リース業界の仕事について具体的にイメージすることはできますか。商品レンタルを主な事業とするリース業界は、金融業界に属する業界の1つであり、求職者にいつも人気のある業界です。この記事ではリース業界、また金融業界を志望するのであれば、必ず知っておくべき知識を紹介します。
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リース業界の基礎知識
まずは、リース業界の基礎知識から見ていきましょう。
リースとは
企業は、ビジネスで使用する様々な設備を必要とします。すべての設備を購入できればよいのですが、予算にも限りがあります。導入した設備が必ずしもビジネスで役立つかどうかわからない段階で購入を決めるのも、早計です。そこで活用すると便利なのが、リースです。リース会社は企業の代わりに設備を購入し、貸し出します。企業は必要な設備を所有せずに使用でき、リースの本質である使用価値を実感できるのです。
リースの仕組み
必要な設備をリースで導入したい企業は、設備を選んでリース事業者と契約を結びます。リース事業者は契約した設備を購入し、月々のリース料と引き換えに企業へ設備を貸し出します。こうしたリースの仕組みは、企業が設備購入のための支出を抑えるために便利です。オフィス機器・パソコン・医療機器・航空機・生産設備など、リース事業者が扱う対象は多岐に渡ります。
リース機能の種類
リースには、2大機能があります。1つは、金融機能です。リース会社は、契約企業が必要な設備投資を代わりに引き受けてくれます。これにより、リースを利用する企業は設備投資費用を抑えて他に資金を回すことができます。もう1つは、サービス機能です。設備を所有すると、会計や税務処理から損害保険の加入などが必要になります。こうした複雑な手続きを代わってくれるのも、設備を代理で購入してくれるリース会社です。
オペレーティング・リースとファイナンス・リース
リース方法には2つの種類があるため、それぞれ紹介します。
オペレーティング・リース
オペレーティング・リースの特徴は、購入するより割安に設備をリクエストできることです。リース期間は限定され、設備は企業の使用後も中古市場に回せます。リース期間が終わっても、設備の資産価値が残る取引です。
ファイナンス・リース
ファイナンス・リースでは、使用後の中古市場がなくオペレーティング・リースでは扱えないものも契約できます。ただし、中途解約はできないフルペイアウトの取引です。フルペイアウトは、購入と同等の価値を得る代わりに費用を全額支払うこと。金融機関から、設備を購入するためのお金を借りるようなイメージです。
リースとレンタルとの違い
リース事業とレンタル事業との違いについて、説明します。
提供方法が違う
レンタル事業では、もともと業者が所有しているアイテムを貸し出すのが特徴です。これに対して、リース事業では借り手がリクエストするアイテムを新規購入して貸し出します。つまり、レンタル事業者は在庫を保有しており、リース事業者は在庫を保有していない状況で契約をするわけです。
期間が違う
レンタル事業者がサービスを提供する期間は、概ね短期間です。これに対して、リース事業者は長期間に渡る契約でサービスを提供します。
企業がリースを利用するメリットって?
企業がリースを利用するメリットは何でしょうか。「リース」の存在意義とは何か解説します。
設備にかかるコストを節約できる
企業が設備を導入するには、コストがかかります。高価で多様・多量な設備が必要なほど、金銭的な負担が大きくなってくるでしょう。予算が潤沢にあれば、自社での購入も不可能ではありません。しかし、設備導入にばかり投資できないという企業もあります。リースを利用すれば、自社で設備を購入するよりもコストを抑えることができます。状況によって必要な設備が変わった場合も、そのたびに購入で多額の出費をするよりリースで月々の使用料を支払ったほうが低リスクです。購入時に生じる手続きや保険の申し込みなども省略できるため、人員コストまで低減できることになります。
販売リスクを軽減できる
リース業者を活用するのは、設備を導入する企業だけではありません。リースするための品物やサービスを提供している企業にとっても、リース業者との関係は重要です。リース業者に品物を提供することで、利益を得られるからです。リース業者が借り手の代わりに品物を購入すれば、販売業者には売上金が一括で入ります。つまり、売上を回収できない販売リスクが軽減されるのです。一方で、販売活動の促進になるのもメリットです。リースによって設備を導入してもらえれば、商品の良さを宣伝する手間も省けます。
設備の充実度が高まる
再び借り手側のメリットに戻ると、リースを利用することで設備の充実度が高まるメリットがあります。企業にとって設備投資には大きな費用がかかるため、予算によっては設備を控えめにしなければならないかもしれません。その点、リースを活用すれば金銭的な負担を抑えつつ充実した設備にできるのがメリットです。
リース業界の将来性は?
リース業界の将来性について、最近の動向を解説します。
リース業界の競争環境
リース業界は、生存競争が熾烈な業界です。特に大手企業では、業界再編を繰り返すほど競争が激しくなっています。しかし、取り扱う分野の専門性に特化して他社と差別化することも可能です。生き残っていくためには、扱う品やサービスに独自のアイディアが必要になってくるでしょう。
リース業界の国内動向
2015年にリース事業関連の協会が調査したところによると、リースを利用している国内企業は90.5%とのことです。この段階では、過去のデータと照らし合わせても9割前後の利用率が保たれています。ところが別の協会の統計によると、2017年のリース取扱高はわずかながら減少傾向を見せています。過去数年のデータを見ても取扱高が下降しており、国内企業の設備投資は低迷していると判断せざるを得ません。今後の景気次第では市場規模に増加を見込める可能性もありますが、国内企業が海外進出すれば国内でのリースは横ばいか下降していくリスクもあります。
リース業界の海外進出
国内での動向に明るいきざしが見られないとしても、海外進出には期待が持たれています。海外進出といっても、従来のように借り手である企業の海外進出にばかり賭けているわけではありません。リース事業者自体が、海外進出に乗り出そうとしているのです。現地のファイナンス企業やリース事業者を買収したり、提携企業として名乗りを上げることもあります。リース事業にこだわらず、新しい分野に挑戦するリース会社も出てきています。国内・海外を問わず、合併や業務提携により新しい道を開拓するリース業者にも希望はあるでしょう。
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リース業界の職種
ここではリース業界で活躍する様々な職種を紹介します。
営業職
リース会社に総合職として入社した人の多くが営業職としてそのキャリアをスタートさせています。社内の人員でも営業担当者の割合が一番多いため、リース会社のメインの職種が営業といえるでしょう。
営業職は会社が扱っている分野ごとにチーム分けされる傾向があります。例えば情報機器の営業チーム、不動産の営業チームといった具合です。配属されたチームの専門分野にくわしい人材が育つのが、狙いでもあります。
営業職の主な業務は、ヒアリングと提案です。借り手である顧客の課題を汲み取り、課題解決のための方法をあれこれと提案します。営業職の役目は物を売ることですが、同時にコンサルティングをおこなうことも業務の1つです。顧客の課題を聞き取るため、また解決するために役立つスキルとして、提案能力やコミュニケーション能力があります。
審査・法務職
審査・法務職も、リース会社で重要な業務を担っています。リース会社における審査・法務職の役割は、契約関連の精査です。リース契約を結んだ後は、借り手に滞りなく支払いをしてもらう必要があります。契約相手の支払い能力に問題がないかどうか、審査・法務職がくわしく調査するのです。
審査・法務職の業務は、慎重におこなわなければなりません。リース契約した相手が、経営破綻などで支払い能力を失うこともあり得ます。そのとき被害に遭うのは、商品を購入して貸し出しているリース会社です。購入した商品の代金を回収できなくなるばかりか、リース料金の利益を得ることもできなくなります。そのような事態にならないよう、与信業務をミスなく的確におこなうスキルが重要です。会社の中で金融業の側面が強い職種でもあり、財務スキルも求められます。
資産管理職
会社の持つ資産の運用についてカギを握るのが資産管理職です。リースしている商品の契約期間や廃棄などを管理しており、その運用方法が会社の利益を左右するのです。資産であるリース品が有効に使われることなく廃棄となってしまえば、損失になってしまいます。逆にリース契約が延長になったり、契約終了になった品を上手く中古市場に回すことができれば、利益を見込めます。金融業としての役割が求められる職種です。
資産管理職の業務内容は、資産を守りながら運用することです。運用はより利益を上げるためにおこなう必要があり、資産を守ることも利益につながります。契約期間を管理する事務的な作業もありつつ、資産であるリース品をムダなく利益に結びつけるスキルが必要です。
経理職
リース会社における経理職は、会計や税務を担う職種です。企業の経理職というと、従業員の給与計算や決済などをメインにおこなっている職種というイメージを持つ人もいるでしょう。リース業界での経理職には、リース契約に伴う税務処理を担当する重要な役割があります。税制や税務処理、法律についての専門的な知識が求められる職種でもあります。
リース会社の経理職には、金融・経営・財務・会計のスキルが必要です。リース契約に伴う税務を処理する他、契約書の作成も任されることもあります。会社によっても異なりますが、契約書の作成も担当する場合は契約上の専門的な知識も求められます。計算を伴う会計をミスなくおこなうことも重要な業務ですが、会社の経営を上向かせるために税務知識を工夫しなければなりません。
リース業界に就職するには
リース業界の最近の求人状況や応募するにあたってのポイントを解説します、
リース業界への就職状況は?
取扱高が減少しているとはいえ、リース業界では企業ごとの売上高が高い業種です。1企業で1兆円の売上に達しているリース事業者もあるほどで、大企業になればなるほど多数の人材が必要になります。大手企業への就職を狙うとなると競争率も高くはなりますが、職種にこだわらず応募してみれば可能性が広がるでしょう。また、中小企業に就職する道もあります。
業界の動向を見極めて応募すること!
リース業界では競争が熾烈なだけに、動向に敏感になっておいたほうがよいでしょう。業界が再編されたときに活躍が目立っていた企業は、チェックしておくことをおすすめします。成長企業を見極めて応募すれば、採用されたときに共に成長していける可能性が高いです。就職に有利な知識は、経済や経営に関連しています。経済学部や商学部からの応募は接点がありますが、学部を特定するようなことがない点もリース業界の特徴です。取り扱っているリース品について専門的な知識を持っていれば、有利になる可能性もあります。
志望動機はどうする?
リース業界は、金融取引的な側面も強い業種です。金融業にくくったとして、その中でなぜリース業に応募したのかという理由は明確に述べられるようにしておいたほうがよいでしょう。応募する事業者が扱うリース品について専門的知識があるなら、その知識を強みとしてアピールすることもできます。経営や経済を学んだ知識を活かしたいという志望動機でもよいのですが、リース事業に特化した動機づけはしておくことが大切です。また、海外進出するリース事業者も多いことから、語学力や海外での活躍への希望を伝えるのもありです。
リース業界に興味を持ったらまずは業界について理解を深めよう!
ここまで読んでみていかがでしたか?あらゆる企業と接点を持っているのがリース業界の魅力といえるかもしれません。興味を持った方はリース業界についてより一層理解を深めるべく、情報収集に努めてみてください。
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