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大学中退理由は武器になる!履歴書/面接での効果的な伝え方

大学中退理由は武器になる!履歴書/面接での効果的な伝え方

大学中退をする理由は人によって様々です。
大学中退者にとって「面接の中退理由の伝え方」は、就職活動をするうえでの悩みのひとつではないでしょうか。

大学中退者の場合、その理由は必ず採用面接で聞かれます。また履歴書にも中退した経歴も記載します。自分の大学中退経験をネガティブにとらえたままだと、企業にもその雰囲気が伝わってしまいます。

この記事では、文部科学省の最新調査やジェイックの自社調査統計をもとにした大学中退の理由や、実際の中退の体験談ついて解説してきます。履歴書の記入例大学中退理由の例文も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

中退した方専門の就職支援サービス
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  1. 転学等
    大学在学中に、本当に自分の勉強したい分野や就きたい職業が見つかった場合など
  2. 学生生活不適応・修学意欲低下
    大学生活が自分には合わないと感じたり、地元に帰りたいと考えたりする人もいる
  3. 就職・起業など
    ほかにやりたいことができたり、在学中に始めたビジネスに本格的に取り組むためなど
  4. 経済的理由
    学費を出してくれていた親が失業したり病気になったりしてしまうなど、経済的な事情
  5. 病気・けが・心神耗弱・疾患等
    長期間にわたる入院や治療、治療費や入院費による経済的な負担によるもの
  6. 学力不振
    自己管理をして勉強を進める必要があり、途中で学業についていけなくなる人もいる
  7. 海外留学
    中退の目的が明確であり、むしろ行動力や向上心が評価される可能性もある

大学中退をする人の理由は?理由ランキング

大学を中退する理由は、令和4年度の文部科学省の調査「令和4年度 学生の修学状況(中退者・休学者)等に関する調査結果」によれば、転学等(17.8%)、学生生活不適応・修学意欲低下(16.8%)、就職・起業等(14.2%)、経済的困窮(13.1%)の順に多い理由になっています。

大学中退理由ランキング割合
1位:転学等17.8%
2位:学生生活不適応・修学意欲低下16.8%
3位:就職・起業等14.2%
4位:経済的困窮13.1%
5位:病気・けが・心神耗弱・疾患等9.9%
6位:学力不振8.0%
7位:海外留学0.7%
※「病気・けが・死亡:3.8%」と[心神耗弱・疾患:6.1%]を合算

それぞれの大学中退理由について具体例とともに解説していきます。

第1位:転学等

大学を中退する理由として、最も多く見られたのは「転学」でした。文部科学省の調査によると、令和4年度調査では大学等を中退した学生のうち17.8%の学生が「転学」を理由に中退しています。

大学入学時点で将来の夢や学びたいことを、具体的にイメージできている学生は少ないでしょう。大学生活を送るなかで、本当に自分の勉強したい分野や将来就きたい職業が見つかるといったケースもあるはずです。

明確な目標や目的を持った「転学」がマイナスイメージを与えることはほとんどなく、むしろ好印象を与えることもあります。そのためには、なぜ転学しようと思ったのかという理由をきちんと説明できるようにしておきましょう。

第2位:学生生活不適応・修学意欲低下

学生生活不適応・修学意欲低下とは、具体的には以下のようなケースです。

  • 友だちができなかった/孤独感に耐えられなかった
  • 人間関係のトラブルが起きてつらくなった
  • 質問や相談できる人が周りにいなかった
  • 大学や大学生活が合わなかった/行きたい大学ではなかった
  • サークルやゼミになじめなかった

大学はクラスがないのが一般的なため、自分で友人や仲間をつくったりサークルやイベントなどに参加して交友関係を広げたりしないと、一人の時間が多くなりがちです。人によっては、大学生活を孤独に感じて耐えられないかもしれません。人間関係がうまくいかず、困ったときに話ができる相手もいないなどの事態に追い込まれ、精神的にしんどくなる人もゼロではありません。

また、大学には入れたものの「自分には合わない」と感じたり、地元に帰りたいと考えたりする人もいるでしょう。希望していた大学でなかった場合は特に、通学意欲を失ってしまうこともあります。

第3位:就職・起業など

中退理由としての就職・起業など進路変更とは、具体的には以下のようなケースです。

  • 正社員として就職した
  • 別の大学や専門学校に再入学/編入した
  • 自分で起業した
  • 家業を継いだ
  • その他(職人に弟子入りした、芸能活動を始めたなど)

途中で進路を変更し、通っている大学から離れる決断をする人もいます。たとえば、ほかにやりたいことができたり学びに関心が持てなくなり、別の学校へ入り直すケースです。在学中から自分でビジネスをやっていて、本格的に取り組むために中退する人もゼロではないでしょう。

あとは民間企業への就職先が決まったから中退したという人のほか、特定の活動に専念したりする人もいるでしょう。いずれにしても、いまいる環境に違和感を持ち、行動を起こすケースが多いかもしれません。

中退者の就活やり方診断
中退者の就活やり方診断

第4位:経済的理由

中退の経済的理由とは、具体的には以下のようなケースです。

  • 学費が払えなくなった(親の失業、バイト先がなくなったなど)
  • 家族のために自分が働く必要が出てきた
  • 在学中に妊娠や出産、結婚を経て、働く必要が出てきた。

親に学費を出してもらっていた場合、親が失業したり病気になったりしてしまうと、大学へ通うどころではない経済状況になってしまうケースがあります。在学中に家族が亡くなったり、急遽家業を継いだりするケースもあるでしょう。

在学中の妊娠、出産、結婚を理由に中退する人もいます。一旦休学して通い直すという選択肢もある一方で、子育てや、稼いで家計を支えるために中退を選ぶ人も一定数いるといえます。

第5位:病気・けが・心神耗弱・疾患等

病気・けが・心神耗弱・疾患等とは、具体的には以下のようなケースです。

  • 身体的な病気で入院や長期療養が必要になった
  • ケガで入院や長期療養が必要になった(交通事故、不慮の事故など)
  • 精神的な病気になり通学が困難になった(うつ、パニック障害など)
  • 体調不良で大学に通えるコンディションではなくなった
  • 持病が悪化・再発した

数か月の入院や副作用がある薬物療法などが必要な病気になった場合、やむを得ず中退の選択をする人もいるでしょう。また、リハビリが必要な大ケガなども同様です。長期間休まなければいけないだけでなく、治療費や入院費などの負担が大きく、学費を払えなくなって中退するパターンもなかにはあります。

精神疾患を発症し、人と会ったり学んだりすることが一時的に負荷になり、通学が難しくなる人もいます。もともと身体が弱い、持病があるなどの事情から、卒業まで通い続けることができなくなったケースも考えられます。

第6位:学力不振

中退理由としての学力不振とは、具体的には以下のようなケースです。

  • 単位を落とし進級できなかった
  • 授業に出ない/課題などを提出しなかった
  • 専攻している分野について学ぶ気がなくなった
  • 勉強についていけなくなり挫折した
  • サークルや遊びに夢中で勉強しなくなった

比較的単位が取りやすい大学や学科などもありますが、一方である程度勉強に時間を割かないとついていけない、試験や課題の内容などのレベルが高い大学も少なくありません。その場合は単位の取得も簡単ではないため、途中であきらめてしまう人もいます。

勉強以外を優先させてしまったことで単位を落とし、中退する人もいます。大学は自由度が非常に高いからこそ、ある程度自己管理をしながら進めていかないと、途中で学業についていけなくなってしまうおそれが高いといえます。

第7位:海外留学

文部科学省の調査によると、大学等を中退した学生のうち0.7%の学生が「海外留学」を理由に中退しています。

海外留学を理由に大学を中退する場合には、中退の目的が明確であり、大学中退が悪い印象を与えることは少ないでしょう。むしろ海外留学をする行動力や向上心が評価される可能性もあります。さらに「グローバルな仕事に関わりたい」「語学力を高めたい」など具体的な目的があれば、高い評価を得られるでしょう。

留学に踏み切った理由が仕事に直結しなかったとしても、留学の目的をしっかりと説明できれば、面接官に好印象を与えられます。

参照:文部科学省「令和4年度 学生の修学状況(中退者・休学者)等に関する調査結果

大学中退をした本音の理由?

前の章でご紹介した大学中退の理由ランキングにおいて、第1位は「学業不振・無関心」となっていましたが、同じカテゴリーに含まれていても、人それぞれの事情や本音の部分はじっくりと話を聞いてみなければ分からないものです。

そこで、この章では私たちジェイックが行った「中退者へのアンケート調査」の結果と、実際に大学中退を経験した人の体験談をご紹介します。

中退理由、実は「授業に興味を持てない」が一番?

最新の「中退者へのアンケート調査」では、「授業内容に興味が持てなかったから」が31.4%、「留年したから」が27.6%、「授業についていけなかったから」が11.4%%と、学業に関する中退理由の割合が70%を超えています。

中退した理由

上記の結果から、中退に至った多くの学生の本音は「勉強に興味が持てなかった」ということに集約されるのだろうと推測されます。

しかし、たとえそれが本音であっても、「勉強に興味が持てなかった」とは人に言いにくいことも想像できます。なぜなら「自分自身に中退の原因がある」と認めることになるからです。

経済的事情や家庭問題が理由であれば(それも辛いことではありますが)、「自分の力ではどうしようもなかった」と捉えられますし、周囲の人から同情してもらえる余地があるように感じられます。

だからこそ、あなたが中退を考えている理由、中退した理由が「学業関連のもの」であるならば、「就職活動で応募先企業にどのように伝えるか」がとても重要なポイントになるのです。

この記事の後半では、一見ネガティブな中退理由をポジティブなものに変えるための「視点」や「考え方」実際に履歴書に記入する際のコツについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

参考:ジェイック「中退理由「授業内容に興味が持てなかったから」が初トップに

実際に中退した人の声

それでは、ここで実際に大学を中退した3人の方の体験談をご紹介します。インタビューの中から、中退に至った経緯と、中退を決めたきっかけをメインに抜粋しました。インタビューの全文は、各項の最後にあるURLからご参照ください。

サークルにはまって中退してしまった男性

僕は中学の理科の先生になりたくて、教育大学に進もうと思ってました。ですが、高2の時に、先生に「学校の先生よりも、国公立の理系学部に入って研究職に就いたほうが、安定しているし、それなりにいい給料ももらえるぞ」って言われて。それで教師を目指すのはやめて、「地元で一番いい大学にいこう」と考えて名古屋大の理系学部を受けました。しかし、そこは落ちてしまって、別の理科系の大学に入りました。学科は、電気系の学科です。本当は化学系に興味があったんですが、受かったのが電気系だったので、そこに入学することにしました。

大学では、“よさこい”のサークルに入りました。入学した頃、同じ高校出身の先輩に大学で偶然会って、新歓に誘われて。新歓の中で先輩の踊りを見せてもらった時に、「すげえな」「こういうのやってみたいな」って思ったんです。

で、入ったら、どっぷり漬かっちゃったって感じです。僕らのサークルは、他大の学生とか社会人とか高校生とかもいるんですよ。全部で150人ぐらいいて、みんなで一丸となって踊るんです。活動は週3~4日、多い時は週5日練習します。名古屋には“どまつり”っていう、踊りのお祭りがあるんですけど、それが大会みたいな感じで、大賞とかの賞があるんです。それに向けてみんなで切磋琢磨しながらやる感じです。

よさこいにハマって、授業にはだんだん行かなくなりました。入学当初は、勉強も頑張ろうと思ってたんですが、やっぱり僕は化学系に興味があって、電気系には興味を持てなかったんですよね…。化学の授業も少しはありましたが、僕がやりたい「ザ・化学」とはちょっと違う感じで。それで、だんだん授業に行かなくなってしまいました。電気から化学への転部もできなくはないんですが、いろいろデメリットもあって、それはしませんでした。それでも頑張って通い続けて、3年生の時に留年しました。2回目の3年生の秋ぐらいに、「このまま無理に続けるのも苦痛だな」って、中退を考え始めたんです。友達はもう4年生の秋で、「来年の春から就職」という時期です。僕はこのまま大学を続けるか、中退して働くかを考えました。「親にこれ以上迷惑かけるのも良くないな」と思って中退することにしました。

親は最初、「別の専門学校とかに入り直したら?」と言ってたんですが、そうなったらそのお金も親に負担させてしまうし、それはもう嫌だなって。だったら就職して、自分で頑張ってお金を稼ごうと思って。親には1~2年の頃からいろいろ話していたし、僕があまり学校に行ってないのも知っていたので、中退を決めた時は「自分で決めたことなら頑張りなさい」と言ってくれました。

就職カレッジ®/小田さんの就職成功体験談:ITコンサル会社

経済的理由から中退した女性

私は、3歳の時から父だけのひとり親家庭で、高校も公立に落ちて私立に行ったので、家にお金の余裕がなかったんです。それで、生活費の一部やバスケクラブの会費、自分のお小遣いぐらいはアルバイトで稼ごうと、高校に入ってすぐから飲食店でのアルバイトを始めました。高校では勉強も頑張りました。私の高校は、“3年間の成績を一定以上取得すると学費が免除になる”という制度があったので、それを目指したんです。結果、頑張りが実って、学費免除を受けることができました。

私の努力を評価してくれたのか、父から「大学に行ってみたら?」と言われました。大学進学は完全に諦めていたので嬉しかったですね。それで高3の夏頃からバイトを辞めて受験勉強に専念し、翌年、無事に一般受験で入学することができました。私も嬉しかったですし、父もとても喜んでくれました。学部は、英語が好きだったので外国語学部を選びました。

ところが、入学直後のガイダンスで「卒業するには留学が必須」ということを聞きました。私の代から大学のカリキュラムが変わり、“2年の後期から3か月以上の留学に行かなければ卒業できない”ことになってしまったんです。留学費用は自分で捻出しなければなりません。それで「2年の夏までになんとか貯めよう」と思い、塾講師とアパレル販売のバイトを始めました。大学では奨学金も借りてたんですが、さすがに留学費までは用意できませんでした。留学の時期、2年の後期が近づくにつれ「何か良い方法はないか?」と悩みましたが、解決策は見つからず…。それで「中退するしかないかな」と考えるようになったんです。

英語は好きでしたが、特に「外国で働きたい」とか「英語を使って仕事をしたい」という気持ちは強くなかったので、「トータルで考えたら、無理して大学に行かなくてもいいのかな」と。中退については姉や友達にも相談して、姉からは「4年間行くことが全てではない」と後押ししてもらいました。いろいろ考えたあげく、2年生の7月の頭ぐらいに、「前期が終わる8月いっぱいで退学しよう」と自分で決めました。

就職カレッジ®/和地 あおい様の就職成功体験談|株式会社きめたハウジング

希望の研究室に入れず中退した男性

私は、関西の私大の生物系の学部に入りました。2回生までは問題なかったのですが、3回生の前期に、成績や単位が足りなくて希望する研究室に入れないことが判明しました。

研究室には絶対入らなければなりません。僕も入りたい研究室があったんですが、そこはめちゃくちゃ人気の高いところで、僕の成績では無理だったんです。結局僕は、一番人気がないような研究室に入ることなったというか、入らされることになりました。

ウチの大学は、2回生までは割とみんな同じ授業内容なのですが、3回生になると研究室によってやることが全然違うんです。僕の場合、希望しない研究室で、やりたくないことをやることになって…。それでちょっと病んでしまって、半年、休学することにしました。で、休学が終わる頃、「もう続けられない」と思って、先生に相談して大学を中退しました。

就職カレッジ®/土佐さんの就職成功体験談:緑化資材メーカー

家庭の事情で中退した男性

私は小さい頃から芸術や音楽が大好きで、高校では軽音部に入り、音楽漬けの日々を送っていました。大学では音楽を伝える架け橋になりたいという思いから、法学部新聞学科に進学しました。授業をサボったり遅刻したりすることはなく、真面目に授業を受ける学生でした。毎月10万円ほどのバイト代は大好きだったバイクと音楽につぎ込み、充実した大学生活を送っていました。

しかし、大学2年の前期が終わる頃に母から「実は父の仕事が厳しい状況で、奨学金をもらっていても家計が苦しい」と伝えられました。父は自営業の仕事をしていて、経営が厳しいのではないかと感じることはあったものの、「家計のことは気にせず大学に行きなさい」と言われていました。ところが実際には大学に行かせるのは厳しいほどの経済状況で、両親の「大学に行かせてあげたい」という親心から無理をしてくれていたようです。

私は母から告げられた家計事情に驚いたと同時に、家の状況や親の気持ちに気づけなかったことにショックを受けました。また、家計が苦しい状況に気づくことなく、自分だけ大学生活を謳歌していたことに罪悪感を感じました。自分で学費を稼ぐという選択肢もありましたが、1~2カ月ほど考えたうえで大学を中退しました。

就職カレッジ®/玉木 諒さんの就職成功体験談:株式会社アービック

大学を中退してフリーターになった男性

私は小学校・中学校ではサッカーに熱中し、サッカーで有名な私立高校からスポーツ推薦をもらいましたが、継続できる自信がなかったため、地元の高校に入学しました。卒業後は周りの友人に合わせて専門学校に進学する予定でしたが、親から「大学に行ってほしい」と言われ大学に進学しました。

大学の授業には意味が見出せなかったのですが、大学祭の実行委員の活動と焼肉屋のバイトはとても楽しかったです。バイトや大学祭の活動が充実する一方で、忙しさを言い訳に授業を欠席していました。

単位が足りておらず、なおかつ授業に出席する気持ちも湧かなかったため、大学2年の夏頃から大学の中退を考え始めました。ただし、そこですぐに中退したわけではなく、大学2年が終わったタイミングから2年間休学することを決めました。

私は休学期間に3つの選択肢を考えました。1つ目は、1年間準備して休学2年目に留学すること。2つ目は、留学せずにそのまま中退すること。3つ目は、もう一度大学に復学することです。

よく考えた末に私は休学2年目の半年間、カナダに留学することを決めました。そして留学する直前に大学を中退しました。「自由になった」「授業や単位から解放された」というのがその時の正直な気持ちでした。

就職カレッジ®/塩山航平さんの就職成功体験談:塗料系の商社

中退した方専門の就職支援サービス
中退した方専門の就職支援サービス

履歴書・面接での大学中退理由の効果的な書き方/伝え方

大学中退理由の効果的な書き方/伝え方

それでは、実際に大学を中退して就職をしようとしている方向けに、履歴書の効果的な書き方と、企業への伝え方についてそれぞれご紹介します。

1. やむを得ない理由以外は履歴書に書かない

大学中退の理由について、やむを得ない理由や特別な事情以外は履歴書に記載する必要はありません。

たとえば、家庭の事情や経済的理由、病気やけがによる中退などは記入して問題ありません。一方で、単位を落とした、バイトやサークルに夢中で学校へ行かなかった、大学が合わなかったなど、個人の都合による中退理由はマイナスの印象を与えるため、書かないようにしましょう。

履歴書の具体的な記入例

大学中退の理由を履歴書に記入する場合、記入しない場合の具体例を、経済的な理由で中退した場合を例にそれぞれご紹介します。以下のように「中途退学」の隣にかっこ書きで書く方法のほか、中途退学と書いた次の行に「経済的理由により退学」などと書く方法もあります。

⇩理由を書く場合

学歴・職歴
平成26年3月〇〇中学校 卒業
平成26年4月△△高等学校 入学
平成29年3月△△高等学校 卒業
平成29年4月◎◎大学 ●●学部 ××学科 入学
令和元年7月◎◎大学 ●●学部 ××学科 中途退学 (経済的事情により)
以上

理由を書かない場合

学歴・職歴
平成26年3月〇〇中学校 卒業
平成26年4月△△高等学校 入学
平成29年3月△△高等学校 卒業
平成29年4月◎◎大学 ●●学部 ××学科 入学
令和元年7月◎◎大学 ●●学部 ××学科 中途退学
以上

2. ポジティブに伝える

大学中退について企業に話す際には「ポジティブに」「前向きに」伝えて、共感や納得をしてもらうことが重要になってきます。

中退したことに意味を持たせる

どんな事情があったにせよ「大学を中退した」という客観的な事実は同じです。そして企業のなかでは、大学中退をしたこと自体が、採用においてプラスの要素となることはあまりないでしょう。

しかし、中退したことに自分で意味を持たせることは可能です。「中退を通じて自分と向き合う時間ができた」「学生という立場から離れたことで、同年代よりも早く社会人経験を積める」など、中退したからこそ得たものやできたことにフォーカスして考えてみましょう。

失敗した経験を活かす

ほとんどの場合、きちんと卒業しようと思って大学へ入学したはずです。しかし途中で想定外のことが起きたり、思っていたのと違ったりついていけなくなったりして、挫折してしまった人も少なくないでしょう。

企業側は、失敗したことそのものよりも、過去にうまくいかなかったことをどう今後に活かそうとしているかを評価する傾向があります。そもそも大学中退者を選考対象とする企業であれば、中退という経歴がある時点で応募者が何かしらつまずいた経験や、思い通りにいかなかった経験をしていることは理解しているはずです。

変に取り繕うよりも、過去を踏まえたうえで自分が今後どうしていきたいのか、前向きなビジョンを伝えましょう。

大学中退の履歴書の書き方を知りたい方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。

「大学中退」を履歴書に書かないのはあり?-最終学歴が中退の場合の書き方を紹介-

ポジティブに言い換える

たとえば、学校をさぼっていて単位を落として中退したのに「学費が払えなくなったから」と伝えたり、人間関係になじめなかったことが理由で中退したものの「家族の介護が必要になったから」と伝えるなど、事実と異なる嘘をつくのはやめましょう。

しかし、中退に対する考え方を自分なりにポジティブに転換したうえで、前向きに言い換えるのはOKです。たとえば、以下のような形です。

  • 勉強についていけず中退→進学時点で自分が学びたいことをきちんと考えていなかった。中退したことで、自分が本当にやりたいことの方向性が見えてきた
  • 友だちができず中退→大学生活における目的がぼんやりとしていて、有意義に過ごすことが難しかった。大学を離れたことで、社会に出て働きたい意欲が湧いてきた

自分の捉え方次第で、大学中退の経験をよい方向に活かすことは可能です。ポイントは、ポジティブな言い換えであっても、自分が納得していない理由は話さないようにすることです。不自然な雰囲気は必ずバレてしまうため、不合格になるリスクがあるためです。

中退者の就活やり方診断
中退者の就活やり方診断

【理由別】大学中退理由の例文5選

大学中退の履歴書・面接における伝え方のコツを把握できたでしょうか。実際に大学中退者が企業の面接を受ける際、大学中退の理由は必ずといってよいほど聞かれます。今回は4つの中退理由における例文をそれぞれご紹介しますので、参考にしてみてください。

例文1.経済的困窮

経済的困窮で大学を中退した場合は、正直にその理由を伝えてください。あなた本人の理由ではなく親の経済力など外的要因の場合は、面接官も理解してくれます。

ただし「経済的な理由で中退しました」だけでは、ただの説明で終わってしまいます。前向きな言葉をひとこと付け加えると、ポジティブな姿勢をアピールすることで好印象を与えられます。

例文1-1

「経済的な事情で大学を中退することにはなりましたが、育ててくれた両親には感謝しています。社会人として貢献できる人材になれるようがんばっていきたいと思います」

例文1-2

「経済的理由で中退とはなってしまいましたが、大学の同級生たちよりも早く社会人になれるため、自分ではこの機会をチャンスだと前向きにとらえています」

このように伝えれば、企業からは「大変な経験をしたのに立派だな」「責任を持ってしっかり働いてくれそう」などのイメージを持ってもらいやすいでしょう。

例文2.学生生活不適応

友だちができず孤立してしまった、大学の雰囲気に馴染めなかった、大学がつまらなくなり行く意味がわからなくなってしまった、などの場合、やろうと思えば、自分から行動して大学生活を楽しくしていくこともできたはずです。

企業からすると「考えが甘いのでは」「嫌なことがあったらすぐに辞めそう」などと思われてしまう可能性があります。その反省を踏まえたうえで、経験をどう活かしていくかを伝えるとよいでしょう。

例文2

「私は第一志望の大学に落ち、いわゆるすべり止めの大学に進学しました。そのためモチベーションが低いままで、友人をつくったりサークルに参加したりすることもなく、アルバイトなどに精を出していました。その結果、大学へ行く意欲を失ってしまい、恥ずかしながら中退という選択をしました。いまでは、自分で大学生活を充実させる努力が足りなかったと深く反省しています。仕事をするうえでは自分から積極的に人間関係を築き、信頼される人材になりたいと考えています」

「過去の失敗を繰り返さない」という決意を伝えることで、大学中退をアピールポイントとして使うことができます。

例文3.修学意欲の低下

勉強に対するやる気がなくなった、単位を落としたなどによる大学中退は、厳しい言い方をすれば「努力不足」とみなされてしまいやすい理由です。

たとえば「スポーツ推薦でレベルの高い大学に入ったが途中で部活を辞めることになり、勉強についていけなくなった」「専攻していた分野に、どうしても興味が持てなくなってしまった」などの事情もあるかもしれません。ですが、それでもネガティブに捉えられやすい理由ではあります。

下手に隠したり言い訳するのではなく、素直に反省していることを伝えましょう。大学中退をきっかけに気づいたことや感じたこと、これからどうしていこうと考えているか、いま何をがんばっているかなどを伝えましょう。

例文3

「私は将来のことを深く考えず安易に大学を選んでしまったことが原因で、大学の講義内容に興味を持つことができませんでした。高校時代から将来のことを深く考えたり、事前に大学のリサーチをしたりすべきだったと、中退後に強く反省しました。今回の就職活動では過去の失敗を活かし、自己分析や企業分析を徹底し、適性のある仕事や自分に合う企業を調べることに注力しました」

過去の失敗から気づいたことや反省していること、その経験を踏まえて就職活動をしているという姿勢を伝えることが大切です。

例文4.病気・けが

病気やけがによるやむを得ない中退は、金銭面や家庭の事情と同様、その理由を隠すことなく伝えましょう。健康上の心配を理由に選考に慎重になる企業もゼロではないかもしれませんが、事実を伝えずにあとからトラブルになるのを避けるためにも、伝えるようにしましょう。

注意点としては「現在はよくなっている」ということも併せて伝えることです。過去に大きな病気やけがをした経験がある応募者だと、企業としてはそもそも正社員としてフルで働けるのか、欠勤が多くならないかという懸念は持つはずです。もし数か月に1度通院が必要、年に1回は検査があるなどの場合には、正直に伝えておきましょう。

例文4

「私は大学2年生のときに結核を患い、約3か月間入院しました。退院後も薬物療法が必要だったこともあり、数か月間は静養する必要があったため大学に通うことは断念し、退学を選択しました。現在は医師から『仕事をしても問題ない』という診断を受けており、退院後は無理のない範囲で身体を動かすようにしていたため、体力的にも問題はありません。経過観察のため数か月に一度通院の必要がありますが、仕事に支障が出ないよう工夫するつもりでおります」

病気やけがによる中退をした場合、具体的に過去や現在の状況を事実として伝えることで、企業側にも安心してもらいやすいでしょう。

例文5.進路変更

進路の変更に伴い、大学を中退した場合には、どのような目的で進路を変更したのかをきちんと説明しましょう。なんとなく大学を辞めてフリーターになったなどの曖昧な理由は、面接官にネガティブなイメージを与えてしまうかもしれません。

大学生活を送るなかで「現在の進路とは異なる将来の夢が見つかった」「より専門性の高い学問を学びたくなった」など、明確な理由があれば面接官にも良い印象を与えられます。

例文5-1

大学でコミュニケーション学を学ぶなかで、対人関係に難しさを抱える人を支援する仕事に就きたいと感じました。そのため、大学を中退して、臨床心理士の資格を取得できる専門学校に転学しました

例文5-2

周りの友人に合わせて大学に進学しましたが、デザイナーになりたいという将来の夢を諦められず、大学を中退しました。大学中退後はフリーターとして働きながら、デザイン学科の夜間学校を卒業しました

企業に説明する際のポイントは、具体的な目標や意思を持って進路を変更したと説明することです。自分の目標に向かって努力できる人、さらに向上心や行動力のある人として、良いイメージを持ってもらえるでしょう。

「大学中退の理由」に関してよくある質問

ここでは、「大学中退の理由」に関してよくある質問を紹介します。

大学中退に関して疑問に思っていることや不安がある方、大学中退後の就職活動に悩んでいる方は参考にしてみてください。

大学中退をする人の理由とは?

大学中退をする人の理由は様々ですが、大きくは学業関連や家庭的・経済的な理由など、いくつかのカテゴリーにわけられます。この記事では、大学中退に多い理由を「大学中退をする人の理由は?理由ランキング」で、大学中退の本音や実際の体験談を「大学中退をした本音の理由?」で解説しています。

大学中退の理由の効果的な書き方と伝え方は?

大学中退の理由は、就職の際になかなかそのまま伝えづらいものです。しかし、中退したことを前向きに捉えなおすことで、アピールの一つにすることもできます。「大学中退理由の効果的な書き方/伝え方」で詳しく解説しています。

大学の中退理由を経済的な理由で書くべきか?

経済的な理由で大学を中退した場合には、正直に面接官に説明することがおすすめです。

経済的な理由による中退は面接官に納得してもらいやすく、家庭の経済的な事情を面接官が追求することはありません。そのため、「家庭の事情で学費を払うことが難しくなった」のような理由を説明をすると良いでしょう。

大学の中退理由を精神的な理由で書いてもいいのか?

中退理由について嘘をつくのは印象が悪いため、正直に精神的な不調があったと伝えることをおすすめします。

ただし、伝え方によってはネガティブな印象を与えてしまうため、伝え方には工夫が必要です。「現在は心身ともに健康で業務に問題はない」「継続した治療により症状が改善した」など、仕事に問題がないと伝えることが重要です。

まとめ

大学中退の理由は人それぞれです。中退という選択肢以外に方法がなかった人もいれば「なんとなく」「合わなかったから」など、あまり深く考えずに中退した人もいるでしょう。いずれにしても、中退してから就職する場合、企業の目は大学を卒業した人よりも厳しくなりがちな点には注意しましょう。

ただ、企業側に共感・納得してもらえるように中退理由を伝えられれば、「それを踏まえてもあなたと一緒に働きたい」と考えてくれる企業に採用される可能性は十分にあります

過去を振り返り、今後に活かせる捉え方をすることから始めてみましょう。

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小久保 友寛シニアマネージャー
株式会社ジェイックシニアマネージャー/中退者専門就職支援サービス「就職カレッジ®中退者コース」元事業責任者/「日本の中退を変える!」をモットーに、中退経験者のキャリア支援を続けています/中退経験をバネに、一緒に就活頑張りましょう!!