30代無職という状況で「もう人生終わった」と思っていませんか。確かに30代無職だと、就職などキャリアにおいて不利なのは間違いありません。しかし無職や引きこもりであってもまだ30代ならば、逆転する方法や秘訣も存在します。この記事では、30代無職の割合などの現状のデータ、実際にどのように30代無職から逆転していくのかについて、具体的にご紹介します。
- 日本に暮らす30代のうち、無職の人の割合は全体の8.6%程度
- フリーターから正社員への採用率は、30代前半で10人に1人、35歳以降は100人に2人
- 30代・無職の期間が長いほど就職では不利になる。今すぐに就活を開始しよう!
- 30代・無職の人におすすめの仕事は、「営業職」「IT系の職種」「販売職」
この記事の目次
30代無職の割合や就職率を解説
そもそも30代無職の人は、日本にどの程度存在するのでしょうか。その割合と、30代無職の経歴が就職においてどう影響するのかについて、それぞれご紹介します。
30代無職の割合とは
30代の無職の割合は総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」によれば、8.62%※になります(※家事に従事する人や学生は含まない)。30代で家事や通学をしている人を含めた広義の無職の割合でも9%ほどです。30代では100人に9人が無職となります。
割合 | 有業者 | 無業者 | |||
年齢層 | 総数 | 家事をしている者 | 通学している者 | 家事も通学もしていない者 | |
30代総数 | 90.96% | 9.04% | 0.37% | 0.05% | 8.62% |
▽参考:実数でみた人口に占める無業者の数
実数 | 人口総数 | 有業者総数 | 無業者 | |||
年齢層 | 総数 | 家事をしている者 | 通学している者 | 家事も通学もしていない者 | ||
30〜34歳 | 6,410,800 | 5,878,700 | 532,100 | 31,200 | 4,300 | 496,600 |
35〜39歳 | 7,193,900 | 6,495,900 | 698,000 | 19,300 | 2,400 | 676,300 |
30代総数 | 13,604,700 | 12,374,600 | 1,230,100 | 50,500 | 6,700 | 1,172,900 |
30代で無職の人には、以下の2つのパターンがあると考えられます。
- 一度も正社員として働いたことがなく、職歴がない人
- 正社員として働いた経験があるが、離職してから働いていない人
ひとつは、そもそも働いたことがないケースです。病気などで働くことができないケースを除けば、長年引きこもりをしている人や、いわゆる「プータロー」状態の人のほか、なかには「大学院などを卒業してから独学で試験勉強を続けている」といった人もいるかもしれません。
もうひとつは、正社員経験があるが、何らかの理由で辞めて働いていないケースです。やりたいことの準備のためなどポジティブな理由の人もいるかもしれませんが、前職でうまくいかず働くことが怖くなった人や、最近であれば新型コロナウイルスの影響で勤めていた会社が倒産したり退職せざるを得なくなったケースもあるでしょう。また、一旦退職したものの、これから再就職を目指している人もいることが想定されます。
30代無職から正社員就職は厳しい?
独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③」によると、無職から正社員になれた割合は30~34歳で12.5%、35~39歳では男性9.8%、女性8.4%になります。
30代前半でも正社員へ就職の率は約8人に1人という状況です。同データでは、20~24歳の無職男性の就職率は20.6%と、約5人に1人が就職できていることがわかります。
男性の無職から正社員になった割合 | ||||||
年齢層 | 20-24歳 | 25-29歳 | 30-34歳 | 35-39歳 | 40-44歳 | 45-49歳 |
正社員になった割合 | 20.6% | 22% | 12.5% | 9.8% | 7.9% | 6.1% |
女性の無職から正社員になった割合 | ||||||
年齢層 | 20-24歳 | 25-29歳 | 30-34歳 | 35-39歳 | 40-44歳 | 45-49歳 |
正社員になった割合 | 22.7% | 18.3% | 10.7% | 8.3% | 7.1% | 10.2% |
職歴がない状態での就職活動は、年齢が上がるほど大変になっていくことは避けられないといえます。
無職の期間が長いほど就職では確実に不利になる
無職だった期間が長ければ長いほど、正社員就職においてはやはり不利になっていきます。完全に無職でなくとも「たまにアルバイトをしていた」などのフリーターであっても同様です。
厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査の概況」によると、過去3年間の間に「フリーターからの応募があり、実際に正社員として採用した」と回答した事業所の割合は18.5%です。その内訳を年齢層別にみると、以下の通りです。
- 15~34歳:10%
- 35~44歳:2.1%
いかがでしょうか。上記データには30代以外の年代も含まれていますが、企業が30代フリーターを正社員採用する確率はやはり低く、30代前半まででも約10人に1人、35歳以降になると約100人に2人程度の採用率ということがわかります。
企業からすると同じ30代でも、働いていなかった期間が長い人とある程度の社会人経験がある人が応募してきた場合、やはり後者を評価することのほうが多くはなってしまうでしょう。
30代無職は死ぬしかない、となぜ考えてしまう?
30代以降無職を続けてしまった場合でも、死ぬしかないということはありません。ですが、死ぬしかないのではないか?と思ってしまうような現状があることも事実です。
なぜ、死ぬしかないと思ってしまうのかという理由について解説していきますので、現状を客観的にみる参考にしてみてください。
就職ができなくなる
30代で無職のままだと「年齢のわりに社会人経験が少ない」と見なされるのが一般的です。無職期間が長ければ長いほど、企業の採用担当者からすると「いままで何をしていたのか」と、厳しい目で見られてしまうことは避けられないでしょう。
ズルズルと長年無職を続けた結果就職先が見つからなくなり、ずっと無職またはフリーターのまま、というふうになってしまう可能性もゼロではありません。
両親が亡くなると収入源が途絶える
実家暮らしで無職を続けていた場合でも、将来的に親が亡くなると収入源が途絶えてしまい、これまでのような生活ができなくなることが考えられます。自分が30代のうちはまだ親も若いかもしれませんが、当然親も歳を取っていきます。
親が働いていたり、定年退職後も年金暮らしで生活ができていたうちはよくても、その親がいなくなってしまえば、結局自分で稼がなくてはいけなくなるでしょう。
「収入がなくても生活保護がある」と考える人もいるかもしれません。もちろん最後の手段として使える方法ではありますが、生活保護を受給するためには、以下のような条件があります。
- 家や土地などの資産を持っていないこと
- 病気やケガなどの理由で働くことができない人
- 他の公的制度(就職支援や年金、手当などの給付制度)も受けられない人
- 家族や親戚にも資産がなく、家族や親戚に資金援助をしてもらうことが難しい人
将来確実に生活保護を受けられるとは限らないため、やはり親が元気なうちに、将来のことを考えて働きはじめるべきといえます。
結婚が難しい
30代無職の男性の場合、仮に「結婚したい」と考えても、やはり現実的には厳しいといえます。仮に無職の状態で恋人ができたとして、結婚することになった場合「どうやって生活していくつもりなのか」と相手の両親に反対されるのは目に見えています。
将来結婚して家庭を持ちたいのであれば、やはりまずは正社員で就職して、生活が安定してきてから考えるのが一番です。いまは共働き家庭が多いため、女性も、無職のままでは「結婚相手としては考えられない」と男性から敬遠されてしまう可能性があります。
男女ともに、まずは定職に就くことを優先させなければ、結婚することは難しいでしょう。
家族や親戚に厳しい目を向けられる
30代の無職は、やはり家族や親戚からの風当たりが厳しくなることは間違いないでしょう。「健康なのになぜ働かないのか」と言われたり、親を悩ませてしまったりすることにもなりかねません。実家暮らしで養ってもらっているのであれば、日に日に肩身も狭くなってしまいます。
通常であれば仕事をがんばっていたり家庭を築いていたりすることが多い年代にもかかわらず無職ということで、親戚からも「大丈夫なのか」と思われてしまう可能性は高いでしょう。
外に出て働く自信がなくなる
無職の生活が長くなると、どんどん外に出るのが億劫になります。「時間はあるけれどお金はない」という状況下になるため、部屋のなかでインターネットやゲームなどをしたり寝たりして過ごすなど、生活も乱れてしまいがちです。
毎日あり余る時間をひとりで過ごしていると、どんどん思考もネガティブになっていきます。いまの状況をなんとかしなければと考えつつも、「自分はダメな人間だ」「もう社会には出られない」などと思い込み、働く気力も自信もなくなるといった悪循環にも陥りやすくなるのです。
30代無職はどうすれば逆転できる?
30代で無職を続けた場合の末路についてご紹介しました。 しかし、30代無職の状態から逆転することは可能です。一般的な就職方法について解説します。
30代無職に一般的におすすめされる方法
30代無職が現状を脱出する方法は、主に以下の2つです。
- 生活を改善する
- 就職の準備をする
それぞれについて、ご紹介します。
生活を改善する
まずは規則正しい生活をしましょう。無職だとどうしても夜型になりがちですから、朝は少しでも早く起き、夜はしっかり寝る生活にすることから始めましょう。近所へ散歩に行ったりちょっとした買い物など、一日一回は外に出ることもおすすめです。
ポイントは、決して一気にがんばりすぎないことです。無職であることで、自信をなくして自分を責めてしまっている人も多いはずです。ほんの少しずつでも生活を変え、できたことは認めて自分をほめることをおすすめします。
就職の準備をする
就職の準備は、具体的に以下のようなことをやってみるのも有効です。
- 求人サイトを見てみる
- ハローワークへ行く
- ハローワークの職業訓練を受ける
- 短期バイトや在宅ワークをしてみる
- エージェントに相談する
どういった仕事があるのか、求人サイトを見てみたり、ハローワークに求職者登録をしてみる、というのも第一歩です。ハローワークで申し込み、職業訓練を受けてスキルを身に付けるのもおすすめです。条件に該当すれば、給付金を受け取りながら職業訓練を受講できます。
一日だけ、数時間だけなど、少しでも働いてお金を得るという経験をして自信を取り戻していくのもよいでしょう。いきなり外で働くのが怖い場合、クラウドソージングで、初心者でもできそうな案件に取り組んでみるのもよいかもしれません。
これらも生活改善同様、焦りすぎず一歩ずつ進めていきましょう。
30代無職から正社員就職を本気で目指す場合には、無職の方を支援対象としたエージェントを利用した就職活動が効率的でおすすめです。
30代無職から就職しやすい仕事を解説
30代無職から逆転する方法について、理解が深まったでしょうか。最後に、30代無職の状態からの就職におすすめの仕事を3つご紹介します。
- 営業職
- IT系の職種
- 販売職
これらは、30代未経験者でも採用されるチャンスが比較的多い仕事です。それぞれについて、解説します。
営業職
営業職は通年を通して、安定した求人があります。企業で扱う製品・サービスにおける知識などを学ぶのは就職してからになるため、未経験者でも入りやすい職種です。
営業職は常に求人がある仕事ということで、スキルを身につけることで転職などもしやすくなるため、将来的にいわゆる「食いっぱぐれ」がなくなる点も魅力です。
営業の仕事は、必ずしも話が上手だったり明るくおしゃべりだったりする必要はありません。扱う商材によってはむしろ落ち着いた雰囲気の人が好まれるケースもあるため、自分に合いそうな社風の企業を探すとよいでしょう。
IT系の職種
30代無職にオススメな仕事の2つ目は、IT系の職種です。たとえばプログラマーやエンジニアなどの仕事は、未経験者や30代からでも比較的就きやすい仕事といえます。
現在は、有料のプログラミングスクールやオンライン講座なども充実しています。エージェント型のものもあるため、一定のスキルを身に付けたうえで就職活動をするという方法も効率的です。
IT系の職種は専門性が高く需要が大きいのが魅力です。一方で、激務薄給の下請け企業などもなかにはあるため、企業選びの際には注意して見極める必要があります。
販売職
販売職は通年を通して人数が多く、30代の採用も実施しています。種類も食品・衣料品・雑貨の販売など多岐に渡るため、自分に合った店舗を選ぶことで長続きしやすくなるでしょう。
チェーン展開している店舗の場合、マニュアルや研修などが充実していることも多くなっています。人前に出る仕事という点で、従業員教育には一定の力を入れている企業が多いためです。そのため、職歴がない・少ない人でもスタートしやすい仕事でもあります。
ほかの職業と比べて学歴や職歴を問わない職場も少なくないため、30代無職の経歴がハンデになりにくいといえるでしょう。
「30代無職」に関するよくある質問
結論、30代前半でも5人に1人が正社員就職に成功する程度の割合です。年齢が上がるほど就職は不利になりがちなので、「30代無職の割合-職歴なしだと就職は厳しい?-」でより詳しいデータ等は紹介しているので一読して現状を把握していきましょう。
主には、コミュニケーションスキルが要求される仕事が就職しやすい仕事ではあります。専門的なスキルがなくとも就職できる仕事へ就き、専門性を高める選択肢もありますが、「30代無職から就職しやすい仕事を解説」で他の仕事についても解説しているので参考にして自分に合った仕事を見つけてみましょう。
まとめ
30代で無職という状態から就職することは簡単ではありませんが、可能です。そもそも、30代で無職であるのには何らかの事情があったはずです。いま無職だということだけで、人生に絶望するのはやめましょう。一方で、社会復帰をして正社員として働くことを希望するのであれば、いますぐ行動したほうがよい状況にあることも確かです。一歩ずつまず行動をしていきましょう。