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育休が取れない3つのケースを解説【取れない場合の対処法も】

育休が取れない3つのケースを解説【取れない場合の対処法も】

育休取れない」と悩んでいる方もいるかもしれません。ですが結論から言うと、取得条件を満たしている人であれば、育休が取れないということは法律上ありません。この記事では、育休が取れない3つのケースをお伝えするとともに、取れない場合の対処法も紹介します。育休の取得条件・期間など、育休制度の概要についても詳しく解説しますのでぜひ参考にしてみてください。

そもそも育休の取得条件とは

そもそも育休の取得条件とは

育休が取れないケースは、以下の3つのパターンに大きく分けられます。

  • 会社が取らせてくれない
  • 取得はできるがリスクがある
  • そもそも取得対象者ではない

それぞれのケースについて見ていきましょう。

会社が取らせてくれない

まずひとつ目が、会社が取らせてくれないケースです。その会社では制度が適用されないということではなく、正確には「育休を取ることに会社側から難色を示される」ということです。

育休は、女性だけでなく男性も取得できるものです。これまでは男性の取得率が少なかったため、男性が育休の取得を申し出ると、上司から「男のくせに取れると思うな」などと言われてしまうかもしれません。しかし、こういった言葉には注意が必要です。

こうした会社は、いわゆる「ブラック企業」の可能性が高く、制度を無視した指示が横行している場合もあるためです。

そもそも、育休は従業員に与えられた権利です。権利であることをどんなに主張しても取得が認められない場合は、会社側の問題です。「取れないと言われたからうちの会社では無理なんだ」と考えるのではなく、公的な機関に相談することも検討してみてください。

取得はできるがリスクがある

育休は取得できるものの、取得するリスクを考えるとあきらめてしまう人もいます。

たとえば「報復人事」もリスクのひとつです。報復人事とは、出世コースから外したり、希望していない部署にあえて異動させたり、といった不当な人事をおこなうことを指します。

従業員に対し、こうした不利な扱いをしてはいけないと定められているものの、現実には育休を取得する従業員に対し、報復人事をおこなう会社も存在するのです。

たとえその従業員のパフォーマンスが低かったり、あまり成果を挙げられていなかったりしても、育休を取得したことで不当な扱いをすることは禁じられています。

「そもそも取得条件に当てはまらない」といったケースも考えられます。育休が取れない理由として正当なのは「取得対象者に該当していない」しかありません。

育休取得には、条件が定められています。雇用期間や労働日数などに規定があり、それらの条件に当てはまらない場合には取得できない可能性があるのです。

育休の取得条件について、改めて確認していきましょう。以下のポイントに沿って詳しく解説していきますので、参考にしてみてください。

  • 取得対象者
  • 取得期間

参考:厚生労働省|育児・介護休業法のあらまし,「あなたも取れる!産休&育休」

取得対象者

育休は、原則として1歳に満たない子を育てる従業員が取得できます。男女関係なく取れるため、父親の取得も可能です。

育休は、派遣社員や契約社員、パートといった雇用形態であっても取得できます。ただし、以下の条件に当てはまらない場合には取得できません。

1、同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること

2、子が1歳6か月(2歳までの休業の場合は2歳)を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

「2」の条件は、簡単にいうと「子供が1歳6か月になる日までに労働契約が満了しないなら、育児休業は取れる」ということです。また、その時点で労働契約が満了するとしても、更新の可能性が残されている場合には育休を取得できます。

会社が育休取得を断れるケースとは

労使協定の定めによっては、以下のケースに該当する従業員に対し、会社は育休の申し出を断ることができます。

  • 雇用された期間が1年未満
  • 1年以内に雇用関係が終了する
  • 週の所定労働日数が2日以下

労使協定とは、従業員と会社との間で結ぶ「ルール」のことです。基本的には双方の話し合いでルールの制定が進められるため、上記の条件を労使協定に盛り込んでいない会社も存在します。

育休取得を考える場合には、まずは労使協定のなかに育休について定められた箇所があるか確認するようにしましょう。

取得期間

育休の取得期間は、原則として子供が1歳になるまでの間です。1年まるまる取得する義務はなく、従業員が希望する期間取得できます。例外として「保育園などの預け先が見つかっていない」などの理由があれば、子供が1歳6か月に至るまで、または2歳になるまで、取得の延長も認められています。

育休が取れないのは法律違反

育休が取れないのは法律違反

従業員からの育休の申し出を、会社が正当な理由もなく却下するのは法律に触れる行為です。

育休には取得条件があるため、すべての人が取得できるものではありません。しかしながら、条件をすべて満たしているにも関わらず「繁忙期だから」「代わりに仕事ができる人がいないから」といった理由で育休を取得させないのは「育児介護休業法 第6条」に抵触する違反行為です。

育児介護休業法では、育休を取得する従業員に対し、会社が以下のような行為をすることも禁じています。

  • 育休を理由にした不当な扱い
  • ハラスメント行為

万が一このような事態に遭ってしまった場合には、冷静に対応しましょう。

育休を理由にした不当な扱い

育休を理由に、従業員に不当な扱いをすることは禁じられています。この場合の「不当な扱い」とは、たとえば「解雇」や「降格」といったことです。そのほかには、以下のようなことが不当な扱いに当てはまります。

  • 業務に従事させない
  • 減給
  • 不利益な人事評価
  • 不利益な配置変更

また、派遣社員に対する不当な扱いも禁じられています。たとえば妊娠した派遣社員に対して「有期雇用契約を更新しない」「派遣社員が育休に入るまでの間に契約を一方的に打ち切る」といったことも禁止されています。

ハラスメント行為

育休を取得しようとする授業員に対する「ハラスメント行為」も厳重に禁じられています。たとえば、妊娠や育休を理由にしたハラスメント行為、いわゆる「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」は厳罰の対象行為です。

育休を取得する男性従業員に対する「パタニティ・ハラスメント(パタハラ)」といった言葉も生まれており、男性に対するハラスメントにも社会から厳しい目が向けられています。

具体的には、以下のような言葉を受けたときはハラスメントとして認められる可能性が高いです。

  • 「この先の出世を諦めるのか?」
  • 「育休を取得するならクビにする」
  • 「こんなに忙しいのによく育休なんて取れるね」
  • 「戻ってきても居場所はないぞ」

育休取得後の従業員に対し「あの忙しい時期に育休を取得した人は信用できない」といった言葉を投げかけるのもハラスメント行為にあたります。

取得条件をクリアしている従業員に対し、会社が育休の取得を認めないのは法律違反です。もちろん会社の忙しさなどを理由に取得を制限することは認められていませんし、育休を取得する従業員への暴言も禁止されています。場合によっては、当該の上司などに厳罰が下る可能性もあります。

育休が取れない場合の対処法

育休が取れない場合の対処法

「会社がどうしても育休を取らせてくれない」といった場合には、以下の方法を試してみてください。

  • 会社の相談窓口
  • 総合労働相談コーナー
  • 労働局に相談
  • 労働基準監督署に相談
  • 弁護士に相談
  • 転職を考える

会社の相談窓口

まずは「会社の相談窓口」に相談してみましょう。会社には、育休について従業員が相談できる窓口を設置することが義務付けられています。そのため、まずはその窓口に状況を説明するのが手といえますが、中小企業などでは設置が間に合っていない可能性もあります。この場合には、人事部などに相談してみてください。

そもそも、育休が法律によって厳重に守られている制度であることを上司が知らない可能性もあります。一方でこうした労務系の法律や制度に詳しいのが、人事部など、社員の労務を管理する部署の社員です。

そのため上司に「育休を取らせてほしい」とお願いするよりも、人事部などに取得をお願いし、人事部から上司に育休の依頼をするほうがスムーズに事が運ぶ場合もあるのです。

なお、会社からも育休の願いが却下された場合には「育児休業の取得を請求する申入書」を、内容証明郵便で会社宛に送る手も残されています。これは、仮に裁判になった際の大切な証拠となるものです。

最終手段ともいえますが、この書類を送ることで会社が従業員の本気度を察し、態度を改めてくれることも期待できます。

総合労働相談コーナー

「どこに相談したらいいか分からない」といった場合には「総合労働相談コーナー」に相談してみましょう。

総合労働相談コーナーとは、厚生労働省が設置している無料の相談窓口で、職場のトラブルに関する相談、また解決に向けた情報提供をおこなってくれます。場合によっては、より専門的な機関への取り次ぎもおこなってくれるため、困ったときの「駆け込み寺」として利用するのも手です。

予約不要かつ、相談者のプライバシーや秘密は厳守されているので、安心して相談できるのもメリットです。各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内など、計379か所(2020年12月時点)に設置してあるので、住まいの近くの総合労働相談コーナーに相談してみてください。

労働局に相談

育休が取得できない場合には、労働局に相談するのもひとつの手です。具体的には、労働局のなかの「雇用環境・均等部(室)」に相談してみてください。

「雇用環境・均等部(室)」は、育児・介護休業や、女性従業員などの差別をはじめ、従業員と会社との間に生じるトラブル解決に向けた援助をおこなってくれる機関です。育休に関するトラブル解決を専門におこなっている場所ともいえるため、有益なアドバイスが期待できます。

なお、労働局への相談は主に以下のふたつに分けられます。

  • 紛争解決の援助
  • 調停

もしものときは、これらの手段があることも頭に入れておきましょう。

紛争解決の援助

会社から育休取得を拒否された場合、労働局に対し「紛争解決の援助」を申し込めます。これは育児介護休業法(第52上の2)に基づく従業員の権利で、労働局は会社に対し助言や指導をおこないます。

調停

紛争解決の援助を申し込み、労働局が会社に対して指導をおこなったにも関わらず状況が進展しない場合には、労働局による「調停」を申し立てることができます。この場合、専門家によって構成された調停委員会が会社と従業員の間に入り、双方の話を聞きつつ調停案を作成してくれます。

労働基準監督署に相談

労働基準監督署への相談も、問題解決につながる場合があります。特に「育休を理由にした賃金の未払い・不払い」「不当に解雇された」といった場合には、労働基準監督署に真っ先に相談すべきといえるでしょう。

そもそも労働基準監督署とは、労働基準法などを守らない会社を取り締まる機関です。厚生労働省管轄の機関のひとつで、「会社の警察」のような立場を担っています。

また、労働者の相談窓口としての機能も担っているため、より専門的な立場から、育休のトラブル解決に向けたアドバイスを受けることができます。

弁護士に相談

会社から育休を拒否された場合には、弁護士に相談することも考えてみましょう。

労働局や、労働基準監督署への相談によって問題が解決するケースも少なくありませんが、それでも強固な態度を崩さない会社も存在します。

この場合、訴訟を提訴したほうが解決の見込みが高いことがあり、このとき心強い支えとなってくれるのが弁護士です。特に、労働分野に強い弁護士の場合には、法律的な知見から最善の解決案を考えてくれるでしょう。

なお、弁護士への相談にはお金がかかります。費用をなるべく抑えつつトラブルを解決したい場合には「法テラス」に相談するのも手です。法テラスとは、国によって設立された「法的トラブルの専門窓口」で、法律相談に無料で乗ってくれます。

場合によっては弁護士費用の立て替えもおこなってくれるなど、育休取得に関わる法的なトラブル発生時に特に利用を検討したい機関といえるでしょう。

転職を考える

育休トラブルに関する相談窓口をお伝えしてきましたが、転職を考えることも問題解決につながる場合があります。

そもそも育休を取れない会社というのは、法律を無視する会社、いわゆる「ブラック企業」の可能性が高い会社です。こうした会社は育休に限らず、従業員の利益より会社の利益を優先する傾向にあります。そのため、仮に育休は認められたとしても、別の面でトラブルや悩みを抱える可能性も十分に考えられます。

無事に育休を取得して職場に復帰した場合でも、その会社でずっと働き続けるかどうかは、慎重に考えることをおすすめします。今後のトラブル回避のためにも、将来的にはその職場を離れることも検討してみてください。

「育休 とれない」によくある質問

育休の取得条件

育休の取得条件は、同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であることなどの理由があります。この記事では他にも理由を説明しています。興味のある方はぜひご覧ください。

育休が取得できない場合

育休が取得るはずなのにできないケースは大きく分けて2つのパターンがあります。1つ目は育休を理由にした不当な扱いをされる、2つ目はハラスメント行為をされる、などがあります。

転職するか相談をしたい

転職をしたいと考えている方もいると思います。ジェイックでは「就職相談」を行っています。転職に関する悩みなどがある方はぜひ参考にしてみてください。

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高藤 薫キャリアアドバイザー
株式会社ジェイック:キャリアコンサルタント|就活情報、お役立ち面白情報を発信|就活YouTube「ジェイック就職カレッジ®」配信中|資格:キャリアコンサルタント・ポジティブ心理カウンセラー・7つの習慣®︎ファシリテーター