「保険会社に就職しようか迷っている」という女性もいるのではないでしょうか。求人も比較的多く、女性が活躍している印象を持つ方も多いかもしれません。この記事では、保険会社の実態や業界の将来性、女性が保険会社に就職するメリットデメリットなどをくわしくお伝えします。保険会社に興味のある女性の方は、ぜひ参考にしてみてください。
女性が多い保険会社の実情
保険会社の多くは、女性社員の数が男性社員を上回っています。特に保険営業は、いわゆる「生保ガール」「セールスレディー」と呼ばれる女性従業員がその大半を占めます。
一見すると「女性が多くて働きやすい」と思うかもしれませんが、その実情は厳しい面があるのも事実です。女性が働きやすい環境はたしかに整っていますが、一方で女性にとっては過酷に感じられる場面も少なくないのです。
次の2点に分け、保険会社の実情をくわしくご紹介します。
- 保険営業の実態
- 保険業界の将来性
保険営業の実態
保険会社で働く女性の多くは、保険営業の仕事に就いています。生命保険や、医療保険など、その会社の保険商品を顧客に売る仕事ですが、多くの日本人が何かしらの保険に入っている現状にあって、保険を買ってもらうのは簡単なことではありません。
一般的には男性よりも女性のほうがコミュニケーション能力に長けていたり、感じのいい話し方や細やかな対応に適性があったりすることから、女性の保険営業のほうが多いこともあるでしょう。
給料の面でいうと、保険営業は成果給が基本のため、営業がうまくいかないと十分な給料が手に入りません。保険営業としての給料は低かったとしても、夫の給料と合算して世帯収入が増やすことを目的としている場合には、比較的リスクが少ない仕事だといえるでしょう。
もちろん「バリバリ稼ぎたい」という目的で働く独身の女性もいますが、比較的高い年齢や専業主婦をしていた方が就職して社会復帰をしやすい面も、女性が多い理由といえます。
それに加え「女性が多い職場は安心できる」「家庭との両立もしやすそう」といったイメージもあり、保険会社の女性の比率は他の業界と比べて高くなっているのです。
保険業界の将来性
保険業界の将来性は、明るいものとはいえません。なぜなら、日本人のほとんどが何かしらの保険に入っているため、市場が飽和しているからです。つまり、新しい保険を出しても、それに加入してくれる人が少ないため、結果として保険会社としては新たな売上が上がっていきません。
ちなみに多くの保険会社は海外に活路を見出そうと躍起になっていますが、海外への進出は、外国の優良な保険会社と戦っていくことを意味します。そのため、実際は苦戦を強いられている会社も多いのです。
また、AIの影響も無視できません。多くの保険会社は「業務や人員の削減をする」と明言しており、AIによって今の仕事を奪われる人が増える可能性はあります。特にカスタマーサポートや、事務職員などはその筆頭です。営業ツールなども自動化高度化してきているため、保険営業の社員が職を追われてしまう可能性もあります。
女性が保険会社に就職するメリットとデメリット
女性が保険会社に就職するメリットとデメリットを紹介します。入社後にミスマッチにならないように、メリットだけでなく、デメリットもしっかりと押さえておきましょう。
女性が保険会社に就職するメリット
女性が保険会社に就職するメリットは、次のふたつです。
- 福利厚生が充実している
- 大きく稼げる可能性がある
それぞれについて、ご紹介します。
福利厚生が充実している
保険会社の多くは、福利厚生が充実しています。産育休介護休暇など法律で定められているものだけでなく、子どもの都合で休みやすい休暇制度や柔軟な働き方がしやすい制度が充実している会社も少なくありません。
結婚して子どもがいる女性が多く働く傾向にあることからも、これらの制度が充実していることはメリットといえるでしょう。
先輩の女性社員も多いので、女性ならではの悩みを相談できる社員が近くにいることも、ひとつの安心材料といえます。
大きく稼げる可能性がある
保険営業として働くと、大きく稼げる可能性もあります。保険営業の場合、1件成約すると「年間保険料の約30%」といった成果給が手に入るケースが多く、場合によっては高い収入を稼ぐことも夢ではありません。
保険営業は、完全実力主義の世界でもあります。そこに男性女性の差はありません。事実、保険営業として働く女性のなかには、年収1,000万円以上を継続して達成しているようなトップセールスマンもいます。
女性が保険会社に就職するデメリット
次に、女性が保険会社に就職するデメリットをお伝えします。具体的には、次の2点です。
- 給料が安定しない
- 体力が必要な場面が多い
それぞれについて、ご紹介します。
給料が安定しない
保険営業として働くと、給料が安定しません。基本給を設定している会社がほとんどですが、その額も10万円に届けばよいところで、基本給だけで生活していくのはまず不可能です。
そのため成果給を上げていかなければいけませんが、保険商品が売れなければ売上はゼロです。「夫の稼ぎがあるから」といっても、売上が上がらず基本給のみの収入という日々が続くと、精神的なプレッシャーも相当なものになってきます。
なお、3年以内に保険を解約されてしまうと、一度もらった成果給を返金しなければならない、といった規定を定める会社も少なくありません。そのため返金額が大きいと、その月の給料がマイナスになる可能性もあるのです。
体力が必要な場面が多い
体力が必要な場面が多いことも、女性にとってはデメリットに感じられるでしょう。保険営業は、契約数が全てといっても過言ではありません。契約を取れれば、それだけ個人としての売上が上がっていくためです。
そのため新規顧客を開拓し続ける必要があり、結果として移動の時間が多くなるため体力が削られていきます。見込み客と積極的にランチやお茶をするなど、契約を獲得するための地道な活動も必要になってくるでしょう。
そして顧客からの電話対応や事務処理、そこに保険の提案準備などの業務が入ってきます。体力はもちろん、保険を提案して断られたとしてもめげない精神力なども大切な要素のため、その厳しさから数年で保険業界を後にする女性も少なくないのです。
保険会社に就職すべき女性とそうでない女性の特徴
保険会社に就職すべき女性には、いくつかの特徴があります。保険会社に向いていない女性の特徴もあわせて紹介しますので「自分は保険会社に向いているかな」と悩んでいる方は参考にしてみてください。
保険会社に就職すべき女性の特徴
まずは、保険会社に就職すべき女性の特徴をお伝えします。次の3つの特徴のうち、どれかひとつでも持ち合わせていれば、保険会社で活躍していけるかもしれません。
- キャリアアップを考えている人
- 少しでも多く稼ぎたい人
- ストレス耐性が強い人
それぞれについて、ご紹介します。
キャリアアップを考えている人
キャリアアップを考えている女性は、保険会社への就職を考えてもよいでしょう。女性が多い環境のため「女性活躍」をビジョンとして掲げる会社も少なくありません。
ほかの業界や会社と比べると女性の出世が比較的実現しやすく、きちんと成果を出して会社に貢献すれば、リーダーや主任、部長などの管理職を目指すこともできるでしょう。
少しでも多く稼ぎたい人
少しでも多く稼ぎたい人も、保険会社を検討してみてください。特に保険営業は成果主義の世界のため、稼げない人もいる一方で、大きく稼げる人がいるのも事実です。
一般的に女性の平均年収は男性より低くなっていますが、保険営業として働く女性のなかには、同年代の女性はもちろん、同年代の男性の数倍近くの年収をもらっている人もいます。
もちろんそのためには適切な努力が必要ですが、毎月決まった給料ではなく自分のがんばりでどんどん収入をあげていきたいという女性のは、適性があるでしょう。
ストレス耐性が強い人
保険会社に向いている女性の特徴として、ストレス耐性が強いことも挙げられます。ストレス耐性とは「ストレスがかかる場面でも平常心を保てる度合い」のことで、「プレッシャーに強い」という言い方もされます。
保険営業として働くと、自分の売上に一喜一憂したり、顧客からの要望に翻弄されたりと、ストレスがたまる日々の連続です。こうしたなかでも、常にポジティブに、前を向き続けられる女性は、精神力の強さが試される保険会社のなかでも活躍できるポテンシャルを持っているといえるでしょう。
保険会社に就職すべきではない女性の特徴
次に、保険会社に就職すべきではない女性の特徴を紹介します。ひとつでも当てはまれば、保険会社への入社はあまりおすすめできません。
- 誰かと会うのが苦手な人
- 体力に自信がない人
- 保険に興味がない人
それぞれについて、ご紹介します。
誰かと会うのが苦手な人
初対面の人と会うと考えるだけで気持ちが落ち込んでしまうなど、誰かと会うのが苦手な人は、保険会社への入社を考え直したほうが良いかもしれません。
保険会社は、お客様あっての世界です。特に保険営業は新規契約を取ってくるのが仕事のため、毎日違う人と会い続ける日々を送ることは、人によってはかなりのストレスとなる可能性があります。
体力に自信がない人
体力に自信がない人も、保険会社はおすすめできません。保険会社の仕事はハードワークのため、基本的には毎日が体力勝負です。保険営業の場合には、顧客の突発的な依頼に応えたり、直接会いに行ったり、といったケースも少なくありません。
たとえば真夏の暑い日も、雪が降る日も関係なく顧客のもとへ足を運ぶというケースもあります。これらは、体力に自信がない女性にとってはかなり厳しく感じてしまうはずです。
保険に興味がない人
保険に興味がない人も、保険会社への入社を一度立ち止まって考えてみてください。保険商品は、かなり複雑なつくりをしています。新たな商品も出てくるため、その都度新しい保険の内容を習得し、顧客に説明しなければいけません。
ほかの仕事で忙しいなか、保険についての知識を深め続けるのは容易なことではなく、そもそも保険に興味がないと勉強が苦痛に感じてしまう可能性が高いのです。
保険会社に就職して後悔した女性の声
保険会社に就職したものの、早い段階で保険営業の仕事を辞める女性も少なくありません。女性が多く和気あいあいとしたイメージの裏で、仕事が合わずつらく感じてしまい、会社を後にする女性も多いのです。
「保険会社に就職したが自分には合わず入社を後悔した」と感じる女性は、主に以下のような点を挙げています。
- 想像以上に残業が多かった
- 3年目以降に給料が下がった
- 自腹を切るのがキツかった
- 身内や友人を巻き込むのに嫌気が差した
- 人付き合いでストレスがたまった
それぞれについて、ご紹介します。
想像以上に残業が多かった
「残業時間の多さ」を後悔として挙げる女性は多くいます。女性が多い環境のため、時短制度などは比較的整っていますが、夕方以降に顧客と会う機会も多いため、結果として労働時間が長くなってしまうことが多いのです。
3年目以降に給料が下がった
3年目以降に給料が下がったために、保険会社を退職する女性も少なくありません。保険会社のなかには、入社1~2年目までは固定給が支給され、3年目以降は「完全歩合制」を取る会社が多く存在します。
この場合、3年目に一件も契約を取れなければ給料はほとんどゼロに近く、給料が安定しない現実を前にして辞めていく女性が多いのです。
自腹を切るのがキツかった
「自腹を切るのがキツかった」という声もよく聞かれます。保険営業の場合、営業にかかる経費のほとんどが自己負担です。交通費やガソリン費、顧客へのプレゼント代といったものまで、すべて自分で支払わなければいけません。
売上が上がらない月の場合には、支出だけが増えていくといったことも珍しくないのです。
身内や友人を巻き込むのに嫌気が差した
身内や友人を巻き込むのに嫌気が差した、という声も聞かれます。保険営業の場合、新規契約を取らないと売上が上がりません。特に入社初年度はツテなどもないため、まずは家族や友人に契約を頼み込むパターンがほとんどです。
頼み方によっては人間関係にヒビが入ってしまうリスクもあり、自分にとって大切な人間関係に「お金」を絡ませてしまったことに後悔の気持ちを抱く女性は少なくないのです。
人付き合いでストレスがたまった
顧客との間に生じるストレスは大きく、宴席の場を用意する、ギフトを差し入れるなど、相手に気を遣う場面は少なくありません。契約を断られるケースも多いため、精神的なストレスが積み重なり、保険業界を後にする女性も多いのです。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい