「飲食業界で働いてみたい」と考えている就活生もいるのではないでしょうか。新型コロナウイルスの影響で日本でも売り上げが減少した店舗も多かった一方で、さまざまな戦略や工夫で人気の飲食店も少なくありません。この記事では、飲食業界についてや飲食店で働くメリット、飲食業界で目指せるキャリアなどについてご紹介します。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
飲食業界とは
飲食業界の概要や働くメリット、飲食業界の仕事で求められるスキルについて知りましょう。
飲食業界の概要
飲食業界とは、食品を調達、加工、調理し、飲食品を顧客に提供するサービスをおこなう業界のことです。材料に使用する食材を外部から購入している企業が一般的ですが、飲食業界の中には、食材の生産も自社で行っている企業もあります。
食べ物に対するニーズや好みは性別や年齢などによってそれぞれ異なることから、さまざまなタイプの飲食物を提供している企業が存在します。全国規模でチェーン店を展開しているような大企業から個人経営の店舗まで、幅広い種類の企業があるのが飲食業界の特徴です。
食事は人間が生活するうえで不可欠な行為であることから、他の業種と比較しても、潜在的なニーズが常に存在するのが飲食業界です。
食材を購入し、調理して提供するという比較的簡単な事業スタイルであるために、誰でも気軽に参入しやすいのが飲食業界ですが、店舗の数が多い分、生き残りのための競争も激しく、人気があったお店でも短期間のうちに撤退の可能性もある厳しい業界でもあります。
事業の効率化や収益の見直しを日常的におこなわなければいけないために、休みを取ることができる時間が少ないのもこの業界の特徴です。その反面、仕事に真剣に取り組みたいと考えている学生には、働きがいのある職場です。
飲食業界のメリット
飲食業界のメリットとしては、以下があります。
さまざまな人とやり取りができる
さまざまな人と仕事を通して関わり合いになれることは、飲食業界で働くことの大きなメリットです。店舗の従業員から取引先の社員まで、さまざまなタイプの人と知り合いになれる機会がありますが、人と接するのが好きな学生には特に向いている仕事です。
人との出会いは、事業をするうえで新しいアイデアを生み出すもとになる場合もあります。頭に浮かんだアイデアを実現することで新しい仕事につながっていくこともあり、自分の努力次第で可能性が広がっていく仕事です。
顧客と直接接することができることも飲食業界ならではのメリットで、お店のメニューに対し肯定的な評価を顧客からもらえれば、仕事をするうえで励みになります。
よい反応も悪い反応も、直接感じることができるため、顧客の反応をもとにサービスの内容を工夫することで、売上の向上に役立てることもできます。
独立を目指せる
将来独立を考えている学生にとっても、飲食業界に就職をすることは大きなメリットがあります。飲食業界は他の業界と比べて参入の垣根が低いことから、未経験者でも始めやすい事業ですが、事業をおこなううえで必要なことを実地で学んでおけば、さらに経営を有利に進めることができます。
飲食業界にはさまざまなタイプの仕事がありますが、管理責任者などは特に、独立を考えている人にとっては有意義な仕事です。食材の仕入れや売上金の管理など、店舗の運営に必要な知識を、実際の経験を通して学ぶことができます。
衛生管理なども飲食業界では特に重要視される仕事ですが、飲食業界で働くことにより、自分で独立して店舗を営業する際の店舗運営に役立てることが可能となります。
独立して経営者になる場合には従業員の雇用が必要になる場合もありますが、飲食業界の管理責任者として働くことで、雇用のノウハウを学ぶこともできるでしょう。
働きながら独立をするための資金を貯めることができることもメリットで、独立をする場合には十分な資金があったほうが、事業を開始するときにも何かと有利です。
飲食業界で働き続けることで、業界の仕事内容の全貌を理解することも可能になり、より大きな規模の事業をおこなうために、独立を考えている人にとっても参考になることが多い仕事です。
飲食業界で求められるスキル
飲食業界では、就職を希望する学生に対して、さまざまなスキルを求めています。特に高いスキルが必要になるのがコミュニケーション能力で、飲食業の店舗はさまざまなタイプの顧客が利用する機会が多いために、誰とでもスムーズなコミュニケーションができる能力が不可欠になります。
コミュニケーション能力があれば、クレームやトラブルが起こったときにも対応しやすくなり、管理責任者には特に必要とされるスキルです。
顧客のスタイルに合わせて接客ができる能力も飲食業界で働くためには必要で、顧客に対して好感を抱かせることができるような接客ができれば、店舗を利用した顧客の満足度もアップします。
場所によっては、外国人観光客の利用が多い店舗もあるために、英語を話せたほうが何かと便利です。食事の内容や食べ方などを英語で説明できれば、お店の国際的なイメージアップにも役立ちます。
食事と一緒に提供されるお酒の知識を豊富に持っていることも、飲食業界では非常に役に立つスキルです。日本人のお酒の趣味は多様化しているため、ビールや日本酒以外にもさまざまなお酒の知識に精通していれば、店舗の運営に役立てることができます。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
飲食業界のスタイルと目指せるキャリア
飲食業界の主なスタイルと、目指せるキャリアについて知りましょう。
飲食業界のスタイル
飲食業界の主なスタイルには、以下があります。
外食
飲食業界の企業は、おこなっているサービスの内容によって、いくつかのスタイルに分類することができます。
飲食品を提供するために、店舗を営業する事業形態のことを外食といいますが、外食店の店舗内には通常、飲食物を調理する施設のほかに、顧客が飲食ができるスペースが設置されています。
外食店は日本にも古くから存在していましたが、国内で外食店の店舗数が飛躍的に増加し始めたのは、1970年代からだと言われています。
この頃、日本の外食産業に大きな影響を与えたのが、アメリカの大手ハンバーガーチェーン店であったマクドナルドです。銀座に出店した一号店を皮切りに、日本全国の主要都市に店舗を出店していきました。
マクドナルドが日本でも受け入れられた大きな要因のひとつが、低価格のメニューが多かったことで、誰でも手軽に食事ができる飲食店として外食店のイメージを大きく変えました。
マクドナルドが定着させた「飲食チェーン店の全国展開」というスタイルは、その後数多くの飲食店に模倣され、現在ではラーメンや回転寿司などさまざまなタイプの飲食で、全国規模で営業をおこなう企業が現れています。
中食
店舗で購入した飲食物を、顧客が自宅に持ち帰って食べるスタイルのことを中食と呼んでいます。店舗で調理した飲食を自宅へ宅配するサービスも中食に含まれていて、外食の食事を自宅でも簡単に味わうことができるのが、こうしたサービスの人気の理由です。
お弁当販売店や宅配ピザなどが中食サービスの代表的な店舗ですが、お弁当や惣菜などを販売しているスーパーマーケットなども、中食の飲食業界に含まれます。
中食の規模が拡大しはじめたのは1980年代からで、この頃から全国各地に出店し始めた、大手フランチャイズのコンビニエンスストアが大きな影響を与えています。
コンビ二で販売されているお弁当や各種の飲食物は、今やコンビ二を利用する多くの人に日常的に購入されるようになりましたが、外食店で食事をするよりも簡単に飲食物を購入できることが、多くの人に利用されるようになった理由です。
外食よりも安い値段で飲食物が購入できることも中食の人気の理由で、食費を節約したいときなどにも利用しやすいのがメリットです。
内食
消費者が店舗で食材を購入して自宅で調理することを内食と呼んでいます。このようなタイプの食事に関連する事業をおこなっているのが、内食を対象にした飲食業界です。
外食や中食に区分されるような、調理済みの飲食物を扱っていないのがこの分野の飲食業界の特徴で、販売されている食材は多岐にわたります。
野菜や果物などの農作物を専門に販売している業者なども内食の飲食業界に含まれ、農作物を生産している農家が直接運営しているような店舗もあります。生産者の顔が見える農作物を購入できるのがこうした店舗の人気の理由で、安全性を重視する消費者にも人気があります。
各種の食材を総合的に販売しているスーパーマーケットなども内食の飲食業界に含まれることから、飲食業界の中でも一番規模が大きい業界です。ですがその一方で、少子高齢化による人口の減少により、自宅で食材を調理する人の数が少なくなっています。
そのため、今後は市場規模が縮小していく可能性も指摘されています。ライフスタイルの多様化も、内食市場に影響を与えている大きな要因です。
飲食業界のキャリア
飲食業界で就職して店舗などで働いた場合、目指せるキャリアについて知りましょう。
管理責任者
飲食業界には幅広い内容の仕事がありますが、サービスを提供している店舗の責任者の役割を任されているのが管理責任者です。飲食物を販売する店舗の最高責任者である店長だけでなく、店長をサポートしてお店の管理をおこなう副店長なども管理責任者に含まれます。
飲食店における管理責任者の仕事の内容は、月や年単位の売上額の目標を設定し、目標を達成するために必要な店舗の経営をおこなうことです。売上金の管理も管理責任者に任されている重要な仕事で、経理に関する知識も知っていれば役に立ちます。
飲食業界の店舗の場合には、食材や備品の仕入れなども、管理責任者が担当する重要な仕事です。
店舗の衛生管理も、経営管理者が管理しなければいけない仕事のひとつで、顧客が安心して食事を食べることができるような環境作りが求められています。飲食店ではパートやアルバイトを雇ってスタッフを補充することも多いですが、スタッフの面接をするのも経営管理者の仕事です。
店舗に対するクレームやトラブルに対応するのも経営管理者の仕事で、顧客や従業員、取引先など多くの人と接しながら、経営を実践的に学習できる仕事です。
マネージャー
飲食業界のキャリアの中でも、複数の店舗を経営している企業などで担当者が決められているのがマネージャーという仕事です。マネージャーは店舗の経営に関わる部分を主に担当する管理職で、お店の運営そのものには直接関係しないことが多いのが、店長などの他の管理職との違いです。
マネージャーは店舗の売上をのばすために必要なさまざまな仕事を総合的に担当する仕事で、店舗の経営方針を店長と話し合うことも、マネージャーの仕事です。
複数の店舗を担当しているマネージャーの場合には、店舗ごとに異なった経営方針を採用しなければいけない場合もあり、店舗の実情を知っている店長の意見を聞きながら、売上を向上させるために最適な経営方針を決定していきます。
マーケティングもマネージャーに任されている重要な仕事で、店舗を利用している顧客の年齢層や性別などを調査して、効果的なマーケティングの方法が決定される場合もあります。マーケティングの一環として店舗の広告が必要なこともありますが、広告に使用するメディアの選択なども、マネージャーが担当することがあります。
多くの人と関わる仕事のため、フットワークの軽さや高度な対人交渉能力が必要になりますが、働きながら経営のノウハウを学ぶことができるのが、大きな魅力です。
独立
飲食業界に就職をする学生の中には、将来独立を考えている人が多いことも特徴です。飲食業界の企業に社員として就職することで、働きながら飲食店の経営を学ぶことができ、将来自分が経営者となるときに必要な経験を、実際の現場で体験できます。
飲食業界で独立するときに特に必要になるのが経営に関するノウハウで、食材の仕入れから従業員の採用まで、幅広い経験を独立したときに生かすことができます。
将来の独立を考え、在職中に食材を仕入れている取引先と独自のコネクションを作りあげることも可能で、飲食店の運営に必要な食材を有利な価格で仕入れることも可能になります。
飲食業界で独立して事業を始める場合には、店舗として経営をするか、企業として飲食事業を始めるかによっても事業の難しさが異なります。
一店舗で飲食を提供する事業形態の場合には、店舗を出店する場所なども自分で探さなければいけませんが、ゼロから自分のお店を作ることができる楽しさがあります。
飲食業界での仕事は将来的にも役立つ!
飲食業界で働くことは大変なこともあるものの、そこでしか得ることができない貴重な体験を積むことができるでしょう。他人と接することが好きな学生にも飲食業界は向いていて、さまざまな人との出会いがある職場です。将来独立を考えている学生にとっても飲食業界は魅力的な仕事で、働きながら独立のためのノウハウを学ぶことができます。
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