自衛官で転職したいという人もいるようです。理由としては体力的にもきつい職業であるため、限界を感じて、などがあるようです。しかし、自衛官は公務員といっても特殊であるため、民間企業に転職する際にはいくつか押さえておくべきポイントがあります。ここでは、自衛官が転職する主な理由とともに、転職する際に気を付ける点やおすすめの職種、転職のためのポイントや事例についてご紹介しましょう。
この記事の目次
自衛官が転職する理由
理由その1:人間関係の悩み
自衛官が転職を望む主な理由の一つに、人間関係の悩みがあげられます。
上司と合わない
自衛官は上下関係の厳しい組織であることが知られており、配属された部署の上司と合わないことが転職を望むきっかけとなります。上司から厳しく叱責されたり、先輩自衛官から多くの雑用を頼まれたりすることも多く、理不尽な人間関係に疑問を感じる人も少なくありません。また、理解のある上司もいるものの、昔気質の上司は自分の経験をもとに厳しく接する人も多く、上官至上主義のシステムに耐えられない人もいます。
仕事も生活も常に一緒で煩わしい
自衛官は駐屯地や寮などで共同生活することが多く、仕事でもプライベートでも常に同じ人と一緒にいることに煩わしさを感じてしまいます。オンとオフの切り替えがしにくく、新隊員は特に息が詰まってしまうこともあるでしょう。大きな組織であるため、常に組織の一員として振舞わねばならないことに疲れることもあるようです。
理由その2:組織の独自性
自衛官は公務員であるものの、一般的な公務員とは異なる特殊な組織となります。そのため、組織の独自性も転職の主な理由の一つです。
生活上の制限が多い
民間企業においては職務に関する守秘義務はあるものの、日常生活に関する制限はほとんどありません。しかし、自衛官は外出の時間や回数に制限があったり、入隊後の3か月は教育期間として外部から離れた生活や訓練を行ったり、結婚していても入隊から1年間は駐屯地外に住むことが許されなかったりと、様々な制限でがんじがらめになっています。また、休日でも待機せねばならず外出できないこともあるなど、休日といえどもリラックスできず不自由を強いられることも多くあります。生活上の制限の多さに辟易し、嫌になって転職したくなってしまうのです。
体力や精神的にきついこともある
自衛官は災害の際に救助活動に赴くのも業務の一環ですが、凄惨な場面や厳しい状況を目にすることもあり精神的に参ってしまいがちです。荒れた天候の中で土砂や水の中で作業するなど、体力的にも疲弊しやすい仕事環境となります。そのため、体力や精神面で限界を感じ転職を望んでしまうのです。
理由その3:将来が不安
自衛官の中には、将来に不安を感じることを理由に転職を考える人もいます。
定年が早い
一般的な公務員の定年は60歳が一般的ですが、自衛官は同じ公務員でありながらも定年の時期が早く定められています。階級によって異なりますが、定年の年齢は53歳から56歳となります。そのため、退職してから年金を受給するまでに長い期間があり、退職後の生活に不安があるのも転職の理由となります。
昇進が難しいうえに激務
民間企業においても幹部クラスになるのは難しいものですが、一般の自衛官が幹部自衛官になるのはかなり難しいといえます。昇進試験があるうえ、特別な教育を受ける必要がありシステムも特殊なため、昇進は無理だとあきらめる人も多いようです。そのため、自衛隊でキャリアを築くことができないなら、民間に転職してキャリアアップを目指そうと転職に心が傾きます。また、昇進するほどに業務も激化するため、昇進すること自体に恐れを感じる人もいます。
業務に関する不安
自衛官の業務は被災地などで救援活動を行うことがメインですが、集団自衛権により海外派遣も行われるようになっています。将来的に戦闘地域へ派遣されたり、命がけの危険な業務も増えたりするのではとの不安を持ち、より安全な職種に転職したいと考えるようです。
自衛官が転職するときの注意点
注意点その1:退職までの期間
民間企業の場合は、退職する際には直属の上司に退職の旨を伝えると退職手続きを始めることができますが、自衛官は直属の上司だけでなく複数の上官に報告せねばならず、それぞれに引き留められるなどして退職までに時間がかかるのが一般的です。そのため、自衛官が転職するときには、転職するまでに時間がかかることを考慮しておく必要があります。
業務の区切りに合わせて退職の意思を伝える
労働基準法では、14日前までに退職の意思を伝えると退職できると定められています。しかし、自衛隊は退職者が出ると隊の再編成を行わねばならず、少なくとも1か月から2ヶ月以上前に伝えるのがベストです。できれば、区切りの良い年度末など、編成の時期に申し出ると退職後に再編成の手間をかけさせることなく辞められます。
脱走は禁物
上司に引き留められて退職したいのになかなか進展しない場合、脱走を考えてしまうこともあるでしょう。しかし、脱走すると所属部隊、私服部隊、警察などによる捜査が行われ、その費用は脱走者の負担となるため多大な金額を支払うことになりかねません。また、上司や家族にも迷惑をかけてしまいます。適切なステップを踏んで退職しましょう。
注意点その2:準備不足
自衛官が転職するときの注意としては、準備不足になりがちなことがあげられます。自衛官として様々な経験をし、実績を積んできたのだから転職は簡単にできると楽観していると、準備不足でなかなか転職先が決まらないということになりかねません。
自衛官としての勤務経験は大きなアドバンテージにならない
自衛官として長く勤務していたことは、大きなアドバンテージになるどころか同年齢の人よりも実績が少なく見られることもあります。自衛官の業務は特殊であるため、業種によっては全く役立つスキルがないこともあるでしょう。そのため、未経験の分野であるほど、しっかりと仕事についての情報を入手しておくことが大切です。
条件について明確にしておく
公務員と民間企業では、休日出勤や労働条件に関しても違いがあります。そのため、面接の際には労働条件に関して突っ込んだ質問を行い、後で後悔しないように気になることは明解にしておきましょう。
注意点その3:ミスマッチ
せっかく転職しても、自分に合わないミスマッチな職に就いては本末転倒です。自衛官が転職する際には、ミスマッチを起こさぬよう自分の適性に合った転職先を見つけることが大事です。
就職援護を利用する
自衛官が転職をする場合、就職援護の担当職員による支援を受けることができます。担当職員は人事記録や作成された履歴書をもとにマッチングする転職先を探しますが、希望や要望などできるだけ多くの情報を提供するほどアドバイスをしやすくなります。データだけでは推し量れない情報も、口頭でしっかり伝えるようにしましょう。また、給料面などで条件が良い転職先を選んでしまいがちですが、待遇だけでなく自分の性格も踏まえ検討することが大事です。
余裕を持って行う
転職の準備はゆっくり時間をかける方がより理想に近い転職先を見つけやすいため、就職援護を利用する際は余裕を持って相談するようにしましょう。転職する直前になって利用するのではなく、できるだけ早く利用するほうがミスマッチが起こりにくくなります。
自衛官が転職を成功させるためにすべきことは?
自衛官が転職を成功させるためには、いくつかやるべきことがありますが、その中でも重要なのが自己分析です。自分に適した職を見つけるには、正確に自分のことを把握するための自己分析が必要になります。自己分析を就職援護の担当職員に伝えると、適切な職業なども明確にしやすく相談内容も充実するはずです。また、自己分析して価値観や目標を把握しておくことは転職に役立つだけでなく、将来に向けた準備になるほか、ブレずに仕事を続けるモチベーションにもなります。
自衛官の転職先におすすめの職種
その1:コミュニケーションスキルを活かす
自衛官におすすめの職種としては、自衛隊時代に培ったコミュニケーションスキルを活かせるものがあげられます。
タクシードライバー
自衛官は厳しい上下関係の中で礼儀をしっかり叩き込まれてきたため、目上の人とも円滑にコミュニケーションできるスキルを持ち合わせています。その能力を乗客とのやり取りに活かし、タクシードライバーに転職するのもおすすめです。自衛官はチームで働く仕事で、上官の指示通りに動くことが良しとされていますが、タクシードライバーはほとんどの業務を一人で行い自立心が養われるのもメリットです。
営業職や広報
得意先に自社の商品をアピールする営業職も、自衛隊で身につけたコミュニケーション能力を活かせる絶好の職業でしょう。また、事務官の経験がある人は、体力勝負ではない広報のような実績のある仕事を選ぶのもおすすめです。礼儀正しく真面目に仕事をする自衛官の強みをしっかりアピールし、適性の高い仕事を手に入れましょう。
その2:体力を活かす
自衛官の体力を活かした仕事も、転職の職種としておすすめです。ただし、自衛官として経験を積んだ危機管理能力や判断力が活かせる仕事を見つけるのは、なかなか難しいでしょう。
警備員
警備員は体力勝負の仕事であるとともに、危険が伴う仕事です。国を守るために特別な訓練を積んできた自衛官にとって、経験を十分に活かせる職種といえます。
建設業
建設業も体が資本の職業であり、訓練で鍛えられた体力を活かせます。/
福祉関係
福祉関係も体力が必要とされる職種であるうえ、夜勤などもあり激しい勤務に耐えてきた自衛官の経験を活かせる仕事です。しかし、福祉関係の収入は自衛官時代よりも低くなる可能性が高くなるでしょう。
自衛官が転職するときに押さえておきたいポイント
自衛官が転職するときには、より有利に転職するために押さえておきたいポイントがあります。
職業訓練プログラムの受講
転職する気がある、ないに関わらず、日頃から自衛隊の就職訓練プログラムを受講しておくと、転職したくなった時に役立ちます。特に、興味のある職業の訓練プログラムは必ず受講しておきましょう。
自衛官であることのメリットを把握する
自衛官ならではの資格やスキル、特殊な経験は転職の際のアピールポイントとなります。自衛官として勤務したことは、健康で強い精神力があることの裏付けにもなるため、メリットとしてとらえておく必要があるでしょう。
目的や希望を把握して転職する
行き当たりばったりで転職するのではなく、転職する目的ややりたいことを把握してから転職することも大事です。自分の長所や短所を知ったうえで、何が向いているのか深く考えることも必要となります。
自衛官の転職事例
転職事例その1:成功例
自衛官を辞め、転職して良かったという成功例はたくさんあります。では、成功した事例をいくつか見てみましょう。
環境が変化して楽しく働けている
転職して総務部の人事担当をするようになり、自分の意見が採用されることに喜びを感じている、営業職に転職してやりがいがあるほか、年収もアップして嬉しいというような事例があります。思い切って転職したことで、自衛官時代の苦労を乗り越えより良い仕事環境に身を置くことができた好例です。
適性を把握することが大事
成功事例の特徴としては、自分の適性を把握することがカギとなります。自衛隊で辛かった経験も違う角度から見れば利点となることもあるため、経験を活かせる仕事を見つけることも大切です。
転職事例その2:失敗例
自衛官の転職では、転職して良かったという人ばかりではなく、後悔している人も少なからずいます。失敗しやすい事例には、いくつかの特徴があります。
手近な仕事に決める
とりあえず転職したいという気持ちから、手近な仕事に決めると後悔する率が高いようです。自分に合った職でなかったり、いずれは正社員になれるとの不確かな情報をもとに就職して正社員になれなかったり、深く考えずに仕事を決めると自衛隊時代の方が良かったと後悔してしまいます。
サポートを利用せず一人で決める
自分がやりたい仕事と合う仕事が異なる場合もあり、自分一人で決断するとミスマッチな仕事を選んでしまうこともあります。また、自衛官の経験にこだわることで、せっかくのチャンスを逃していることもあります。自己分析を行いながらも、サポートを受け客観的な意見も聞きながら自分の適職を探すのが成功への第一歩となるでしょう。
「自衛官の転職」に関するよくある質問
営業職や広報、福祉関係、建設業などが例として考えられます。民間企業での仕事は自衛官の仕事とは大きく異なりますが、前職で身につけた能力を活かせる仕事は複数あります。
自衛官を辞めて民間企業へ転職したいと考えている方は、ぜひジェイックの「就職相談」へお申込みください。プロの就職アドバイザーが、公務員から民間企業への転職を成功させるためのアドバイスをさせていただくことも可能です。
自衛官の仕事で培ったスキルやキャリアのうち、民間企業で活かせそうなアピールポイントを明確にしておきましょう。また、なんとなくの転職ではなく、目標をはっきりさせておくことも大切です。
転職したい自衛官は準備をしっかり進めよう!
何らかの理由があり自衛官が退職して転職を前向きに検討するためには、十分な準備期間を設ける必要があります。職業訓練プログラムを受けたり、自己分析をして自分の長所や短所を把握して適性のある職業を検討するなど、転職を後悔しないようにじっくり時間をかけて行うことが大切です。自衛官の経験を活かした適職を見つけ、新しい人生への扉を開きましょう。
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