「バイトをクビ(解雇)になってしまった」という方もいるかもしれません。仕事を突然失ってしまいどうすればいいか困ってしまっている、バイトをクビになった理由に納得できないという方もいるかもしれませんが、まずは落ち着いて次の行動を考えるようにしましょう。この記事では、アルバイトをクビになる人が増えている理由、クビ(解雇)と言われた場合に確認すべきこと、新しい仕事を探す際に注意しておいたほうがよい点についてご紹介します。
この記事の目次
コロナでバイトをクビ(解雇)になった人が増えている理由
帝国データバンクの調査によれば、今年9月23日時点で新型コロナウイルス感染倒産をした企業は合計541社です。業種別では飲食店が78件ともっとも多く、次いでホテル・旅館が55件、アパレル・雑貨小売店が36件という結果です。
引用:帝国データバンク
また、弁護士プラットフォームサイトを運営する株式会社カケコムが今年6月にコロナ解雇された100名を対象に実施した調査によると、解雇された人の雇用形態はパート・アルバイトが36%で、次いで正社員の29%、派遣社員の19%という結果です。
アルバイトスタッフが多い飲食店や小売店での倒産が多く、また、雇用形態のなかでも比較的人数も多いことが考えられるアルバイトが、解雇となっているケースが多いことがわかります。
引用:株式会社カケコム
「バイトをクビになりいきなり仕事がなくなってしまった」という状況は、本来であればそこまで頻繁に起きることではないでしょう。
しかし新型コロナウイルスという未知の感染症流行により、営業自粛を余儀なくされたり売上の激減などが起きてしまった業種では、バイト先が倒産したりアルバイトスタッフが解雇されたりしてしまっても、やむを得ないケースもあるといえます。
バイト先でクビ(解雇)と言われたら確認すること
「今日でクビだよ」「明日から来なくていいから」など、解雇予告なしにいきなり解雇された場合は、不当解雇に該当することが少なくありません。アルバイトを解雇するにも、企業側や店側には正当な理由が必要なのです。もし解雇に納得いかない場合、受け入れる前にきちんと店長などの雇用主に理由を聞きましょう。
バイト先をクビになった場合、まずは以下の項目を確認してください。
不当解雇となるケース
バイトをクビになった場合、不当解雇に該当するケースは下記の通りです。
- 解雇予告なしの突然解雇
- スキル不足を原因とした解雇
解雇予告なしの突然解雇
何の前触れもなしにいきなりバイトをクビにするのは、基本的には違法です。労働基準法第20条には、企業が労働者を解雇する場合、少なくとも30日以上前から解雇予告をしなければならないと定められているからです。正社員など正規社員だけでなく、アルバイトなどの非正規社員ももちろん対象です。
ただし以下のようなケースに限っては、突然解雇でも違法とはなりません。「期間限定のバイトをしている」「新しいバイトを始めたばかり」という人は注意しましょう。
- 日雇い
- 2ヶ月以内の短期バイト
- 試用期間中で働き始めてから14日以内
- 4ヶ月以内の季節労働者(例:夏・冬のみのリゾート地でのバイト)
スキル不足を原因とした解雇
「能力(スキル)が足りない」ことを理由にバイトをクビにするのも、スキル不足であることを証明できる理由がなければ、基本的には違法です。スキル不足を原因とした解雇で重要なのは、その程度が重要です。「お金の計算が全くできない」「毎日のようにお店の備品や商品を壊す」など、業務に著しく支障をきたすような能力の欠落でない限りは、不当解雇だといえます。
たとえば経営状態が悪いバイト先の場合、人員削減のために、従業員のちょっとしたミスをスキル不足と捉え、それを理由に解雇するケースもあり得ます。しかしその場合は解雇の30日以上前に予告するか、解雇予告手当を支払わなければいけません。
解雇予告手当について
解雇予告手当とは、労働者に対して即日解雇・または30日以内に解雇をする場合、支払いが義務付けられる手当のことです。即日解雇の場合は平均賃金の30日分、30日以内の場合は、30日に満たない分の賃金を受け取ることができます。ただし30日以上前に予告された場合は、手当を受け取ることはできません。
たとえば「9月30日付けで解雇する」と言われた場合、解雇予告手当がもらえるケースともらえないケースの例としては、以下の通りです。
- 8月31日までに解雇予告があった場合→解雇予告手当はもらえない
- 9月1日以降に解雇予告があった場合→解雇予告手当はもらえる
ただし短期バイトなど突然解雇が違法にならないケースに加え、以下のケースに該当する場合は、解雇予告手当を受け取ることはできません。
- 犯罪に該当する懲戒解雇による退職者
- 従業員の責任(重度の遅刻・欠勤や職務怠慢)による解雇
つまり「あきらかに従業員本人に重大又は悪質な義務違反や背信行為がある」と労働基準監督署が認めた場合には、解雇予告や解雇予告通知の対象からは外れるということになります。
参考:タウンワークマガジン
バイトを解雇されたら有給や失業手当はどうなる?
バイト先を解雇された場合、有給休暇や失業手当の扱いがどうなるのかについて知っておきましょう。
有給休暇について
まず、解雇通知と同時に30日分の解雇予告手当が支給された場合(即時解雇)は、残っている有給休暇は無効となるため消化できません。それ以外のケースで本人が申し出た場合には、解雇となる前に残った有給消化をすることが可能です。そのため、有給を消化したい場合は店長などに相談してみましょう。
参考:エン転職
失業手当について
倒産など会社側の都合でバイトを解雇になった場合は会社都合退職となり「特定受給資格者」という扱いになります。過去1年間の間に雇用保険に6ヶ月以上加入していれば失業手当を受け取ることができ、手続きをしてから受け取れるまでの期間も待機期間7日間後と、解雇されてから短期間で受け取ることが可能です。不明点などはハローワークに相談するとよいでしょう。
バイトの解雇に関する相談先
「バイトの解雇を撤回してほしい」「バイトの解雇理由に納得できない」などの場合、具体的には下記のような相談窓口があります。
- 総合労働相談コーナー
- 労働組合
- 弁護士
それぞれについて、解説していきます。
総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーは、労働基準監督署に設置されています。直接的な解決に至るわけではないものの、相談内容や事案に応じて解決方法を示してくれます。突然バイト先を解雇されてしまいどうしたらいいのかわからない人や、まず話を聞いてもらいたい人は相談してみるとよいでしょう。
労働組合
バイト先に労働組合があるかを確認し、ある場合はそこに相談して、解雇の理由や内容に問題がある場合は会社と交渉してもらうことが可能です。ただし、労働組合があるのは一定規模の会社であることがほとんどのため、個人経営の店などで働いていた場合には存在していないことが多いでしょう。
弁護士
法律の専門家である弁護士に相談するのもありです。労働問題に強い弁護士事務所を選べば専門的なアドバイスがもらえるほか、不当解雇などの場合には、具体的な解決についても依頼できます。相談の段階では費用が発生しない弁護士事務所もあるため、ひとつの選択肢として覚えておくとよいでしょう。
バイトをクビ(解雇)になり新しい仕事を探すときのポイント
「バイトをクビ(解雇)になったので新たなバイト先を探さないといけなくなった」「これを機に正社員として就職したい」という方もいるでしょう。前のバイト経験を新たな仕事探しに活かすためのコツと、フリーターとしてアルバイトを続けるリスクについてご紹介します。
前職のアルバイト経験を活かすコツ
アルバイトの場合、基本的には、履歴書の職歴欄に前職について書く必要はありません。ただし以下の場合には、アルバイトの経歴を履歴書に書いた方が有利になることもあります。
- アルバイトで培った能力が応募先で活かせる場合
- 実績がある場合(長年働き責任ある仕事を任されていた/リーダーを担当していたなど)
- 正社員などアルバイト以外の雇用形態に応募する場合
これまでのアルバイト経験を活かして新しい仕事を探す予定の方は、仕事探しの際には以下のことを意識しましょう。
- 履歴書の書き方
- 面接での伝え方
上記の2点について、それぞれご紹介します。
履歴書の記入の仕方
アルバイト経験は、履歴書の職務経歴欄に記入します。
基本的な書き方は、下記の通りです。
- 企業の正式名称の横に(アルバイト)と記入
- 企業名の下に「○○職として勤務」と記入
- 一身上の都合または会社都合により退職と記入
退職に関する書き方は、前のバイト先を自主的に辞めた場合は「一身上の都合により退職」、クビ(解雇)となった場合は「会社都合により退職」と記載します。もっと細かく前職のアルバイト経験について説明したい場合には別途職務経歴書を作成し、履歴書には「詳細は職務経歴書に記載」と記入してもOKです。
履歴書には、長文を書くスペースがありません。特に特筆すべき事項がない限りは「簡潔にわかりやすく」を心がけましょう。
面接での伝え方
面接では、以下の点を心がけましょう。
- 正直に話す
- 前職のアルバイトでの働きぶりを伝える
正直に話す
まず大前提として、面接では、前職をクビ(解雇)になったことを正直に話しましょう。嘘の回答をすれば経歴詐称として内定取り消しになったり、採用された後も懲戒解雇になったりする恐れがあるからです。
バイトをクビ(解雇)になった場合、それが会社側の理由であった場合には、仕事探しや就職活動には影響しません。いまはコロナの影響などで解雇になってしまうケースも少なくないため、問題行為をしてクビになったなどでない限りは「仕方がない」と納得してもらえることがほとんどでしょう。
前職のアルバイトでの働きぶりを伝える
面接では、前職のアルバイトでの働きぶりを伝えましょう。求職者の入社後の活躍や貢献度、人柄や性格などを企業側が把握できるためです。前職の業務内容をただ伝えるだけ、というのは避けましょう。働きぶりを伝える際は、具体的に心がけてきた考え方や行動をセットで伝えることで、信憑性が増します。
バイトを脱却して正社員になろう
あなたがこれまで働いていたバイト先をクビになり、特にこれといった目的もないままなんとなくフリーターを続けようとしているのであれば、正社員就職を目指すことをお勧めします。
なぜならばフリーターには、下記のようなリスクがあるからです。
- 生涯賃金が圧倒的に低い
- 雇用が不安定
それぞれについてご紹介します。
生涯賃金が圧倒的に低い
基本的にフリーターは時給として給料を受け取るため、ボーナスや退職金などの制度はありません。たとえ昇給したとしても正社員と比べるとその額は少ないため、ずっとアルバイトとして働いていく場合には、生涯賃金で考えると圧倒的に低くなってしまいます。
定年退職後の年金も現役時代の収入額に応じて支給されるため、老後の生活資金も十分ではなく、高齢になってもアルバイトを続けないと生活できない可能性も高くなります。
雇用が不安定
アルバイトは、正社員と比べるとどうしても解雇されやすい側面はあります。たとえば、会社が経営不振などの理由で人員削減をしなければいけなくなったときには、まずはアルバイトなどの非正規社員から解雇していくケースが一般的です。
若いうちであればまだしも、年齢を重ねて突然解雇され、これといったスキルや経験もないという場合、次のバイト先を見つけるのはむずかしくなります。また、バイト経験しかなく年齢を重ねてきた人が正社員就職をするのは、簡単なことではありません。
「まだバイトをクビにはなっていないけれどクビになりそうな前兆がある」という方は、以下の記事も参考にしてみてください。
いまのバイトをクビになる前に、正社員への就職を考えてみるのもひとつの選択肢です。
バイトのクビ(解雇)に遭っても慌てず行動しよう
バイトをクビになった場合、まずは不当解雇でないかを確認し、解雇予告手当がもらえる場合はきちんと受け取りましょう。正当な方法で解雇を通知された場合も、アルバイト先で社会保険に加入していれば、手続きをすることで失業手当の受給が可能です。突然の解雇を理由に金銭的に困窮してしまうことがないよう、受け取れるお金などを調べましょう。次の仕事を探す場合には、バイトではなく正社員としての就職先を見つけることで、解雇のリスクを減らすことができます。バイトをクビになり正社員就職をお考えの方は、ジェイックの就職アドバイザーまでお気軽にご相談ください。