ものづくりの仕事がしたいあなたへ。ものづくりの仕事の業種や職種、魅力や将来性について最新版でご紹介します。製造系から職人系、IT系など様々な職種の詳細についてもご紹介しています。記事を参考に、ものづくりの世界へ飛び込んでみてはいかがでしょうか。
- ものづくりの仕事は、製造・建設・職人・クリエイティブ・ITなど多岐にわたる
- 製造系は「未経験OK」が多く、職人系は「やる気」が重視される
- ものづくりの仕事には「面白い」「社会貢献」「土日休みが多い」などの魅力がある
この記事の目次
ものづくりをする仕事とは
ものづくりの仕事とは、一言で言い表せないほどの業種や職種の数があります。イメージしやすい工場での「製造系」から、あこがれる「職人系」や「クリエイティブ系」、最先端の「IT系」など、業種だけでも100種類以上あるといわれています。
自動車製造のような業種の中でも、研究、開発、設計、品質管理、生産管理、マーケティングなど、多くの職種を選ぶことができます。ものづくりに関わる仕事という意味でとらえれば、多くの業種や職種から、あなたの求める仕事が見つかる可能性が高いでしょう。
伝統的な職人系の仕事から、最新のロボットやITテクノロジーまで、今の時代のものづくりの仕事についてご紹介していきます。
ものづくりの仕事が再注目
現在の日本は、サービス業などの第3次産業が主流ですが、昔からのお家芸である「ものづくりの仕事」が再注目されています。
グローバル経済が進んだ2000年代、日本のものづくり企業は、製造拠点を中国やタイ、ベトナムなどのアジア諸国に置いていましたが、人件費の高騰や、品質管理の問題で、再度国内で生産することの意義が高まっているためです。
さらに、職人系である伝統工芸産業は、生産額や従事者数が減少を続けており、伝統を後継する人がいなくなる問題を抱えています。このような現状に対し、国も補助金等を活用して支援する方針を示しており、今後の求人も増えていく傾向にあるといわれています。
ものづくりの仕事がしたい人におすすめの職種
ものづくりをする仕事の職種は、とても多くの種類があります。「もの」ができるまでには、製造、職人、クリエイティブやIT、技術系まで様々な職種の人々が関わっているためです。
さきほどご紹介した系統ごとに、どのような職種が選べて、どんな仕事なのか、ものづくりの仕事がしたい人におすすめの職種をご紹介していきます。
製造系
製造系は最もイメージがしやすい、実際にものを製造する仕事です。自動車業界や造船業界、建設業界や家電業界など、世界に誇れる製造業界があり、大企業も多くあるため、求人が多いことも特徴です。
職種としては下記のようなものがあげられます。
- ライン製造…実際に現場で製造を行う仕事
- 生産管理(工務)…生産数を管理したり、生産計画を立てる仕事
- 品質管理…品質を管理し、品質を高めるための企画を立てる仕事
- マーケティング…商品を売るための企画を考え、実行する仕事
- 営業…製造された商品を顧客(消費者/企業)へ販売する仕事
最もチャレンジしやすい職種であり、ライン製造で就職して、最終的には工場を管理するような職種まで登っていくことも可能でしょう。
期間工のように、短期間でライン製造の職種で雇用され、試験を受けて正社員になる道もあります。
工場の仕事を知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
建設系
建設系は、建築や土木の業界に関わる、ものづくりの仕事です。震災後の復興や、オリンピック需要、高度成長期に建てられた建築物の改修など、今後も高い需要が続くことが予想されています。
職種としては、下記のようなものがあげられます。
- 施工…建築物の施工を行う仕事
- 施工管理…建築物の施工状況を管理する仕事
- 設計…建築物自体や設備を設計する仕事
- 安全管理…施工現場の災害を防止するための管理をする仕事
- 営業…施主となる顧客のニーズに応え、工事を受注する仕事
などがあげられます。
建設系も企業数が多く、求人数も多いため施工や営業など、未経験でもチャレンジできる職種もあります。給料が高い場合も多くありますので、求人情報を確認してみましょう。
職人系
職人系は、身に着けた技術で、主に手作業でものづくりをする仕事です。技術を身に着けるまでに時間がかかりますが、定年もなく、一生涯続けられることが特徴です。
職人系の中でも、下記のような様々なジャンルの職種があります。
- 伝統工芸
- 彫刻
- 大工
- 陶芸
- 食品(寿司、パン、パティシエ、和菓子職人など)
自分の人生をかけられる職種に出会えれば、幸せなことでしょう。
コツコツ何かを作りたい、自分の道を極めたい、そんな人には魅力的です。
クリエイティブ系
クリエイティブ系は、ものづくりの仕事の花形です。様々な商品の品質や技術が発展した今、差別化するために、クリエイティブ系の役割の重要性が高まっています。
職種としては、下記のようなものがあげられます。
- デザイナー…商品や商品に関わる一部(パッケージ等)をデザインする仕事
- 開発…どのような商品を作るのか企画する仕事
- 設計…商品自体の性能や形状をデザインする仕事
高度なアイディアと表現するスキルが必要ですが、自分が関わった「もの」ができあがることの達成感は何にも代えがたいでしょう。
求人のハードルが高いイメージもありますが、将来性も高く、給料も高いため、年齢が若いのであればチャレンジする価値のある職種です。
デザインの仕事を知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
IT系
IT系も、ものづくりの仕事として捉えることができます。WEBサイトやアプリ、システムの開発は、要件を決めて設計し、開発工程をたどる立派なものづくり産業です。
職種としては、下記のようなものがあげられます。
- WEBデザイナー…WEBサイトのデザインを行う仕事
- システムエンジニア…システムの要件を整理したり、コードを書く仕事
- プログラマー……システムを実現するプログラムのコードを書く仕事
- AIエンジニア…機械学習のエンジンを動かす要件を整理し、コードを書く仕事
今後、AIやIoT(Internet of Things※「もの」のインターネット化)がさらに発展し、様々なデータを活用したビジネスが見込まれます。
IT業界でも圧倒的な人材不足が続いている状況ですので、興味があれば、ぜひチャレンジしてみましょう。
ITの仕事を知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
ものづくりの仕事の年収
ものづくりの仕事に就きたい人の中には、気になる職種の平均年収を知りたいと思っている人もいるのではないでしょうか。
厚生労働省が公表する「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、令和4年における主なものづくりの仕事の平均年収は次の通りです。
製造業:約362万円
建設業:約402万円
情報通信業:約455万円
※平均年収=「令和4年賃金構造基本統計調査 第5表」内の「賃金」×12カ月で計算
クリエイティブ系とIT系は、どちらも「情報通信業」に該当します。
また、職人系はジャンルが多岐にわたるため、該当するジャンルの平均年収を見る必要があります。例えば、大工の場合は、建設業の平均年収約402万円が参考になるでしょう。
ものづくりの仕事に就くコツ
ものづくりの仕事をご紹介してきましたが、ピンとくるものはありましたか?
ここからは、ものづくりの仕事に就くコツをご紹介していきます。
製造系は未経験OKが多い
製造系のものづくりの仕事は、未経験歓迎の求人が多いことで知られています。大企業が多く、各社独自の製造技術を持っているため、1から育成するプログラムを持っているためです。
自動車や、家電、食品など様々な企業で未経験歓迎の求人がありますので、チェックしてみましょう。
大企業は求人の数も多いため、採用される可能性も高いです。
職人系はやる気をアピール
職人系は、基本的に世襲制(親から子に受け継ぐ)であることが多いです。技術を磨いて稼ぐためには、家族以外のライバルを増やすわけにはいかなかったためです。
今では、職人系の多くのジャンルで後継者不足の状態になっており、職人の高齢化も進んでいるため、やる気や熱意を直接伝えられれば、弟子にしてもらえる可能性も高いです。
重要なのは、なぜやりたいのかを熱意をもって伝えることです。職人からすれば、技術を教えた弟子に辞められてしまうことが一番辛いことだからです。
ものづくりをする仕事の魅力
ここからは、ものづくりの仕事の魅力についてお伝えします。
一見すると地味にみえるものづくりの仕事ですが、魅力は他の仕事以上にあるといわれています。
魅力をポイントでご紹介していきます。
おもしろい
ものづくりの仕事といえば、工場の生産ラインのような、黙々と行う作業をイメージすることが多いと思いますが、考えたり、アイディアを出す仕事も多くあります。
設計やデザインなどのクリエイティブ系の仕事や、品質管理などのマネジメント系の仕事まで職種の幅が広く、考えて行動する領域が広く、おもしろいと感じている人が多くいます。
成長できる
ものづくりの仕事は、段階的に成長できる環境があることも魅力です。
製造系であれば、ライン製造で入社し、生産管理、品質管理、設計など、年齢や経験と共にステージを上げていくことができます。
職人系でも、「守破離」という言葉があり、師匠の教えを「守り」、「破り」、「離れる」ことで一人前になるという成長の意味を表しています。
安定している
ものづくりの仕事は、一般的に安定しているといわれます。
製造系や建設系の大企業は特に安定していますが、購入してくれるファンがついている職人も、収入としては安定するためです。
需要がなくならない限り、売れるものをつくれれば、ものづくりの仕事はなくならないでしょう。
土日が休み
ものづくりの仕事の魅力として、土日休みであることがあげられます。
製造業や建設業など、取引先が一般の消費者ではなく、多くはB2Bと言われる、企業相手であるためです。
- 友人との予定を合わせやすい
- イベントなどの予定を合わせやすい
- 子供との時間をつくれる
土日休みのメリットは、上記のようなものがあげられます。
社会貢献度が高い
ものづくりの仕事は、社会貢献度が高い仕事であることも魅力です。
自動車業界や建設業界、IT業界などは、すそ野が大きく、国を支えているといっても過言ではありません。
また、自分の関わった「もの」が、社会に影響を与えることになれば、大きなやりがいを感じられるでしょう。
ものづくりの仕事に向いている人の特徴
ものづくりの仕事に向いている人なら、ストレスをためることなく、常に充実した状態で仕事を続けられます。ものづくりの仕事に向いている人の特徴を把握し、自分が向いているかどうか判断する際の参考にしましょう。
ものを作ることが好き
ものづくりの仕事を続けるために重要なのは、ものを作ることに対する熱意です。何かを創作するのが好きな人は、ものづくりの仕事に向いています。
例えば、DIYや日曜大工を趣味にしている人は、ものづくりの仕事への適性が高いでしょう。建築物や機械などの構造に興味がある人も、ものづくりの仕事が適している可能性があります。
地道な作業・努力を苦に感じない
ものづくりの仕事は、単調な作業をコツコツと繰り返すことの積み重ねです。地道な作業や努力が苦にならない人は、ものづくりの仕事に向いています。
過去に単純作業の仕事をしていた経験があるなら、ものづくりの仕事を希望する際のアピールポイントになるでしょう。工場に勤務していた経験がある人や、データ入力などの作業に取り組んだ経験がある人は、地道な作業を苦に感じないことをアピールできます。
発想力が豊かな人
ものづくりの仕事の中には、発想力を求められるケースもあります。発想力が豊かな人は、ものづくりの仕事に向くでしょう。
特に、クリエイティブ系の仕事を目指す場合は、クライアントや市場の要望に応えるための発想力が不可欠です。発想力に自信がある人なら、デザイナー・開発・設計といった職種で活躍できる人材になれるでしょう。
ものづくりをする仕事は将来性がある
ものづくりの仕事は、10年後にも必要とされるのでしょうか?AIやIoTが発展する世の中において、近い将来AIに雇用を奪われてしまうのではないか?という議論が交わされています。
最後に、「ものづくりの仕事には将来性があるのか」ご紹介していきます。
ものづくりはなくならない
結論、ものづくりの仕事はなくならないと考えられています。製造現場での改善活動や、クリエイティブなものづくりは、人間にしかできないためです。
AIとロボットは、「あらかじめプログラムされた動き」を、「正確に再現する」ことは非常に得意なため、単純作業は置き換わってしまいますが、工夫してPDCAを回す改善活動や、世の中にないものを作り出すクリエイティブな活動は、AIやロボットにはできないことです。
もちろん10年以上先の未来には、改善活動やクリエイティブ活動をするAIも発生する可能性もありますが、AIをものづくりに生かすには、ロボット技術が不可欠です。しかしロボットは、様々な製造現場へ対応したり、職人が作り出す工芸品のような繊細なものをつくりだすのはとても苦手です。
自動車や建設でも、デザイン・設計段階ではコンピュータだけでなく、クレイモデル(粘土を使ったモデル)や、模型をつくります。ものづくりの仕事は、農業に次ぐ、人間の仕事の原点であり、今後も続いていく仕事であると考えられています。
国も支援している
ものづくりの仕事には、国の補助金も投入されています。
様々な系統で日本の基幹産業であり、雇用のすそ野も広いため、今後も続けてもらう必要があるためです。
- 中小企業庁「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」
- 厚生労働省の「ものづくりマイスター制度(若年技能者人材育成支援等事業)」
など、生産性の向上や、技術の継承・後継者育成を支援するために、力を入れています。
将来性のない仕事に、国が投資することはありませんから、ものづくりの仕事は他の仕事に比べて安心できるといえるでしょう。
需要はあるのに労働力が不足
ものづくりの仕事は、建設系やIT系など、非常に高い需要があります。建設系では、オリンピック需要などで人手不足が続いていますし、IT系でも、デジタル人材(AI・IoT・ビッグデータなどのエンジニア)の圧倒的な人手不足が叫ばれています。
特にデジタル人材は、世界の先進国と比べて日本の人材が少ないと言われており、やる気さえあれば、チャレンジできる環境が整っています。
日本は少子高齢化の時代になっており、労働力が不足しています。今後もさらに流れは加速すると予想されています。
ものづくりの仕事にチャレンジしよう
これまでご紹介してきたように、ものづくりの仕事は以下の特徴があります。
- 幅広い業種、職種を選べる
- おもしろさや自己成長も見込める
- 国も支援している
- 今後も堅い需要が続く
あなたがものづくりの仕事に興味を持ったのであれば、ぜひチャレンジすることをオススメします。
まとめ
ものづくりの仕事は近年再注目されています。やりがいを感じやすいことや社会貢献できること、土日休みが多いことなど、多くの魅力があることがメリットです。
ものづくりの仕事には将来性もあるため、転職先で悩んでいる人にもおすすめできます。向いている人の特徴を把握し、自分にもできそうだと思ったら、ものづくりの仕事にチャレンジしてみましょう。