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ブラック企業に中小企業が多いって本当?特徴やブラックになる理由

ブラック企業に中小企業が多いって本当?特徴やブラックになる理由

未払い残業代や長時間労働で社会問題になっているブラック企業は、これから仕事を探す人や転職を希望している方にとって、何よりも避けたい職場です。

しかし、働き始める前にその職場がブラック企業なのかを見分けることは非常に困難です。

特に、ブラック企業は中小企業に多いとよく言われますが、それは本当なのでしょうか。以下では、ブラック企業が中小企業に多いと言われる理由とともに、よくあるブラック企業の特徴6つを説明します。

ブラックに企業規模は関係ない!

ブラックに企業規模は関係ない!

結論、ブラック企業であるかどうかに、企業規模は関係ありません。

後程解説しますが、「家族経営」が主で「小規模経営」が多い企業は、「下請けの多重構造」に取り込まれやすいため、ブラック企業が多くなってしまいます。

しかし、ブラック企業は中小企業だけに存在する特徴的な問題ではありません。

大企業であれば、中小企業のようにブラック企業となる理由は少ないと思われるかもしれません。

しかし、会社規模には関係なく、ブラック企業は大企業にも、中小企業にも存在しています。

ブラック企業という社会問題

ブラック企業とは、長時間労働やハラスメント行為などが常態化し、残業代の未払いといった違法行為が行われている企業を指して使います。

また、このような過酷な環境での労働者の使い捨ては社会問題となっています。

就職活動をするにあたって、できれば関わりたくないものですが、就職活動をしている側からだと、企業実態は分かり難いためブラック企業であるかは容易に判別が付きません。

そのため、「大企業だからホワイト企業、中小や零細企業はブラック企業」というイメージを持ってしまうのは仕方のないことかもしれません。

大企業にもあるブラック企業体質

大手企業でありながらブラック企業となっている会社は、企業利益を優先するあまり、労働者を追い詰めているケースが多いです。

このようなブラック企業の過酷な労働環境によって、身体や精神に疾患を起こしてしまう事件は後を断ちません。

過酷な労働の果てに、過労死や自殺をしてしまう痛ましい事件の報道もされています。

ブラック企業となった大企業による事件は、次のような労働環境で起こりました。

過酷な長時間労働

大企業の中には、過剰な長時間労働や休日出勤を強いて、労働者を使い捨ての道具として扱うブラック企業も存在しています。

新人など経験の乏しい社員に、形だけの役職を与えた上で、残業代を支払わずに長時間労働を強いた例などがあります。

長時間労働は、その企業体質だけに問題があるのではなく、管理職や経営者のマネジメント能力が不足していることも一因です。

また、大企業による派遣社員や契約社員などを大量に雇入れ、必要がなくなれば全て解雇するという「派遣切り」なども、労働者を使い捨てにするブラックな会社環境として社会問題になりました。

会社を辞めるよう圧力をかける大規模ブラック企業

労働環境に問題のある大手のブラック企業では、即戦力となる人材だけを選択するため、労働者に過酷なノルマを与え、クリアできた者以外を排除するなどの行為が横行していたことがあります。

不要とみなされた人員には、人道的とは言えないノルマや業務を与え、精神的に追い詰めて退職を迫ります。

また、「退職部屋」と呼ばれる部屋で一切仕事を与えずに放置をし、精神的圧迫によって自ら退職をするように迫るという事件もありました。

常態化したハラスメント

その他にも、役職関係というヒエラルキーを使っての、パワハラやセクハラなどが常態化している全国的なブラック企業も存在していました。

ハラスメントが常態化した会社に入社してしまうと、退職願を受け取らないなどの嫌がらせによって、簡単に退職させてもらえない場合があります。

また、多額の損金を退職希望者に請求をしたり、転職先を探す際に嫌がらせをしたりする大手ブラック企業も存在しています。

会社規模に関わらずブラック企業は存在する

国もブラック企業に対しての取り締まりを強化しています。

厚生労働省がブラック企業の実態を調査し、労働関係法令についての違法行為によって書類送検された、企業名、所在地、公表日、違反法条、事案概要などを公開しています。

また、中小企業の求人情報が多いハローワークでは、労働条件が悪く、ブラック企業のおそれがある企業の掲載を排除し、公正な企業で働けるような配慮を行っています。

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中小企業にブラックが多いと言われる理由とは?

ブラック企業は特に中小企業に多いと言われていますが、本当はどうなのでしょうか?そして、なぜ中小企業にはブラック企業が多いと言われるのでしょうか。

それには「家族経営」「小規模経営」「下請けの多重構造」という、ブラック企業になりやすい3つの要素が大きく関連しています。

家族経営

日本の中小企業は、創業者が社長となり一族が企業経営を行う、トップダウン式の家族経営が多いです。

取締役や部長などの管理職も家族が行っているケースが多いため、企業の中から企業体質に異議を唱えるのは難しく、ブラック企業化しやすい傾向にあります。

身内びいきでブラック企業になる中小企業も

家族経営の企業はどうしても身内びいきになりやすいです。親族は厚遇され、それ以外の社員は使い捨てという場合もあります。

企業が労働者を雇うには、労働基準法などの法律を順守しなければなりません。

しかし、家族経営では、法律を学び、ルールを順守することが疎かになりがちです。

そのため、経営者たちに社員を冷遇するつもりがなくても、ブラック企業化する場合があります。

労働組合が無くてブラック企業になってしまう中小企業

また、家族経営の企業では、労働者が声を上げるのが難しいです。

中小企業では労働組合が作られていないケースが多く、労働問題を当事者と会社だけで解決するには大変難しいです。経営者と労働者は力関係が平等ではありません。

そのため、労働者は団結して企業に自分たちの意見を発します。

労働組合が作られていない会社では、労働問題に対して交渉することができないため、企業のブラック化を許してしまいます。

労働組合がない会社での経営者は、労働者から不満の声が上がらないため、従来通りの企業経営で間違いはないと勘違いを起こしやすいです。

小規模企業

中小企業は小規模経営が多いため、売上や経営の安全性で表される「企業体力」に欠けていることが多いです。

企業体力が欠けるとどうなる?

企業体力に欠けると、利益を得るために必要な社員教育が、疎かになる場合があります。

教育が出来ていない社員を即戦力として使い、成果が足りないために長時間労働や休日出勤を強いてしまいやすいです。まさに、よくあるブラック企業と言えるでしょう。

法律を守らないブラック企業になりやすい小規模経営

また、小さなコミュニティを構成しやすい小規模経営の企業では、法律が守られていなくとも、それが当たり前として見逃されてしまう場合があります。

経営者は客観的な視点に立ち、自らの企業体質を戒めなければならないのでしょうが、それもままなりません。

なぜなら、法律や法令違反などについて、指摘する者が小規模経営の会社にはいないからです。

小規模会社では従業員の数も少なく、その意見は直接経営者に届きやすい反面、経営者から目をつけられやすいです。

そのような環境なので、企業への不満を経営者に向けて口にする社員が少ないのは、当然のことでしょう。

多重下請け構造

下請けの一部の企業や労働者が、苦労を強いられていることがあります。

下請け自体に問題はない

日本の多くの中小企業は、大企業から仕事を請ける「下請け」として、仕事を得ています。

大企業から直接に仕事を得るだけでなく中間業者を挟んだり、IT業界や建設業界などの場合、2次請けや3次請けといった「多重下請け構造」のなかで仕事をしていることがあります。

もちろん、下請けの仕事をして高いクオリティの商品・サービスをつくる有名・優良企業も多く、適正な労働時間・人員・報酬で、問題なく下請けの仕事に取り組んでいる企業もたくさんあります。

悪循環の構造が社員を疲弊させる

しかし発注側や中間業者に問題があったり「下請けの下請けの下請け」などのピラミッド構造の下の階層にいったりすると、無茶な納期を要求され、期限内に仕事を終わらせるために深夜残業をしたり、休日出勤をしたりせざるを得ないケースもあります。

発注される内容によっては細分化された単純作業のみとなってしまい、仕事をこなしても企業はスキルを蓄積できず「多重下請け構造」から抜け出ることがむずかしいという問題もあります。

また、下請けの階層が下になればなるほどその企業が得られる利益は削られていくため、安い報酬になりがちという現状があるのです。

残業時間が長かったり休みが少なかったりするにもかかわらず給料が低いと、当然のことながら現場の社員の不平不満が溜まり、退職者が出てきます。退職者が出ると、人員が増えるまではいるメンバーで仕事を回さなければいけなくなるため、ますます業務量が増えるという悪循環に陥ってしまうのです。

ブラック企業によくある特徴

気をつけて!ブラック企業によくある特徴

ブラック企業は会社規模に関わらず存在します。仕事を探す際にはなるべくブラック企業は避けたいものです。

では、ブラック企業であるかを見抜く方法はあるのでしょうか。

全ての企業にあてはまるわけではありませんが、ブラック企業になりやすい会社には、幾つかの特徴があります。

  1. ワンマン過ぎる経営者
  2. 経理がいい加減で書類などの管理がずさん
  3. セクハラなどの嫌がらせが横行
  4. 不当に低い基本給や内容不明の手当
  5. みなし残業制で、残業代ゼロが基本
  6. 社員による利益の穴埋め
  7. 従業員の入れ替わりが激しい
  8. アルバイトの比率が高い
  9. 新卒の採用枠が異常に多い
  10. 常に求人サイトに掲載されている
  11. 面接の回数が少ない
  12. 離職率が高い

それぞれについて詳しく紹介していきます。

ワンマン過ぎる経営者:ブラック企業の特徴1

ワンマンな経営者が取り仕切る会社では、その企業体質から、ブラック企業化しやすいので注意が必要です。

ワンマンという経営方法が全てブラック企業化するわけではありません。

しかし、自分の考えが中心となりやすく、周囲から異論が唱えられることの少ないワンマン経営は、独善的で支配的になりやすいです。

次のような特徴が見られた場合には、既にブラック企業化していると考えてよいでしょう。

  • 理不尽に叱りつける
  • 手柄を経営者が独占する
  • お気に入りの社員を優遇する
  • 部下に失態を押し付ける
  • 「仕事を辞めろ」と圧力をかける

また、ワンマン経営は、経営者の意見によって企業方針が変わってきます。

例えば、新しいプロジェクトが、経営者の意見が変わるたびに頓挫してしまっては、企業はいつまで経っても新しいチャレンジができません。

その結果、新しく利益を得る手法が見つからないため、社員は長時間労働によってブラック企業を支えなければならないという事態に陥ります。

そのため、意見がコロコロ変わる経営者がいる企業は、ブラック企業化しやすい素養があるといえます。

経理がいい加減で書類などの管理がずさん:ブラック企業の特徴2

会社の書類や物品の管理がしっかりできていない会社は要注意なブラック企業です。会社は取引の記録やお金の支出について記録をする必要があります。

会社の経営を行うためには、沢山の法令を順守しなければなりません。

法令を順守するためには、利益や支出について正しく把握していることが求められます。

それゆえに、経理が疎かで物品管理ができていない会社は、法令遵守に対する意識が欠けているといえるでしょう。

面接時などに、整理が行き届いていない書棚などを見かけたら、ブラック企業でないかを疑うべきです。

セクハラなどの嫌がらせが横行:ブラック企業の特徴3

セクシャルハラスメントをはじめ、パワーハラスメント、マタニティ・ハラスメントなどが横行している会社は、紛れもないブラック企業です。

ハラスメントは「コミュニケーション」や「教育」などと名前を変えて公然と行っている場合があります。

特にノルマが達成できなかった場合に、怒鳴る、度を越した説教を行う、物を叩いて威嚇するなどはパワハラの典型です。

しかし、ハラスメントの概念は年々変化しています。そのため、新人社員と古参の社員ではその認識にズレがあることが少なくありません。

ハラスメントを放置しているブラック企業であるかを見抜くには、面接などの際にハラスメントについて質問をするとよいかもしれません。

ハラスメントの認識に世間とズレがあると感じたときは、要注意です。

不当に低い基本給や内容不明の手当:ブラック企業の特徴4

各都道府県には、時給換算された、最低給与額が決まっています。

ブラック企業ではこの額面に従わない、不当に安い基本給が支払われている場合があります。

所定の労働時間で基本給を割った結果の額面が、最低給与額と同等、もしくは低い会社は避けるべきでしょう。

また、ブラック企業では会社利益を確保するために、労働者に支払わなければならない手当を、別の手当に置き換えてごまかしていることがあります。

ですから、内容がわからない手当が支給されている会社には注意しなければなりません。

手当の支払いで最も問題になっているのが残業手当です。

みなし残業制で、残業代ゼロが基本:ブラック企業の特徴5

みなし残業制をとっているブラック企業では、残業代が支払われないおそれがあります。

みなし残業制とは、あらかじめ企業が設定した残業時間分を働いたものとみなし、給与として支給する制度です。

企業が設定した残業時間を超えた労働については、残業代金を支払う必要があります。

ですが、残業手当を支払いたくないがために、タイムカードを改ざんするブラック企業もあります。

また、残業が出ないことが、当然の会社のルールであるかのように社員に説明しているケースもあるため、みなし残業には警戒しなければなりません。

社員による利益の穴埋め:ブラック企業の特徴6

ノルマを達成できなかった場合や、損金が発生したときに、社員にすべて負担をさせる企業はブラック企業の可能性があります。

ノルマを達成できないのは、企業目標が高すぎるのも原因です。

しかし、ブラック企業では目標の修正は行わずに、その責任の全てを社員に押し付け、利益の穴埋めを求めます。

社員による利益の穴埋めは、多くのブラック企業で行われている方法です。

従業員の入れ替わりが激しい:ブラック企業の特徴7

ハローワークなどの求人を調べると、いつでも従業員を募集している会社があります。

そのような会社はブラック企業である可能性が否定できません。ブラック企業には人が定着せず、離職率が高いためです。

人員を補うために、常に人員を募集しなければ、会社運営が成り立ちません。

また、ノルマを厳しくして労働者を使い捨てするようなブラック企業では、労働者を大量採用している場合があります。

そのような会社では、採用のハードルが低く、面接の回数も少ない傾向にあります。

社員に若い人や入社歴が短い人が多く感じたときには、離職率の高いブラック企業ではないかと疑ってみるべきでしょう。

アルバイトの比率が高い:ブラック企業の特徴8

社員よりアルバイトなどの非正規労働者が多いのも、ブラック企業の特徴のひとつです。アルバイトの比率が高い飲食店などは、もちろんブラック企業はそのなかの一部ではあるものの、代表例といえるでしょう。

アルバイトスタッフには簡単な仕事は任せることができるものの、トラブルやクレームなどが発生したときの対応はできず、その責任はすべて社員が取ることになってしまいます。アルバイトばかりの企業の場合、離職率が高く、社員を採用したくてもアルバイトしか集まらないという可能性もあります。

また、アルバイトのほうが社員よりもコストがかからないほか、会社の経営が落ち込んだときに切りやすいということも考えられます。

新卒の採用枠が異常に多い:ブラック企業の特徴9

新卒の採用枠があまりに多い企業は、ブラック企業の可能性があります。もともとの従業員数が多い大手企業などのケースをのぞき、中小やベンチャーにもかかわらず、やたらと新卒をたくさん採用する企業には注意が必要です。

新卒を多く採用するのは、人材業界や不動産業界などの営業職に多い傾向があります。なかには、入社時に200人以上採用し、1年後に残っているのはそのうちの3分の1程度という企業もあります。

「会社が大きいから」「事業が急成長しているから」などの前向きな理由ではなく「入社してもある程度は辞める」ことを前提に、新卒をたくさん採用している企業も存在するのです。

常に求人サイトに掲載されている:ブラック企業の特徴10

企業が求人を出す場合、新卒一括採用のほか、欠員が出たときや事業を展開したいとき、特定のスキルを持った人材を採用したいときなどに中途採用をおこなうのが一般的です。

しかし、なかには求人サイトにいつも掲載されていたり、ひんぱんに求人情報を出していたりする企業があります。

本当に事業が急拡大して人員が不足しているケースなどをのぞき、常に募集しているということは、人手不足が恒常化していたり、定着率が悪く入社してもすぐに辞められてしまったりしている可能性が高いことを意味しています。

面接の回数が少ない:ブラック企業の特徴11

通常、正社員として採用する場合は、入社までに面接の回数を少なくとも2~3回は設けていることがほとんどです。人事担当や現場社員、役員など、複数の目で見てその人材を判断し、自社にふさわしい人材かどうかをチェックするためです。

しかしブラック企業では、1回の面接で採用が決まることがあります。正社員を雇用すると簡単には解雇できないため、数回面接をして慎重に決めるのが普通ですが、すぐに内定を出すケースも少なくありません。

面接の回数が少ない場合、定着率が悪く社員数が少ないため現場社員が人事も兼ねていたり、最初から辞める可能性も見込んで採用していたりすることもあります。

離職率が高い:ブラック企業の特徴12

厚生労働省の「新規学卒者の3年以内の離職状況」によれば、平成28年度卒の新卒者の離職率は32%と、約3人に1人は新卒で入社した企業を辞めている状況です。

なかでも、ブラックな労働環境になりがちといわれている飲食・宿泊業界の離職率は50.4%、医療・福祉業界は39%となっており、全体から見ても高い離職率です。

離職率が高いということだけで判断することが正解ではないものの、離職率の高い業界に入社したいと考えている場合、まずはその業界について調べてみて「早く辞めたくなってしまう理由があるのかも」などの視点から分析してみたほうがよいでしょう。

ブラック企業で働いていると思ったら

仕事にやりがいや意味を見出すためには、適切な職場環境は欠かせません。ブラック企業では、いくら成果を出しても、正当な形で評価されません。

そのため次の仕事に転職するまでは、頑張り過ぎないようにすることが大切です。

また、会社のブラック企業体質に対して意見がある場合には、必ず次の転職先を用意して、いつでも辞められる状態にしてから、意見を言うようにしましょう。

ブラック企業を見極めるポイントと注意点

ブラック企業を見極めるポイントと注意点

入社前に、その企業がブラック企業かどうかを見極める際のポイントと注意点についてご紹介します。

ブラック企業を見極めるポイント

入社を検討している企業がブラック企業かどうか知りたい場合、以下のことに取り組んで判断材料にしてみるとよいでしょう。

ポイント1.社員のクチコミをチェックする

現在は、OpenWork、転職会議、カイシャの評判のように、現職で勤務する社員や元社員の社員クチコミを閲覧できるサイトがあります。

入社前はどうしても企業のリアルな職場環境を知ることはむずかしいため、自分が外から見ている企業のイメージと、実際に働いている・働いていた人のクチコミを照らし合わせて入社を検討することをおすすめします。

生の声を知っておくことで入社後のギャップが少なくなったり、複数の口コミサイトであきらかに悪い評判が多い企業は、はじめから除外できます。

ただし、ミスマッチや一方的な不満で辞めた社員がアカウントを使い分けてその企業の悪い評判を書いていたり、かたよった主観のみで書いていたりするケースもあります。また、昔は本当にブラックな職場環境だったものの現在は改善されているということもあるため、口コミの情報だけを鵜呑みにするのはやめましょう。

ポイント2.企業の離職率を調べる

企業選びの際には「なんとなくこの企業はよさそう・問題がありそう」という主観だけでなく、かならず客観的な数字も見る必要があります。「離職率が低い=その企業に問題がない」というわけではありませんが、企業で働いているのは人のため、長く働く人がどの程度いるのかはひとつの目安となります。

現在はインターネットなどで調べれば離職率のデータや離職率の低い企業のランキングなどが出てくるため、事前に調べておくとよいでしょう。

ポイント3.現場や社内を見学する

採用面接がすすみ、役員面接などの最終面接などを受けることになった場合、できる限り、最終面接の前に社内や仕事現場などの見学をさせてもらうことをおすすめします。

最終面接を受けるということは、その企業に入社する可能性が高くなっているということです。社内の様子を見ることで、実際に働いたときのイメージができます。

社内の様子を見るときにとくにチェックすべきなのは、雰囲気と社員です。「フロア全体が殺伐としていて怖いと感じる」「上司らしき人が部下を異常に強い口調で叱責している」「社員の表情があきらかに暗い・疲弊しきっている」などの場合、すべてではありませんがブラック企業である可能性があります。

もちろん、見にいったのがたまたま繁忙期やいそがしい時間帯のケースもありますし、一部分だけを見てその企業のことを判断できるわけではありませんが、雰囲気や社員を見ることである程度の職場環境はわかります。「ちょっと変だな」と感じたら、入社前に再度企業のことを調べるなど慎重にすすめましょう。

ブラック企業を見極める注意点

ブラック企業に入社してしまい早期離職になることを避けるために、以下のことに注意するとよいでしょう。

注意点1.人事の社員だけで判断しない

エントリー後のやりとりや最初の面接などは、人事が担当するケースが多くなります。その際、人事担当者に対して「親切で優しいな」と感じて企業の印象がよくなることも少なくありません。

しかし、企業の人事担当者を「いい人」と感じるのはある意味当たり前といえます。人事担当の社員は就活生や転職者がはじめて会う社員であり、いわば企業の顔です。そのため、人あたりのいい社員が配属されていたり、そのような教育を受けていたりする傾向が高いのです。

人事担当者を見て「この人と一緒に働きたいな」と思っても、そもそも配属部署やフロア、勤務場所が異なり、入社後はほとんど交流しない可能性もあります。「職場の雰囲気や離職率の高さなど引っかかる点はあるものの、人事担当者の印象がよかったから大丈夫だろう」という安易な考えはやめたほうがよいでしょう。

注意点2.離職率が高い業界=ブラック企業ではない

飲食・宿泊・医療・福祉・人材業界など、離職率の高い業界は、どうしてもブラック企業が多いというイメージを持ってしまいがちです。離職率が高い業界であっても、なかには離職率が低く、従業員満足度の高い企業ももちろん存在します。

離職率の高い業界のなかでも社員が長く働きやすい企業の特徴として「きちんと休日が取れる体制をととのえている」「労働時間が適切である」「給与水準が低い業界のなかでも給与が高め」「経営が安定している」「職場の風通しがよい」などがあります。

たとえば、飲食業界に行きたいという気持ちが強いのに「飲食業界はブラック企業しかないだろうし、休みが取れないと聞くからやめておこう」などと、イメージだけであきらめてしまうのはもったいないといえます。

業界に偏見をもたずに離職率の低い企業や評判のよい企業がないか探してみるなど、一度自分なりに調べてみることをおすすめします。

注意点3.ブラック企業の定義は人それぞれ

ひとことで「ブラック企業」といっても、結局のところ、企業に対する価値観は人それぞれです。たとえば「やりがいのある仕事だが、深夜残業や休日出勤になることも少なくない」という場合、外から見たらブラック企業という印象を受けることもあります。

結局のところ、自分の大切にしたい価値観や基準と企業が求める価値観・基準がマッチしていれば、どの企業で働いても問題はないということも事実です。

実際に「ブラック企業大賞」にノミネートされるような企業にも長く働いている人は存在しますし、その会社が好きで仕事が楽しいと考えている人もいます。また、ブラックな職場環境にあってもそこで高く評価されていたり、よい待遇を受けたりしている人にとっては、居心地がいいと感じるでしょう。

ブラック企業の定義は、最終的には「働く本人がどう思うか」という点が大きいということを頭に入れておきましょう。

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古庄 拓執行役員兼マーケティング開発部長
株式会社ジェイック執行役員兼マーケティング開発部長。IT業界・コンサルティング業界等への転職支援からキャリアを開始。大学キャリアセンターとの就職支援プロジェクト(2021年2月末:102大学と連携)、新卒の就職支援事業、リーダー研修事業など、複数サービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。新卒の就職、中途の転職、また企業側の採用・育成事情に詳しい。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等