったほど増えないこともあります。(参考:全国健康保険協会「被扶養者とは?」)
- 社会保険の加入対象となる働き方ができる職場を選び、支払う
- 社会保険には加入せず、国民健康保険と国民年金を自分で支払う
基本的には、扶養の範囲内で稼ぎ年間数十万円の保険料を節約するか、保険料はかかるけれど扶養を外れてトータルの収入を増やすか、いずれかのメリットを得られる方法を選ぶ人が多いといえます。
フリーターの社会保険について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
フリーターが親の扶養から外れるタイミング
フリーターが親の扶養から外れるタイミングは、収入が100万円、103万円、130万円を超えた時です。
ここからは、一般的に言われる「扶養の壁」を6種類ご紹介します。
フリーターに直接関係するのは「103万円の壁」までとなりますが、扶養されている人がいくら稼ぐと何が変わるのかについて、知識として理解しておきましょう。
第一の壁.100万円の壁
具体的には、以下を支払うことになります。
- 住民税
扶養されている人の年収が100万円を超えると、住民税が発生します。
目安としては93万円以上から住民税がかかるケースもあるため、住んでいる自治体のルールを確認する必要が出てきます。
年間100万円といっても、月に約8万4000円ほど稼いでいれば年収100万円にはなるため、多くのフリーターは住民税を支払っているでしょう。
とはいえほとんどの場合は少額であるうえに、扶養控除を受けている場合は支払う額がさらに少なくなるため、大きな負担にはなりにくいでしょう。
第二の壁.103万円の壁
具体的には、以下を支払うことになります。
- 住民税
- 所得税
扶養されている人の年収が103万円を超えると、住民税のほかに所得税も発生します。
たとえば年収が103万円だったら所得税はゼロですが、104万円だった場合は所得税がかかることになるのです。
なお、所得税の税率は、195万円以下の年収の場合は5%です。そのため、仮に103万円を超えたとしても、そこまで金銭的に大きな負担になるわけではないでしょう。
ただし住民税も支払うことになるため、負担する税金は2種類にはなります。
学生は103万円を超えても大丈夫
アルバイトをしながら大学などに通う学生も多く、なかにはアルバイトで比較的多くの金額を稼いでいる人もいるかもしれません。学費や生活費のために、アルバイトをしなければいけない人もいるでしょう。
収入が130万円以下の学生は「勤労学生控除」を受けることができるため、所得税は発生しません。
勤労学生控除とは、学生がアルバイトなどで所得を得た場合に、一定の条件を満たせば所得税の負担を軽減できる制度です。
この控除を受けるには学生であることが前提となり、合計所得金額が75万円以下であることが求められます。(参考:国税庁「No.1175勤労学生控除」)
学生の傍らアルバイトをしている人は、毎月10万円程度の収入であれば、税金についてあまり細かく気にする必要はないでしょう。
フリーターの103万円について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください
第三の壁.106万円の壁
具体的には、以下を支払うことになります。
- 住民税
- 所得税
- 社会保険料(ただし、勤務先や働き方による)
従業員50人超の企業で週20時間以上働く場合、月額8.8万円以上(年収約106万円)の収入があると社会保険に加入するのが一般的です。
年収が106万円を超えると社会保険料の支払いが必要になるため、今までよりも負担が大きくなります。
ただし、収入が106万円を超えたからといって、必ずしも社会保険に加入しなければいけないわけではありません。
社会保険に加入するためには、以下の条件をクリアする必要があります。(参考:厚生労働省「社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について」)
- 1週間に20時間以上勤務する
- 給与が月8.8万円以上ある
- 2ヶ月を超えて働く予定がある
- 学生ではない
- 従業員数が51人以上の企業で働いている
社会保険の加入条件を満たしている場合は、基本的に加入するのが一般的な流れと言えるでしょう。
第四の壁.130万円の壁
具体的には、以下を支払うことになります。
- 住民税
- 所得税
- 保険料(社会保険/場合によっては国民健康保険&国民年金)
フリーターの年収が130万円を超えると、親の社会保険の扶養から外れます。
自分で国民健康保険や国民年金に加入し、保険料を負担しなければなりません。
実際に、国民健康保険と国民年金の被扶養者として認められるのは、年収が130万円を超えないことが条件です。
また、フリーターの年収が130万円を超えると差し引かれる保険料が増えるため、手取りが130万円以下のときより減る可能性があります。
大幅な収入増が見込めない場合は、働く時間を調整して130万円以内に抑えるか、130万円の壁を気にせず働くのも選択肢の一つです。
参考:全国健康保険協会「被扶養者とは?」
参考:日本年金機構「被扶養者の認定(1)収入要件」
第五の壁.150万円の壁
具体的には以下を支払うことと、以下のことが変わります。
- 住民税
- 所得税
- 保険料(社会保険/場合によっては国民健康保険&国民年金)
- 「配偶者特別控除」が減り始める
配偶者の収入が一定額以下であれば納税者が受けられる税負担の軽減措置で、収入が増えるにつれて控除額が減少する制度です。
ただしフリーターは独身がほとんどであること、既婚者でアルバイト・パートをしている人はフリーターとは見なされていないことなどもあり、150万円の壁は、フリーターの人にとってはあまり関係ないかもしれません。
ひとつの知識として知っておくとよいでしょう。
第六の壁.201万円の壁
具体的には以下を支払うことと、以下のことが変わります。
- 住民税
- 所得税
- 保険料(社会保険/場合によっては国民健康保険&国民年金)
- 「配偶者特別控除」がなくなる
年収201万円以上になると、住民税、所得税、保険料の支払いに加えて、配偶者特別控除がなくなります。
こちらも150万円同様、フリーターの方にとっては気にする必要はないでしょう。むしろフリーターで年収201万円を超えるようであれば、正社員として就職して働いたほうが収入も大きく増え、将来もらえる年金なども増えます。
フリーターは、年収100万円、103万円、106万円、130万円を超えるときにそれぞれ意識しておくことで、気づかない間に支払う税金などが増えていた、というリスクを減らすことができます。


フリーターが扶養を外れるメリット
フリーターが扶養から外れるメリットとしては、老後の年金が増えるという以外にも以下のようなものが挙げられます。
- 稼げる上限額を気にする必要がなくなる
- 自由に使えるお金が増える
- 社会的信用が高まる
扶養から外れると住民税や所得税等税金の負担が出てきてしまいますが、それ以上に大きなメリットを得られると考えられます。
それぞれ扶養から外れるメリットを詳しく解説しますので、フリーターの人は将来の選択肢の検討に活かしてみてください。
稼げる上限額を気にする必要がなくなる
フリーターが扶養に入り続けることを前提とするのであれば、働き方に大きな制限が出てきます。
1年間で稼げる収入の壁があらかじめ定められていますので、常に稼げる上限額を意識しながらバイトのシフトに入っていかなければなりません。
一方、フリーターが扶養から外れることで、稼げる上限額に意識を向ける必要がなくなります。
シフトに入れるだけ入って収入を増やしていくといったこともできますので、精神的なストレスを感じる機会を減らすこともできるでしょう。
自由に使えるお金が増える
フリーターが扶養から外れることで、稼げるお金に上限額がなくなります。
今まで諦めていたような趣味や娯楽にお金を使えるようになりますので、人生をより豊かなものにしていけるかもしれません。
また、自由に使えるお金が増えることで、将来の貯蓄を増やすことも可能になります。
今は親の扶養に入っていて、いざとなれば親を頼れば良いと考えているかもしれませんが、フリーターの中には自分の将来が不安で資産形成をしたいと考えている人もいることでしょう。
お金が増えるということは、人生の選択肢を増やせることにつながります。
もっと自由にお金を使いたいと考えている人は、扶養から外れることを検討してみてもいいかもしれません。
社会的信用が高まる
親の扶養に入り続けていると、社会的信用が低く見られることがあります。
社会的信用とは経済力などに裏付けされた社会的地位のことを言い、一般的に金融機関でのローン審査や婚活など、自分のことを知らない第三者から客観的な評価を受ける際に影響してきます。
親の扶養に入っていると、金融機関のローン審査に通りづらくなったり、異性から好ましい目で見られなくなることも考えられます。
将来やりたいと思ったことを実現できなくなる状況を意図せず作り上げてしまうことにもなりかせませんので、自由に人生を生きたいと考えているのであれば、親の扶養から外れることも検討してみてください。
フリーターが扶養を外れるデメリット
扶養に入っているフリーターがデメリットを受けるケースは「中途半端に扶養を外れること」です。
たとえば、扶養内の金額から数万円分程度多く働くのであれば、やはり扶養ギリギリに抑えたほうがよいでしょう。
フリーターが扶養を外れることで起こり得る、2つのデメリットを解説します。
自分の収入が低くなる
前述の通り、年収によって、フリーターにも所得税や住民税、保険料の支払いが発生します。
わずかに収入が増えた結果、毎月の手取り額が減ったり、出ていくお金のほうが大きくなったりすることもあるのです。
いまよりも少しだけ収入を増やすことが金銭的なデメリットになるのであれば、扶養を外れてもっと多く稼ぐことを目指したほうが、結果としてトータルの収入はアップします。
家族に迷惑がかかる
子どもが16歳以上の場合には、所得税、住民税ともに扶養控除が適用されています。
また、親が扶養している子どもの国民年金を代わりに支払う場合、親の所得から子どもの国民年金の額を控除できるため、結果として節税になることがあるのです。
フリーターのなかには、親に国民年金を払ってもらっている人もいるかもしれません。
たとえばフリーターの子どもが130万円以上稼いで、社会保険の加入対象者となったとします。
しかし毎月の収入が少ないうえに社会保険料が天引きされるため手取りが減り、扶養を抜けたのに親にお金の援助をしてもらわなければいけなくなって、結果的に親に迷惑をかける可能性もゼロではありません。
たとえ扶養を抜けても、収入が低い・稼ぎが不安定な場合は、結局経済的に自立できないことがあるのです。
フリーターが親の扶養に入り続けるメリットについて詳しく知りたい方は、以下の動画をご覧ください。


フリーターが扶養から外れた際に必要な手続き
フリーターが扶養を外れることによるデメリットを把握できたでしょうか。とはいえ、扶養を外れて一定の金額を稼ぐことや、自分で保険料などを支払ったりすることによるメリットは決して少なくありません。
ここでは、フリーターが親の扶養を外れた後に必要な手続きをご紹介します。
ステップ1.被扶養者の異動届を提出する
親の扶養に入っていたフリーターが社会保険の加入対象者になった場合、親は、被扶養者の異動届を提出する必要があります。同時に、子どもは自分の職場で健康保険に加入することになるため、それまで子どもが使用していた健康保険証も返却します。
フリーターが扶養を外れることになった場合、まずは親に話して書類の用意をしてもらいましょう。
ステップ2.健康保険資格喪失証明書を発行する
被扶養者の異動届を提出したら、扶養されていた親の会社の健康保険が使えなくなるため、そのことを示す健康保険資格喪失証明書が発行されます。
この書類は、親の扶養の健康保険から外れたことの証明となります。
書類についてどうすればよいかわからないことなどがある場合、こちらもまずは親に聞きましょう。
ステップ3.健康保険の加入手続きをする
親の扶養から外れたら、自分の職場で社会保険に入る場合は、職場に必要書類を提出して加入手続きをします。その場合は健康保険だけでなく雇用保険・厚生年金にも加入するため、雇用保険被保険者証や年金手帳の提出なども必要になるのが一般的です。
「扶養は外れたけれど職場で社会保険の加入条件には該当していない」という場合は、必要書類を持参して役所へ行き、国民健康保険の加入手続きをします。
わからないことがあっても職場の事務・総務の担当者や役所の担当者に聞けば教えてくれますので、質問するなどして早めに手続きをしましょう。
フリーターの健康保険について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
フリーターが扶養を気にせずに稼ぐ方法
ここまで、フリーターと扶養の関係性についてご紹介してきました。とはいえ、特別な事情がある人は別としても、一定の年齢になっても親から扶養されていることで自立できず、自信を喪失してしまう人もいるでしょう。
また、親が働けなくなったときのリスクなどもあります。最後に、フリーターが扶養を気にせずに稼げる方法をご紹介します。
正社員になる
結論から言うと、フリーターが扶養を気にせず稼いで収入アップさせるのにもっともおすすめの方法は、正社員として就職することです。
正社員になれば昇給幅が広がったり、ボーナスや各種手当などが見込めるため、週5日フルタイムで働けるのであれば扶養内で稼ぐよりも断然、トータルの収入額は増えます。
フリーターと正社員の年収の違い
以下の表は、フリーターを含む非正社員と正社員の年収差を示したものです。
雇用形態 | 平均給与 |
---|---|
正社員 | 約530万円 |
非正社員 | 約202万円 |
参考:国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」
正社員の収入は非正社員の約2.6倍で、その差は約328万円にもなります。
また、生涯賃金を見ても、正社員と非正社員の間には大きな違いがあることが明らかです。
◆正社員の生涯賃金の違い
最終学歴 | 男性(正社員)の生涯賃金 | 女性(正社員)の生涯賃金 |
---|---|---|
大卒 | 2億5,150万円 | 2億190万円 |
高卒 | 2億880万円 | 1億5,440万円 |
◆非正社員の生涯賃金の違い
最終学歴 | 男性(非正社員)の生涯賃金 | 女性(非社員)の生涯賃金 |
---|---|---|
大卒 | 1億4,750万円 | 1億2,050万円 |
高卒 | 1億2,950万円 | 1億810万円 |
参考:労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2024」
特に、男性だと生涯賃金の差は1億円以上にもなります。
この差を踏まえると、正社員の方が将来の安定と選択肢の幅が広がる可能性が高いでしょう。
フリーターの正社員の違いを知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
扶養を気にするフリーターが正社員になるメリット
扶養から外れることを気にしているフリーターも多いかもしれませんが、そもそもフリーターが正社員になることには以下のようなメリットが挙げられます。
- 安定的に年収を増やせる
- 仕事で活かせるスキルが身に付く
- 結婚などのライフイベントを経験しやすくなる
お金のことはもちろんですが、それ以外でも正社員になるメリットはたくさんありますので、扶養にとらわれることなく将来の選択肢を検討するようにしてください。
安定的に年収を増やせる
フリーターという働き方は、自分がシフトに入れば入るほどお金を稼げる一方で、少しでもシフトに入る時間を減らしてしまえば収入がそのまま下がってしまいます。つまり、毎月の収入が不安定になる働き方と言えます。
一方、正社員になることで毎月安定した給料を稼げるようになります。
安定した給料が稼げるようになれば、将来のお金の使い方の見通しを立てられるだけでなく、節約をして貯蓄をしていくこともできるでしょう。
家計の見通しも立ちやすくなり、お金が原因でストレスを感じるようなことを減らせることから、精神的にも安定することが期待できます。
ボーナスや昇給が期待できる
正社員になるとボーナスや昇給が期待できます。フリーターは働いた分だけの収入になりやすいですが、正社員は業績や勤続年数に応じて収入が上がる可能性が高いからです。
以下の表は、正社員とフリーターを含む正社員以外の1ヶ月の賃金を比較したものです。
年代 | 正社員の1ヶ月の賃金 | 正社員以外の1ヶ月の賃金 |
---|---|---|
20代前半 | 22万8,700円 | 19万4,800円 |
30代前半 | 29万4,100円 | 22万1,400円 |
40代前半 | 35万4,600円 | 22万600円 |
50代前半 | 39万4,300円 | 22万2,200円 |
60代前半 | 39万4,300円 | 25万6,900円 |
参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 雇用形態別にみた賃金」
表から分かるように、正社員の賃金は年齢とともに上がりやすい一方、非正社員の収入は大きく増えにくい傾向があります。
仕事で活かせるスキルが身に付く
フリーターとして働いていても、就職活動の場でアピールできるようなスキルはなかなか身に付けることができません。
一方、正社員として実務経験を積むことができると、仕事で活かせるスキルがたくさん身に付くだけでなく、将来転職活動をするときにアピールポイントを増やすことも可能です。
正社員になった後はどれだけ仕事で活かせるスキルを身に付けていられるかによって得られる収入が変わってきます。徐々にステップアップしていく形で転職活動を繰り返せば、将来の収入を大幅に上げることも期待できるでしょう。
結婚などのライフイベントを経験しやすくなる
人の価値観にもよりますが、一般的にフリーターよりも正社員の方が結婚しやすいと言われています。
これは正社員の方が安定して給料が稼げるだけでなく、社会的信用が高まり、将来マイホームや車を持ちたいとなったときに理想を叶えやすいからだと考えられます。
以下の表は、正社員とフリーターの結婚率の違いを男女別にまとめたものです。
◆男性における正社員とフリーターの結婚率
年代 | 男性(正社員)の結婚率 | 男性(フリーター)の結婚率 |
---|---|---|
20~24歳 | 8.6% | 2.6% |
30~34歳 | 57.8% | 13.6% |
40~44歳 | 73.9% | 24.7% |
◆女性における正社員とフリーターの結婚率
年代 | 女性(正社員)の結婚率 | 女性(フリーター)の結婚率 |
---|---|---|
20~24歳 | 3.3% | 10.9% |
30~34歳 | 43.3% | 63.2% |
40~44歳 | 57.6% | 82.1% |
参考:(独)労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状② 平成24年版「就業構造基本調査」より」
特に男性は、正社員とフリーターとの間では結婚率が大きく異なっているのが特徴的です。
将来結婚をしたいと考えているフリーターの人は、正社員になることで自分の夢を諦めずに済むかもしれないといった点もメリットとして挙げられます。
しかし、結婚後の家計に不安を感じながら結婚生活を送っていかなければならないリスクが高まってしまいますので、フリーターのまま結婚することは望ましい選択とは必ずしも言えません。
将来結婚を始めとした大きなライフイベントを経験したいようなフリーターは、正社員になることでメリットを感じられるはずです。
解雇のリスクを減らせる
扶養を気にするフリーターが正社員になるメリットは、解雇のリスクを減らせることです。
フリーターは契約が更新されない可能性がありますが、正社員は契約期間の制限がありません。
企業側も簡単には解雇できないため、安定して働き続けられます。
また、正社員は景気の影響を受けにくく、業績悪化などの理由で職を失うリスクが低いのも強みです。さらに、会社の都合でシフトを減らされたり、突然契約を打ち切られたりする心配が少なく、計画的にキャリアを築けます。
周りからの評判を気にする必要がなくなる
正社員であれば、周りからの評判を気にする必要がなくなります。
フリーターは世間から「不安定な立場」と見られることがあり、親や親戚、友人から将来について心配されることも少なくありません。
特に結婚や住宅ローンの審査などでは、正社員であることが社会的な信用につながるため、安定した立場を求められることが多いです。
一方、正社員になれば「しっかり働いている」「将来が安定している」と評価されやすく、周囲の目を気にせずに自分の生活を築きやすいでしょう。
将来への不安が減って気持ちに余裕が生まれやすくなる
将来への不安が減って気持ちに余裕が生まれやすくなるのも、正社員になるメリットです。
フリーターはシフトや勤務時間の変動で収入が安定せず、毎月の生活費のやりくりに悩むことがあります。
収入が一定でないと、貯金を切り崩しながら生活しなければいけない場合もあるでしょう。
一方、正社員で収入が安定すれば生活費の心配をする必要が減り、将来の計画を立てやすくなります。
社会保険に加入すると将来的にもらえる年金額が増えるため、病気や老後の不安も軽減され、安心して働き続けられるでしょう。
扶養から外れて稼いでいきたいフリーターにおすすめの仕事
ここまでの解説を読んで、扶養から外れて正社員として稼いでいきたいと感じたフリーターも多いかもしれません。
今後フリーターから正社員を目指すにあたっては就職活動をする必要がありますが、どういった仕事を目指せばいいのか分からないという人も多いでしょう。
これから正社員デビューを目指そうとするフリーターにおすすめできる仕事としては、以下の3つの職業が挙げられます。
- 営業職
- ITエンジニア
- 施工管理
それぞれ仕事内容やどういった点がフリーターにおすすめできるのかについて解説しますので、仕事探しの参考にしてみてください。
営業職
営業職は法人や個人に対してサービスを提案し、契約を取ってくる仕事です。
営業職には未経験者を歓迎する求人が他の仕事よりも多い傾向にありますので、正社員デビューを目指すフリーターが就職できる求人が多い点がおすすめできるポイントです。
また、営業職は専門的なスキルよりもコミュニケーション能力を始めとした対人スキルを求められるといった特徴も見られます。
特別なスキルがなかったとしても、面接でコミュニケーション能力をアピールできれば就職できる点も魅力的と言えるでしょう。
営業職には実力次第で年収を増やしていけるといったメリットもありますので、扶養から外れてどんどん稼いでいきたいと考えているフリーターにおすすめできます。
ITエンジニア
ITエンジニアは、ITサービスやアプリケーションを開発するにあたって、プログラミング言語を用いて開発作業を行っていく仕事です。
学歴や職歴に関係なく、ITエンジニアとしてのスキルがあればキャリアアップと年収アップを実現できる点が特徴です。
そもそもITエンジニアとしての実務経験がないフリーターであっても、最近では未経験者を採用し、自社で研修を行うような会社も増えてきています。
加えて、ITエンジニアになることを目的とした専門学校も増えてきていますので、フリーターからでも努力次第で就職することは可能です。
実績を積むことができれば将来フリーランスとして働くこともできますので、将来の働き方の幅を広げたいフリーターに特におすすめできます。
施工管理
施工管理は工事現場において工事がスケジュール通りに完了するよう、関係者間の調整やスケジュール管理を担う仕事です。工事を直接行うわけではなく、あくまでも監督をする立場として働いていきます。
施工管理として活躍していくためには、最終的に専門知識を習得し、施工管理技師の国家資格の取得が望ましいとされていますが、実務経験を積むという観点で言えば未経験者を募集している求人も少なくありません。
施工管理は経験者が少ない仕事ですので、実務経験を積むことができれば、手に職をつけて将来仕事に困らないといったことも期待できます。
また、平均年収も高い傾向にありますので、お金を稼いでいきたいという気持ちが強いフリーターにおすすめできます。
よくある質問
最後によくある質問を3つ取り上げて解説します。
フリーターが親の扶養に入るのは恥ずかしいでしょうか。
フリーターが親の扶養に入ることが恥ずかしいかどうかは、個人の状況や考え方にもよります。親の扶養に入り、自立していないことを感じたり、周りの人と比較して劣等感を感じてしまう方もいるでしょう。
フリーターの年収は103万円と130万円のどっちが得?
一概には言えませんが、一般的にはフリーターの年収は103万円の方が130万円よりも体感上得をするケースが多いと言われています。
もし、フリーターが年収130万円稼ぐことになれば、社会保険料の支払いが原則義務付けられます。年収にもよりますが、社会保険料の金額は毎月数千円〜数万円となり、年間で10万円程度負担することも少なくありません。
例えば、年収が130万円で支払う社会保険料が10万円であった場合、実質的な手取りは120万円になることになります。一方、最初から年収が120万円であれば、社会保険料が引かれることなく手取りが120万円となりますので得と捉えることができます。
※年収130万円以下でも社会保険の加入条件を満たせば社会保険料の支払い義務が発生します。
フリーターが103万円を超えると扶養から外れますか?
フリーターが103万円を超えると扶養から外れます。
その結果、自分で所得税を支払う必要が出てくるため、手取り額が思ったより増えず、むしろ減ることもあります。
また、親の扶養に入っている場合、扶養から外れることで親の税負担も増えてしまいます。
これは、親が受けていた扶養控除(税金の割引)がなくなるためです。
収入を増やすなら、税負担を考慮しながらしっかりと103万円を大きく超えるように働くか、収入を抑えるかの選択が必要になるでしょう。
フリーターは扶養から外れない方がいいですか?
将来のことを長期的に考えるのであれば、フリーターは扶養から外れた方が良いと言えるでしょう。
確かにフリーターが扶養から外れなければ、短期的には税金の負担がないままになりますので、得をした気分になるかもしれません。
ただし、扶養に入り続けている以上、稼げるお金に制限が出てしまうだけでなく、将来もらえる年金も大幅に下がってしまいます。
今後の自分の人生を考えるのであれば、扶養から外れて正社員として働いていく方が良いと考えられます。
フリーターが扶養から外れても保険料を支払わないことはできますか?
基本的に扶養から外れた場合、社会保険料や税金を支払わないといったことはできません。
しかし、状況によっては保険料の減免や免除の対応を受けられることがありますので、どうしても支払いが厳しい場合は住民票がある役所に行って相談してみてください。
まとめ
「扶養を外れると損だ」と考えるフリーターの方もいるかもしれません。しかし、いま健康で普通に働けるのであれば、親に扶養されることで数万円~数十万円程度の税金などを節約することを気にするほうが、長期的に見たら損ではないでしょうか。
あなたが若く独身なのであれば、早い段階で正社員としてキャリアを積んでいくほうが、圧倒的に収入やスキル・経験の面でプラスです。
また、安定した収入を得て自立することは自信にもなります。扶養を外れることを気にするのであれば、思い切って正社員就職を目指すことをおすすめします。




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