「札幌に就職したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。既卒フリーターや新卒などの若い方のなかにも「自然豊かな場所で働きたい」「地方で仕事がしたい」と、将来的に札幌での就活を検討している方もいるかもしれません。
この記事では、札幌(北海道)就職の特徴、札幌に就職するメリットとデメリット、札幌で人気の業界や職種、札幌での就職を成功させるコツについてご紹介します。
札幌就職の特徴
まずは、札幌の就職事情について解説します。
北海道の就職について
北海道の有効求人倍率は全国平均よりも低いため、やや就職しにくいことが考えられます。独立行政法人労働政策研究研修機構の「職業紹介-都道府県別有効求人倍率」によれば、2020年7月の北海道と各地の有効求人倍率は、下記のとおりです。
- 北海道:0.97倍
- 全国平均:1.08倍
- 東京:1.29倍
- 大阪:1.17倍
- 福岡:1.08倍
引用:独立行政法人労働政策研究研修機構「職業紹介-都道府県別有効求人倍率」
東京や大阪、福岡などの都心部と比較しても、北海道の求人数は少ないことがわかります。
北海道の道庁所在地である札幌に、ある程度求人が集中していることも考えられます。また、札幌には道内のほかの地域からの移住者や、北海道以外からの移住者もいます。
もともと札幌に住んでいる人以外にも求職者がいることから、札幌での就職は、少々難易度が高いと考えておいたほうがよいでしょう。
札幌で就職するメリットとデメリット
札幌で就職するメリットとデメリットをご紹介します。
札幌就職のメリット/デメリット
札幌で就職するメリットは、以下の通りです。
- 花粉症が少ない
- 夏が涼しい
- 自然がたくさんある
- 札幌は車がいらない
- 東京より家賃が安い
- イベントが多い
一方、デメリットは以下の通りです。
- 求人が少ない
- 東京より給料が低い
- 寒い
- 雪が多い
- 暖房費が高い
- 公共交通機関が東京より高い
- 健康保険が高い
それぞれについて、解説します。
メリット1.花粉が少ない
北海道は杉が少ないため、花粉が少ないです。花粉症持ちの人でも、快適に過ごせます。
メリット2.夏が涼しい
ご存知のとおり、札幌の夏は涼しいです。7月と8月の、東京と札幌の平均気温は以下の通りです。
- 東京:26.3℃
- 札幌:22.1℃
札幌は、東京より3~4℃涼しいです。
メリット3.自然がたくさんある
北海道は、自然の宝庫です。レジャーが好きな人には、最高の土地といえるでしょう。自然を満喫したい人にはおすすめです。
メリット4.札幌は車がいらない
札幌市内は、基本的には車がなくても生活できます。
- 地下鉄
- 路面電車
- バス
などが整備されているからです。車の維持費がかからないため、支出を抑えられます。
メリット5.東京より家賃が安い
札幌は、東京よりも家賃が安いです。札幌市内のワンルームの家賃は、3~4万円台が相場です。場合によっては、東京の半分くらいの家賃で生活できます。
メリット6.イベントが多い
札幌は、イベントが多い街です。
- さっぽろ雪まつり
- 札幌ラーメンショー
- YOSAKOIソーラン祭り
- 札幌まつり
- 真駒内花火大会
- SAPPORO CITY JAZZ
- さっぽろ夏まつり
- すすきの祭り
- 札幌八月祭
- 北海道マラソン
- オータムビヤフェスト
などのイベントが、年間を通じて開催されます。とくに夏はイベントが多いので、夏祭りが好きな人はより楽しいでしょう。
デメリット1.求人が少ない
札幌就職の最大のデメリットは、求人やその種類が少ないことです。募集が多いのは土木や介護などですが、仕事が大変、賃金が低めなどの理由から、やや不人気です。
もちろん何かスキルがあれば就職しやすいかもしれませんが、ノースキルの場合は、就職の選択肢が狭いといえます。
デメリット2.東京より給料が低い
東京に比べると、北海道(札幌)は給料が低いです。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、東京と北海道の平均年収は、以下の通りです。
- 東京:6,222,900円
- 北海道:4,246,200円
データで見てみると、平均年収で約200万円もの差があることがわかります。このことからも、北海道(札幌)でたくさん稼げる仕事は少ないことが考えられます。
引用:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
デメリット3.寒い
北海道(札幌)の冬は、非常に寒いです。11月~3月の平均気温は、以下の通りです。
- 11月:4.9℃
- 12月:-0.9℃
- 1月:-3.6℃
- 2月:-3.1℃
- 3月:0.6℃
特に、12月~2月は平均気温がマイナスです。そのため寒さに弱い人は、かなりつらいでしょう。
デメリット4.雪が多い
北海道(札幌)の冬は寒さと共に、雪も多いです。雪が多いと、以下のようなデメリットがあります。
- 交通機関が乱れる
- 朝、雪かきが必要
- 歩きにくい
- 靴が汚れる
雪に慣れてない人や、雪が嫌いな人はつらいでしょう。
デメリット5.暖房費が高い
冬が寒いということは、当然ながら暖房費も高いです。東京の暖房費の、プラス1~2万円は想定しておきましょう。
とくにエアコンは電気代が高いので、暖房費が高くなりがちです。ただし、働く会社によっては「寒冷地手当」などがつくこともあります。
デメリット6.公共交通機関が東京より高い
札幌市内は公共交通機関が発達していますが、運賃は東京より高いです。たとえば東京と札幌の地下鉄の運賃は、以下の通りです。
- 大手町~銀座(丸の内線):168円
- さっぽろ~大通(札幌市地下鉄):210円
札幌の方が約25%も高くなっており、交通費は高めといえます。
デメリット7.健康保険料が高い
北海道は健康保険が全国平均より高いです。その理由としては、以下が考えられます。
- 保険料未納者が多い
- 北海道は医療費が高い
毎月の健康保険料が高いと家計を圧迫することがあるため、やや注意が必要です。
札幌で人気の業界業種
札幌で人気の就職先、就職のしやすさやしにくさについて解説していきます。
事務職
事務職は、かなり人気です。理由は、室内で仕事ができるからです。
北海道(札幌)は冬が寒いので、できたら外に出たくないものです。なので、事務職の人気が高くなっていいます。
ただし事務職の募集は少なく、とくに社員となると、その倍率はかなり高くなります。
コールセンター
コールセンターも、人気の職業のひとつです。理由は事務職と同じく、室内で働けるからです。
東京本社の大手企業が、北海道にコールセンターを置いているケースも多くあります。つまり、北海道にいながら有名な大手企業に就職できるチャンスがあるといえます。求人数も多く、比較的仕事には就きやすいでしょう。
ただし、コールセンター業務は以下の点に注意が必要です。
- クレーム対応をしなければいけない仕事もある
- マニュアルに沿った対応が必要になる
- 仕事内容によってはノルマが課せられることもある
仕事に就きやすい一方で、向き不向きもあることは理解しておきましょう。
農業
北海道は、農業の募集が多いのが特徴です。「地方で就農したい」という人は、北海道を選ぶのもよいでしょう。
ただし、給料が低い就職先があったり、不便な地域での暮らしになじめなかったりするリスクはあります。就職先の情報を、よく調べることをおすすめします。
地方公務員
地方公務員として北海道(札幌)で働くことができれば、安定して暮らしていけます。
ただし地方公務員は募集が少ないので、試験の難易度は高めです。試験勉強をしないといけないので、すぐに就職できるわけでもありません。倍率が高い狭き門であることは理解しておきましょう。
IT企業
近年は、ベンチャーのIT企業が札幌にも進出しています。ある程度のITスキルがあれば、プログラマーやシステムエンジニアとして、札幌のIT企業に就職できます。
IT職種は技術職となるため、スキルがあればどこにいってもやっていけます。
営業職
募集が多い営業職も、人気があります。外回りがしたい人は、営業職がよいでしょう。ただし冬でも外に出ることがあるので、寒さ対策は重要です。
医療系
医療系職種も、人気があります。どこも人材が不足しているため、医師免許や看護師、助産師、薬剤師資格などがあれば、札幌への就職は可能です。
接客業
接客業も人気です。北海道は観光に強いため、募集が多いからです。ただし、現在は新型コロナウイルスの影響で求人が減っている可能性もあるため、注意しましょう。
札幌就職を成功させるコツ
札幌で就職を成功させるコツを紹介します。
札幌で就職したい場合には、主に以下の4つの就活方法が有効です。
- 転職サイトで求人を探す
- 札幌の転職サイトで仕事を探す
- 札幌の就職フェアに参加する
- 札幌に拠点がある転職エージェントに相談する
それぞれについて解説します。
転職サイトで求人を探す
有名な転職サイトにも、札幌の求人情報は載っています。まずはどんな求人があるのか調べるなら、転職サイトがよいでしょう。そこでだいたいの傾向は掴めます。
もし気に入った企業があれば、自分で札幌の企業に連絡して応募することもできます。
札幌の転職サイトで仕事を探す
札幌の転職サイトを見ることで。地域に根ざした求人情報が掲載されています。大手の転職サイトに載っていない求人もあるので、目を通しておきましょう。
札幌の就職フェアに参加する
東京で開催される、北海道(札幌)の企業の就職フェアに参加するのはよい方法です。企業担当者と直接話すことができるため、ネットではわからない情報収集ができるからです。
新型コロナウイルスの影響でしばらく中止されてきましたが再開しているところも出てきており、Webでの参加が可能なところもあるため、積極的に参加してみましょう。
札幌に拠点がある転職エージェントに相談する
札幌に拠点がある転職エージェントにも相談するのは、有効な方法です。たとえばほかの地域から移住して札幌への就職を希望している場合、面接で100%聞かれるのが「なぜうちの企業なんですか」というほかに「なぜ北海道(札幌)なんですか」という質問です。
この質問で「北海道(札幌)でなければいけない理由」を答えないと、印象に残りません。転職エージェントは、応募企業ごとに面接対策をしてくれるので、内定率が上がります。
そのほかにも、札幌で転職するノウハウを無料で教えてくれたり、非公開求人の紹介をしてくれたり、条件面の交渉などをしてもらえるため、ぜひ活用してみましょう。
札幌就職の注意点
これから札幌での就職を考えている方は、以下の点に注意しましょう。
就職先が決まってから引っ越す
札幌に就職するときは、就職先が決まってから引っ越しましょう。就職先も決まってないのに引っ越すと、以下のデメリットがあるからです。
- 収入がないのでアパートやマンションを借りることができない
- 空白期間が長くなり就職が不利になる
- お金がなくなる/焦ってブラック企業に就職してしまうかも
上記のようなことにならないよう、以下の手順を踏みましょう。
- 内定が出たら住むところを探す(内見しなくても物件を決めることは可能)
- 現在の家を引き払って引っ越す
仕事や生活に困ってしまうことがないよう、くれぐれも順序を間違えないようにしましょう。
札幌の就職活動は管理が重要
遠方への就職で大変なのが、スケジュールやお金の管理です。移動費や滞在費などもかかるため、注意が必要です。
現在はWeb面接が可能な企業も増えているため、直接現地へ行かなくても内定がもらえるケースもあります。ただし、最終面接などのときだけは、直接顔を合わせて話してから内定を出したいという企業もやはりあるでしょう。
飛行機の予約が遅いと航空料金が高くなりやすいため、できるだけ早めに日程を決めて予約する、LCCを活用するなど工夫しましょう。
とはいえ、お金や時間の余裕がないなかでの就職活動は、どこかできつくなります。また、せっかく飛行機やホテルを取って札幌まで行ったのに不採用だと、もったいないことになります。
自分が本当に働きたい企業を選ぶ、転職エージェントを利用するなどして、効率的に就職を成功させましょう。
札幌での就職を成功させよう!
札幌で就職することは可能です。「新型コロナウイルスが落ち着いたら札幌で仕事探しをしたい」と考えている方もいるかもしれません。ですが、遠方に住みながらの就職活動は大変なことが多いのも事実です。また、自分に合った仕事や会社を選ばなければミスマッチとなり、せっかく移住しても出戻りということになるかもしれないため、慎重に取り組みましょう。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい