「仕事が怖い」「職場に行くのが辛い」と働いている時に感じるようになることがあります。これを甘えた考えだと思うでしょうか。しかし、仕事量が多すぎたり人間関係が悪かったりと、問題のある職場は実際に存在します。
ここでは、仕事が怖いと感じる原因やその対処法、対処をしても耐えられないときはどうすればいいかなどについて説明します。
仕事が怖い原因とは
仕事が怖くなってしまった原因はどこにあるのでしょうか。気持ちだけが辛くなって、自分でも原因がわからなくなっている方は意外に多いです。考えられる理由をいくつか紹介しますので、確認してみてください。
仕事が怖い原因:職場の人が苦手
仕事を探すときは、「自分がやりたいこと」を重視することが一般的です。しかし、就職した職場で働き続けるなら、仕事の内容だけではなく人間関係が良好であることも大切です。なぜなら、憧れていた職場に就けたとしても、その職場の人間関係が悪いと「仕事に行くのも辛い」「怖い」と感じるようになりがちだからです。たとえば、運悪く横柄で乱暴な上司の下についてしまうと、些細なことで頻繁に怒られることもあり得ます。言葉の暴力や高圧的な雰囲気に耐えられなくなって仕事をするのが怖いと感じるようになるでしょう。
セクハラやパワハラも社会的に大きな問題になっており、悪口や無視などのいじめや嫌がらせなどを受けて職場に行くのが怖くなる場合もあります。
仕事が怖い原因:仕事が激務
任されている仕事量が過剰に多すぎることも、仕事に行くのが憂鬱になる原因の1つです。能力を超える量の仕事を次から次へと与えられてしまうと、脳みそが情報や課題の処理をしきれず混乱してしまいます。また、仕事量が多すぎて時間内に終わらず、遅くまで残業して深夜の帰宅が常態化したり休日も出勤したりして、ほとんどプライベートな時間がとれなくなることもあるでしょう。リフレッシュして気持ちを切りかえる時間がないことで、精神が摩耗してしまう恐れがあります。ひどくなると、精神的に追い詰められて病んでしまうことも珍しくありません。
仕事が怖い原因:仕事内容に苦手意識がある
働き始めると、苦手だと感じている分野の仕事を任されることがあります。たとえば、数字を扱うのが苦手なのに経理を任されたり、人見知りで口下手であるにも関わらず営業に回されたりといったケースです。もともと苦手な分野のため、真摯に取り組んでもミスしたり成果を上げられなかったりすることもあるでしょう。そのために度々上司に叱責を受けることもあり得ます。すると、自信をなくしたりまたミスをして怒られたらと考えたりして、仕事が怖くなってしまうのです。
ただし、なんとなく苦手だなと感じていた分野の仕事を実際にやってみたら思いがけず適性があり、「思った以上にスムーズにできた」「想定外に成果を上げられた」というケースもあります。そのため、初めて仕事をする分野であればまずは挑戦してみることも大切です。しかし、挑戦はしたけれどやっぱり無理だった、苦痛に感じて仕方がないという場合ももちろんあります。その場合は、続けているとストレスが溜まって精神的に疲弊する可能性が高いです。精神的に抵抗を感じる苦手な業務を引き受けることは、仕事が嫌いになることにダイレクトにつながります。
仕事が怖い原因:責任が重すぎる
経験を積んでくると、だんだん責任のある仕事を任されるようになるものです。責任の重さが適切なものであれば、やりがいを感じ成長にもつながるでしょう。しかし、大金が動くプロジェクトのリーダーだったり社運をかけた仕事を任されたりすると、責任が重すぎて「失敗は許されない」「もし、ミスをしてしまったらどうしよう」と不安になり、精神的に追い詰められてしまうことがあります。責任ある立場にいてミスをすれば、自分だけではなく周囲の人間も巻き込んでしまうために、より恐怖を感じるのです。
それでも、場数を踏んだベテラン社員であれば、重責を感じつつも蓄積された経験や知識、能力でやりこなせる可能性は高いでしょう。しかし、若手や新人が能力や実力以上の大きな責任を担うことになると、プレッシャーで押しつぶされてしまいます。
仕事が怖いのを放置すると起こること
いくら仕事が怖くても、収入を得るためには働かなければいけません。また、生真面目な人ほど「嫌だからといってやるべきことから逃げてはいけない」と考えがちです。そこで、怖いと思いながらも耐えて仕事を続ける人はたくさんいます。しかし、それは精神に多大な負荷をかけ大きなストレスとなるものです。適度なストレスは精神にハリを与えますが、過度なストレスは精神を不安定にし、場合によっては身体に悪い影響を及ぼします。
たとえば、ストレスが過度に溜まると自律神経の切り替えがうまくいかなくなることが多いです。自律神経とは交感神経と副交感神経のことで、活動中は前者が優勢になり休息中は後者が優勢になります。しかし、自律神経が切り替えられずに休んでいるときも交感神経が働いていると、休息しても身体がリラックスできなくなり、夜もうまく眠れず、疲れが解消されません。この状態がいつまでも続けば精神が摩耗して、さまざまな弊害をもたらされたりするようになります。たとえば、集中力が低下する、精神状態が不安定になる、疲れやすくなるといった症状です。ひどくなるとうつや不安障害などの精神的な病気を発症してしまい、長期の治療が必要となることがあります。
仕事が怖いときに試したい対処法
「仕事が怖くて行きたくない」という気持ちで毎日を過ごしていると、取り返しのつかないことになります。まずは簡単なことからでも、対処するための行動を考えてみましょう。
試したい対処法:何が怖いのか明確にする
仕事が怖いと感じながらも何の手立ても講じなければ、状況は変わりません。心身ともに追い詰められる可能性があるため、できるだけ早く対処する必要があります。まずは、仕事が怖いと感じる大本の原因は何か、特定することが重要です。原因を明確に把握するだけで、心が軽くなる場合もあります。原因が分かればそれに対する対策をとることができるため、事態の改善も期待できるでしょう。たとえば、社員のセクハラで精神的に参っているときは、証拠をそろえたうえで会社の相談窓口や人事で相談する方法があります。セクハラ社員に何らかの処分がくだされて、事態が改善する可能性があります。
担当する業務量が多すぎることが原因であれば、まずは自分の仕事に無駄がないか見直し、効率化をはかることも大切です。そのうえで、やはり業務量が多すぎてこなせないようであれば、上司に現状を伝えてほかの社員に仕事を割り振ってもらうなど相談すると良いでしょう。
試したい対処法:考えすぎず開き直る
仕事が怖くて職場に行きたくないと感じるようになると、真面目な人ほどうまくできない自分に失望し、落ち込んでしまいがちです。自己嫌悪に陥ると辛くてますます気持ちが沈み、自己否定を繰り返す負のスパイラルにはまって精神が参ってしまいます。課題意識を持つのは大切なことですが、ときには開き直ることも大事です。「自分はせいいっぱいやっている!これが自分の今の力なんだからうまくいかなくても仕方がない!」と考えましょう。
たとえば、毎日のように怒って怒鳴る上司が原因で仕事が怖いと感じているとき、それは本当にあなただけに問題があるのでしょうか。部下を適切に指導し、それでも失敗したときはカバーするのが上司の仕事です。それをせずに部下の失敗を怒るのであれば、問題があるのは上司の方でしょう。担当業務が多すぎてうまくこなせないときも、適切な量を割り振れない上司や人手が不足している環境に問題がある可能性が高いです。このように、思い切って人や環境のせいにしてしまったほうが精神衛生上良いこともあります。
試したい対処法:信頼できる人に話を聞いてもらう
社内に信頼できる人を作って話を聞いてもらうことも、ストレスを軽減し、仕事への恐怖感を軽減する有効な方法です。そこで、同期や先輩、上司など心から信頼できると思う人を社内に見つけ、悩みを相談できる環境を作りましょう。上司や先輩であれば、過去の経験から有益なアドバイスがもらえる可能性があります。同期であれば、同じような悩みを抱えているかもしれません。具体的なアドバイスが得られなかったとしても、話を聞いて共感してもらえるだけで気持ちが軽くなるでしょう。
ただし、相談する相手は慎重に見極める必要があります。なぜなら、なかには「それは君の甘えだ」「自分のときはもっと辛かったが耐えられたから、君もがんばればできる」などと説教や見当違いな助言をする人がいるからです。ふさわしくない相手に相談すると、ますます落ち込んだり精神的に追い詰められたりする恐れがあります。
また、相談するときは、愚痴ばかりこぼさないようにすることも大切です。あまりに辛いときは、その気持ちを聞いてもらうことも必要でしょう。しかし、ネガティブな話ばかり聞かされると、相手も疲弊します。どうすれば良いと考えているか自分なりの改善点を伝えるなど、建設的な内容になるように心掛けましょう。
試したい対処法:配置転換や仕事内容の変更を希望する
理不尽な行動をとる上司がいたり同じ部署内に嫌がらせをする社員がいたりして環境が改善する見込みがないとき、自分の気持ちや仕事への向き合い方を変えられず辛いときは、会社の人事や労務、経営層などに相談するのも1つの方法です。環境を変える権限を持っている相手であれば、配置転換してもらえたり担当する業務を変えてもらえたりするかもしれません。原因と物理的に離れられることで、ストレスの大半が軽減する可能性があります。
ただし、相談するときは感情的になって話さないことが大切です。業務に関わることを泣いて訴えても、効果は薄いでしょう。事前に現状を整理しておき、何が問題なのかを伝えたうえで「こうしてくれれば働きやすくなり、成果を上げやすくなる」など前向きな案を提示することが大切です。
仕事が怖すぎて我慢できない時はどうする?
「どうしても仕事が怖い。限界。」
そんな時もあるかもしれません。上記で紹介した対処法が全てではありませんが、あれこれ試してみても一向に改善しない。。という時には以下の2点を試してみるのもありでしょう。
- 求職する
- 転職活動をする
それでも我慢できない時:休職する
業務の効率化をはかったり周囲に相談したりとさまざまな対処法を試みても、事態が改善しないこともあります。そのときは、逃げることも選択肢の1つに入れるべきです。逃げるというと語弊がありますが、会社を休んで仕事から離れ、心身をゆっくり休めるということです。怖いと感じながら無理して仕事を続けて心身ともに疲弊しきった状態になると、考える気力も体力も失われています。そこで無理して働き続けると、取り返しのつかないほど心身ともに壊れてしまうでしょう。会社はあなたを守ってはくれないので、自分の心身を休め労わることを優先しましょう。休むことに罪悪感を持つ人もいますが、大切なのは自分の心身の健康なので、どうあっても我慢できないときは休んでも構わないのです。
数日の休みでリフレッシュできれば良いですが、場合によっては短期間休んだだけでは次に出社するのがより怖くなることがあります。そこで、会社に休職制度があれば活用すると良いでしょう。ただし、休職制度は法律で義務づけられているものではありません。会社によっては制度自体がないこともあるため、就業規則で確認することが必要です。
それでも我慢できない時:転職活動をする
思い切って現職場をやめ、転職するのも1つの方法です。転職の意思を伝えると、なかには上司や人事が「考え直してほしい」「すぐに問題に対応するから辞めないでくれ」など引きとめてくることもあるでしょう。これは、会社としては社員が辞めると教育にかけたコストが無駄になる、人材が不足してしまう、再び時間と費用をかけて採用活動をしなければいけないなどのデメリットがあるからです。上司は部下の管理不足といった評価を受けることも恐れます。しかし、そのような事情を考慮する必要はありません。あまり熱心に引とめられると気持ちがゆらぐかもしれませんが、自分がいて楽しくない職場で怖いと感じる仕事を無理して続けることはないのです。
しかし、今度は転職活動を怖いと感じてしまう人もいるでしょう。たとえば、人間関係のトラブルで会社を辞めた場合、求人している企業に問い合わせの電話をすることでさえ怖く感じることがあります。また、書類選考が通らなかったり面接でうまく答えられなかったりすると、自分はダメな人間だと感じて落ち込むこともあるでしょう。さらに、転職先の職場できちんと仕事ができるか心配で、怖いと感じている人もいます。
こういった怖さを乗り越えるには、転職に関する情報を徹底的に収集することが有効です。たとえば、ハローワークの窓口や転職エージェントを利用すると、転職のアドバイスを詳しく受けることができます。のびのびと働けて活躍できる職場、楽しいと感じられる仕事を見つけるために転職活動をすると良いでしょう。
何が怖いのか明確にしてアプローチしよう
仕事が怖いと感じる場合、その原因はさまざまです。職場の人間関係が悪いこともあれば、責任が重かったり仕事量が多かったりしてうまくこなせないケースもあるでしょう。対処法が変わるため、まずは怖いと感じる原因を特定することが大切です。原因が明確になったら、それに対してどのような解決策があるのか、自分にはどんな選択肢があるかを整理することから始めましょう。