理系の仕事は就活で有利なのでしょうか。この記事では、理系学生が仕事探しや就活に有利な理由と、おすすめの仕事について紹介します。おすすめの業界についても紹介するので、理系の仕事や就職先に悩んでいる学生は、ぜひ参考にしてみてください。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
理系の仕事でおすすめの仕事/資格/業界
理系出身者におすすめの仕事や就職先、取得できる・取得するとよい資格、理系出身者が活躍できる業界についてご紹介します。
【学部/学科別】理系の仕事の種類と仕事に有利な資格
理系の大学の学部学科別の仕事や主な就職先、おすすめの資格をご紹介します。
電気・電子工学系出身者の場合
電気電子工学系出身者に適した仕事には、以下があります。
- 電子回路技術者
- 電気設備設計
- 品質管理
- 発電設備の維持管理
- 電気工事の施工管理
- サービスエンジニア
就職先の例としては、以下が考えられます。
- 自動車メーカー
- 家電メーカー
- 電子部品メーカー
- 精密機器メーカー
電気電子工学系出身者におすすめの資格には、以下があります。
- 第三種電気主任技術者(電験三種)
資格の学校TACの「電験三種 合格発表! 合格基準点合格率講師による試験傾向分析」によれば、令和元年の第三種電気主任技術者の受験者数は41,543人で合格率は3,879人、合格率は9.3%です。
引用:資格の学校TAC「電験三種 合格発表! 合格基準点合格率講師による試験傾向分析」
10人に1人以下の合格率であることからも、非常に難易度の高い資格であることがわかります。この資格を持っていると電気の専門知識があるとみなされるため、就職や転職がしやすい点がメリットです。
機械系出身者の場合
機械系出身者に適した仕事には、以下があります。
- 機械設計技術士
- 機械製造
- セールスエンジニア
- 金型設計
- 品質管理
- 生産技術・生産設備設計
- 機械系研究職
- 公営交通車両のメンテナンス
- 機械設備の建設・保全
比較的、技術職や研究開発職などが多いといえるでしょう。
就職先の例としては、以下が考えられます。
- 自動車メーカー
- 重機メーカー
- 精密機器メーカー
機械系出身者におすすめの資格には、以下があります。
- 機械設計技術者
- 技術士(機械部門)
一般社団法人日本機械設計工業会の「過去10年間の機械設計技術者試験受験者数合格者数データ」によれば、機械設計技術者の3級の合格率は30%、2級は29%、1級は35%と、約3割前後の合格率です。在学中に試験を受け、資格を取得する学生もいます。
引用:一般社団法人日本機械設計工業会「過去10年間の機械設計技術者試験受験者数合格者数データ」
技術士にはさまざまな部門があり、機械部門も存在します。JESの「技術士試験の合格率」によれば、平成27年度の機械部門の合格率は21%であることがわかっています。
引用:JES「技術士試験の合格率」
情報通信系出身者の場合
情報通信系出身者に適した仕事には、以下があります。
- システムエンジニア
- プログラマ
- 情報通信技術者
- 保守管理
- ヘルプデスク
就職先の例としては、以下が考えられます。
- IT系企業
- 精密機器メーカー
- システムインテグレーター
情報通信系出身者におすすめの資格には、以下があります。
- 基本情報技術者
ITエンジニアの登竜門とも呼ばれる試験です。情報処理推進機構の「令和元年度秋期情報処理技術者試験(情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験)の合格者を発表」によれば、基本情報技術者の受験者数で66,870名で合格者数は19,069名、合格率は28.5%となっています。
引用:情報処理推進機構「令和元年度秋期情報処理技術者試験(情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験)の合格者を発表」
医学・薬学系出身者の場合
医学・薬学系出身者に適した仕事には、以下があります。
- 医師
- 看護師、助産師
- 薬剤師
- 歯科医師
- 臨床検査技師
就職先の例としては、以下が考えられます。
- 病院、助産院
- 調剤薬局、製薬会社
- 歯科医院
- 医薬品メーカー
医学・薬学系出身者におすすめの資格には、以下があります。
- 医師免許
- 看護師免許、助産師免許
- 薬剤師免許
- 歯科医師免許
- 臨床検査技師資格
TECOMの「第114回医師国家試験合格状況」によると、第114回の医師国家の受験者数は10,140人で合格者数は9,341人、合格率は92.1%であることがわかっています。医学薬学系の場合、難易度は高いものの、大学で専門知識を学び努力して勉強することで資格を取得できている人が多いことがわかります。
引用:TECOM「第114回医師国家試験合格状況」
資格を活かして働く人が大半ですが、なかには、大学で学んだ技術やスキルを活かして一般企業の医療・製薬系の研究開発やMRなどの仕事に就く人もいます。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
農学系出身者の場合
農学系出身者に適した仕事には、以下があります。
- 製造
- 研究職
- 品質管理
- 臨床開発
- 公務員
就職先の例としては、以下が考えられます。
- 農産物系、環境系企業農産物系、環境系企業
- 種苗メーカー
- 農林水産省、水産庁、環境庁など
- 学校
農学系出身者におすすめの資格には、以下があります。
- ビオトープ管理士
ビオトープ管理士は、自然生態系を守るビオトープ事業に必要な知識や技術を認定する資格です。計画管理士と施工管理士があり、ビオトープ管理士試験の公式サイトによれば、資格取得者は13500人以上であることがわかっています。
引用:ビオトープ管理士試験
建築・土木系出身者の場合
建築土木系出身者に適した仕事には、以下があります。
- 建築士、設計士
- 建築デザイナー
- 土木設計技術者
- 土木施工管理
- 測量士
就職先の例としては、以下が考えられます。
- 設計事務所
- 工務店
- ハウスメーカー
- 不動産業界
建築土木系出身者におすすめの資格には、以下があります。
- 建築士(一級、二級、木造)
令和2年の試験からは、大学で指定科目の履修をした場合は卒業後に実務経験がなくても受験できるようになるなど、受験資格が緩和されています。日建学院の公式サイトによれば、令和元年の一級建築士の試験結果は、受験者数が25,132人で合格者数が5,729人と、合格率は22.8%となっています。
引用:日建学院
理学系(化学、生物学、数学、物理学、地学など)出身者の場合
理学系出身者に適した仕事には、以下があります。
- 研究開発
- 品質管理
- 製造
- 地方公務員
- アルゴリズム開発
- データサイエンティスト
- アクチュアリー
- 金融・証券アナリスト(クォンツアナリスト)
- 教員
- 臨床開発
- 地盤調査
- データサイエンティスト
- 環境分析技術者
- 気象予報士
就職先の例としては、以下が考えられます。
- 化学メーカー
- 食品、飲料メーカー
- 化粧品メーカー
- エネルギー系企業
- 都市整備局、水道局など
理学系出身者におすすめの資格には、以下があります。
- 危険物取扱者(甲種、乙種、丙種)
- 教員免許
危険物取扱者は国家資格のひとつで、全ての危険物を取り扱うことができる甲種のみ、大学などで化学系の学科などを学んで卒業した人などに受験資格が与えられます。乙種、丙種は誰でも受験が可能です。
スタディングの「危険物取扱者『甲種・乙種・丙種』の違いについて」によれば、2017年度の危険物取扱者の甲種の受験者数は16,824名で合格者は6,329名、合格率は37.6%となっています。
引用:スタディング「危険物取扱者『甲種・乙種・丙種』の違いについて」
理学系の知識を活かして安定した職業に就きたい学生は公務員として就職を目指すほか、同じく公務員である教員を目指すのもひとつの選択肢です。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
理系の仕事でおすすめの業界
ここでは、理系の大学卒や大学院卒の学生が仕事で活躍できる業界を紹介します。
- IT業界
- メーカー業界
- 金融業界
- 製薬業界
それぞれの業界について見ていきましょう。
IT業界
経済産業省の「理工系人材育成に係る現状分析データの整理」によれば、情報系の職種の内訳の約70%がシステムエンジニアであり、情報・通信系や機械系出身の学生の知識やスキルが求められていることが考えられます。
引用:経済産業省「理工系人材育成に係る現状分析データの整理」
新卒の場合は入社後にプログラミング研修などが実施されるものの、プログラムを読む、書くといった作業は、圧倒的に理系出身者のほうが有利といえます。
システムエンジニアはシステムの要件定義や基本設計、プログラマは詳細設計、プログラミングなどをおこないます。プログラマで数年間経験を積んだのちにシステムエンジニアになるという流れから考えても、全体の設計図を論理的に組み立てられる理系の能力は、企業から求められるといえます。
メーカー業界
理系の学生が選ぶ人気企業のうち、トヨタ、ソニー、明治、サントリーなどの大手メーカーは、上位にランクインしています。
とくに研究開発職は、その分野における高い専門知識とスキルが要求されます。学士卒業レベルのスキルでは及ばず、大学院レベルのスキルが求められることがほとんどでしょう。
大手メーカーの研究職は、応募条件においては修士課程以上という制限を設けていることが珍しくありません。なかには理系の大学院卒でないと応募すらできない職種もあるため、院卒には有利です。
実際に店頭に流通する商品の研究開発に取り組めるため、やりがいの大きな業界のひとつといえます。
金融業界
アエラドットの「銀行が『理系採用』を拡大、企業トップも理系が続々誕生 AI・デジタル人材重視の動き」によれば、近年は大手銀行などを中心に、数理的な素養のある理系出身者を積極的に採用するようになっているとされています。
理系出身者は論理的思考力に優れていたり、数字やデータをあつかうことに慣れていたり、感覚ではなく理論的に考えたアウトプットを出したりできるなどの強みがあります。
金融業界というお金をあつかう業界の専門分野では、数字に強い理系の力が求められる傾向があります。たとえば、投資戦略や金融商品を分析するクオンツ、市場分析・調査をおこなう証券アナリストなどは、理系が強みを発揮できる専門職種です。
製薬業界
リスクモンスターが2020年に発表した「第6回『就職したい企業・業種ランキング』調査」によれば、理系の学生のランキングの4位に大塚製薬、7位に武田薬品、8位にアステラス製薬と、上位10社のうち3社を占める結果となっています。
引用:リスクモンスター「第6回『就職したい企業・業種ランキング』調査」
私たちの命を守ったり、病気やその予防などに効果をもたらしたりする薬を開発する製薬業界は、なくてはならない業界です。
製薬業界の場合、営業や総務など一部をのぞいて、臨床開発や製品・技術開発、品質管理や薬事担当など、理系出身者でなければできない職種がほとんどです。専門的な職種に就いてキャリアを積み、ステップアップしていけるでしょう。
ほかの業界とくらべて給与が高い傾向にあるのも、製薬業界の魅力のひとつです。つねに世間の需要があり、不況など環境の変化があってもあおりを受けにくいなど、長く働いていく業界としてもおすすめです。
なお、理系の就職に関する情報は、以下の記事で詳しくご紹介しています。
理系の就職について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
理系の仕事で活躍できる場は多い
理系出身者は就職に有利だと言われています。専門知識やスキルを身につけていることから、希望の仕事に就ける可能性が高くなるのです。身につけた専門知識やスキルをその後の人生でも生かし、さらに深めていくことは大切ですが、就職先は1つだけではありません。電気・電子系、機械系など理系とひとくくりに言ってもその分野は多岐にわたるため、興味のある仕事を見つけてチャレンジしてみましょう。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
⇓⇓25卒・26卒の方はコチラ⇓⇓