「警察官として働いているが転職したい」「警察官から転職したいが辞めたら後悔しないか」と迷っている方もいるのではないでしょうか。難関の公務員試験を受験して採用されてもミスマッチを感じたり、ほかの職種に興味が出てきたりしている方もなかにはいるでしょう。
警察官が民間企業に転職する場合は中途扱いとなりますが、転職することで自分に合った仕事に就くことができたり、年収は下がっても満足できたりする可能性は大いにあります。
この記事では、警察官が転職するメリット・デメリット、転職に適したタイミングやおすすめの職種などをご紹介します。
この記事の目次
警察官が転職するメリット・デメリット
まずは、警察官が転職するメリットとデメリットについて知りましょう。
警察官が転職するメリット
警察官が転職するメリットとしては、以下が考えられます。
時間が増える
警察官を辞めると、家族と過ごす時間や自分のために使える時間が増える可能性が高くなります。たとえば民間企業のサラリーマンに転職した場合、警察で働いていたときのように、事件や事故などの対応によって長時間拘束されることがなくなります。民間企業は基本的に「平日日中に働き週末は休み」というスタイルになるため、プライベートの予定も立てやすくなるでしょう。
精神的なプレッシャーから解放される
精神的なプレッシャーが減るのも、転職をするメリットです。民間企業で働くことで、警察官よりもいい意味で緊張感を解いて仕事ができる、警察にいたときほど上下関係を気にしなくてよくなる、などが考えられます。民間企業の場合、社風によっては上下関係がフラットなところもあります。そのため、上司や部下、先輩や後輩といった上下関係を過剰に意識せずに仕事ができるようになる可能性が高いでしょう。
選択肢が広がる
警察官を辞めて転職することは、自分の選択肢を広げることにもなります。警察官でいる限り、仕事内容や働き方が大きく変わることはないでしょう。一方、転職することで興味のある業界や職種で働くことができたり、公務員だった警察官時代には禁止されていた副業もできたりします。そのため転職後の努力次第では、働き方やキャリアなどを自分の理想に近づけていくことができるでしょう。
警察官が転職するデメリット
警察官が転職するデメリットとしては、以下が考えられます。
年収が下がることがある
警察官は公務員のなかでも給与が高めで、一般の行政職より年収が多いです。警察官を辞めて転職すると、それまでのような高い給与はもらえないかもしれません。また、公務員の安定した給与に比べると、民間企業は年収が下がる可能性が高いです。転職によって大幅に収入が変わってしまうリスクがあることは、あらかじめ承知しておきたいデメリットです。
転職先で民間企業に馴染めないことがある
民間企業での勤務経験がない警察官の場合、営利目的である民間企業特有の雰囲気に馴染めない可能性もゼロではありません。「警察ではこうだったのに」と思うことがあっても、民間企業では通用しないことも多いでしょう。警察官時代とは違うルールなどを覚えていく必要があるため、戸惑う人もいるかもしれません。警察官時代にどんなに優秀な人材であっても、民間企業ではまた新しい気持ちで仕事に臨むことになるでしょう。
転職理由を勘繰られる可能性がある
警察を辞めて民間企業に転職する人は、全体で見ればそう多いわけではないため、企業からするとめずらしい存在に映るでしょう。場合によっては「警察を懲戒免職処分になったのでは」「せっかく就いた警察官の仕事を辞めるなんて、何か言えない理由があるのでは」と、転職先の担当者に勘繰られる可能性もあります。疑惑を抱かせないために、納得できる退職理由を伝える必要があるでしょう。
警察官の転職理由・離職率
警察官の主な転職理由と、離職率とその傾向についてご紹介します。
警察官の転職理由
なりたい職業の上位としても紹介されることの多い警察官ですが、なかには転職を考える方もいます。憧れの対象である警察官を辞めようと考える理由としては、以下の3つが考えられます。
1.拘束時間が長い
警察官が転職を考える理由のひとつが、勤務形態や拘束時間が長いことへの不満です。
警察官の勤務形態は、「交替勤務制」と「毎日勤務制」の2種類に分類されます。大阪府警察が公開している情報によると、大阪府警の「交替勤務制」は3週6休制の勤務形態です。仕事がある日は朝から勤務を開始して翌日の朝まで働き、その後は非番になります。「毎日勤務制」は、平日の朝から夕方まで働く週休2日制の勤務形態です。
「交替勤務制」は非番の日、「毎日勤務制」は土日祝日が休みということになっていますが、事件や事故などが発生すると勤務時間の通りに帰宅できなかったり、休日を返上して働かなければならないケースも多々あります。例えば、事件が起こったときは、犯人を逮捕した後もさまざまな仕事をこなさなければなりません。警察官の場合、事件解決後の後処理や手続きに時間がかかるため、拘束時間が長くなるのが実情です。
2.仕事と家庭のバランスが取りにくい
仕事と家庭のバランスが取りにくいことも、警察官が転職を考える理由のひとつです。
勤務時間が長く、事件や事故の発生状況に左右されやすい警察官の場合、事件や事故で休日が仕事の日になってしまったり、予定していた通りに帰宅できなかったりすることは日常茶飯事です。このような勤務形態で働いている警察官は、プライベートの時間が少なくなることが増えてきます。仕事を理由に外出する約束などを予定変更しなければならないと、家族との関係がぎくしゃくしてしまう場合もあります。
小さい子どもを持つ警察官の場合、家族との時間を優先するために転職するケースも多いです。「子どもの成長を感じる時間や家族と過ごす時間は今しかない」と考えて、若い年齢で転職を決意する人も少なくありません。女性だけでなく、男性でも家庭を優先させたいと考える人は少なくないため、転職という選択をする人もいるでしょう。
3.理想と現実にギャップがある
自分が思い描いていた理想と職場の現実にギャップがあることも、警察官が転職を考える理由として挙げられます。
警察官になって現場で仕事を始めると、次のような点で理想と現実のギャップが大きいことに不満を感じたり、精神的なダメージを受けたりする人が多いです。
- 職場の上下関係
- キャリアとノンキャリアの違い
- 給与
- 事件や事故で遭遇する現場
たとえば「人の役に立ちたい」などの理想や志を持って警察官になった人の場合、職場の上下関係の厳しさやキャリアとノンキャリアの昇進のスピードなどにギャップを感じるケースが少なくありません。
また、「仕事量が多い割に給料が安い」と給与面のギャップを感じる人もいます。警察官の仕事のひとつである事件や事故の処理では、ショッキングな現場を目にすることもあります。悲惨な現場や事件に直面して精神的なダメージを受け、警察官として働くのがつらくなってしまう人もいるでしょう。
警察官の離職率
警察官の離職率について、総務省のデータをもとに見てみましょう。
警察官の離職は25歳以下が最も多い
総務省が発表した2018年の「地方公務員の退職状況等調査」の調査結果によると、離職した警察官の数は全国で1万830人です。そのうち、定年退職などでない普通退職は4660人で、退職者数全体の43%という結果になっています。
25歳未満の警察官の離職者数は1466人と全体の51%をも占めていて、そのほかの年代よりも圧倒的に多くなっています。そのため、警察官では若い人ほど離職を決意する人が多いことがわかります。
引用:総務省「地方公務員の退職状況等調査」
警察官になることができたのはよいものの、実際に働いてみてギャップを感じたり自分には不向きだと感じたりして、早々に退職を決意する若者も一定数いそうです。まだ若ければ比較的異業種への転職もしやすく、自分に合った仕事も見つけやすいこともあり、早期離職をする人がいることが考えられます。
警察官の転職活動について
警察官の転職活動について、適したタイミングや職業などについてご紹介します。
警察官の転職に適した年齢とタイミング
警察官から転職しようと思っている人は、どのタイミングで転職活動を始めればよいかが気になるかもしれません。転職に適した年齢やタイミングを、ここではまとめてみました。
30歳を過ぎても転職は可能
警察官からの転職は、30歳を過ぎてからでも十分に可能です。ひと昔前までは、30代になると転職は難しくなると言われていました。ですが、少子化が進んで働く世代の数が減少していることもあり、また、個人のマインドや企業の制度などが変わってきたこともあり、いまや30歳以上の転職はめずらしいことではなくなりました。
とはいえ異業種に転職するのであれば、やはり若い年齢のほうが有利になるケースが多いです。新しい仕事を覚えたり職場環境に適応したりする能力は、年齢を重ねるにつれて衰えてきます。転職してからの仕事をスムーズにこなすためにも、転職したい警察官の方は、できるだけ早い時期に活動をしたほうがよいかもしれません。
家族の時間を優先させたい人は早めの転職がおすすめ
転職理由が「家族との時間を大切にしたい」という場合は、そのタイミングを逃さないことが大切です。子どもが産まれる前や、まだ子どもが小さい時期に転職を決断したほうが、自分の希望が叶う可能性が高いといえます。ある程度子どもが大きくなってきたら、働き方を変えるということもしやすいでしょう。
転職は「余裕があるとき」がベスト
転職活動は、自分の気持ちや体力、時間に余裕があるうちにすることが大切です。余裕がないと転職活動の結果に影響したり、思うように希望の転職先が決まらなかったりすることもあります。転職したい場合、自身のコンディションや状況なども考慮して時期を決めましょう。
求人が多い時期を狙うのもあり
警察官からの転職の場合も、求人募集が多い時期を狙うと、それだけ採用につながる確率もアップします。求人数が多ければ、自分に合う会社と出会える可能性も高くなるでしょう。求人が少ない時期は情報収集等にとどめておき、求人が増えた時期に転職活動を一気にすすめるのもひとつの手段です。
警察官に選ばれる転職先
警察官は次の職業としてどのような転職先を選ぶのでしょうか。ここでは元警察官に選ばれやすい転職先をいくつかご紹介します。
転職先その1.警備員
警察官の経験を活かせる職業のひとつが、警備員です。実際、警察官の経験をへて警備員に転職をする人はいます。警備員を選ぶ人がいるのには、次のような理由があります。
- 仕事内容に共通点がある
- 求められることが似ている
- 経歴が有利になりやすい
施設の中を見回りしたりセキュリティをチェックしたりする警備員の仕事は、警察官の仕事ともいろいろな共通点があります。警備員は警察官と同様に体力が必要で、警察官の経験が活かせる職業です。給与についてはさほど高くはありませんが、キャリアを積んで役職に就くことは可能です。
警備員も、警察官と同じく信頼が求められます。「元警察官」という経歴は信頼感を与えるため、採用の際にも職歴が有利に働く可能性が高いです。
転職先その2.営業職
民間企業の営業職も、警察官に選ばれている転職先のひとつです。次のような特徴があることから、営業職は人気があります。
- 未経験でも採用されやすい
- 体力と精神力が求められる点が警察官と同じ
- 実力や成果に応じて給与が上がる可能性がある
営業職は、実力主義や成果主義が少なくありません。未経験者を積極的に採用している会社もあり、異業種からの転職でも採用されやすいのが人気の理由です。また、タフな体力と精神力が必要とされる点が警察官と似ている点も、営業職を選ぶ人が多い理由になっています。
営業職は警察官にとって異業種ですが、意欲や頑張りがそのまま待遇や給与に反映されることに魅力を感じる人も多くいます。仕事に適性があり、インセンティブや歩合などで基本給以外に収入を得ることができれば、公務員だった警察官時代よりも収入が上がる人もなかにはいるかもしれません。
転職先その3.トラックドライバー
警察官の転職では、トラックドライバーを選ぶ人も多いです。トラックドライバーは、以下のような理由から人気です。
- 人間関係のストレスが少ない
- パトロールで得た地理の知識が活かせる
- 高収入を目指すことも可能
トラックドライバーは、1人で過ごす時間が多い仕事です。警察官のときに人間関係の煩わしさを感じていた人には、おすすめの仕事といえるかもしれません。地域密着型の運送会社などを選べば、パトロールで得た地理の知識が活かせるでしょう。ただしトラックドライバーは、長時間の運転や荷下ろしの際に体力が求められます。このような仕事の場合、若い頃はよくても、以後もずっと続けられるかどうかはわかりません。したがって、将来のことも考えて選ぶ必要があるでしょう。
また、トラックドライバーの場合、給料はそこまで高くないことが多いです。高収入を目指すときは長距離ドライバーなどを選ぶことになるため、働き方についても考えておく必要がでてきます。
転職先その3.事務・経理
転職をする警察官には、事務や経理の仕事を選ぶ人もいます。このような仕事は、デスクワークが好きな人や事務職、経理職に興味がある人におすすめです。事務や経理の仕事が選ばれるのには、次のような理由があります。
- 警察事務の経験が活かせる
- 経験によっては仕事に早く慣れることができる
- 地理の知識が活かせる場合もある
警察官時代に人事や福利厚生などを扱う警務課で働いていたことがある人は、事務作業の経験を事務や経理の仕事で活かせます。また、幅広い業務を担当する総務課などで働いた経験があれば、申請書類の作成や事務全般がひと通りこなせるため、仕事に早く慣れることができます。外勤事務で多い検針や集金などの仕事では、地理の知識を活かして働くことも可能です。
警察官が在職中に転職活動をするメリット
警察官が在職中に転職活動をするメリットとしては、以下が考えられます。
余裕を持って転職先を探せる
在職中に転職活動をするメリットのひとつは、精神的な余裕を保ちながらじっくりと自分に合った転職先が探せることです。警察官を辞めてから転職先を探す場合、早く仕事を見つけようと焦りが生じるケースも少なくありません。募集要項をよく確認せずに焦って応募してしまうと、条件や待遇が悪い仕事に就いてしまうリスクがでてきます。
冷静に転職先を探す余裕があれば、こういったリスクは減り、満足度の高い求人が見つけやすくなります。しっかりと自己分析をしながら、自分に合っている仕事ややりたい仕事が目指せるでしょう。
収入の心配をしなくてよい
しっかりと収入を確保しながら転職先が探せる点も、在職中に転職活動をするメリットです。次の仕事を始めるまでの間もずっと給与が得られれば、経済的な不安や家族の心配もだいぶ少なくなります。実際、転職活動を始めてもすぐによい仕事が見つかるとは限りません。
在職している状態であれば、どうしても希望に合った転職先が見つからないときにそのまま警察官を続けることもできるでしょう。一定の収入が確保できている場合、転職準備のための資格取得の費用も捻出できるかもしれません。スクールや通信講座などが利用できれば、転職で有利になる資格がスムーズに取れる可能性があります。
企業からも安心感を持たれやすい
離職の原因を追及される心配が少なくなるのも、在職中に転職活動をするメリットです。警察官の転職では、離職の原因に不信感を持たれることがあります。警察官を辞めてから転職活動をすると、必ずと言ってよいほど離職した原因を聞かれます。公務員である警察官は「安定した仕事」というイメージが強く、あえて辞める理由に問題行動や不祥事などのネガティブな原因を勘ぐる人も少なくありません。
警察官として在職している間に転職活動をすれば「不祥事による転職では」と勘違いされる心配はなくなります。面接で転職理由を聞かれたり、志望動機を尋ねられたりしたときも、説明がしやすくなるでしょう。
「警察官の転職」に関するよくある質問
離職した警察官の数は全国で年間1万830人で、定年退職などを除いた普通退職の割合は退職者数全体の43%ということが、2018年度の総務省の調査で判明しています。特に25歳未満の警察官の離職者数が、全体の半数以上です。
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仕事の選び方から面接、転職後までトータルでバックアップ
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相談は無料のケースが多い
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