音楽業界は特に音楽好きの人にとって憧れの就職先かもしれません。そこでこの記事では音楽業界の主な就職先と仕事内容について、また働くうえで求められることについて、「サブスク」サービス登場後の音楽業界の現状と今後についても触れながら、紹介していきます。音楽業界への就職を考える人は参考にしてみてください。
※2022/3~2023/3の当社相談参加者へのアンケートで『満足』『どちらかといえば満足』を選んだ方の割合
音楽業界の主な就職先~レコード会社とプロダクション~
最初に、音楽業界における主な就職先であるレコード会社とプロダクションについて説明します。これ以外にも就職先となり得るところはありますが、まずはこの2つを押さえておけば十分でしょう。それぞれにおける職種も紹介します。
音楽業界の就職先1.レコード会社
レコード会社とはかつてはその名の通り、歌や音楽演奏を収録したレコードを制作して、販売している会社でしたが、時代の移り変わりとともに音楽を届ける媒体がレコードからCDなどに移行したことから、現在では主にCDやパッケージなどの「形のあるもの」の販売を手掛けています。その業務の内容は、音楽をCDなどの媒体に録音して製品化したうえで、それを販売店を経由して世の中に流通させるというものです。また、インターネットの発達によって、レコード会社のなかにはデジタル配信を行っているところも多くなってきています。さらに、一部のレコード会社では、CDの制作に加えて、ライブの企画や運営を行っていたり、芸能事務所のような機能を備えているところもあります。
レコード会社にとっては、いかにして商品を販売するかが重要であるため、CDの発売時期を入念に検討したり、綿密な販売戦略を立てたりするのが大切となります。場合によっては、CDの発売タイミングでアーティストが出演するインストアイベントを行ったり、世の中で話題になるようなライブなどの大型イベントを企画したりするといったことも必要です。CDを宣伝してもらえるテレビやラジオ、雑誌などのメディアとの関係構築も不可欠です。なお、一般的にレコード会社には複数のアーティストが所属していますので、一人の社員が複数のアーティストを担当するケースが少なくありません。
レコード会社の職種
ここでは、レコード会社の職種について紹介します。職種によって仕事内容は違ってきますので、音楽業界を志している方は、自分がどれに合うかを考えながら読むようにするとよいでしょう。
レコード会社の職種_制作部
レコード会社の制作部は、会社が取り扱うCDやDVDといった商品を制作する部署です。所属しているアーティストの歌や音楽を収録して、商品化するというのが主な役割で、その中核を担うのがディレクターと呼ばれる人々です。ディレクターの仕事は多岐にわたりますが、そのなかでも主となるのは、担当しているアーティストのCDなどの発売スケジュールを立てたうえで、それに合わせて商品を企画するという業務でしょう。それに加えて、新人アーティストの発掘も担っていますので、ディレクターの活躍次第でレコード会社の売上は大きく違ってくるといっても過言ではありません。
レコード会社の職種_宣伝部
一般的に宣伝部というと自社の商品やサービスの広告・宣伝を手掛けるというイメージがあるかもしれませんが、レコード会社の宣伝部の場合には、自社のCDやDVDなどを世の中のユーザーに購入してもらえるようにアピールしていくというのが主な役割となっています。そのための手段としてよく用いられるのは、テレビやラジオのCMや新聞や雑誌の広告ですが、それ以外にもラジオ局にお願いして放送中に曲を流してもらうといった取り組みを行う場合もあります。宣伝部に所属する従業員の具体的な仕事内容は、コマーシャルの制作や、広告の企画・立案、テレビ局やラジオ局への営業活動などの宣伝活動です。
レコード会社の職種_営業部
レコード会社の営業部は、自社が取り扱っているCDやDVDなどの商品を販売店の店頭に取り扱ってもらえるように様々な営業活動を行います。多くのレコード会社は、自前での販売手段を有していないため、販売会社が商品を取り扱ってくれなければ、売上を獲得することはできません。いかに商品の売上をアップさせるかは営業部の働きにかかっているため、その役割は非常に重要であると言えるでしょう。売り上げを伸ばすために、販売店の店頭でサイン会や握手会などのイベントを企画したりするのも大切ですが、それ以外にも在庫が積みあがらないようにCDやDVDの出荷枚数を冷静に分析して生産数を調整するというのも営業部で働く上では重要です。
音楽業界の就職先2.プロダクション
プロダクションというのは、アーティストやバンドなどのマネージメントを行う会社です。いかにして所属アーティストを世の中に受け入れてもらえるように売り出していくかが主なミッションとなります。一時的に売れるだけでは意味がないため、基本的には常にアーティストの宣伝や売込みといったプロモーション活動を継続し続けなければなりません。
昔は、アーティストといえば音楽活動だけに注力しているケースが多かったのですが、近年ではマルチタレント化が進んでおり、中には映画やドラマに出演して演技を披露したり、バラエティー番組に出演して笑いをとるようなアーティストが増えてきています。中には自らのブランドを立ち上げて衣類のプロデュースを行うようなアーティストもいますので、プロダクションのスタッフにはそういった幅広い活動を管理する役割が求められるようになっているのです。なお、一般的にアーティストはプロダクションに所属したうえで、音楽レーベルと契約するケースが多いため、どのように音楽活動を展開していくかについては、プロダクションとレーベルの間で協議しながら一緒に行っていく必要があります。
プロダクションの職種
続いて、プロダクションの職種を見ていきましょう。レコード会社と同じ部署名であっても、その仕事内容は必ずしも同じではありません。
プロダクションの職種_2.制作部
プロダクションの制作部の主な役割は、所属するアーティストやタレントなどの活動の管理です。ほとんどの場合、アーティストやタレントごとに担当者がついて、活動内容やスケジュールなどの調整を行うことになるのですが、そのような役割を担う担当者はマネージャーと呼ばれています。担当しているアーティストなどの力量がまだまだ未熟である場合には、レッスンを受けさせたりして育成していくのもマネージャーの仕事です。そのため、所属アーティストが多くのファンを獲得できるかどうかは、マネージャーの力量次第であると言ってもよいでしょう。なお、以上で紹介したもの以外に、新人の発掘を行うというのも制作部の役割の一つです。
プロダクションの職種_2.宣伝部
プロダクションの宣伝部は、所属しているアーティストやタレントの対メディア戦略を企画・立案し、実行に移すのが主な役割です。誰でも知っているようなビッグネームになると、放っておいてもテレビ局をはじめとするメディアからの出演依頼が殺到しますが、そうなるまではプロダクション側から積極的に働き掛けないと、まずアーティストなどが番組に出演することは困難です。そのため、いかにして番組出演を了承してもらうかが宣伝部の腕の見せ所なのです。なお、無事に出演が確定した場合には、宣伝部から担当マネージャーに連絡して、スケジュールを調整することになります。
プロダクションの職種_3.営業部
プロダクションの営業部は、自社の商品を販売するのが主な役割です。といっても、プロダクションにとっての目玉商品は、所属しているアーティストやタレントですので、彼らの価値に見合うだけのギャランティを獲得するというのが営業部に課せられた大切なミッションとなります。具体的には、日本各地のイベント企画会社と交渉して、イベントなどの出演枠を確保したり、映画会社に接触して新作映画の出演者として自社のタレントを選んでもらったりするのが仕事の内容です。
手ぶらで行っても相手にされませんので、タレントのプロフィールや音源、アーティストの写真などは常に持ち歩く必要があります。なお、宣伝部でも似たような仕事をするケースがありますが、宣伝部の接触先はメディアに限定されているのに対し、営業部の場合には、特に接触先の制限はありません。
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音楽業界への就職に必要なもの
音楽業界に就職するためには何が必要なのでしょうか。求められる代表的な素養について見ていくことにしましょう。
柔軟な考え方
まず一つ目は、柔軟な考え方です。尖った個性の持ち主が多いアーティストを相手にするには、枠にはまった考え方にとらわれていては仕事になりません。彼らの独創的なアイデアをバックアップするためには、常に柔軟な思考を持って、新しいことを積極的に取り入れるようにしなければいけないのです。また、アイデアを実現させるためにも、一つの考えに凝り固まるのではなく、様々な観点から物事を考えて実行に移す必要があります。そのため、音楽業界は、頭が柔らかく、かつ好奇心旺盛で新しい物好きな人に向いている業界であると言えるでしょう。
体力
求められる素養の二つ目は、体力です。音楽業界の仕事のなかには時間が不規則なものも数多くあり、場合によっては深夜や早朝に仕事をしなければならないケースもあります。場合によってはプライベートを犠牲にしなければならないときもありますし、ライブなどのイベントで土日に出社しなければならないことも珍しくありません。また、休み中でもいきなり呼び出しを受ける場合もあるため、自分でオンとオフをしっかりと切り替えられなければやっていけません。そのため、本当に音楽が好きで、そのようなことは気にならないという人でなければ、長く働き続けることは容易ではないでしょう。そのうえで、不規則な生活にも耐えられるだけの体力も必要なのです。
得意なジャンル
求められる素養の三つ目は、何かしら得意なジャンルを持っているということです。得意なジャンルがあるからといって、必ずしもそのジャンルに当てはまるアーティストなどの仕事が任せられるわけではありませんが、得意ジャンルがあればそれについて自信をもって自分の意見を述べられたり、好きな音楽に関する仕事に就けているという喜びを感じやすくなるため、結果的に長く音楽業界で働き続けられるのです。
また、得意ジャンルを極めていけば、いずれは上司や同僚からその分野についての意見を求められるようになったり、場合によってはアーティストに頼りにされる存在になれるかもしれません。例えば、SNSが得意であれば、アーティストのアカウントの管理を任せられる可能性もあるのです。多彩な才能を有するアーティストと対等な立場で仕事をするためにも、なるべく得意なジャンルを増やしておくに越したことはありません。
激動の音楽業界。現状と今後
良く知られているように、CDの出荷枚数は2000年代に入って以降は減少傾向にあります。これは日本国内に限った話ではなく、世界的にも音楽業界の市場の規模は縮小しつつあるのです。実際、国内に目を向けると音楽ソフトの総生産金額は、2010年代の10年間だけ見ても40パーセント近く減っています。その背景にあるのは、インターネットの普及に伴う急速なデジタル化の進展です。Youtubeをはじめとした無料の動画共有サービスが登場したことで、従来のようなCDを売って収益を得るビジネスモデルが限界を迎えつつある今、音楽をお金に換えるための新たなスキームを生み出すことは、音楽業界で活動しているすべての人々にとって重要なテーマとなっています。例えば、すでに多くのレコード会社が手掛けているように、サブスクリプション型のデジタル配信サービスを通じて収益を得るというのは一つのモデルケースです。
音楽業界~まとめ~
以上で見てきたように、音楽業界の就職先にはレコード会社やプロダクションがありますが、デジタル化の進展により業界そのものが曲がり角にある今、柔軟な思考で未来を切り開くことのできる人材が切実に待たれています。就職の選考の際も、業界の現状について思うことや、新しいビジネスのアイディアを語ることを求められる機会が多いかもしれません。しっかり準備して選考に臨みましょう。
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