就活のグループディスカッションのために必要な対策をご存知でしょうか。グループディスカッションは面接や自己分析などのほかに、企業の選考に影響するものです。この記事では、グループディスカッションの意味や進め方、出題テーマ、注意点などについて解説します。
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就活におけるグループディスカッションの流れを紹介
就活におけるグループディスカッションは、企業の選考で重要な要素のひとつです。出題テーマや実際の進め方、役割分担について知り、対策を行いましょう。
グループディスカッションとは
グループディスカッションとは企業の採用試験で課される選考形式の1つです。大学の授業などでグループディスカッションを経験した事のある人も少なくないでしょう。採用試験におけるグループディスカッションでは企業が提示したテーマについて学生数名がグループを作り、議論を行い1つの結論を出します。企業側からすると、一度に複数の学生をチェックする事が出来るので効率的な採用活動が可能となるのです。また、通常の面接試験では学生が面接官とのやり取りで直接自分をアピールしますが、グループディスカッションでは学生が周囲の人間とどのように協力しているのかを見る事が出来ます。入社後に自社で働いてもらう際のイメージをしやすいというのも、企業側がグループディスカッションを行うポイントです。
グループディスカッションでの出題テーマ
グループディスカッションで出題される議論テーマは企業によって様々ですが、ある程度の傾向は見られます。出題される頻出テーマとしては「課題解決型」「新規事業立案型」「討論型」の3つが挙げられるでしょう。それぞれのテーマで議論の進め方が異なるので、個別に対策を講じておく事が重要です。
課題解決型
課題解決型では与えられたテーマが抱える問題点を解決に導く議論を行います。具体的な例で言えば「業界でナンバーワンになるためにはどうすれば良いか」「売り上げを伸ばすためにはすべき取り組みは何か」などが課題解決型のテーマです。
新規事業立案型
「〇〇社が起ち上げる△△な人に向けた新規事業を考えよ」といったテーマは新規事業立案型と呼ばれます。学生の斬新な発想力や企画力、現実味のある計画力などが見極められるテーマです。
討論型
討論型では「リーダーに必要なものとは何か」「理想の新卒採用を考える」「2024年のオリンピックはどこで開催するべきか」と言った比較的抽象的な内容を扱う事が多いです。前提確認や積極的なアイデア出しなど、グループディスカッションの基本が問われるテーマと言えるでしょう。
グループディスカッションの進め方
グループディスカッションでは学生が主体的に議論を進めていきますが、議論をまとめるためにはある程度のルールやテンプレートを押さえておく事が大切です。ここからはグループディスカッションの進め方について見ていきましょう。
進め方1.時間配分を決める
採用試験で行うグループディスカッションは限られた時間の中で効率的に進行していかなければなりません。そのため、議論が始まったらまずディスカッションの各フェーズにかける時間の配分を決めるようにしましょう。これを怠ってしまうと議論の中でアイデア出しに時間がかかり過ぎてしまい、最終的に議論の結論まで辿り着けなかったという事態を招きやすくなります。例えば、制限時間30分のグループディスカッションが課せられた場合には以下のような時間配分が考えられるでしょう。
- ゴールを設定するために2分
- アイデアをブレストするための10分
- アイデアを整理する10分
- 発表に向けて議論の内容をまとめるのに3分
- 代表者の発表練習に3分
- 予備時間として2分
単純に結論を出すための時間だけではなく、内容の精査や発表者が予行演習を行う時間を確保しておく事が重要です。2分程時間に余裕を持たせておくと安心でしょう。
進め方2.前提確認を行う
採用試験のグループディスカッションでは当日初めて顔を合わせるメンバーとの円滑なコミュニケーションが求められます。ここで重要になるのは「前提確認(課題の定義)」であると言えるでしょう。採用試験という限られた時間の中で効率的に議論を進行するためには、グループのメンバー間で議論のゴールや課題を明確に共有しておく事が大切なのです。
例えば企業から「居酒屋の売り上げをアップさせる」というテーマが課されたとします。この場合、居酒屋の立地・商材・ターゲット層などの要素によって議論の内容が大きく変わってくるでしょう。メンバー間で「居酒屋」というイメージが共有出来ていても、その具体的な情報は予め前提条件として定義しておかなければ議論をスムーズに進める事が難しいのです。また、議論のゴールである「売り上げ向上」という点において「売り上げをいくらアップさせるのか」といったように具体性を持たせると、各メンバーのアイデア出しのフォーカスが合うようになります。このように課されたテーマについて具体的なイメージを共有してから議論を始める事は、グループディスカッションにおいて重要なポイントです。
進め方3.アイデア出しをする
時間配分・前提確認という最低限の準備が整ったら、いよいよ本格的にグループディスカッションが開始となります。ディスカッションを質の高い結論へ導くためには、まずアイデアを出しを積極的に行うようにしましょう。このアイデア出しは、誰か一人がたくさんの意見を述べれば良いという訳ではありません。多角的な視点を得るためには、各メンバーから様々な意見を引き出す事が重要なのです。
議論のクオリティを上げるためには、楽しい雰囲気で誰もが発言しやすい空気を整える事を意識しましょう。アイデア出しの段階では反対意見を出してアイデアをブラッシュアップよりも、発言出来ていないメンバーに話を振るなどして議論を活性化させる事が先決です。また、具体的な課題解決案を決めなければならないテーマでは、アイデア出しの前に課題の「原因究明」を行っておく必要があるケースも少なくありません、テーマの内容に応じて、柔軟に対応していきましょう。
進め方4.アイデアを整理してまとめる
アイデア出しで意見が溜まったら、次はそれらを整理してまとめる作業に入ります。アイデアを大きなくくりでグルーピングする事で類似点や相違点を明確にして、ここからの議論をスムーズにする環境を整えるのです。ここで重要になるのは「多数決に頼らない」という事になります。グループディスカッションでは少数派の意見を切り捨てるのではなく、いかにして「合意形成」を得ていくかが評価対象なのです。そのアイデアを良いと思うか悪いと思うかは人によって異なるので、客観的で明確な判断基準を1つか2つ設けておくと合意形成がスムーズになります。また、一度アイデアをまとめて結論を出しただでけでは意見の精査が不十分で、選考官から「詰めが甘い」と評価されてしまうケースが少なくありません。時間が許す限りブラッシュアップを繰り返し、自信を持って発表出来るようにしましょう。
進め方5.発表する
採用試験のグループディスカッションではほとんどの場合、議論の後に選考官へ発表する場が設けられています。せっかく議論の内容が良くても、発表の質が低いと台無しになってしまうでしょう。自分が発表者になった場合には、ロジカルな話の組み立て方とハッキリ・ゆっくりと話す事を心がけましょう。ロジカルに話を組み立てるには「PREP法」を意識するのがおすすめです。PREP法とは話の内容を以下の4つに大別して構築します。
- Point「結論」
- Reason「理由」
- Example「具体例」
- Point「結論の繰り返し
この4段階構成は話を分かりやすく伝えるためのテンプレートとして幅広い場面で活用されている手法です。論理的に話を展開させるために押さえておきましょう。
グループディスカッションの役割分担
グループディスカッションでは議論を始める前に役割を分担させておく事で、スムーズに進行させやすくなります。代表的な役割には以下のようなものが挙げられるので覚えておきましょう。
- ファシリテーター
- タイムキーパー
- 書記
なお、グループディスカッションで大切なのはあくまで「議論に貢献する事」です。どの役職に就いたかは選考を突破する上で重要なポイントではない点には留意しておきましょう。ここからは上記の3つの役割について具体的に解説します。
役割1.ファシリテーター
ファシリテーターとは、分かりやすく言えば議論の進行役です。しかし、ファシリテーターは単純にディスカッションを進めていくだけの存在ではありません。「議論の方向性を提示する」「あまり発言していない人に発言を促す」といった議論を活性化させる姿勢が求められるのです。ファシリテーターはグループ内でも目立つポジションであり、積極性をアピールするために立候補する学生も少なくありません。しかし議論の方向性を自分の思うがままに進めようとすれば、かえって協調性がないという印象を与えてしまい兼ねないので注意が必要です。
役割2.タイムキーパー
限られた時間内でグループが最大のパフォーマンスを発揮するためには、タイムキーパーの存在が重要です。タイムキーパーの役割は議論の経過時間を計る事だけではありません。議論の進捗具合を常に確認しながら、臨機応変にタイムスケジュールを調整するというのも重要な役割です。時間管理が適切なタイムキーパーは、ビジネスシーンにおいても優秀な人材であると評価されるでしょう。
役割3.書記
議論の内容を記録して見返せるようにする事が書記の仕事内容です。書記を担当する上でのポイントは「議論全体を整理してグループを結論に導く」であると言えるでしょう。ただ単にメモを取るだけであればどんな学生でも出来ます。しかし分かりやすく要点や問題点を記録し、それに基づいてグループの議論を発展させる事は優秀な書記にしか出来ません。こうしたスキルはビジネスシーンでも重要視されるので、書記を担当する際には意識しておきましょう。
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グループディスカッションの企業の評価基準は?
採用試験でグループディスカッションが行われる場合、ただ何となく議論に参加して発言していれば良いという訳ではありません。グループディスカッションには通常の面接試験とは異なる評価基準が設けられているので、それらを意識した立ち回りを心がける事が重要です。細かい評価基準や重要視するポイントは企業によって多少異なりますが、基本的な部分は共通しているので覚えておくと良いでしょう。次の項からは、採用試験でのグループディスカッションで一般的に重要視されるポイントを4つ解説します。
評価基準1.積極性
グループディスカッションにおいて、学生の「積極性」を重要視する企業は多いです。グループの議論に少しでも貢献しようとする姿勢は、企業からすると「自社に貢献してくれそうな学生だ」という風に映ります。企業によっては結論が出しにくいようなテーマを設けるケースもありますが、これは難解なテーマについて学生がどのように取り組むかを見るためなのです。重要なのは「自分の意見や考えを積極的に出す事」「グループの議論に遅れを取らず付いていく事」「議論が停滞しても最後まで諦めずに考えて行動する事」の3点と言えるでしょう。
評価基準2.協調性
グループディスカッションでは積極性が重要視される一方で「協調性」も同様に大切なポイントとなる事が多いです。いくら積極的に自分の意見を発現しても、自分の意見が否定されて感情的になってしまうようでは企業から良い評価は得られないでしょう。どんな仕事でも同僚や上司とのコミュニケーションやチームワークが要求される場面はあります。そんな中で協調性の取れた振る舞いが出来るかどうかを、グループディスカッションの段階から見られているのです。
自分の意見を明確にする事も大切ですが、それと同時にグループメンバーの意見をしっかり聞く姿勢を持ち、他者の発言を促すなど議論を活発に進行するための立ち回りを意識しましょう。具体的にはメンバーを採用試験におけるライバルである事を一度忘れて、全員で意識を統一する事やメンバーの発言に相槌を打つ事を心がけるのがポイントです。反対意見を出す際には代案を添える、議論のテーマから逸れた発言は控えるといった事も忘れないようにしましょう。
評価基準3.論理的思考力
社内でのコミュニケーションや商談など、分かりやすく物事を伝えるための思考力は重要になります。そのため、グループディスカッションで学生の「論理的思考力」を見極めたいと考えている企業も多いです。「物事を組み立てて考える力」「根拠があり説得力のある発言をする力」「理路整然と分かりやすく話す力」などが主な評価ポイントと言えるでしょう。普段から物事を論理的に考え、周囲の人間に分かりやすく説明できるように心がけておくとグループディスカッションでも役に立ちます。
評価基準4.発想力
クリエイティブな思考が求められる企業では、グループディスカッションで学生が待つ「発想力」を重要視しているというケースもあります。便利なものが増えた世の中で、更に新しいサービスを生み出す事は容易ではありません。企業としては斬新な発想や全く新しい切り口のアイデアを提案してくれる人材を求めているのです。グループディスカッションの中で議論のテーマから逸脱した発言は好ましくありませんが、固定観念に囚われる事のない自由な発想を心がけるようにしましょう。
グループディスカッションの注意点
就活のグループディスカッションに取り組むうえで、気をつけておいたほうがよい点があります。ここでは、グループディスカッションの注意点について解説します。
ほとんど何も発言しないのは避けよう
グループディスカッションにおいて、基本的に学生は自由に振る舞う事が出来ます。しかし議論中には注意すべきポイントがある事にも注意しておきましょう。特に、議論中にほとんど発言しないといった姿勢は大きくマイナスポイントとなります。意見を発言しない学生は、選考官にとっても評価しようがないのです。自分の周りのメンバーが優秀でも萎縮せず、積極的に意見を発言していきましょう。
クラッシャー行為をしないように気をつけよう
議論中に何も発言しないという姿勢が良くないのは確かですが、その一方で積極的なあまりクラッシャー行為をしてしまうのは良くないパターンです。グループディスカッションにおけるクラッシャーとは、議論を台無しにしてしまうような発言や振る舞いを行う人の事を指しています。
よく見られるクラッシャー行為は以下のようなものです。
- 他人の意見を聞かずに自分の意見ばかりを押し通そうとする
- 議論の進行を妨げるような発言をする
- 雰囲気を悪くするような態度を取る
自分がクラッシャーにならないよう気をつける事も重要ですが、メンバーがクラッシャー行為を行った際の対策を考えておくと安心です。
就活のグループディスカッションの対策をしよう
今回はグループディスカッションの評価基準・進行方法・役割・タブーについてご紹介しました。これらのポイントを押さえて練習すれば、本番でも良いパフォーマンスを発揮出来るでしょう。しかし自分の振る舞いは客観視する事が難しいものです。練習風景を録画したり、必要であれば第三者に感想をもらったりすると良いでしょう。グループディスカッションは様々な企業で実施されているので、念入りに準備して選考を突破しましょう。
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