人材業界に就職したいと考えている就活生はいませんか。実際に、人材業界のビジネスとはどのような仕事なのか。また。職種の特徴や人材業界に向いてる人の特徴についても紹介します。就職活動に悩んでいる学生は参考にしてみてください。
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この記事の目次
人材業界とは~歴史と業界について紹介~
人材業界とは、実際にどのような業界なのかご存じでしょうか。ここでは、人材業界の歴史や業界のビジネスモデルについて紹介します。
人材業界の歴史
人材業界のこれまでの歴史について、知らない就活生も多いのではないでしょうか。人材業界の仕事に興味・関心のある学生は、頭に入れておくとよいでしょう。
人材業界のはじまり
雇用者と被雇用者の仲介役として機能している人材業界ですが、歴史を紐解けば、人材業界の主要な機能である人材紹介サービスの原型は江戸時代にできました。当時「桂庵」と呼ばれていた人材斡旋業者がはじまりです。
桂庵の俗称を「口入れ屋」といい、1650年頃に江戸の京橋で医業を営んでいた大和慶庵が始めたと伝えられています。当時の江戸には地方からやって来る出稼ぎ奉公人が多かった一方、地縁によって社会基盤が成り立っているという現状がありました。身分保障がなければ仕事先を見つけることはおろか、どこかに宿を借りることさえ難しかったのです。
その世話をしていたのが大和医師で、仕事の斡旋だけでなく、婚姻の仲立ちをすることもありました。口入れ屋は、江戸が近代化するにつれてその数を増やして人材業界を形成していきます。
職業安定法の誕生
明治時代に入ると職業紹介業への規制を強化すべきだとして、1872年には東京府で「雇人請宿規制」が発布されました。
営利目的の職業紹介業を規制する人材業界初の法規となり、全国の府県に広まっていきました。さらに1878年、江戸時代に進められた組合による自主規制をモデルにした「雇人口入営業取締規則」も施行されます。これらは大正時代に「紹介業取締規則」と改訂され、1917年には免許基準の厳格化や斡旋料等の見直しがおこなわれました。
戦後はGHQによる指導・監督のもとで人材業界に関しても職業安定行政がすすめられ、新時代に相応しい規制内容を盛り込んだ職業安定法がスピーディに制定されました。これには、日本でおこなわれる職業紹介の骨格を成す、厳格な規制が設けられています。英米をケーススタディとしている点が特徴的であり、ILOが承認した基準も含まれました。
しかし「もはや戦後ではない」という自信を勝ち得るほどの高度成長期を迎えると、人材業界についても時代のニーズを反映した法の制定が求められました。
労働者派遣法の制定
1966年に日本ではじめて人材派遣会社が設立されると人材業界に関して一気に法整備がすすみ、1985年には労働者派遣法の制定にこぎつけます。この時点で限定されていた業務も、1999年の改正職業安定法の施行により緩和され、いよいよ、民間業者が人材紹介サービスすなわち人材業界に参入することが許されました。
戦後に厳格化された人材業界に対する規制は、時代に要請によって緩和から自由化へと舵を切り、人材業界の発展と大規模化に寄与することになったのです。
派遣の働き方の変化
しかし、人材業界において派遣が枠にはまらない自由な職業形態として人気を集め、変容する若者たちのライフスタイルに合うともてはやされる一方、不安定さがネックとなりました。
長い不景気に突入すると人材業界では、偽装請負や派遣切りがひんぱんに発生し、社会問題化されていきました。働き方の多様化を象徴した派遣への規制がふたたび強まることとなり、2012年には、改正労働者派遣法が施行されました。
モデル1.人材派遣
人材業界の中でも大きなウェイトを占めているのが、人材派遣業です。人材派遣の特徴やおもな仕事内容は、以下のとおりです。
人材派遣とは
人材業界の中でも最も大きな市場を形成しているのが人材派遣で、その規模は4兆1,000億円を超えています。
人材派遣会社は、仕事を求めている派遣社員と人手を確保したい企業とのマッチングサービスを提供してきました。派遣会社には派遣先の企業から求人が集まっているため、専門性やキャリア等の条件が合えば、時限付きではありますがすぐに派遣社員を送ることができます。
人材派遣の特徴
一日でも早く仕事先を見つけたい派遣社員にとって求人や情報の豊富さは欠かせませんし、面接等のステップを踏まずに仕事を得られるというスピーディさが魅力です。
派遣先の企業も迅速に人手不足を解消できますし、派遣社員との雇用契約を結ぶ必要がないため、一般社員のような諸費用がかかりません。また、景気動向や機構改革等によって雇用、解雇、契約継続に柔軟な対応ができるというメリットもあります。
派遣会社が手にできる利益は、派遣先の企業から支払われる派遣料金です。派遣社員に対する給料とは別に支払われるマージンであり、一般的にマージン率は20%~30%ほどです。
人材派遣会社の平均年収は約500万円で、トップ企業では約650万円となっています。業績によって賞与が上乗せされることから、中には1,000万円を超える年収を得ている社員もいます。
人材派遣会社の仕事内容
派遣会社のメイン業務は派遣先の企業に行う営業活動やWEBを利用したマーケティングですが、おもに以下の3種類に分けることができます。
新規開拓営業
これまで人材派遣を利用したことのない企業に向けて、活用のメリットを説明・提案するコンサルタント活動を指します。
ルートセールス
営業活動の一環として、企業に派遣された社員へヒアリングをしたり相談を受けたりする、フォロー活動がおもな業務になります。派遣先や契約済みの企業に対して、派遣社員を増やしてもらうための交渉などもおこないます。
マッチングサービス
求職者と派遣先企業をマッチングさせるための求人情報サイトの運営・管理や、サイト登録者への仕事紹介などをおこないます。
モデル2.人材紹介
人材業界の中でも脚光を浴びているのが、人材紹介です。人材紹介会社の特徴や仕事内容、人材派遣会社との違いなどは以下のとおりです。
人材紹介とは
人材紹介は人材派遣と似ており、就職先を見つけたい人と人手を確保したい企業の仲介をするという点は同じです。
人材派遣会社の場合、求職者は派遣会社と雇用契約を結んでおり、給与の支払いもこのルートを通じて行われます。それに対して、人材紹介会社の場合は、求職者は紹介された企業と雇用契約を結びます。
人材紹介の特徴
転職の際に利用されることが多く、正社員を目指す方法のひとつとして有用です。企業から依頼を受けた紹介会社は求職者とのマッチングをおこない、ふさわしいと考える人材を紹介します。
紹介会社が手にできる利益は「派遣社員の見込み年収×30%」ほどで、実際に紹介社員が採用された段階で発生します。
人材紹介会社の仕事内容
営業・マーケティング
紹介先の企業回りをして、求人の増員等をお願いしたり、求職者が入社しやすい条件を引き出したりします。
新規開拓
企業に対し、積極的に人材紹介を活用することのメリットを説明し、サービスの利用を促進する業務です。
キャリアコンサルティング
求職者の再就職率を高めるには、求職者個人のキャリアや適性に合った仕事を見つける必要があります。また、希望する仕事に就くためには、紹介先の企業が求めているスキルを身につけなければなりません。
そのためのサポートを強化することも、人材紹介会社の大切な仕事です。
モデル3.求人メディア
人材業界の中でも、インターネット上でよく目にするのが求人メディアです。求人メディア会社の特徴やおもな仕事内容は、以下のとおりです。
求人メディアとは
求人メディア会社では、求職者と企業側の双方が、求人広告等を通じて効率よく契約相手を探せるマッチングサービスを提供しています。企業側が求人広告を掲載する際の広告料が、メディア会社の利益になります。
求人メディアの特徴
求人広告事業は約1兆円の市場規模を誇り、人材業界でも中心を担う存在に成長してきました。
求職者はメディア等に載っている情報を参考にして、自分に合った企業を探そうとします。その際「どれだけ詳細な情報が得られるか」という点が重要になるため、企業側はより有用だと考えられる情報に特化して伝えようとします。
求人メディアは、企業が伝えたい情報を求職者へ届ける役割を持っているのです。
求人メディア会社の仕事内容
営業活動
広告を出してくれる企業を飛び込み営業などで新規開拓したり、既に広告を出している企業には、より求職者にアピールできるワードやデザイン等のコンサルティングをおこなったり、あまり効果がない場合は全面的に入れ替えることを提起したりします。
また、これまで広告料などがネックになって求人メディアを活用していなかった企業にも積極的にアプローチし、その企業に合ったメニューを作成したり、実績を元にしたモデルケースを示したりします。
求人原稿作成
企業へ直接ヒアリングをしたり、ヒアリングシートに記載された内容などをもとに、サイトへ掲載する求人原稿を作成します。決められたフォーマットに営業担当が入力したり、社内外の求人原稿の担当者が期日までに原稿を作成したりして、企業のチェックを経たうえで掲載します。
マーケティング
営業活動のみならず、WEBを有効利用したマーケティングにも力を入れ、利用者側がスムーズに活用できるような仕組みづくりをおこなっています。
モデル4.人材コンサルティング
人材業界の中でも特に専門性の高いのが、人材コンサルティングです。人材コンサルティング会社ではどのような仕事がおこなわれているのかや、特徴などは以下のとおりです。
人材コンサルティングとは
人材コンサルティングとは、人事業務全般の課題を解決するためのサービスです。あつかうフィールドは広く、採用活動、人材育成、組織開発、人事戦略、人事制度なども対象となり、クライアント企業に特有の問題点を洗い出していきます。
人材コンサルティングの特徴
人材コンサルティングは9,000憶円に迫る市場規模があり、求人メディアとともに、人材業界を支える柱になってきました。
しかし、コンサルティングを行う企業や個人は多いものの、人材コンサルティング事業だけにフォーカスしている企業はそれほど多くないという現状があります。
人材コンサルティングでは、事業そのものが、企業変革できるスケールを持っていることも特徴的です。
人材コンサルティング会社の仕事内容
人材育成
クライアント企業の経営戦略と理念に沿った組織開発を実行支援するとともに、より高いスキルを持った人材に育成し、その人材を効果的に配置する方法についてアドバイスをおこなうなどして、自社内の資産を有効利用します。
戦略策定
人材業界の専門性を活かし、どういった人材を採用するのかという未来戦略についても発案し、クライアントが持続的に成長するためのサポートをおこないます。
トレーニング・カウンセリング
職員の能力開発や機構の強化に直結するトレーニングやカウンセリングなどをおこなうのほか、アセスメントやコンサルが積極的に導入されます。そのため、クライアント企業が本来的に持っていた潜在力が最大限に引き出されていきます。
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人材業界の特徴と展望
次に、人材業界の特徴や今後の展望について紹介します。学生の方は自分の志望するキャリアと人材業界がマッチしているのかどうか検討してみましょう。
人材業界の特徴
人材業界は就職や転職といった人生の選択に密接に関わる重要な仕事ですし、求職者や企業がスムーズに相手を見つけるためのサポート役であることは広く知られています。それは人材業界が就活生に人気が高い理由の1つでもありますが、人材業界の具体像を正しく理解しないとイメージだけで判断しがちになります。就職してから「自分に合わない」と後悔しないために、人材業界が持つ特徴を事前に把握しておく必要があるのです。ここでは、就活で参考にできる人材業界特有の形態を紹介します。
特徴1.市場規模のプラス成長
バブル崩壊後、長引く不況に喘いでいた多くの企業でリストラが断行されました。工場の閉鎖やセクションの縮小、早期退職者の募集、肩たたきが日常化し、新規採用者の枠も狭まり、就職氷河期へと突入します。派遣社員は、使い勝手のいい立場を利用され、次々に職を失っていきました。いわゆる「年越し派遣村」での炊き出し等がメディアに取り上げられ、格差社会の象徴として注目された当時は、正社員をマイルドに減らしながら、派遣切りを徹底するという時流でした。しかし、改正労働者派遣法の施行により、派遣労働者の立場を守ろうとする動きが人材業界において強まっていきました。
その後人材業界では、コストマネジメントの面から、より正社員を減らし、必要最小限の体制で最大の利益を上げる取り組みへとシフトしました。しかし、サービス残業が日常化し、大手企業でも過労死が発生してしまいました。正社員の長時間労働が社会問題化され、それを解決する立場として期待されたのが派遣社員でした。2016年の段階で、人材派遣業の市場規模は前年度比で約109%に拡大しています。また、企業が社内教育にかける費用を抑える傾向にあることから、中途採用で即戦力となる人材を確保する動きが人材業界において活発化します。
そのため人材業界では、転職者が利用する人材紹介業もおよそ2,000憶円と市場規模を広げはじめています。人材業界のビジネスモデルの中では最も小さなスケールですが、求人需要の拡大や紹介手数料単価の上昇を背景にして、前年度比が約110%と今後の伸び率に期待が持てます。
特徴2.景気変動による業績の変化
バブル景気の時代は、企業の操業度が右肩上がりだったため、設備や人材に投資した分の固定費が営業利益を圧迫することはありませんでした。むしろ、それらは利益を生み出す力強いエンジンとして扱われ、損益分岐点を着実に押し上げていたのです。有効求人倍率は高水準をキープしており、就活生たちは売り手市場でした。企業側もどうにかして新卒者を確保しようと奔走していました。しかし、バブルが弾け「失われた10年」と揶揄される大不況へと突入していきました。コストマネジメントが強化され、人材業界でもリストラというフレーズが流行語に含まれるほど解雇や派遣切りが日常化していきます。
企業が人やモノへの投資を抑制し、徹底的に機構改革を行った結果、業績は徐々に回復しはじめました。IT化による効率性の高い業務が浸透したことも背景の1つです。有効求人倍率も改善していき、2015年にはついにバブル景気のレベル(1.23倍)に達しました。しかし、この頃になると、かつての企業努力による成果ではなく、少子高齢化の加速による人手不足が影響するようになっていました。卓越したスキルを持った熟練労働者が次々と定年を迎え、明日の労働市場を担う若者の数が一向に増えないという状況は人口ピラミッドにも色濃く現れています。「棺桶型」と言われる日本特有の形状を成しているのです。
そうした人手不足の状況が、定年退職者の再雇用を促し、女性や外国人労働者の採用を活発化させています。若年労働者も売り手市場を上手く利用し、自分の適性に合った仕事先を見つけようとしてきました。そうした時代性が人材業界の業績を押し上げていますが、歴史を振り返ってみると、景気の状況に影響されやすいという性質があり、今後の展望を注視しなければなりません。
人材業界の展望
就活生が人材業界に関心を持つようになる理由や、人材業界の今後の展望などについてご紹介します。
就活生が人材業界に関心を持つ理由
就活は、学生から社会人に変わるための下準備です。就活生は自身の就職活動を通じて、企業で働く意味や意義について洞察できるようになります。
仕事が人生にどれほどのインパクトを与え、影響を及ぼすのかという現実について理解を深めていくため、企業と求職者をコネクトする人材業界への興味も強まっていくのです。
江戸時代の口入れ屋から興った人材業界ですが、様々な時代を経て、規制や自由化の波を経験してきました。景気に左右されやすい性質があることから、人材業界に入ろうと考えているのであれば、今後の展望について敏感に察知できる知識や感性が必要になります。
就活生が人材業界に関心を持つ理由
バブル経済の熱狂が終わったことで、日本は、構造不況とさえ呼ばれた長い不景気の時代に突入しました。企業は投資を手控え、機構改革に乗り出します。その結果、日本の経営システムを支えてきた年功序列や終身雇用といった特質が否定されていきました。
その結果、極端にせまかった労働市場がひらかれたことで、転職者たちが一気に流入しはじめたのです。労働市場の活発化に合わせて、有効求人倍率も増加していきます。
そうした現象が企業と求職者をマッチングさせる人材業界の需要を高め、派遣、紹介、メディア求人、人材コンサルティングの市場規模を拡大させました。
今後の展望
時代はIT化を迎え、ソフト系のサービス需要が右肩上がりです。人材業界においても2016年の「技術者派遣ビジネス」にいたっては、売り上げが前年度比で会社によって106~165%に達するいきおいです。懸念がないわけではありませんが、今後も明るい見通しが期待できます。
直近では、景気の減速が予想されています。企業がこれまで拡大し続けてきた投資を抑制することで、人・モノ・カネ・情報・サービスの行き来がにぶくなれば、人材業界にも痛手です。
景気の減速が一時的な需要の縮小で止まるのかどうか、冷静に見極めなければなりません。
人材業界へ就職するメリット・デメリット
就活生が人材業界へ就職することで起きる可能性のあるメリット・デメリットについて知りましょう。
人材業界へ就職するメリット
人材業界で働くことで、おもに以下のようなメリットが得られます。
メリット1.求職者の人生の役に立てる
ほとんどの人は、なんらかの仕事をして収入を得ることで生活しています。そのため仕事は、人の人生に大きな影響を与える要素のひとつであるといえるでしょう。
人材業界のエキスパートとして求職者の希望にマッチした仕事を紹介することで、求職者は仕事を得ることができるだけでなく、スキルアップや収入アップなどにつながることもあるでしょう。紹介した企業でいきいきと働く姿を見られることは、人材業界の仕事の醍醐味といえます。
メリット2.いろいろな企業を知ることができる
人材業界で働く場合、どの職種で働くとしても、あらゆる企業と関係を築いたり、情報を調べたりすることになるでしょう。普通に生活するなかではかかわることのない企業や、有名・大手企業、話題の中小企業やベンチャー企業など、仕事を通じてたくさんの企業について知ることができます。
もし将来的に転職したり独立したりすることになった場合でも、人材業界で数多くの企業を見てきた経験や身についた知識は、他業界での仕事に活かすことができるはずです。
メリット3.需要がある
人口減少は今後もつづくことが予想され、就活でも売り手市場がつづいています。企業にとっても、人手不足は深刻な問題のひとつになりつつあります。人材業界の仕事を通じてよい人材を紹介できれば、企業側にも喜んでもらうことができます。
求職者側も以前とくらベるとある程度仕事を選べる立場になってきたため、より自分の希望に近い仕事に就くため、人材業界の人材サービスを活用したいと考える人は多いでしょう。
人材業界へ就職するデメリット
人材業界へ就職する前に、以下のようなデメリットがあることを理解しておきましょう。
デメリット1.「人材」をあつかうむずかしさ
人材業界では、その名のとおり人材をあつかう仕事です。モノや機械などとは異なり、人間にはそれぞれ性格や感情があるため、かならずしも相手が自分の思い通りに行動してくれるわけではありません。
人材業界の仕事をするなかで、たとえば転職・就職支援をしていた相手と突然連絡が取れなくなったり、苦労してよい条件の仕事が決まったにもかかわらずすぐに辞められてしまったりと、こちらの想いを裏切られてしまったように感じることがあるかもしれません。
デメリット2.ノルマがきついことがある
人材業界でもたとえば新規開拓営業などの場合、社員は売上目標を課せられるのが一般的です。売上を達成できても、またすぐに次週の売上のことを考えなければいけませんし、売上を達成できなければ上司に注意されたり、それがつづけば、やがて「会社にいづらい」と感じてしまったりするかもしれません。
「自分のペースではたらきたい」「ノルマのプレッシャーを感じたくない」と考えている人は、人材業界に就職するとミスマッチとなる可能性があります。
デメリット3.企業との調整が大変
人材業界で企業に人材を紹介したり求人広告の依頼を受けたりするなかでは、やたらと要望水準が高い、ちょっとしたことでもすぐにクレームを入れてくる、早朝や深夜に連絡してくるなど、さまざまな企業の担当者と出会うことになります。
クライアント企業の担当者が苦手なタイプだったりすると、人材業界の社員として調整や連絡のやりとりにストレスを感じてしまうかもしれません。
人材業界の仕事に向いている人と向いていない人の特徴
人材業界での仕事は、ほかの業界とくらべても合う人と合わない人の差が出やすいといえます。人材業界に向いている・向いていないそれぞれの特徴について知りましょう。
人材業界に向いている人の特徴
人材業界での仕事に向いている人の特徴としては、おもに以下のことが考えられます。
特徴1.やりがいのある仕事がしたい
人材業界は、「人」という無形のサービスをあつかう業界です。自分の行動やサポートの内容が、よくも悪くも求職者の人生に影響をあたえてしまう可能性が高いため、責任がともなう仕事です。そのぶん、やりがいも感じられるでしょう。
環境の変化も激しく、世のなかの情勢などにも左右されやすい業界です。ダイナミックな変化を楽しんでいけるような人が人材業界には向いているといえます。
特徴2.スキルを身につけたい
人材業界で働くことになった場合、期間や種類はさまざまあれど、一度は営業活動をおこなうことになる可能性は高いでしょう。さまざまな企業に営業をかけて受注する経験を積むことで、営業スキルを身につけられます。また、配属される部署によっては、コンサルティングやWEBマーケティングの経験・スキルを得ることも可能です。
人材業界で得たスキルはほかの業界へ転職しても活かせるものが多いため、貪欲にスキルを身につけて成長したい人には適しています。
特徴3.世のなかを知りたい
人材業界の仕事では、あらゆる業界の企業や職種に触れたり、くわしく知ったりする機会が多くあります。世のなかには、想像をはるかに超えるほど多くの企業や仕事があるのだと身をもって知ることができるでしょう。
伸びてきている企業や急成長中の企業がクライアントになれば、ビジネスの最先端に触れることもできます。仕事を通じて世のなかの成り立ちやビジネスの潮流を肌で感じたい、という人には、人材業界はマッチする業界です。
人材業界に向いてない人の特徴
人材業界には、向き不向きがあります。以下のような特徴をもつ人は、人材業界にはあまり向いていないかもしれません。
特徴1.テンションの高いノリが苦手
人材業界は、ほかの業界とくらベて比較的年代が若い傾向にあります。とくに現場に出る営業の仕事は、社会人数年目の若い男女が中心となっている企業も少なくありません。そのため、どうしてもノリが若かったり、体育会系の空気感があったりすることがあります。
「静かな環境ではたらきたい」「テンションの高さを強いられるとツライ」と考えている人は、人材業界は避けたほうがよいでしょう。ただし落ち着いた企業風土のところもあるため、人材業界各社の社風などをくわしく調べてみることをおすすめします。
特徴2.社交性がない
人材業界では、求職者や企業など、多くの人とかかわることになります。そのため、どちらかというとコミュニケーション能力が高い人のほうが適性があるでしょう。
エンジニア職などはじめから専門職での入社が決まっている場合などをのぞいて、「人と話すのはあまり得意ではない」「もくもくと仕事をしたい」という人には、人材業界は不向きである可能性が高いといえます。
特徴3.受け身の姿勢
変化の大きい人材業界では、自分から情報をどんどん取りに行く姿勢がなければ、遅れをとってしまいます。自分のなかの情報をつねにアップデートしていかないと、求職者や企業の担当者と話していても、「古い情報しか知らないんだな」「わかっていない」などと思われてしまう可能性があります。
人材業界の仕事に限ったことではありませんが、受け身の姿勢や指示待ちばかりしているようでは、人材業界で活躍することはむずかしいでしょう。
人材業界への就職を検討してみましょう
以上で本記事を終わります。人材業界は最近できた業種のように思われがちですが、意外に長い歴史があることがお分かりいただけたでしょう。求人や求職に関する専門性には、やはり普遍的なニーズがあるのです。
最近では「人的資本経営」という言葉もよく聞かれます。これは人材を、使えばなくなってしまう資源ではなく、投資をすれば成長し企業の付加価値を高める「資本」とする考え方で、人材業界でもクライアント企業の人的資本経営を支援するケースが増えています。人的資本経営に関する要求は海外でも高く、各企業では投資家や借入先金融機関などから人的資本や人的投資に関する情報開示を求められるのがいまや常識です。
日本においても近年、人的資本を含む非財務情報を有価証券報告書などに盛り込むような法整備が進んでいます。そのため、各企業は従来以上に人事戦略に関する情報を公表するようになりつつあり、「どんな情報開示をしたらよいか」などの相談が人材業界ではよく聞かれます。もちろん、単に人事関連の情報を開示しただけでは、あまり意味がありません。その企業の人事戦略が経営戦略とどのように結びつき、人的資本への投資がどうやって企業の付加価値向上へつながり、最終的に業績向上へ導くのかなどのビジョンが重要です。
このように、以前は単に「働き手の斡旋」がメインだった人材業界でも、現在ではさらに高度な専門性やコンサルティング能力が求められています。特に研修など人材育成に関するノウハウは、多くの企業で高いニーズがあります。かつては優秀な社員を獲得することに重きが置かれていた一方、採用後はOJT(オン・ジャブ・トレーニング、実際の仕事を通じて訓練すること)だけに頼り、体系的な研修などはそれほど行っていない企業がほとんどでした。人材業界でも、そのような研修にコストをかけることはむしろ利益の圧迫になるとの考えが多かったと言えます。
しかし今では、キャリアビジョンを考えさせ、それにふさわしい研修の機会を与えるなどの対応が多くの企業で求められる時代です。人材業界でも、人材育成に資する研修メニューの開発など、これまで以上に仕事の幅が拡大しています。終身雇用制がくずれ転職が当たり前になりつつある昨今、労働者側もキャリアアップにつながる研修や自己投資を意識するようになりました。人材業界でもそのような世の中の動向に合わせて、今後も新たなサービスメニューを打ち出す企業が出てくるでしょう。人的資本への注目が集まる今がホットな、人材業界への就職を検討してみてください。
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