小売業界のなかでもスーパーやドラッグストアなどは生活必需品を取り扱っているため、不況にも強いといえるでしょう。また、従来のような接客販売だけではなくテクノロジーを取り入れるなど、小売業界も日々進化しています。この記事では、小売業界の種類、現状や今後の動向、小売業界で働くメリットデメリットなどの情報をご紹介します。
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小売業界とは
小売業は個人の消費者に対して物品を販売したり、サービスを提供したりする業種です。あくまでも個人の消費者を顧客とするもので、企業を相手とするものは含みません。ここでは小売業界の業種と職種、現状と今後についてご紹介します。
小売業界の業種
小売業界の具体的な業種としては、以下のものがあります。
コンビニエンスストア
食品や飲料、日用品などをセルフサービス方式で販売する店舗です。「小さなスーパー」ともいえる品揃えのところも少なくありませんが、コンビニエンスストアは、1日の営業時間が14時間以上という定義があります。
公共料金の払い込みや宅配便の受付なども行っており、今や生活インフラとも言える存在です。直営店とフランチャイズ制の2つの経営形態があります。
スーパーマーケット
食料品や日用品をセルフサービス方式で販売する店舗で、買い物を短時間で効率よく済ませられるのが特徴です。いわゆる「食品スーパー」と、玩具や文具などを含む幅広い商品を扱う「総合スーパー」があります。
ドラッグストア
医薬品や化粧品を中心に取り扱う小売業態です。食品や日用品などを扱うところもあり、スーパーに近い性格のものもあります。
百貨店
衣食住にわたる幅広い分野の商品を一カ所で扱う大型店舗です。50人以上の販売員が在籍し、50%以上が対面販売であること、などの定義があります。
各種専門店
ファッションやインテリア、家電など特定の領域の商品を一つの店舗や事業所で集約して扱う業態です。
無店舗販売
店舗を持たずに販売を行う業態で、訪問販売や移動販売、通信販売や自販機などによる無人販売といった種類があります。通信販売はネットの普及に伴い大きな成長を遂げ注目されている分野です。
ディスカウントショップ
日用品や衣料品などを低価格で販売する小売業態です。売り切りを見越した仕入を行うことで破格の値段をつけることが可能になっています。
100円ショップ
基本的に店内の全商品を一律100円(税抜)で販売する小売業態です。大量仕入・大量販売により低価格を実現しています。景気動向に左右されにくいのが特徴です。日用雑貨や化粧品など商品は幅広く、食品を扱っているところもあります。
売店
遊園地や病院、公共施設などに設置された小型の店舗です。商品販売よりは施設の利用者の利便性を測ることを主目的としています。
その他
主に販売する商品が、他に分類されない小売業態です。
小売業界の職種
小売業界の代表的な職種には、以下があります。
販売
販売は文字通りお客様に直接商品を販売する職種ですが、スーパーやコンビニのレジや品出し、あるいは服飾店や家電量販店などで商品の説明やお勧めをするなどその仕事内容は多岐にわたります。大まかな理解としては「店頭で働くスタッフ」ということでよいでしょう。
小売業界では新卒で入社した場合、まずこの販売の仕事に就くことが多いといえます。小売りの仕事を理解するには、はじめに現場を知ることが重要だからです。
店頭ではパートやアルバイトの従業員も多く、そうした人々と一緒に働くことになりますが、店長やマネージャーへのキャリアアップを目指すことも可能です。
販売の仕事にはセールの企画・実施やそれに合わせた店舗レイアウトなどのような、いわゆる店舗運営の仕事も含まれており、幅広い経験を積むことができます。
バイヤー
商品を売る販売の仕事に対し、商品を仕入れるのが「バイヤー」の仕事です。仕入というのは実は高いスキルを要求される仕事で、小売業界では志望者の多い人気の花形職種となっています。
物を売るためには、売れる商品を仕入れなくてはなりません。市場の流れを見て、今どんな商品が消費者に求められているのかを的確に判断することがバイヤーには求められます。
よい品をできるだけ安く仕入れるためには値段の交渉もしなくてはなりませんし、過不足のない量を仕入れ適正な在庫管理を行うことも必要です。ここがまさにバイヤーの腕の見せ所といえます。
販売員がどれだけ頑張っても、欲しい商品が店頭になければ消費者は財布のひもを緩めません。店舗の売上はバイヤーの能力にかかっていると言っても過言ではないのです。
商品企画
スーパーやコンビニなどでいわゆるPB(プライベートブランド)商品を見かけたことのある人も多いでしょう。これはスーパーなどが自社で開発した商品で、それを開発・企画するのが「商品企画」という仕事です。
バイヤーが仕入れた商品を販売するのが小売業の基本ですが、こうした自社開発商品を店頭に置く企業も増えてきています。これには実は、マーケティングの役割もあります。新商品を独自に開発して販売し、その動向を見ることで今何が市場で求められているのかを分析することができるのです。
自社商品はPBのほかに、他社とのコラボレーションで生み出されることもあります。そうしてできた商品をどのように売るかといった販売戦略や宣伝戦略を考えるのも商品企画の仕事には含まれており、多岐にわたる分野で活躍することができます。
小売業界の現在
小売業界は個人の消費や購買意欲がダイレクトに影響する業界のため、増税や景気などの社会情勢が直接影響しやすいということが、大きな特徴のひとつです。
たとえば、2014年4月に消費税が増税された際、直前には駆け込み需要で売り上げが伸びたものの、増税後はその反動で一気に売上高が落ち込みました。増税の影響は長く続き、しばらくたってようやく少しずつ回復傾向を見せています。回復の要因としては、緩やかな景気回復や外国人観光客の増加などが挙げられます。
人口の増減も、売上に大きく影響するものです。少子高齢化に伴い出生数が減り死亡数が増えるという状況にある日本では今後人口が減少していくことが予想されていますが、小売業界にとってそれは顧客の減少を意味しています。顧客数が減れば当然、全体としての売上は下がっていくことが見込まれます。
少子高齢化はそれ自体、小売業界にとって深刻な問題です。高齢者は比較的ネット販売よりも実店舗を利用することが多い傾向にありますが、年齢と共に買い物に出ることが難しくなると、それはそのまま売上減少につながってしまうのです。
さらに、若い世代はネット通販を利用する人が多いため、小売店舗にとってはそれもまた苦しい材料となっています。
小売業界の今後
インターネットの普及によりネット通販に押され苦戦を強いられてきた実店舗ですが、そうした状況を打開すべく新たなトレンドとして「小売4.0」という概念が登場しています。これは、店舗をデータ取得の場と位置付ける考え方です。単に商品を販売するだけだった従来のあり方は「小売1.0」と呼ばれ、明確に区別されています。
実は、実店舗の必要性は徐々に見直されつつあります。ネットに対する実店舗の強みは実際に商品を目で見て触れて体験することができるという点ですが、こうした「製品体験」ができるということが顧客からあらためて評価されているのです。
さらに、オンラインで購入して店舗でピックアップ(商品受取)をするというサービスも、送料が抑えられる、自宅で商品が到着するのを待つことなく自分のタイミングで受け取れるなどの理由から、消費者から求められているといえます。
店舗内カメラで顧客の消費行動をトラッキングしたり、アプリを通じて顧客同士のコミュニケーションを図ったりできる「コミュニティ店舗」が登場するなど、テクノロジーを駆使した数々の新しい試みが行われている小売業界では、今後は「体験」「パーソナライズ」「コミュニティ」が今キーワードといえそうです。
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小売業界で働く前に知っておきたいこと
小売業界で働くメリットとデメリット、小売業界に向いている人についてご紹介します。小売業界に関心のある就活生は、頭に入れておくとよいでしょう。
小売業界で働くメリット
小売業界で働くメリットには、以下のようなことがあります。
平日の休みを有意義に過ごせる
小売業の場合、店舗は年中無休で営業していることも多く、土日祝日などはむしろ休みが取りにくいものです。店舗の定休日ではなく従業員個人個人の休業日のことを「公休日」と呼びますが、この公休日は交代で、比較的休みやすい平日に設定されていることがほとんどです。
土日祝日ではなく平日が休みであるということはメリットとデメリットの両面がありますが、買い物や観光などのお出かけを、平日の空いているときにゆっくり楽しめるのは大きいでしょう。休日ならば行列ができるような人気スポットでも平日なら待つことなくスムーズに楽しむことができ、ストレスがありません。
役所や銀行など、平日しか営業していないところへの用事が済ませやすいというのも利点です。
人脈作りができる
お客様や取引先業者など、小売業は大勢の人に会う仕事です。人との出会いが非常に多い仕事なので、それだけ人脈が築きやすいともいえます。
お客様の満足度を高めるような接客・販売業務ができれば、お客様は常連となりまた新たなお客様を紹介してくれることもあって、さらに人脈が広がっていきます。お客様との何気ない会話の中からよい情報が得られることもあるため、コミュニケーションは重要です。
小売業の場合は、特に自分から求めずとも自然に幅広い人々とコミュニケーションをとる機会があります。
仕事のやりがいを感じやすい
多くのお客様と接する小売業の場合、お客様から「ありがとう」の言葉をかけられる場面も少なくありません。満足のいく買い物をしていただけたときや問題を解決することができたときなど、要望に応えることができたときに言われる「ありがとう」は、自分の仕事への評価とも取ることができます。
感謝の気持ちをダイレクトに受けられること、そして自分の仕事が人の役に立ち喜ばせることができたのだということを直に感じることができるのは、小売業界で働く大きなメリットといえます。
小売業界で働くデメリット
小売業界で働く場合、以下のようなデメリットもあります。
カレンダー通りの休みは取りづらい
小売業界のデメリットとして「カレンダー通りに休めない」ということが挙げられます。
多くの人が学生時代まで「土日祝日は休み」という生活をしてきた中で、これに慣れていくのは少々苦労があるかもしれません。もちろん土日祝日に全く休みが取れないというわけではなく、事情がある場合は前もって上司に相談したりシフトを調整したりすれば、休めることがほとんどです。ただし週末は人手不足になることも少なくないため、やはり土日祝日にしょっちゅう休みを申請することは、現実的にはむずかしいでしょう。週末に休みにくいことは、小売業界に入った以上は受け入れる必要があるでしょう。
週末に休めないとなると、結婚したり子どもが産まれたりした場合、一緒に過ごす時間を取るために家族に都合を調整してもらう必要が出てきます。会社員の友達とは予定が合わなくなり、会いにくくなることもあるでしょう。GWなどの大型連休や年末年始も仕事になることが多いため、実家へ帰省する場合も時期をずらすことになります。小売業界への就職を考える際には、こうした点を考慮しておく必要があります。
接客がストレスになることもある
店舗勤務の場合、1日に多くのお客様と接することになるため、なかにはクレームを言ってきたり乱暴な物言いをしたりする人もいます。基本的には来店するお客様を選ぶことができないため、どのような相手にも対応しなければいけないことがストレスになることもあります。
たとえ人と接することが好きであっても、おかしな人に対応することが続くと疲弊してしまう可能性が高いでしょう。無心になれる趣味などを持つ、仕事とプライベートで気持ちを切り替える、気軽に話せる相手をつくっておくなど、接客で受けたストレスを上手に解消する工夫をしたほうがよいでしょう。
小売業界に向いている人
小売の仕事に必要な能力は、接客ができるコミュニケーション能力、お客様の要望に的確に応えられる提案力、チームプレイをそつなくこなす要領の良さなどがあります。
小売業は人々の生活に必要なものを安定的に供給する、いわば社会インフラとしての役目も持つものです。地域の人々の暮らしを支えることに誇りを持ち、熱意を持って取り組めること、お客様にとってなくてはならないお店を創って行こうという意識を持つことも、小売業で働く人には必要といえます。
また、社会情勢やライフスタイルが大きく変わっていくなかで、変化を恐れず挑戦し続けていく気概のある人も、小売業界に向いているといえるでしょう。
小売業界ならではの醍醐味がある
小売業はトレンドの変化が激しく、店舗で働く場合は土日祝日など一般的な休日に休みがとりにくいなど、大変な面も多くあります。しかし、直接お客様と接するため人の役に立っていると感じられる場面も多く、その充実感や満足感は大変さを上回るものでもあります。小売業界に興味のある就活生は、業界や企業についてくわしく調べてみましょう。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
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