海上保安官として働いてきた人が転職を検討することがあります。
しかし、今までのキャリアを考えて人材としての魅力を訴えかけられるようなアピールポイントが見つけられずに悩むことも珍しくありません。
海上保安官の仕事についておさらいし、どんなアピールが可能かを考えてみましょう。そして、転職エージェントを活用するメリットについても紹介します。
この記事の目次
海上保安官の給料や勤務体系
海上保安官は国家公務員なので国によって定められている俸給表によって給与が支給されます。
公安職になっているので事務職よりも12%ほど高い給与が支払われるようになっているのが特徴です。
給与体系上の位置付けは公安職俸給表(二)と位置付けられています。
初任給は海上保安学校卒業の場合と海上保安大学校卒業で異なり、後者の方が20%近く高くなります。
月給で20万円弱~25万円程度の初任給になっていますが、配属部署によって金額にも違いがあるので一概には言えません。
これに加えて国家公務員に止められている各種手当を加えた金額が支給されます。
海上保安官の手当て
住居手当や扶養手当、時間外労働手当や休日出勤手当などの基本的な手当は揃っているのであまり手当に関して不満を抱く人は多くありません。
福利厚生についても病気や負傷の場合の給付制度や急な支出のための貸付制度など、困ったときに役立つ制度が充実しているのが特徴です。
海上保安官の平均年齢や年収
海上保安官の平均年齢は42歳ほどで平均年収は700万円程度になっています。
平均経験年数が20年程度で一度海上保安官になると長期間にわたって働く人が多いことがわかるでしょう。
海上保安官の勤務体系
勤務体系については原則として1日8時間の勤務時間となっていて週休二日制が敷かれています。
しかし、実態としては長時間労働や土日祝日の出勤もあるのが基本です。
海上勤務
海上勤務の場合には海に出ている限りは何日でも連続して業務に従事し続けなければなりません。
10日前後の乗船も珍しいことではなく、シフト制を組んで24時間体制を整えています。
乗船中には業務訓練もよく行われていて、射撃訓練や消火訓練などの事故や事件に遭遇したケースをシミュレーションした実践的な訓練を通して要事に備えているのが通例です。
シフト制で休憩時間になっていても要事は時間を問わずに働かなければならないのが海上勤務ですが、労働量に対して正しく手当も支給されます。
陸上勤務
一方、陸上勤務の場合には1日8時間の勤務を安定して行える傾向があります。
本庁や海上保安部署などで管理や情報に関わる業務に従事することになるのが特徴です。
通常は海上勤務で十分な経験を積み、年配になってから陸上勤務に移行するといったキャリアパスになっています。
土日祝日の出勤に対しては代休を取るのが原則とされている現場が多いものの、それが難しい現場の場合には休日出勤手当を支給する形で対応されています。
有給休暇も年間20日程度用意されていることに加え、結婚や出産などに伴う特別休暇や育児休暇、病気休暇なども取得可能です。
業務の都合で休日を取得しにくい場合もありますが、国家公務員という影響もあって希望すれば取得できるのが通例です。
海上保安官が転職を希望する代表的な理由5個
海上保安官は給料も手厚く、福利厚生も充実している保安職です。
勤続年数が長い人も多いのが特徴ですが、海上保安官の中には転職を考える人もしばしばいます。
休日に不満があり転職|理由1/5
転職を希望する理由は人それぞれですが、代表例として挙げられるのが休日に関わる不満です。
形式上は土日祝日は休みで有給休暇なども自由に取得できる形になっています。
土日祝日を問わず働く場合もある
しかし、現実的には海上保安官は土日祝日を問わず働くことになりがちです。
陸上業務の場合には比較的安定して土日祝日は休めますが、海上勤務の場合には一度出航したら通常は一度か二度は土日の勤務が必要になります。
海上で何か問題が確認された場合には海上勤務の期間が延長されることもあり、次の土日には帰ってきて旅行に行くつもりだったのをキャンセルしなければならなくなるといったトラブルが生じるケースもあるのです。
有給休暇でも休めない場合もある
また、有給休暇を申請していたにもかかわらず出勤になることもあります。
要事によって上層部から要請を受けたら勤務時間外であっても出勤しなければならないのが公安職の定めとなっているからです。
ある意味では常に勤務を強いられている状況にあるため、ストレスを感じて転職を考えるようになる人もいます。
海上勤務が大変で転職|理由2/5
一方、海上勤務そのものの大変さから転職を希望する人もいます。
海上勤務はシフト制を組んでいる影響で勤務時間が安定しないという問題があるからです。
海上勤務は生活リズムが乱れがち
ある日は朝から仕事をして夕方には休めても、別の日には昼から働いて明け方になって休めるようになるといった形でシフトの入り方は様々になっています。
生活リズムが乱れるとそれだけ心身に負担がかかるため、若い間はまだ頑張ることができても年齢を重ねていくうちに辛くなってしまう人も多いのは確かです。
陸上勤務中心になるまで我慢できない人も多い
そのうちにキャリアを十分に積んで陸上業務が中心になると辛さは軽減されますが、それまで働き続けられずに転職を検討する人もいます。
単調な業務が合わずに転職|理由3/5
海上保安官として働いてみると業務が単調だというのに気づく人も大勢います。
それが合っている場合には良いのですが、業務の単調さが気にかかって他の仕事をしたいと考える人も少なくありません。
海上保安官の日常的な業務は警備救難、海洋情報、海上交通と位置付けられていますが、警備救難以外については基本的に何も起こらないのを良しとする業務です。
ほとんど何も起こらない中でルーチンの作業を行うことになります。
警備救難も頻繁に必要になる業務ではないため、あまりに単調で飽きてしまう人もいるのです。
海に憧れを持って海上保安官を目指したけれど保安職が適職ではなかったというケースも、転職理由に多いですです。
業務のプレッシャーが原因で転職|理由4/5
逆に業務上のプレッシャーが原因で転職しようと決める人もいるでしょう。
警備救難業務では密航や密漁、不法入域などの取り締まりや人命救助などが求められます。
自分のわずかな失敗が大きな問題を引き起こす可能性があるため、常に大きなプレッシャーを感じながら業務に従事しなければなりません。
海洋情報や海上交通の業務でも情報収集ミスがあったり、視認ミスを起こしてしまったりすると一大事になるのも事実です。
このようなミスが許されない現場で常に働くのが厳しいと感じて転職を決める人もいます。
たくさんの異動に辛さを感じて転職|理由5/5
異動の多さから仕事が辛く感じられて転職を検討する人もいます。
海上保安官は就職してから当面の間は2年~5年程度の頻度で所属部署が変わる仕組みになっているからです。
全国各地に部署があるのでどこに移動になるかもわかりません。
海上保安学校卒業の場合には採用された管区内での異動になるので引っ越しをせずに済む場合が多いものの、海上保安大学校卒業の場合には全国各地を転々としなければならなくなりがちです。
家族を持つようになっても異動を命じられることがよくあるので、安定して定住したいという思いが強くなると転職を考えるようになるでしょう。
仕事に過度なストレスを感じるなら転職がオススメ
このように海上保安官には辞めたいと考えるような要素がいくつもあります。不満を抱えたまま仕事をするのは精神衛生上もあまり良いことではないので、ストレスを感じているなら転職を検討してみた方が良いでしょう。
海上保安官から転職をする!アピールできるポイントは?
海上保安官から転職したいと考えたときに問題になりやすいのがアピールポイントの捻出です。
転職に成功するためには志望先の企業の事業方針や業務内容に応じて、今までのキャリアを関連付けてアピールすることが重要になります。
忍耐力|アピールポイントその1
海上保安官がアピールしやすいポイントとしてまず挙げられるのが忍耐力です。
海上勤務では長時間に渡って正確に任務を遂行する必要があり、ミスが許されないプレッシャーがあってもめげない忍耐力が求められます。
また、海上保安官になるためには海上保安大学校などの特殊な学校を卒業しなければなりません。
厳しい規律の下で体力的にも精神的にも鍛えられているため、強靭な心身を育むことができているでしょう。
就職してからも連日のようにして行っている訓練を通して鍛えられているはずです。
資本となる身体がしっかりとしている点は前向きにアピールした方が良いでしょう。
責任感|アピールポイントその2
海上保安官は責任感の強さもアピールできます。
業務を遂行することで多くの人を救うことができるという気持ちを抱き、常にミスをしないように仕事をしなければなりません。
正確に業務を遂行する能力の高さも十分なキャリアを積んできた海上保安官ならアピールできるでしょう。
単独で仕事をするケースもあるため、自分に割り当てられた業務に確かな責任を持って仕事をする能力に長けているのが海上保安官の特徴です。
協調性|アピールポイントその3
また、海上保安官は協調性もアピールすることが出来ます。特に人命救助などの要事の業務ではチームワークを発揮して効率的に目的を遂行しなければなりません。
そのために日々の訓練を行い、海上では同僚と寝食をともにしています。
互いのことをよく理解して的確なコミュニケーションを取れる能力がなければ合理的な形で要事の業務に対応することはできないでしょう。
チームワークを要求される現場は多くなってきているので、積極的にアピールしていくと転職に有利になると考えられます。
アピールポイントに悩んだら他人を頼る
本当にアピールできるポイントは何なのかと悩んだら自分一人で悩まないのも良い方法です。
一般的に海上保安官に共通している特徴をアピールして転職に挑むのも良い方法ですが、キャリアを通して経験してきたことに加えてもともと持っている性格も重ね合わせていくともっと強力にアピールできるポイントが見つかることもあります。
自分だけで考えていても魅力となるポイントを見つけられないことはよくあります。
就職支援サービスで相談してみる
自分のアピールポイントを知り、就活に活かしたい人は就職支援サービスに相談を持ちかけてみましょう。
転職を目指すときに何をアピールしたら良いかを親身になって一緒に考えてくれます。
企業担当者がどんな人材を求めているかを調べてきてよく理解しているので、志望先の企業に合わせてアピールポイントを捻出したり、自己分析の結果として出てきた魅力から判断して応募するのに適している企業からの求人を紹介してもらったりできるでしょう。
また、企業で働く上で不足している能力があるという場合にも就活講座を受講することで補うことが可能です。
アピールポイントを考えているうちに弱点も見えてきてしまうことは多いので、その対策も就職支援サービスを通して解決していきましょう。
早く内定を獲得するために!就職エージェントに登録しよう
海上保安官が転職を考えるときには、エージェントにも登録するのもおすすめです。
就職や転職に強いエージェントを利用すると内定の取得までにかかる期間を大幅に短縮できる可能性があります。
転職エージェントがしてくれること
転職に関わる不安を一対一で相談してアドバイスをもらったり、履歴書や職務経歴書を志望先に合わせて書けるように指導してもらったり、面接の質疑応答の内容を想定して練習をしたりとった幅広いサポートを受けられます。
自分の適性や希望に応じて適切な求人を探して紹介してもらえるのもエージェントを利用する魅力です。
キャリアパスに悩む海上保安官にこそオススメ
海上保安官というキャリアをどのようにして生かしたら良いかわからないと悩んでいるときにも多角的な視点からキャリアパスを提案してくれるでしょう。
転職を検討したいと思った年齢によってこれから描けるキャリアパスにも違いがあります。
じっくりと時間をかけてキャリアプランについて相談した上で、計画的にこれから新しいキャリアを築いていくことができるでしょう。
就職後もサポートを受けられる
エージェントを利用して転職すると就職後も広くサポートを受けられるのもメリットです。
働き始めたけれど思ったような仕事ができなかった、想定していたような待遇が受けられなかったといったときに気軽に相談して対策を提案してもらえます。
海上保安官から転職をするのに不安があるという人は活動開始から転職後まで充実したサポートを受けられるので、まずはエージェントに登録して就職支援サービスを受けてみましょう。
若いうちの方が就職先の候補も広くなるので、自分にとって海上保安官は適職ではないという認識が生まれてきたら速やかに次のキャリアを探し始めるのが大切です。
こんな人におすすめ!