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会社都合退職と自己都合退職の違い。転職時に注意することとは?

会社都合退職と自己都合退職の違い。転職時に注意することは?手続きの違いは?

会社都合退職」と「自己都合退職」の違いについて知っていますか?同じ退職でも、退職理由によって失業給付金の額や給付期間に大きな差があり、違いを知らないと損する可能性さえあります。今すぐ退職するつもりがなくても、自分を守るためにあらかじめ知っておくようにしましょう。

自己都合退職と会社都合退職

自己都合退職と会社都合退職

自己都合退職と会社都合退職について概要をまとめました。

自己都合退職とは

「自己都合退職」とは、労働者側の事情や都合によって退職を希望した場合のことをいいます。たとえば、転職や独立、引越しや結婚など、会社ではなく労働者自身に起こる事情による退職です。自分の都合によって職場を辞めるということなので、同じ「退職」ではあっても転職活動の際に応募企業へ与える印象が「会社都合退職」とはかなり違ってきます。したがって、退職する際は、自分が自己都合退職に当たるのか会社都合退職に当たるのか、およびその理由について正確に理解しておくことが必要です。

自己都合退職が認められるケース

自己都合退職として認められる退職理由には、次のようなものがあります。

  • 転職
  • 会社での労働条件(賃金・稼働時間・休日・人間関係・仕事内容など)が希望と異なる
  • 結婚、妊娠・出産、育児
  • 病気やけがなどによる就業の困難
  • 介護や看護などの家庭の事情

これらは労働者側の事情によるものであるため、自己都合退職に該当するのです。

会社都合退職とは

「会社都合退職」とは、会社側の一方的な都合により労働者が労働契約を解除される退職です。会社の業績悪化や経営破綻などを理由としたリストラが代表的な例でしょう。また、労働者が希望退職募集に応じた場合や、ハラスメント被害により退職した場合も、会社都合退職に該当します。なぜならば、これらの事情は労働者の意思にかかわらず会社の都合で退職を余儀なくされたといえるためです。

会社都合退職が認められるケース

会社都合退職に該当するものとしては下記のケースが挙げられます。

  • 会社の倒産
  • 大量リストラ(1カ月間に30人以上または従業員数の3分の1を超える人の退職)
  • 解雇(ただし、自己の責めに帰すべき重大な理由による場合を除く)
  • 職場の上司や同僚などからセクハラ、モラハラ、パワハラを受けた
  • 勤務地や場所、職種や賃金などが労働契約締結時に合意したものと著しく異なる
  • 会社側から退職の勧奨、希望退職の募集があった
  • 給料未払いが一定期間続いた、賃金の大幅な減少があった
  • 職場が遠方に移転したことより、継続勤務が困難である

一見したところは労働者側の事情に思えるものでも、その事情の発生原因が会社にあると認められる場合は、会社都合退職に該当します。

「自己都合退職」と「会社都合退職」。転職時や失業給付金受給時の違いは?

「自己都合退職」と「会社都合退職」。転職時や失業給付金受給時の違いは?

「自己都合退職」と「会社都合退職」、それぞれの転職時の違い、失業給付金の違いを解説します。

違い1.転職時

自己都合退職の場合と会社都合退職の場合とでは、転職の際の履歴書の書き方や面接において次のような違いがあります。

自己都合退職の場合

履歴書には「一身上の都合」と記載するだけで大丈夫です。一身上の都合と書いてあれば、その人や家族のプライベートな事情によるものだということが一目で分かります。面接では、個人の私的な領域まで聞かれる可能性は低いです。もし、「一身上の都合とはどのような事情か」と聞かれても、「引越しのため」「親の面倒を見るため」など一言で簡単に答えればよく、詳細に述べる必要はありません。

会社都合退職の場合

履歴書には「会社都合により退職」とだけ記載します。会社都合による退職の場合、たとえば会社の倒産や経営不振によって不可抗力的にやむなく解雇となってしまったというのであれば、自己責任による解雇の場合と比べて応募先企業の印象も大きく異なるものです。したがって、会社都合退職の場合は遠慮せずに「会社都合による退職」であることをアピールしましょう。なお、会社都合退職の場合は面接で退職理由について詳しく聞かれることが多いため、面接担当者が納得できる退職理由を答えられるよう準備しておきましょう。会社の倒産や業績不振による大量リストラ、ハラスメント被害など「退職は不可抗力でやむを得なかった」という正当な理由を述べられるのであれば問題ありません。

違い2.失業給付金

失業給付金とは、一般に「失業保険」とも呼ばれるもので、会社を退職した場合に受け取ることができる手当のことです。自己都合退職と会社都合退職では、失業給付金の受給開始日や受給額に違いが生じます。

自己都合退職の場合の失業給付金

3カ月の「給付制限期間」が設けられており、これにプラスしてハローワークへの申請後最低7日間の待機起案を待たなければ失業給付金を受給できません。また、給付額や給付期間も短くなります。

  • 自己都合退職者の失業給付金最短支給開始日……退職3カ月と7日後
  • 自己都合退職者の失業給付金支給日数……90日~150日(※自己都合退職の場合、失業給付金の支給日数は被保険者であった期間の長さによって変わります。)
  • 自己都合退職者の失業給付金最大支給額……約118万円
  • 自己都合退職者の失業給付金給付制限……「あり」
  • 自己都合退職者の国民健康保険税……通常納付

会社都合退職の場合の失業給付金

一方で、会社都合退職の場合は給付制限期間が設けられておらず、最短で7日後から失業給付金を受給することができます。さらに、給付額や給付日数も自己都合退職の場合と比べ多くなっています。

  • 会社都合退職者の失業給付金最短支給開始日……7日後
  • 会社都合退職者の失業給付金支給日数……90日~330日(※会社都合退職の場合、失業給付金支給日数は各年齢区分や被保険者であった期間によって細かく変わります。)
  • 会社都合退職者の失業給付金最大支給額……約260万円
  • 会社都合退職者の失業給付金給付制限……「なし」
  • 会社都合退職者の国民健康保険税……最長2年間軽減

「自己都合退職」は「会社都合退職」にできるケースも

「自己都合退職」は「会社都合退職」にできるケースも

自己都合による退職の場合、失業給付金の額や期間に制限があるため不利です。もっとも、一見自己都合による退職に思えるものでも、場合によっては会社都合退職に変更できる場合があります。会社都合にできる退職理由としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 病気やケガで離職した場合
  • 遠方への職場移転で通勤が困難となった場合
  • 結婚により住所を変更した場合

会社都合退職への変更は、会社を辞めてからハローワークで行うことが可能です。その際は、退職が会社都合によるものであることを証明する書類が必要になります。もし、会社都合退職の証明として弱いと判断された場合は、ハローワークから会社側に確認が行くので注意しましょう。

ちなみに、労働者が会社で問題を起こし、懲戒処分を下されて解雇された場合は自己都合退職に該当します。もっとも、懲戒処分自体が不当なもので、解雇の理由に納得できないときは、会社側に疑義を申し立ててみましょう。場合によっては自己都合退職に変更できる可能性もあります。

「会社都合退職」なのに「自己都合退職」にするよう頼まれたらどうする?

「会社都合退職」なのに「自己都合退職」にするよう頼まれたらどうする?

客観的にみて会社都合による退職であるにもかかわらず、会社側から自己都合退職とするよう求められるケースもあります。会社側からそのような要求をする大きな理由は、会社都合退職者が出ると助成金がもらえなくなるためです。会社側としては出来る限り会社都合での退職者を出したくないと考えます。助成金を受け取りたいため、退職者に対し「会社都合退職にすると転職に影響が出て不利になる」などと伝え、自己都合退職とするよう促すことがあるのです。

このような場合、必ず会社側の要求に従わなければならないというわけではありません。退職理由が自己都合であるか会社都合であるかは、個々のケースごとに判断されるものです。退職者自身に自己都合退職に該当する事情がないのであればきっぱりと断りましょう。もし、自己都合と会社都合のどちらに該当するか自分では判断できない場合は、弁護士に相談するのも得策です。理不尽な要求に従って不利益を被ることがないよう対応しましょう。

会社都合でも自社都合でも。退職するなら正しい知識が絶対必要!

会社都合でも自社都合でも。退職するなら正しい知識が絶対必要!

同じ退職でも、自己都合の場合と会社都合の場合とでは、その後の対応が大きく違ってきます。すぐに退職する予定がなかったとしても、いつ何が起きるかは分からないものです。突然会社側から退職を要求される可能性もないわけではありません。自分がどちらの退職に当たるのか、また、失業給付金の受給や転職活動の際はどのように対応すべきかについてしっかりと理解し、損をしないように準備しておきましょう。

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池本 駿
株式会社ジェイックマーケティング開発部。2016年慶応義塾大学経済学部卒業。2018年慶應義塾大学大学院経済学研究科修了(修士課程)。2019年慶應義塾大学大学院理工学研究科修了(修士課程)。同大学経済学部附属経済研究所「こどもの機会均等研究センター」協力研究者。元・三菱経済研究所研究員。経済産業大臣登録 中小企業診断士。著書「教育経済学の実証分析: 小中学校の不登校・高校における中途退学の要因分析」