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印刷業界へ就職!~業界の現状と今後の動向、将来性について~

印刷業界へ就職!~業界の現状と今後の動向、将来性について~

皆が知っているようで知らない印刷業界について、業界のビジネスモデル、市場規模、将来性などについて解説します。紙からデジタルへ、時代の流れとともに変化し続けている「印刷するだけではない」印刷業界について理解を深め、これからの就職活動に役立ててください。

※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合

印刷業界は「出版印刷」と「商業印刷」の2つに分けられる

印刷業界は「出版印刷」と「商業印刷」の2つに分けられる

印刷業界のビジネスモデルは大きく「出版印刷」と「商業印刷」の2つにに分けられます。印刷業界に属する企業は数万社存しますがそのほとんどがどちらかに特化しており、2種類とも手掛けている企業は「総合印刷会社」と呼ばれています。

印刷業界の「出版印刷」

出版印刷について解説します。印刷業界というとこの出版印刷を真っ先にイメージする人が多いかもしれません。

出版印刷とは

出版印刷とは、出版社や新聞社で発行している商業出版物を印刷することです。家庭に届けられたり駅売店やコンビニで販売されている新聞、書店に並ぶコミック・雑誌・単行本などは、出版印刷で取り扱っている印刷物です。地図や教科書、学習参考書、辞典・辞書なども、出版印刷物に括られています。

出版印刷の工程

出版印刷物は、出版社から小売業者まで5つの工程を経て市場に出回ります。そのうち、印刷会社が携わるのは2つの工程です。出版社が企画・作成した原本が印刷会社に届けられると、印刷会社で印刷の企画・提案を経て印刷に入ります。印刷された出版物は流通会社に送られて小売業者に配送され、小売業者が販売するという流れです。印刷会社でおこなわれるデザインや紙の種類などの企画・提案は、出版社と共同で検討されます。共に納得したうえで、印刷作業へと進むのです。

出版印刷の業務内容

出版印刷の中で印刷会社が請け負っているのは、印刷から製本、加工までの業務です。ただ印刷するだけでなく、紙の種類・サイズ・カラーなどの提案もおこないます。機械のメンテナンスやオペレーションが滞りなく進行するように調整し、スケジュールに合わせて印刷物を納品するのが仕事です。出版社と検討した通りの印刷に仕上がっているかチェックし、上手くいかなければ刷り直しになることもあります。

印刷業界の「商業印刷」

商業印刷の事業について紹介します。

商業印刷とは

商業印刷では一般企業のビジネスで用いられる印刷物を取り扱っています。商業印刷で扱う印刷物の種類は幅広いため、その中でも宣伝用印刷と業務用印刷の2分野が設けられています。宣伝用印刷で扱っているのは、販促に用いるチラシ・ポスター・パンフレットなどが代表的です。一方、業務用印刷ではカタログ・社内広報・名簿などを扱っています。社内業務やコミュニケーションに用いられる印刷物を指し、一般の目には触れられないものもあります。

商業印刷の工程

商業印刷の工は以下の流れが一般的です。

(1)印刷物を必要とする企業が印刷会社と共に企画・デザインをおこない→(2)印刷会社で印刷・製本→(3)封入や発送代行などのサポート→(4)依頼主に納品(印刷会社が発送代行までおこなう場合、そのまま消費者へと届けられることも)

商業印刷の業務内容

出版印刷と同様に、商業印刷でも印刷会社は企画段階から作成に関わります。依頼主が納得する仕上がりにするには、仕様について細かく決める必要があるからです。ときにはマーケティングやブランディングにまで関わることもあり、企業のイメージに大きく影響を与えるのが商業印刷の特徴です。印刷物の発送だけでなく在庫管理のサポートをおこなうこともあり、顧客をトータルにサポートする事業といってよいでしょう。

印刷業界の市場規模

印刷業界の市場規模

印刷業界の市場規模は、2018年の工業統計表で約1.5兆円と報告されています。労働人口は約30万人、事業所数は約2万社と報告されており、人材派遣・証券事業・放送事業などに並ぶ規模だと見ることができます。規模そのものは、大きな市場だといえるでしょう。ただし、同統計表の推移を見てみると、2002年から毎年数%ほどの減少傾向があるのも事実です。インターネットの普及に伴って、印刷物のニーズが減りつつあることが原因だと考えられています。しかし印刷物が求められなくなってきている状況を業界が傍観しているというわけではありません。

印刷業界の新たな事業

印刷業界の新たな事業

前述したように、IT化が進む中で紙媒体のニーズはさらに減っていくだろうと考えられています。今後紙媒体のニーズが急激に再増加することも考えにくいです。そのような状況の中印刷業界は生き残りをかけて新たな事業の創出に取り組んでいます。

印刷業界の新たな事業1.情報コミュニケーション事業

印刷業界が新たに取り組んでいる事業の1つに、情報コミュニケーション事業があります。

情報コミュニケーション事業とは

日本の印刷業界で2大トップとされる企業では、既に情報コミュニケーション事業が売上の半分以上を占めています。電子書籍まわりのサービスが情報コミュニケーション事業の例としてあげられますが、包括する範囲が広いのも特徴です。デジタルやネットワークを活用したメディアが増えるにつれ、印刷業界も多様なメディアを展開できるように新たなソリューションを提供しています。そのために、最先端の技術や情報技術を駆使したり、新しい表現方法を生み出す研究もおこなっています。

情報コミュニケーション事業が生まれた背景

世の中がIT化するに伴って、戦略的なアウトソーシングも普及し始めています。印刷業界では従来も印刷物の封入や発送作業といった付随サービスを提供してきましたが、時代の流れに乗ってますます印刷前後のサービスに力を入れるようになっているのです。これにより、印刷を依頼する企業では経営を合理化することができます。例えばDMの受注を受けたら、顧客のデータ管理から入力まで印刷会社で請け負うという具合です。ビジネスフォームや販促システム、ネット広告のプロモーションまで提供する印刷会社もあります。

情報コミュニケーション事業の展望

印刷業界では紙媒体の印刷物が減少してきていますが、一方で電子書籍は大きな成長を見せています。既に売上の大きな部分を占めており、今後はさらに主力事業になるのではないかと期待されています。

印刷業界の新たな事業2.生活・産業事業

近年急成長をみせる生活・産業事業について解説します。

生活・産業事業とは

生活・産業事業では、人々が安全・安心に快適な生活を送るための製品を提供しています。その製品がカバーする範囲は、パッケージをはじめ住空間マテリアルやエネルギー関連部材など幅広いのが特徴です。また、開発される製品やサービスは先進的で、環境に与える負荷の低減も考えられています。このことから、サスティナビリティとも呼ばれる持続可能な社会の形成にも貢献する事業です。

生活・産業事業は急成長中

生活・産業事業では、これまで印刷業界が培ってきた様々な技術が活かされています。特に大手印刷会社にこの分野への注力傾向が見られ、総売上の25%ほどを占めるほど重要な事業にまで育ってきています。

印刷業界の新たな事業3.エレクトロニクス事業

特に大手印刷会社が力を入れているのがエレクトロニクス事業です。

印刷業界のエレクトロニクス事業とは

エレクトロニクス事業は、特に大手印刷会社での大きな展開が目立っています。従来の印刷事業にて培われたエッチング技術・ラミネート技術・コーティング技術など多様な技術を駆使して生み出されるのが新しいエレクトロニクス製品です。ガラスや金属、フィルムなどの素材に印刷を施すサービスは、液晶カラーフィルターや光学フィルム、タッチセンサーなどで知られています。

世界最高水準の技術を活かした製品で世界展開を目指す

印刷業界のエレクトロニクス事業から生まれた製品は、人々の生活や企業が多様化する中で注目・期待されています。関連する技術として代表的なのが、世界最高水準とされる微細加工技術です。高品質で高機能な製品の開発は、国内のみならず世界のニーズにも応えることができるかもしれません。

※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合

印刷業界を代表する大手企業2トップを紹介!

印刷業界を代表する大手企業2トップを紹介!

ここからは、日本の2大印刷会社として名高い大手企業である「凸版印刷」と「大日本印刷」を紹介します。

凸版印刷株式会社

まずは、凸版印刷です。

凸版印刷の歩み

1900年の創業から、100年以上の歴史を積み重ねてきた凸版印刷。日本の印刷業界をけん引してきた、トップクラスの企業です。創業当初、最先端の印刷技術を駆使して提供したのが証券印刷やパッケージ印刷。戦前から百貨店のポスターなどを手掛け、アメリカからオフセット印刷の新技術を導入したのも画期的でした。戦後は海外の印刷会社と提携して新会社を設立したり、新しい製版法を開発して技術を輸出したりと海外への展開にも積極的。1980年代からはエレクトロニクス事業に力を入れ始め、いくつもの技術を生み出しています。2007年には世界で最も持続可能な100社に選ばれ、世界的にも評価の高い企業です。

凸版印刷の特徴

凸版印刷で大きな売り上げを占めているのが、57%ものシェアを誇る情報コミュニケーション事業です。生活・産業事業では29.2%、エレクトロニクス事業では13.8%と、印刷業界で展開されている新事業に大きく力を入れていることがわかります。大企業でありながらも、低コストかつ大量生産の技術を戦後まもなくから導入してきたのも特徴的です。変化を恐れず、前進し続ける企業といってよいでしょう。

期待されている事業

売上の全体からするとまだまだ小規模なエレクトロニクス事業ですが、凸版印刷で期待されているのがこの分野です。スマートフォンの大容量化や世界情勢に伴って半導体関連の需要が高まっているため、業績アップに結び付いています。

大日本印刷株式会社

2大トップの片割れ、大日本印刷について紹介します。

大日本印刷の歩み

1876年に誕生した大日本印刷は、凸版印刷と共に日本の印刷業界をリードしてきた企業です。1899年には紙幣の印刷を手掛け、活字の自家鋳造などもおこなっています。1980年代にはエレクトロニクス分野に進出し、伝統的な印刷技術を応用した電子辞書・辞典の開発に注力。ICカードや熱転写記録材といった製品の開発も、この頃から始めています。2014年には、経済産業省からダイバーシティ経営企業100選に選出。新たな価値を生み出す宣言をして、社会に役立つ企業であり続けることを目指しています。

大日本印刷の特徴

大日本印刷の売上総額や構成は、凸版印刷とほぼ横並びです。しかし、どちらかといえば伝統を重視してきた傾向が凸版印刷との違いです。大型3次元ホログラムのような大規模開発をする一方で、飲料用の液体紙容器やコーヒークリーム用のポーションパックなどの一般に身近な生活用品を手掛けているのも特徴的といえるでしょう。売上の大部分を占めているのが、デジタルとアナログを併用した情報コミュニケーション事業54%です。生活・産業分野は29%、エレクトロニクス産業は13%を占めています。

期待されている事業

大日本印刷で大きく期待されているのが、エレクトロニクス事業です。世界トップシェアを誇る製品に、リチウムイオン電池用バッテリーパウチがあります。ディスプレイ用光学フィルムも世界トップクラスで、今後の産業発展に広く貢献すると見られています。

印刷業界についてのまとめ

印刷業界についてのまとめ

印刷事業というと伝統的なイメージがありますが、出版業界の不振や紙の印刷物の需要減少問題は既にデジタル化への移行で成長が見られています。印刷会社は金融機関のキャッシュカードやETCカードのような各種IDカード製造にも力を入れており、キャッシュレスの時代の波に乗っているといえます。こうした紙以外の分野への進出は国内2トップに顕著で、そこに他企業が追随するのではないかと考えられています。このように今後紙の印刷に対するニーズが減少したとしても、印刷業界には新たな分野への進出できる可能性があるため、まだまだ希望がある業界と言えるのではないでしょうか。(※ただし会社による、というのも重要なところです。)

印刷業界への就職に興味を持った人は、次は業界だけではなく企業毎の得意分野を詳しく調べて応募するべき企業を見極めていきましょう。

※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合

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ABOUT US
佐藤 裕康
株式会社ジェイック 採用メディア「Future Finder」事業部長|ジェイックに新卒入社後、マーケティング業務に従事。その後、新規事業であるダイレクトリクルーティング事業の立ち上げを経験、事業責任者へ|資格:CFW(「7つの習慣」社内インストラクター資格)