仕事において何かを我慢してストレスをためている人は少なくないでしょう。生計を立てるために必要なこととはいえ、我慢の限界を超えているにもかかわらず嫌々働き続けることにはデメリットが多いです。この記事では我慢の種類を見極め、有意義に働くためのヒントを紹介します。
- 「仕事に必要のない我慢 4選」を具体的に紹介します!
- 不要な我慢をして働き続けるデメリットは【成長が阻害される、病気のリスク】
- 「仕事で我慢して疲弊してしまわないための対策 4選」を、ぜひ参考にしよう
この記事の目次
仕事で我慢は当たり前??仕事で我慢しすぎの日本人
日本では古くから定年退職まで一つの企業に勤め続ける「終身雇用」という雇用形態が根付いています。管理職などに就く人間は基本的に勤続年数が長く、年功序列の制度が取り入れられていました。そのため、転職に際して会社を辞めるという事にネガティブなイメージを抱く人も多く、「仕事が辛くても我慢して働き続ける事が美徳」という風習が形成されてしまったのです。
「ブラック企業」という言葉を見聞きするようになって久しいですが、実はブラック企業という概念は日本独自のものです。そもそも海外では仕事に対して不満がある場合、すぐに転職という選択肢を取るのが一般的となっています。労働環境の改善を求める集団ボイコットにも積極的です。しかし、日本ではこうしたアクションを起こそうという風潮はあまり見られません。これは日本人の「真面目」という国民性と、我慢を美徳とする倫理観が原因となっていると考えられています。
仕事に必要のない我慢とは
日本人は本来我慢する必要のないポイントを我慢してしまいがちであり、自分を追い込んでしまう傾向にあります。我慢する必要のない事は予め認識しておく事で、その後の対策を取りやすくなるでしょう。
仕事に必要のない我慢1.理不尽な上司
必要のない我慢の代表例としてはまず「理不尽な上司」というものが挙げられます。仕事をする上で、特にオフィスワークでは上司との関わりは避けられないと言っても過言ではありません。しかし切っても切れない関係だからこそ、我慢を続けてしまう事が自分にとって大きな負担となってしまうでしょう。理不尽な上司に対して不満を抱いているのであれば、我慢する必要はないのです。
理不尽な上司の一例としては、以下のような人が挙げられます。
- 自分は仕事をせず、部下に業務を押し付ける
- プライベートのストレスを仕事に持ち込み、部下に八つ当たりしてくる
- 部下の仕事を把握していないのに頻繁に注意やアドバイスをしてくる
こうした上司の下で我慢しながら働き続ける事は得策ではありません。黙認していると上司はそれが許される振る舞いだと勘違いしてしまい、パワハラに発展する可能性もあるので注意が必要です。上司が理不尽な職場では、早急に自ら対策を講じましょう。
仕事に必要のない我慢2.サービス残業
定時以降も給与に関係なく働き続ける、いわゆる「サービス残業」も我慢する必要のないポイントです。日本では労働基準法32条において「企業は従業員に対して、1週間のうち40時間を超えて働かせてはいけない」と定められています。また、原則として1日のうち8時間を超えて労働を強いる事も禁じられているのです。この条件からはみ出した労働は残業と見なされ、企業は従業員に対して残業代を支払う義務が発生します。この残業代が支払われないケースがサービス残業にあたるのです。
一部の特殊な職業に関しては「みなし労働時間制」が採用されており、残業代の一部を計算していないという場合もあります。しかし一般的な職種であれば残業代は全て給与に計算されて然るべきものです。企業が従業員にサービス残業をさせる事は違法であり、発覚すれば刑罰の対象となります。特にサービス残業が多い、または常態化している会社はブラック企業である可能性も高いので、転職や告発など解決に向けて何らかのアクションを起こす事が大切です。
仕事に必要のない我慢3.職場環境の悪さ
自分が希望した職種に就けたとしても「職場環境」は実際に入ってみなければ分からない事が多いです。職場環境が悪い場合は自力で大きく変える事が難しいため、我慢して働いても解決する見込みがありません。アテも無く辛抱して働き続ける必要はないのです。例えば接客業などで顧客の対応をする機会が多い職種では、顧客から理不尽に怒鳴られたりクレームを付けられたりといったケースが考えられます。扱う商材や業態、店舗の立地などにもよりますが世の中には「責任の無い相手」に対して怒りをぶつけるような人も少なくないのです。
入社してみないと分からない職場環境としてもう一つ「職場の人間関係」というものも挙げられます。人間誰しも苦手なタイプの人というのはあるものです。他人の性格は自分の努力だけで簡単に変えられるものではありません。もしもそうした苦手な人達に囲まれている、もしくは職場の人間関係が悪い中で日々我慢しながら仕事をしているのだとしたら、何か対策を講じる必要があるでしょう。
仕事に必要のない我慢4.休日の拘束
職場によっては飲み会やレクリエーションなど、休日に社員で集まる機会が多い事もあります。しかしそれが自分にとって大きな負担・ストレスになっているのであれば、無理に我慢して出席する必要はありません。もちろん職場仲が良く、休日でも同僚や上司と積極的にコミュニケーションを取りたいという人にとってはありがたい状況と言えるでしょう。しかし仕事とプライベートをしっかり分けたいという人にとっては、あまり好ましいとは言えません。強制参加、あるいは任意参加にも関わらず強制的に出席させられるような雰囲気が作られているようであればストレスの原因になり兼ねないのです。
仕事で我慢するデメリット
嫌な事を我慢しながら働き続けることの様々なデメリットを紹介します。
仕事で我慢するデメリット:成長しない
デメリットの一つが「自分の成長を妨げる」という事です。嫌な事を我慢してモチベーションが低いまま仕事を続けても向上心が湧かず、仕事の能率も上がりません。例えば1日8時間労働で週5日勤務というスタイルだと、1ヶ月のうち最低でも160時間は仕事に費やす事になります。1ヶ月を平均30日として、時間換算すると24×30=720時間です。睡眠や移動の時間を考慮すると、生活のうち約40%は仕事をしていると言えます。これほどの時間を嫌な気持ちで過ごしているのは、時間の無駄といっても過言ではありません。
人間という生き物はつまらない事や興味のない事に取り組んでいる場合、成長が期待出来ないと言われています。「好きこそものの上手なれ」ということわざがありますが、まさにその通りなのです。例えばスポーツでも勉強でも、優秀な成績を残している人達のほとんどが自ら進んで意欲的に努力を積み重ねています。嫌々取り組んでいる事にはやる気も起きず、効率的にスキルアップする事が難しいのです。仕事は人生の貴重な時間を割くものであり、理不尽な我慢を続ける事はおすすめ出来ません。自分の成長や生活を豊かにするために働く環境を整える事が重要です。
仕事を我慢するデメリット:病気の危険
我慢して仕事を続けていると、最悪の場合病気になってしまう可能性もあります。ストレスを溜め込み続けた結果、不眠症になる人も少なくありません。十分な睡眠時間を確保出来ないと疲れが取れず、仕事のパフォーマンスも下がる一方です。免疫力も低下してしまうため、他の病気を誘発する可能性も高まります。そうなると仕事のみならず、日常生活にまで影響を及ぼしてしまうでしょう。さらに意外と知られていませんが、仕事でストレスを抱え続ける事はメタボになるリスクをも孕んでいます。東京大学の研究チームによれば、職場でストレスを感じている人はそうでない人に比べメタボになる危険性が47%も高まるとされているのです。
こうした症状が現れてもなお嫌な仕事を続けると、うつ病などの心の病気になってしまうケースも多いです。不眠症やメタボの兆候がなくても、仕事で強いストレスを感じているようであれば十分に注意しましょう。うつ病は治すまでに時間がかかる病気であり、時には周囲の理解や協力も必要になります。嫌な仕事を続けていく事は、人生の貴重な時間を大幅にロスする危険性があるのです。
仕事で我慢しないための対策
仕事で我慢して疲弊してしまわないための対策を紹介します。できることからやってみましょう。
対策1.上司に相談する
職場でのストレスが限界に達してしまう前に、自分から起こせるアクションは何なのかを把握しておく事は重要です。まず、職場の上司との関係が良好であれば上司に相談してみましょう。直属の上司に問題がある場合には、その上司の上司に相談するというのも有効です。管理職の人間にとって部下やチームのパフォーマンスを管理する事は大切な業務と言えます。まともな上司であれば部下の悩みを改善する事、職場の環境を改善する事については前向きに取り合ってくれるでしょう。また、新人が抱えるストレスには我慢しなくても良いものと、通過儀礼的に先輩社員も経験してきたものの2種類があります。通過儀礼的に不可避なストレスの場合、上司に相談すれば乗り越えるためのアドバイスをくれる事もあるでしょう。
対策2.異動する
自分が所属している部署やチームに問題がある場合は、上司や人事に異動の申し立てを行うのが効果的な解決方法になり得るでしょう。無理のない範囲で職場環境を変えれば、最低限の負担で悩みを解決出来る可能性が高いです。異動の申し立て理由については「今の部署・チームが嫌だから」というマイナスな面だけではなく、「異動先のこの仕事をやってみたいから」といった具合にポジティブな理由も伝えるようにしましょう。人事異動は部署内外に少なからず影響を及ぼす事になるため簡単に受理されない事も多いです。今の部署に留まる事で自分が被る影響ややりたい事などを含めて、異動を希望する具体的な理由を述べられるようにしておく事が重要になります。ただし、異動が成功して環境を変える事が出来たとしても同じ会社であるという点は変わりません。異動後の事も考えて慎重に自分の意志を伝えるように心がけましょう。
対策3.対策:転職する
部署内やチームではなく、仕事内容や企業風土に問題がある場合には転職を視野に入れましょう。それなりの労力と時間は必要になりますが、社内での環境改善が望めない場合には自分で新しい居場所を見つける他ありません。転職は「逃げ」ではなく、自分が心地良いと思える新しい環境を見つけ出すためのアクションなのです。実際、海外では職場に不満があったり他にやりたい事が見つかったりした場合には、すぐ転職するという文化があります。日本の古い習慣に縛られてやりたくもない仕事を我慢して続ける必要はないのです。
IT技術の発展が著しい現代社会では、環境の変化が目まぐるしくなっています。また、働き方改革などの施策によって日本においても様々なワークスタイルが受け入れられるようになってきました。必要のない我慢は切り捨てて、自分に合った職場や働き方を模索していく事が重要なのです。中々転職への第一歩が踏み出せない場合には「この仕事が自分の人生の全てではない」と思いきって意識改革を行う必要もあるでしょう。
対策4.(番外)仕事での我慢には良い我慢もある
理不尽な事に我慢する必要はありませんが、自分が成長するためには何かに我慢する事が付き物だというのもまた事実です。例えば1からプログラマーを目指そうと思い立った場合には、以下のような苦難が想定されるでしょう。
- 難しいプログラミングの勉強に耐え抜く
- 難しい仕事、または大規模なプロジェクトのためにチームで残業する
- 新しい環境に身を置いて右も左も分からないという不安感
上記のような点はどれもストレスに感じる事が多いですが、理不尽さを感じるポイントはないと言えるでしょう。こうした我慢の後には達成感と成長した自分の姿が残るものです。「必要な我慢」と「必要のない我慢」をしっかり見極められるようにしましょう。
仕事での我慢の種類を見極めて、無駄なストレスを排して働こう!
今回は理不尽な事に耐えながら働く事のデメリットや、その打開策をご紹介しました。必要のない我慢は数多いですが、自分を成長させるために必要となる我慢も存在します。自分が本当にやりたい事は何なのか、今自分が感じているストレスは必要なものなのかどうかを見極める事が大切です。必要のない理不尽な我慢は捨て去り、有意義に働ける場所を探してみてください。