「これから衰退する業界を知りたい」「コロナによって変化が出た業界を知りたい」と言う就活生もいるでしょう。成長している業界がある一方で、衰退しつつある業界、またはこれから衰退していく可能性が高い業界も存在します。この記事では、これから衰退する業界とその特徴、注意点をご紹介します。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
これから衰退する業界とは-アフターコロナで変化する業界-
これから衰退する可能性がある業界と、その理由についてご紹介します。ただしあくまで予測であること、衰退の可能性があるからといって業界自体がなくなるわけではないことは理解しておきましょう。
衰退する業界1.テレビ業界
テレビ業界がこれから衰退する可能性がある理由は、以下となります。
- 国民のテレビの視聴時間が減少している
- テレビよりも動画コンテンツを視聴する傾向にある
NHKが全国の7歳以上の男女を対象に実施した「テレビ・ラジオ視聴の現況」によれば、2019年の1日あたりのテレビの視聴時間の平均は3時間31分で、2003年の4時間5分とくらべると、30分以上減少しています。
引用:NHK「テレビ・ラジオ視聴の現況」
また、YouTubeやNetFlix、TVer、Abema、Huluなどの有料/無料インターネットメディアや動画コンテンツの台頭によって、苦境に立たされている業界です。
テレビドラマやバラエティなどの需要がなくなったわけでは決してなく、ライフスタイルの多様化により、毎週決まった時間にテレビを見たり家族揃って視聴したりするというよりも「個人が好みのコンテンツを自分の好きな時間に視聴する」という形になりつつあります。
芸能人やYouTuberなどが独自でチャンネルを持ったり、スポンサーの制限が厳しい民放のテレビ番組よりも自由度が高かったりすることで視聴者側の選択肢も広がり、テレビがあってもほぼ見ない、またはテレビ自体を持っていないという人も珍しくなくなっています。
一方で高齢者など、テレビをよく視聴する層も一定数います。これからすぐにテレビ業界が衰退するというよりは、若者はテレビから離れつつある、と考えたほうがよいでしょう。
衰退する業界2.出版業界
出版業界がこれから衰退する可能性がある理由は、以下となります。
- 国民のテレビの視聴時間が減少している
- テレビよりも動画コンテンツを視聴する傾向にある
インターネットや動画など手軽に楽しめるコンテンツが増えたことで、紙の書籍を購入して読むという方法を選ばない人が減ってきています。わざわざ書店まで足を運び、自分が得たい情報が書かれた書籍や雑誌を探さなくても、情報が身近に溢れるようになりました。
公益社団法人全国出版協会の「日本の出版統計」によれば、書籍、月刊誌、週刊誌の売り上げは、1996〜1997年から下がり続けており、ムック、文庫本も減少を続けています。唯一、コミックスが14年ぶりにプラス成長となっている状況です。
引用:公益社団法人全国出版協会「日本の出版統計」
書籍や雑誌の売り上げが、今後大きく伸びていく可能性は残念ながら低いといえます。
そのなかでも衰退しにくいことが考えられるのは、以下のような出版社です。
- キャラクタービジネスやヒット作の印税、映画やアニメ化など収益源豊富な大手出版社
- 医療、資格、参考書、教科書など一定の需要があるものを扱う出版社
- 根強いファンを持つ漫画や小説シリーズなどを扱う出版社
- 会員向けの月額サービスなど収益モデルがきちんとしている出版社
- 知育玩具や教育系など、出版部門以外に手堅いビジネスもしている出版社
結論からいうと、紙の書籍や雑誌が売れなくてもほかの事業などで継続的な収益がある出版社、大手など経営資本がある会社は、比較的安定性が高いといえます。一方で、企業の売り上げを書籍や雑誌のみに頼る出版社の経営は、今後さらに厳しくなっていくと考えられます。
衰退する業界3.アパレル業界
アパレル業界がこれから衰退する可能性がある理由は、以下となります。
- 店舗閉鎖や採用取り消しなどが相次いでいる
- 消費者の価値観が変わってきた
今年7月には、大手アパレルの「イッセイミヤケ」の新卒学生の内定取り消した、女性向けアパレルの「セシルマクビー」が全店舗を来年2月までに閉鎖し、570人の従業員の大半の解雇を実施するというニュースが発表されました。
引用: 読売新聞オンライン
これらの原因には新型コロナウイルスによる店舗休業などもあるものの、もともと業績が悪化していたことがわかっています。
洋服は生活に必要な分しか持たないという人が増えたり、洋服にお金を使いたくないと考える傾向が出てきたりしているなど、消費者の価値観が変化していることもあります。
ただし、価格帯が高額でも根強い人気のファッションブランドや、手頃な量産型のファストファッションブランドなど、一部は今後も生き残っていく可能性が高いでしょう。
衰退する業界4.建設業界
建設業界がこれから衰退する可能性がある理由は、以下となります。
- 職人が不足し外国人労働者に頼っている
- 新卒など若者の業界希望者数が少ない
2020年10月調査の国土交通省「建設労働需給調査結果」によれば、労働者確保の見通しに対して「困難」「やや困難」と回答した割合は23.5%です。
引用:国土交通省「建設労働需給調査結果」
現場の業務を多くの外国人労働者に頼っている現状や、若者や新卒の学生などで建設の仕事を選ぶ割合がそれほど高くない状況です。
また、2020年までは実施予定だった東京オリンピックパラリンピック需要で建設ラッシュがあったものの、仮に2021年に開催されたとしても、その後の需要がどの程度あるのかはまだ明確ではありません。
コロナをきっかけにリモートワークが促進されていけば、オフィスビルの建設需要が減ったり、都市の再開発計画に影響が出たりすることも考えられます。
衰退する業界5.ブライダル業界
ブライダル業界がこれから衰退する可能性がある理由は、以下となります。
- 結婚しても結婚式を挙げない人が一定数いる
- 生涯独身の人が増えていくことが予想される
アニヴェルセル総研の「離婚率に影響も?!既婚男女600人に大調査!『あなたは結婚式を挙げましたか?』」によれば、既婚男女600人を対象に実施したアンケートの「結婚式を上げたか」という質問に対し、28.7%が「何もしていない」と回答しています。
引用:アニヴェルセル総研「離婚率に影響も?!既婚男女600人に大調査!『あなたは結婚式を挙げましたか?』」
また、男女ともに生涯結婚せず独身のままという人の割合も、今後も増えていくことが予測されています。
結婚しても式を挙げない人、結婚自体をしない人など、ライフスタイルや傾向が変化して生きていることから、昔のように結婚式に豪華なお金をかける人は減ることが予想されます。
ただし、格安の挙式サービスやスマホから手軽にプランを選べるサービス、オンライン結婚式など新たなものも登場してきているため、時代に沿ったサービスを提供する企業には需要があるでしょう。
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衰退する業界6.観光業界
観光業界がこれから衰退する可能性がある理由は、以下となります。
- 新型コロナの影響で観光客が激減している
- 今後の復興にはしばらく時間がかかる
JTB総合研究所の「インバウンド 訪日外国人動向」によれば、2020年5月の国地域別の訪日外国人数は、前年同月を99.9%以上下回っている状態です。
引用:JTB総合研究所「インバウンド 訪日外国人動向」
日本政府は経済政策のひとつとしてインバウンドに着目しており、訪日外国人の増加をさまざまな形で後押ししていました。ジャパニーズカルチャーが旅行客に人気のコンテンツとなり、円安も後押ししたことやオリンピック開催国と言う注目度もあり、近年、日本を訪れる外国人の数は急増していました。
しかし新型コロナウイルスの影響で、現在では日本へ外国人観光客を呼び込むこと自体が物理的にむずかしい状況です。今後、治療薬やワクチンなどが開発されて落ち着くまで、観光業界は一時的に業績が落ち込む状態が続きそうです。
しかし、国内の感染状況が落ち着いて収束へ向かえば、再び復興する可能性もあります。ずっと衰退し続ける業界というよりも、新型コロナと言う予想外の事態によって、一時的に衰退せざるを得ない状況、と考えておいたほうがよいでしょう。
これから衰退する業界の特徴と注意点
これから衰退する可能性がある業界の特徴について知っておきましょう。
衰退業界の特徴
衰退していくことが考えられる業界の特徴は、以下があります。衰退することが考えられる業界は、以下いずれかに当てはまっている可能性があるでしょう。
特徴1.時代の変化に適応できていない
時代が大きく変わっているにもかかわらず、それに対応できていない業界や企業は、衰退していく可能性が高いでしょう。出版業界でたとえると、紙の書籍や雑誌が売れていないという現状があるのに「よいものを作れば売れる」という考えを崩さない出版社などです。
特徴2.ニーズが少ない/以前よりも減っている
その業界が提供する商品やサービスのニーズ自体がなくなってきつつあったり、以前よりも需要が減ったりしているケースです。アパレル業界でたとえると、昔よりも洋服そのものの価値が低くなっていて、高いお金を出してまで新作を購入しようとする人が減っている、などのケースです。
特徴3.予想外の事態が起きている
これまではむしろ成長していたにもかかわらず、新型コロナ感染拡大やオリンピック延期のような予期せぬ事態で、一気に衰退してしまっているケースです。インバウンド需要が非常に高かった観光業界は、新型コロナの影響で一時的に壊滅的な被害を受けています。
これから衰退する業界の注意点
これから衰退する可能性がある業界には、以下のような注意点があります。
衰退する=業界そのものがなくなるわけではない
昔とくらべて衰退したり、売り上げが下がったりしている業界でも、業界そのものが一気になくなるわけではありません。企業レベルで見れば人員削減や倒産、縮小などは起きる可能性がありますが、衰退しつつあっても業界は残りますし、一定の需要はあります。
「衰退業界だからやめておこう」と簡単に決めてしまうのではなく、自分の適性や気持ち、希望するキャリアや働き方、業界研究など、総合的に考えたうえで業界選びをしましょう。
風向きが変わる可能性もある
衰退業界だと予測されていても、100%の確証があるわけではありません。苦境に立たされていた業界でも何かのきっかけで風向きが変化し、業績が戻るケースもあるでしょう。人々の生活様式や価値観、消費行動、ニーズなどは、その時代によって大きく変化します。
たとえば、現在はリモートなどオンラインのコミュニケーションが増えていますが、将来的には再びオフラインのコミュニケーションが主流になる可能性もあります。そうなれば人々の行動や思考が変わることになるため、売り上げが伸びる業界や衰退する業界などもまた変わっていくでしょう。
これから衰退する業界はコロナの影響でも変わってくる
これから衰退する業界は、新型コロナによって影響を受けている業界も複数あります。逆に考えれば、コロナがある程度収束すれば、また回復する可能性もあるでしょう。就活生の場合、一部の業界や企業では新卒採用が中止されるケースもあるかもしれません。その場合は一旦別の業界を目指して就職し、将来的に転職するなどの方法でも遅くはありません。
これから伸びる業界は、以下の記事でご紹介しています。
これから成長する可能性が高い業界を知りたい就活生は、ぜひ参考にしてみてください。
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